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キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー★★★★★

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『アベンジャーズ』でのニューヨークの戦いから2年後を舞台に、キャプテン・アメリカと暗殺者ウィンター・ソルジャーとの死闘を描くアクション大作。70年の眠りから覚め、アベンジャーズの一員として戦ったキャプテン・アメリカが、S.H.I.E.L.D.(シールド)の仲間に突如襲われ、その裏に潜む真実を追う姿を映し出す。監督は、『ウェルカム トゥ コリンウッド』のアンソニー・ルッソとジョー・ルッソ。キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンスやスカーレット・ヨハンソンらが出演。新たに加わる名優ロバート・レッドフォードの役どころにも注目。
あらすじ:アベンジャーズのメンバーとして戦ってから2年、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)はS.H.I.E.L.D.(シールド)の一員として活動していた。ある日、キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)を世界屈指の暗殺者ウィンター・ソルジャーが襲撃。さらにウィンター・ソルジャーの正体は、キャプテン・アメリカの親友で第2次世界大戦で亡くなったバッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)で……。

<感想>世界中で爆発的ヒットを記録した「アベンジャーズ」。そのメンバーの中でも、アイアンマンと並んで高い人気を誇るヒーロー、キャプテン・アメリカの新たな戦いを描いた本作。第二次大戦期に米軍の極秘実験によって超人的な力を身に付けた青年スティーブ・ロジャースが、約70年間の冷凍睡眠状態を経て、現代にはびこる悪に立ち向かう。
「アベンジャーズ」では仲間たちと共に時空を超えた敵と戦ったスティーブだが、本作がこれまでのアメコミ映画と異なるのは、陰謀また陰謀と、真の敵は誰か?・・・という先の読めないストーリーで、マーベル映画ではかつてないサスペンス・アクションになっている。
今回の敵はより現実的。政治的な陰謀が彼を陥れようとし、籍を置いていた国際諜報機関シールドさえも信じられなくなる。第二次大戦のころは、悪の正体は明確だったが、現代では誰が味方で誰が敵なのか判然としない。

新開発の防衛システムの是非を巡り、シールドは内部分裂。味方であるはずの彼らに追われはじめたキャプテンやブラック・ウィドウは正体不明の敵に翻弄される。
シールドと共にキャプテンらに襲い掛かる黒づくめの男、ウィンター・ソルジャー。その姿は、左腕が金属人工アームで、高度な殺人技を身に付けており、戦闘能力はキャプテン・アメリカの投げつけた盾さえも受け止める。その正体は、死んだはずのキャプテンの親友、バッキーに酷似しているが、・・・アベンジャーズのメンバー以外信用できない状況の中、長官の
ニック・フューリーが白昼堂々、道路の真ん中で警官に化けた敵たちに襲われるという、衝撃的なカーチェイスが繰り広げられる。

ここでは、一応、死んだことにして、実は最後の方で生きていたことを知り、今回の悪役ロバート・レッドフォード演じる、シールドの理事アレクサンダー・ピアースと対峙する。ピアースは、自らの信念に従って行動しており、ヘリキャリアによる実質的な世界支配も彼の発案。キャプテン・アメリカとは相容れない存在である。
そんな時代とも対峙するスティーブの苦悩がスクリーン全面に滲み出ており、ヒーローのドラマをより面白くしている。
それでも、キャプテン・アメリカならではの躍動的なアクションも大きな見せ場で、怪力を活かした肉弾戦はもちろん、地上での奔走から宙に浮かぶシールドの空中空母キャリアーが3台も登場するなど、飛行機で繰り広げられるバトルまで、上に下に大活躍。防ぐだけでなく、投げつけて敵を蹴散らすキャプテンの、盾を使ったアクションがパワーアップしていた。

今回彼をバックアップするアベンジャーズの美しきヒロイン、ブラック・ウィドウ。高い身体能力に加え、スーツに仕込んだ無数の武器で敵と対峙。ウィンター・ソルジャーやシールドに立ち向かうキャプテンをサポートする。
空飛ぶ要塞で繰り広げられるクライマックスのバトルでは、キャプテンを助ける新ヒーロー、ファルコンが縦横無尽に空を駆けるなど見せ場が満載です。
サム・ウィルソン扮するファルコンは、元空挺部隊の軍人で、人工翼で空を舞いキャプテンと共に闘う勇士。
そしてもう一人、シールドの若き美人エージェント13なる、シャロン・カーターを演じるエミリー・ウァンキャンプの存在が凄かった。

キャプテン・アメリカは、スーパーソルジャー計画の被験者第1号。シールド所属でアベンジャーズのリーダー的な存在。超人的な身体能力は持っていたが、特殊能力とは無縁だ。ゆえに、敵との戦いは肉弾バトルが基本で、冒頭船上での敵傭兵、フランス人のバトロックとの肉弾戦では、ブラジリアン柔術、空手に、ボクシング、バルクールなどの技を駆使しているのだ。今回は、アクロバチックなアクションが多用され、クリスは機械体操のトレーニングも自ら進んで取り入れたという。主人公のクリス・エバンスが、今回は新コスチュームで心機一転しての大活躍に、大満足でした。
2014年劇場鑑賞作品・・・89  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


MUD マッド ★★★★

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『テイク・シェルター』で脚光を浴びたジェフ・ニコルズと、『マジック・マイク』などの演技派俳優マシュー・マコノヒーが手を組んだ青春ドラマ。親友同士の少年二人が、島に潜む一風変わった男との出会いを通して成長する姿を描き出す。『ツリー・オブ・ライフ』のタイ・シェリダンやベテランのマイケル・シャノン、オスカー女優のリース・ウィザースプーンらが共演。友情やさまざまな愛の形を盛り込んだ物語が心に染みる。
あらすじ:14歳のエリス(タイ・シェリダン)はアメリカ南部、アーカンソー州の川辺のボートハウスで両親と暮らしている。彼はある日、親友ネックボーン(ジェイコブ・ロフランド)と出掛けたミシシッピ川の島でマッド(マシュー・マコノヒー)という男性と出会う。エリスは世間から隠れて暮らす彼に興味を抱くが、ネックボーンはマッドのことを快く思っていなかった。

<感想>舞台となるミシシッピ川周辺のどこかくたびれた風景、もはや田舎というのも生ぬるいほどのド田舎である。親父は川魚を獲っては3枚におろして売って歩く。息子のエリスは、父親のトラックの荷台に乗って魚売りの手伝いをする。母親はそんな暮らしに我慢ができず、両親の仲は完全に冷え切っていた。彼ら主人公の、エリスとネックボーンは14歳。学校へは行ってないのだろうか。子供と大人の境界線に置かれた現状に戸惑いつつも、繰り返される毎日の中でアイデンティティを見出そうともがいている。

2人の少年が小舟でミシシッピ川に浮かぶ小さな島に向かう。そこで発見した木の上に引っかかった立派なボート。たぶん洪水のせいだという。上がってみればボートは泥にまみれていたが、少年たちの秘密基地には十分だった。
だが、どうやらすでに住んでいる者がいるらしい。嫌な予感がするので帰ろうと思ったら、そんな2人の前に不思議な男が現れる。
その男は、髪はボサボサで歯は汚れており、どうにもヨレヨレの汚い身なりした男は、マッドと名乗る。聞けば惚れた女がいたと言う。その女を酷い目に遭わせた男を射殺してしまった。警察やら殺した男の兄貴から追われて、この島から出られないというのだ。

人目を避け、川の小島に身を隠す彼の目的は、愛する女性ジュニパー(リース・ウィザースプーン)との再会。あわよくば、2人で誰も知らない土地へ逃げるというのが計画である。自らも上級生の女の子に一方的に思いを寄せているエリスは、マッドの純愛に共感して手を貸すことになる。
その少年エリスが、無軌道男と死を賭けた秘密を共有しながら、少し大人になるという、良く練られた展開が素晴らしい。両親の不仲に胸を痛め、大人たちの汚れた心をさげすむ中で、危険を顧みず恋した女を救いにきたマッドに共感し、食べ物差し入れや、女に伝言を届けたり、樹の上のボートを直す手助けをする。

男の子をくすぐる洪水がもたらした木の上のボートという設定が素晴らしいと思った。逃亡者と、いい顔をした田舎町の純朴な少年たちを抑制した演出で描いているのも悪くはないが、マコノヒーという異物の投入が本作を特別なものにさせてくれる。
白い歯と完璧に引き締まった肉体を駆使し、本作では薄汚いホームレスといった強烈にアクの強いキャラを演じているマシュー・マコノヒー。自信に満ちた振る舞いをする一方で、まじないや護符を信じる敬虔さも覗かせる。かと思えば、拳銃を持ちどことなく危険な香りも漂わす。マッドと名乗るその男の登場からストーリーはにわかに加速し始めていく。

未練を断ち切れない男と女のドラマをさりげなく支え、その世界観に感心した。大人たちのそんな未練に、少年の好奇心と冒険心が介入してドラマは思いがけない方向へと進んでいくのだが、風景とメロドラマの密着度は、同じマコノヒーの「ペーパーボーイ 真夏の引力」に匹敵するようだ。
ストイックに見せかけて女に弱く、傷つきやすい繊細な性格を演じて見せる彼は、本作の少年たちがそのまま大人になったような存在だが、少年たちは彼のようにはならないことが、観客には分かってしまうだけにより痛々しい。
エリス少年が、小島で毒ヘビに咬まれて、マッドが彼を抱き抱えて、小舟に乗り街の病院まで連れて行く早業に感心。一刻を争うことなので、この敏速な処置のシーンに絶対にエリスは助かると思った。このことで、街のモーテルに潜んでいた彼女に張り付いていた、殺された男の兄貴と殺し屋がマッドを狙う。

それに、70年代のある種のアメリカ映画みたいなごっつさがいい。ジョー・ドン・ベイカーとサム・シェパードというその時代に若者だった男たちの、年の取り方もいい感じだ。老いたこの二人の潜在的な敵対関係は隠し味なのだろう。特に元CIAの殺し屋だというサム・シェパードの役回りも良かったし、親友ネックボーンの叔父役のマイケル・シャノンが、川に潜って貝を獲り甥っ子の面倒を見ているのだが、いい人には違いないのだろうが何を考えているのか判らない不思議さがいい。

ラスト、両親の離婚で街っ子のなった少年が、自分が関与した事件や失恋などを引きずっていないのも、少年一家が暮らす取り壊される川沿いの家屋。濁った川や、息苦しい風景から解放されたからなのかもしれませんね。
2014年劇場鑑賞作品・・・90  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

そこのみにて光輝く ★★★★

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『海炭市叙景』の原作者、佐藤泰志の三島由紀夫賞候補となった小説を基に、北海道函館を舞台に生きる場所のない男女の出会いを描くラブストーリー。仕事を失った男がバラックに住む女と出会い、家族のために必死な彼女をいちずに愛し続ける姿を描く。主演は、『シャニダールの花』などの綾野剛。主人公と惹(ひ)かれ合うヒロインを、池脇千鶴が演じる。メガホンを取るのは、『オカンの嫁入り』などの呉美保。美しい函館を背景につづられる、男女の愛の軌跡と人生の過程が心に突き刺さる。
あらすじ:仕事を辞めて何もせずに生活していた達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で気が荒いもののフレンドリーな青年、拓児(菅田将暉)と出会う。拓児の住むバラックには、寝たきりの父親、かいがいしく世話をする母親、そして姉の千夏(池脇千鶴)がいた。達夫と千夏は互いに思い合うようになり、ついに二人は結ばれる。ところがある日、達夫は千夏の衝撃的な事実を知り……。

<感想>物語の前半、過去の傷を引きずり函館の街に身を沈めるように生きている達夫がいる。主人公達夫を演じているのが綾野剛。こういう暗い、自暴自棄な人間の役が多いようだが、どういうわけかよく演じていると思う。
その役柄と同じく。撮影期間は、毎日酒を飲みタバコを吸い、作品の世界にどっぷり入り込んでいたという。酔っぱらってパンパンにむくんだ顔の彼は、明日はどうなってしまうんだろう、と心配になるくらい刹那的に見えました。

そんな綾野剛が演じる男は、鉱山で体験した大きな事故の記憶を、強いトラウマとして抱え込んでいることが暗示される。彼は、背中にある大きな赤アザ、それがその痕跡なのだ。パチンコ店で若い拓児と出会い、彼の家いき家族と出会うことになる。
物語りの軸は、同僚の死に責任を感じて気力を失ったハッパ技師と、家族のプレッシャーでボロボロになった女との絶望的な恋物語でもある。
そして、もう一人若い拓児の家で繰り返し足首ばかり描かれる人物に出会うことになる。拓児の父親で脳梗塞で寝たきりの老人は、不随の体に宿る行き場のない性欲に苦悩し、母親と娘の千夏がその性処理をしているのだ。

それに、若い拓児は傷害事件を起こして保釈中の身であるというのに、馬鹿なのか無知なのか、この男にはおよそ抑制というものがない。それでも、達夫を兄のように慕い、後を追い、いつも腹をすかせ、野良犬のようにハァハァと息切れをして、最後には狂犬のようにアイスピックを振りかざす。「共喰い」の菅田将暉が演じているが、自然体で中々上出来です。

後半で弟の拓児が、達夫が姉の千草と結婚することを望み、祭りの夜に、邪魔な姉の売春相手の植木屋、社長をアイスピックで刺すという、またもや自分を刑務所に自ら追い込む結果を作る。植木屋の社長も妻も子もいるのに、何故に千夏を愛人のようにしつこく付け狙うのか、それも男の性処理というものなのか?・・・その植木屋の社長に高橋和也が扮しているのだが、暫く見ないうちに小さくなったような感じがした。
世捨て人のような暗い達男と対照的な二人だが、コンクリートの床に座り込み一緒にタバコを吸う時、初めてその身振りが同じ形になる。それを機に拓児が警察に自首をして、達夫は自転車で千夏の家へと行く。

千夏は、家のために昼は塩辛工場へ働きに行き、夜は売春婦までして生活費を稼ぎ、結婚をあきらめてたのに、そこへ達夫が現れ始めて好きになった男なのに、それを諦めてずるずると現状維持をするしかないことに腹を立てている。だからなのか、後半で父親の首を絞め殺そうとしている千夏を止める達夫。
自分だって、両親の葬式にも行かないし、お墓も作ってなく妹がどうするのか手紙で言ってきている。長男の役目、投げ出してはおけない事実。

物語りの後半、ターニングポイントを迎えた達夫が、火野正平演じる松本に、「家族を持ちたくなった」と伝えるシーン。それからの達夫は、好きな女ができ、もしかしたら子供もできてと、その女の家族の面倒も見るという、そんな一般的な生活を夢見ていたのかもしれませんね。ラストの清々しい表情の達夫の顔、海辺で千夏と見つめ合うシーンも、朝日を背にして輝いて見え晴れやかでした。
そして、光を繊細に配置した近藤龍人の撮影が豊かな画面を形成していて良かった。
2014年劇場鑑賞作品・・・91  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

シャドウハンター ★★★

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全世界で大ベストセラーを記録した、カサンドラ・クレアの小説「シャドウハンター 骨の街」を実写化したアドベンチャー。自身が妖魔を退治する一族の子孫だと知った少女が、さまざまなクリーチャーと戦闘を繰り広げながら伝説の聖杯をめぐる冒険に挑む。監督は、『ベスト・キッド』などのハラルド・ズワルト。『白雪姫と鏡の女王』などのリリー・コリンズが、思わぬ運命と対峙(たいじ)する気丈なヒロインを快演する。圧倒的ビジュアルに加え、ティーン特有の心情をリアルにつづった描写も見もの。
あらすじ:あるクラブを訪れた少女クラリー(リリー・コリンズ)は、そこで謎めいたジェイス(ジェイミー・キャンベル・バウアー)という少年に遭遇する。彼は地下世界に潜む、吸血鬼、人狼、妖魔などを始末するシャドウハンターと呼ばれる一族の者であった。やがて、ジョイスは母ジョスリン(レナ・ヘディ)もシャドウハンターである上に、強大な力を授けるとされる聖杯を隠し持っていることを知る。衝撃の事実に動揺する中、母が聖杯を狙う反逆者ヴァレンタイン(ジョナサン・リス・マイヤーズ)に拉致されてしまい……。

<感想>人間界に潜む妖魔を狩るシャドウハンターの活躍を描くファンタジー・アクションです。これは現代のニューヨークに時空を超えた地下ワールドがある、・・・というお話のようだが、そこで繰り広げられる戦いのお話が、何だかイマイチ面白くなかった。というより、感情移入したい登場人物に出会えず、お話の中にのめり込めないって感じです。

まぁ、ヒロインの「白雪姫と鏡の女王」で白雪姫を演じたリリー・コリンズが主人公なんだけど、それに「トワイライト」シリーズのジェイミー・キャンベル・バウアーというイケメンの男と恋愛してと、思っていたら父親のジョナサン・リース・マイヤーズが出て来て、実は二人は兄妹なのだと衝撃的な事実を知らされる。
ジェイミー・キャンベル・バウアー扮する彼は、シャドウハンターという人間界の守護者で、妖魔や吸血鬼、人狼といった人間界に潜む悪鬼から人間たちを守っており、クラブで刺し殺したのも妖魔だったというのだ。

それに、クラリーの母親もシャドウハンターで、家へ帰ると荒らされており、母親の姿はなかった。実は、暴走した仲間の一人ヴァレンタイン(ジョナサン・リース・マイヤーズ)から聖杯を奪い、人間界に身を潜めていたのだという。

聖杯の行方はクラリーの封印された記憶の中にしかない。彼女はジェイスと共に、シャドウハンターの本拠地に行き、他のシャドウハンターたちと協力して聖杯を探すことを決意する。

物語りの軸は、母親が所有する聖杯を狙う反逆者たちと、派手なアクションとCGを取り入れて、闘うのが娘のリリー・コリンズというわけ。その聖杯の在り処は、実はタロット占いカードの中という。そのカードの中から聖杯を取り出すことができるのは、娘のクラリーだけ。
母親役には「300」で王妃役を演じたレナ・ヘディが、この女優さん綺麗ですよね。6月に公開される「300 〜帝国の進撃〜」にも出ています。

この映画は、連続ドラマで見た方が面白そう。語りの時空の連結がゆるくて、連ドラにすべきお話を、圧縮したというよりは、ダイジェスト版を見せられているような気分になる。最後も続編がありそうな感じだったし。

過去のさまざまなフィクションのパッチワークみたいに、見えるのは別にかまわないが、個性的なキャラクターの面々を見ると期待は高まるし、アクションや美術はそれなりに頑張ってるのだが、・・・。

原作は知らないが、映画は女子が主演のファンタジーとしてはいいと思われます。監督は、北欧からハラルド・ズワルト。俳優はイギリス、アイルランド、フランス、カナダから。ファンタジー映画にはヨーロッパの力があった方がいいに決まっている。だが、ちょっとB級な導入部や、マンハッタンの謎の場所設定など、別にニューヨークの話でなければならない理由はないんじゃないかと、思ってしまう。
要するに、この作品に新しい発見が出来なかった私がいけないのかもしれませんね。多分、相性が悪かったということなのだと思います。
2014年劇場鑑賞作品・・・92  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

グロリアの青春 ★★★.5

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結婚や子育て、離婚を経験したキャリアウーマンの58歳の女性をヒロインに、新しいパートナー、息子や娘との関係を赤裸々に描くチリ発のヒューマンドラマ。仕事をこなし、余暇にはダンスを楽しむ中年女性がある男性と出会うも、前妻や子どもたちに振り回される相手に失望し、とある行動に出るまでをつづる。監督は、チリの新星セバスティアン・レリオ。主演のパウリーナ・ガルシアは中年の恋愛模様を繊細に演じ、かつ大胆なベッドシーンに挑むなど、その熱演でベルリン国際映画祭主演女優賞を受賞。孤独ながらも力強く生きるヒロインの姿に感動する。

<感想>夫と離婚、子供も独立した中年キャリアウーマンが次の人生へ踏み出す姿を描いている。主演のグロリア役で昨年のベルリン国際映画祭で主演女優賞を受賞したパウリーナ・ガルシア。甘えない、愚痴らない、過去や思い出に執着しない。ときにはついコントロールを斬りそこなうこともあるが、自分の人生の舵は自分で取る。
とにかく、グロリアを演じるパウリーナ・ガルシアに息を呑む。別れた夫への、息子への、娘への、新たなパートナーへの想いが、さりげない仕草と言葉で伝わる魔法のような作品。

それにしても、舞台はチリ。自由な生活を楽しむことには積極的なグロリアは、中高年が集まるダンスホールに気楽に出かけ、気の合う相手が見つかれば一夜を共にすることもある。「大胆な熟年セックスシーンつき、元気が出るシニア女性応援映画」かと思いきや、そうそう一筋縄にはいかないのだ。

誰に気兼ねするわけではない大人同士のフィフティ、フィフティの関係なのだから。ホールは大賑わいで、グロリアが実業家のロドルフォと出会ったのも、始めはあくまでも後腐れのない関係としてだったのだが、セックスの相性の良さと、自分のために誌を囁いてくれる彼にいつしかほだされるようになる。
劇中のグロリアには、ワインを飲みながらチリの政治や社会を語る友人たちはいても、家族のことや自分のこと、あるいは男のことなど好きに喋って大声で笑いあう気の置けない女友達は出てこない。だが、別に彼女に女友達が一人もいないというのではなく、グロリアの行動のみに焦点を当てたこの作品では必要なかったということなのだろう。

とはいえ、ここでメインとなるのは、かなりありきたりの出会いと別れである。誰かと親密な関係になるのは久しぶりであるグロリアは、息子の誕生パーティーにロドルフォを同伴して行く。娘や元夫も再婚相手の女と来ていた。ですが、1年前に離婚したというロドルフォは、生活は別でもまだ完全には妻子と縁を切ったわけではなく、父親、そして夫という立場を引きずっている。だから、息子の家でも、娘からの電話に出て急に飛び出しいなくなるのだ。
私には、元夫とグロリアが、仲良く自分たちの結婚式の写真を見て楽しそうに話しているのに、嫉妬をして腹を立てて帰ったのかと思ったのだが、違うようだ。

この作品の合間、合間にグロリアの住んでいる上階の部屋の飼い猫、毛のない猫がグロリアの部屋に迷い込んでくる。それに、上階の部屋の住人、初めは夫婦喧嘩の罵声が煩くて、次には妻に逃げられたらしく、独り言だと思うがやはり怒鳴り声が煩く聞こえる。これは堪りませんよね、ヘンッドホンをして音楽でも聞いて寝るかしないと気になって仕方ありませんもの。
グロリアが自分の生活を楽しまないと、どちらも不幸になると、ロドルフォに言うのだが、男の描き込みが不徹底でなんと男らしくないことか。どの男もである。息子だって離婚して幼子を育てているのだ。

ですが、グロリアだって格別に強い女ってことではない。スェーデン人の男の子供を妊娠した娘を空港で見送るシーンでは、つい我を忘れて娘を追いながら、隠れてこっそりと涙する姿もある。それに、緑内障と診断されても目薬を点し、あるいは、打ちひしがれたグロリアが、路上で操り人形のガイコツによるポップな踊りに自分の死を感じるシーンもある。
後半で、グロリアは一度は愛想を尽かしたロドルフォに何度も電話を貰い誘われて、リゾート地の高級ホテルに出かけるのだが、そこでも家族からの電話で元妻が事故に遭ったという知らせに気もそぞろで、家族離れのできないロドルフォに置き去りにされる。
その後の彼女の行動には、危険を省みない無防備すぎるグロリアと、一方ではエネルギッシュなテンションの高さに驚いたり、つまり捨てられた腹いせに、行きずりの男と酒を飲みダンスをして、酩酊状態でバックを盗られ乱暴されて海岸の波打ち際で無ざまに目覚める惨めな彼女がいた。

けれどもドッコイ、そんなことではヘコタレナイ。女は何度でも復活するとばかりに、優柔不断なロドルフォの家へ行き、トランクの中にあるおもちゃの機関銃で、帰って来るロドルフォを待ち、彼目がけてカラーの破裂する弾を何発も撃つのだ。
その後は、娘の結婚式へ行き、楽しそうに踊る狂う勝利者のようなグロリアの姿があった。この映画は、あくまでもグロリアの行動のみを追いながら、グロリアが出会った人たち、家族や友人にしても、グロリア側から描かれるだけで、それはロドルフォとの関係でも同じであり、その徹底した一貫性から、グロリアが時に感じる苛立ちや孤独、所在な様まで、まさにありのままに伝わってくる。
2014年劇場鑑賞作品・・・93  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

メイジーの瞳 ★★★

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両親の離婚に翻弄(ほんろう)される少女の視点で家族とは何かを、『キッズ・オールライト』の製作スタッフが描くヒューマンドラマ。19世紀末のヘンリー・ジェームズの原作の舞台を現代に置き換え、多忙な両親に顧みられない少女が新しく両親のパートナーとなった男女との関係を築いていく姿を映し出す。ロックスターである少女の母親はジュリアン・ムーア。6歳の少女をオタナ・アプリールが演じ、アレクサンダー・スカルスガルドなどが共演。辛らつながらも温かな珠玉のストーリーに魅了される。
あらすじ:母スザンナ(ジュリアン・ムーア)と父ビール(スティーヴ・クーガン)が離婚し、共同親権を持つ両親の家を行き来することになった6歳の少女メイジー(オナタ・アプリール)。ロックスターであるスザンナは、再婚相手の青年リンカーン(アレクサンダー・スカルスガルド)に子育てを押し付けていた。メイジーは優しいリンカーンと心を通わせ始めるが、スザンナはそんな状況にいらついてしまい……。

<感想>離婚した両親のもとを行き来する6歳の少女が見た、身勝手な大人の世界とは?・・・6歳のメイジーの両親は離婚して共同親権を持つことになった。アートディラーの父親ビールはまもなくベビーシッターのマーゴと再婚。優しいマーゴをメイジーはすぐに受け入れた。

一方、ロック歌手の母親スザンナも若いバーテンのリンカーンと再婚。母親が留守の昼間は彼がメイジーの面倒を見てくれる。彼のこともだんだんに好きになるメイジー。
それでも本当はどちらも忙しく、自分本位。彼らが共に不在の時は、リンカーンとマーゴが交互にメイジーの世話をして、どちらも身勝手な伴侶に利用されているだけと気づいた二人は急接近していく。

ツアーに出たスザンナに置き去りにされたメイジーを加えた3人は、仲の良い本当の親子のように海辺の家で休暇を過ごすが、明日はみんなで船に乗ろうと約束していた夜に、突然母親のスザンナが娘を迎えに現れる。その時、幼いメイジーが取った選択とは?・・・。
ヘンリー・ジェームズの小説を現代ふうにアレンジして、スコット・マクギーとデーヴィッド・シーゲルのコンビ監督が描く新たな家族の形とは。驚いたのが百年後のニューヨークに舞台が移されているんですね。

味わい深いのは、確かに身勝手な離婚を決断する両親とはいえ、彼らが再婚する最大の理由がやっぱりまだ幼い娘メイジーのため、というあたりでしょうか。
これまでにも、子供の眼から両親や大人たちの身勝手さを描いた作品は多々あるが、6歳の少女メイジーの場合は、すでに苦労人のように見えてしまった。我慢強くて、しかも素直で、決して無いものねだりをしない。両親の喧嘩を見ては一人心を痛めている健気さが痛々しく感じました。

最も親らしくしてくれたのは、離婚した両親が便宜上再婚した義父母でした。という物語を、子供目線ではなく、子供を通した大人目線によって、大人の醜悪さを際立たせているような。子役のメイジーを演じたオナタ・アプリールちゃんの可愛いこと。
どちらも再婚相手がいい人で何だかホットします。でも観終わって心に残るのは何故か、クレイジーとしか言いようのない母親の、女性ロッカー歌手のジュリアン・ムーアなのだ。彼女の狂気と哀れさでもった企画だったような気がする。そして、父親には「あなたを抱きしめる日まで」のスティーヴ・クーガンが演じていて、ベビーシッターだった女性のマーゴと再婚したのに、相変わらず仕事の都合で家を空ける日が多い。

後半は疑似家族の物語のようで、実の両親と子供の関係が放置されてしまう。子供にとっては、本当の両親と暮らすのが一番なのだが、となると問題は、大人たちで、特に離婚する両親は大いに難ありで困ったものだが、メイジーは、両親の再婚相手にもしっかりと懐いて、結果としては万事受け身のメイジーが、自分を守ってくれる大人たちを仕分けしているような感じがしてならない。親にこだわらない人懐っこい子供のちょっとほろ苦い、お伽噺でもある。
その後はどうなるのか、どうにも気になる終わり方でしたが、本当の両親がメイジーを育てられないのなら、疑似家族でも幸せならその方がいいに決まっている。
2014年劇場鑑賞作品・・・94  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

アメイジング・スパイダーマン2(3D)★★★★

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キャストとスタッフを一新した人気アメコミ超大作の第2弾。超人的能力を駆使して正義の味方スパイダーマンとして活躍する青年ピーターが、ニューヨークの平和を脅かす敵たちに立ち向かう。監督のマーク・ウェブ、主演のアンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーンと前作のメンバーが再結集し、『Ray/レイ』などのジェイミー・フォックス、『クロニクル』などのデイン・デハーンが新たに参加。迫力満点なアクションはもとより、ピーターに降り掛かる試練を見つめたドラマも見もの。
   ご注意下さい:全篇ネタバレにてレビューしてます。
<感想>2年前に鮮やかに復活し、世界中を熱狂させたスパイダーマン。その新シリーズ第2弾は、またしても予想外の進化を遂げて君臨する。NYのヒーローになるまでが描かれた前作とはうって変わり、空前のバトルと劇的なストーリーが用意されていた。
今回は冒頭でピーターの両親失踪の秘密が明かされるなど、本作の冒頭でリチャード夫妻が息子のもとを去ったその後が描かれ、プライベート飛行機内で絶体絶命の危機に陥る2人。父が遺した手掛かり“ルーズベルト”にはどんな秘密があるのか?・・・いきなりドラマチックな展開になっている。

やっぱり見どころは、スパイダー・ウェブを発して高層ビル群を次々と飛び移るスウィングの描写ですよね。増々豪快に、滑空するスパイダーマンの視点に近い映像を大量に盛り込み、猛スピードでの落下と浮上のダイナミズムを満喫でき、この爽快感は体感型3Dの豪快なビジュアルで描かれ、最後まで目を奪われぱなっしですから。
大事件が起こってスパイダーマンが街に現れれば、たちまち黒山の人だかり。警官や消防士ともすっかり顔なじみになっていて、NY全体のヒーローとしてモテモテ状態。ですが、いくら超人的パワーを持っているとは言え、生死ギリギリの状況もある上、自分の時間を犠牲にして正義の味方をこなすのはハードだ。特に恋人グウェンと過ごす余裕はなくなる。

ピーターがスパイダーマンである事を知ったグウェンの亡き父親から“娘を危険にさらすな”という言葉に戸惑いつつもこの約束を守り、グウェンもイギリスの大学へ留学が決まり、「友達になろう」と言うグウェンの申し出にうなずくピーター。だがお互いに未練があり、前作同様オズコープ社に勤めるグウェン。彼女に危機が迫る。

障害物を避けながら暴走トラックを追うシーンや、電流を操るエレクトロとタイムズスクエアでのバトルは、超高速で展開。特にトラックとのチェイスはアクセル全開、超スピーディ。超人的なスパイダーマンの能力もスケールアップ。エレクトロに投げ飛ばされたパトカーを、体一つで抱えて止めるなどサム・ライミ版にもないパワーを見せている。今回はウェブ・シューターも、グウェンの協力を得て対エレクトロ用に電流対策を施したものになっている。マスクの目も、コミック版に近い大きくフレンドリーなものにチェンジ。
そこへ、街を離れていた親友ハリーと数年ぶりに再会。ハリーは危篤となったオズコープ社CEOの息子で、ピーターの父親も同社に勤務していたという縁がある。ピーターとハリーは、共に親に突き放されて育ったという点でも解り合えていたのだが、ハリーの父の死後、彼は自分も父と同じ難病に冒されていて、それを治すにはオズコープ社が研究していたクモの毒素かた作った治療薬、つまりは、スパイダーマンの血清が必要だと言うのだ。

ですが、前作のリザードの悪例を思いだし親友のハリーをさらなる危険にさらすだけだと判断したピーターは、スパイダーマンとしてハリーに会い、拒否の意志を伝える。追い詰められたハリーは恐ろしい選択をしてしまう。それは、オズコープ社に隠されていたクモの毒素を注入し、狂気に囚われたグリーン・ゴブリンとなる。
注目の新キャストはデイン・デハーン。「クロニカル」などで注目のNEWスターとなり、本作で一気にブレイクするのは確実。今回のハリー役でも、ただならぬ妖気を発しており、演技派としての将来が楽しみですね。
それに、スパイダーマンはオズコープ社からプルトニウムを強奪したギャングのアレクセイを追うも、その逮捕劇の最中に電気技師のマックスの命を救うが、スパイダーマンに名指しで相棒に任命されたことで大興奮。スパイダーマンに認められたと勘違いしたマックスはその後、作業中の感電事故により電流を自在に操る怪人、エレクトロに変貌する。

突然得た特殊能力に戸惑う間もなく、気が付けば彼は悪役に祭り上げられていた。スパイダーマンはヒーローとして愛されているのに、何故自分は憎まれるのか。エレクトロが怒りを爆発させNY中が停電になるのだが、そんな彼にスパイディは防火帽を被りエレクトロに放水するとはふざけ過ぎですから。

そんなエレクトロにハリーが接近する。彼自身もグリーン・ゴブリンとなり、スパイダーマンへの憎しみをたぎらせる凶悪コンビが暴れ回る中、ハリーが、グウェンがピーターの恋人だと気づいて危険が忍び寄るわけ。エレクトロには、ジェイミー・フォックスが扮して、電気の力で車や敵を持ち上げ、自身も宙に浮かせることも出来る。
そして、特徴もパワーも違う敵が目の前に出現。スパイダーマンを地獄の底へと突き落とそうとするアクションが展開する。

だからって、確かに大きなショックを受けたピーター。あの時彼女を助けられたのではと思ったのに。それから、ヒーロー活動を5か月も停止してしまい、ハリーの命令で、ロシア人のいかれたギャング(あのオズコープ社からプルトニウムを強奪しようとして捕まった男)が、頑丈な装甲で肉体と一体化したパワードスーツを装着して、機械獣ライノに憑依する。

そして、NYの街で暴れ回る。ちなみにこのライノ役には、ポール・ジアマッティが演じているのだが、ちょっとしか登場しないので、次が楽しみですね。その時、ライノの前に現れたのが勇敢なチビ・スパイダーマン。彼は虐められているところをスパイダーマンに救われた少年なのだ。そのことを知ったスパイダーマンは、ヒーローとしてまたNYの街に帰還する。

何だか、今回は前作と違って、スパイダーマンの活躍が茶目っ気のある面が見え、強敵を相手にしてもおどけたり、エレクトロを“電流くん”と呼んで挑発したり、バトルを遠巻きに眺めるNYっ子とのやりとりもユーモアたっぷりで、緊迫感が足りなかったような気がしました。それに、恋人グウェンとのラブシーンも長く映っていて、これなら何も原作通りではなく、彼女を助けられたのではと思いました。
そして、そして、エンドクレジットの後には、続編ヴィランがメインの登場なんですね。他にも黒いスーツのスパイダーマンに変貌した、「ヴェノム」が登場するかもです。
5月の「X−MEN:フューチャー&パスト」の宣伝です。「X−MEN」で観たあの青いミスティークが登場して、もちろんヒュー・ジャックマンのウルヴァリンの活躍も期待できますね。
2014年劇場鑑賞作品・・・95  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

テルマエ・ロマエII ★★★.5

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古代ローマの浴場設計技師が現代の日本へタイムスリップするヤマザキマリの人気コミックを実写映画化した『テルマエ・ロマエ』の続編。新たな浴場建設を命じられアイデアに煮詰まったルシウスが、再度日本と古代ローマを行き交うさまを描く。主演の阿部寛や上戸彩、市村正親ら主要キャストが続投し、ブルガリアに実物大のコロッセオを建設するなど大規模なロケを敢行。また、曙や琴欧洲ら現役、元力士も出演。帝国を揺るがす危機的状況を、日本の風呂文化によって救おうと頑張るルシウスの奮闘に注目。
<感想>おバカな内容ながらも大ヒットとなった前作から2年。さらにおバカさを極めたパート2となって帰って来た。前作で皇帝ハドリアヌスの信頼を得たルシウスが今回、特別な浴場、テルマエ建設に関する難題に直面したあげく、政治的陰謀に巻き込まれてしまう展開。

古代ローマ、平和な日々の中で市民たちを熱狂させていたのは剣闘士グラディエーターたちだった。だが、日々の闘いで彼らは疲弊しきっていた。彼らを癒すための湯治場を模索していた浴場設計技師ルシウスは、再び排水溝というタイムトンネルを潜って現代の日本に来てしまう。
前回と同じくタイムトンネルを潜る時には、デブハゲおじさんがオペラを歌うシーンが必ず出て来る。今回は、結婚したのか妻のデブも一緒に高らかにうたう。それに息子まで付いている。それが毎回タイムトラベルの時に、ウザイくらいに出て来て歌うし、妻が出ていくシーンとかもあって何だか本当にこれっていらないのでは、と思った。

ルシウスが気付いたのは地方巡業中の力士が浸かる風呂の中。相撲の試合を見て血が一滴も出ていないし、観客も石ではなく布の塊(座布団)を投げつけるのだ。ここでは、力士が剣闘士で、土俵がコロッセオと理解し、力士が使うイボイボ付きの足踏み機や、マッサージチェアの体全体を揉む機械に驚く。
それに、一瞬で湯の色を鮮やかに変えて、薬湯効果もあるオレンジ色の粉。それはバスクリンのことで、剣闘士を癒すにはコレしかないと、またまたルシウスを驚かせた、恐るべし平たい顔族の風呂文化と、感心しきりだ。
そこに、曙とブルガリア出身の琴欧州が参加。共に巨漢剣闘士を演じて、特に曙はストーリーの上でも、重要な役どころを演じている。というのも、今作ではブルガリアの撮影所に巨大セットを組み、エキストラ5000人を動員。
制作に半年を要したコロッセオは、高さ50メートルにも及び、従来の邦画にはないスケール感である。

例によって排水溝に飲み込まれたルシウスは、現代の日本の草津温泉の湯もみの場に現れる。温泉の温度が熱いのを板で湯もみをして、柔らかい湯にする草津名物湯もみショー。必ず上戸彩の真美と出会うのも前回と同じです。この二人は、本当に赤い糸で結ばれているのかもしれませんね。

古代ローマの人に平和と安らぎをもたらす“湯〜とぴあ”の建設に取り組み始めるのだが、“湯〜とぴあ”の目玉を混浴にしたため、皇帝の怒りに触れてしまう。いやいや、流水スライダーや、シャボン玉、ピンポン、風呂上りのビールにラーメン、と温泉郷で体感した物を古代ローマで再現していく様子は、バカバカしさを通り越して呆気にとられてしまう。
だが、平和を望むハドリアヌス皇帝と、民衆たちがこれでは堕落してしまうと思っている、好戦派の元老院との争いに巻き込まれてしまう。

今回も、阿部ちゃんを筆頭に、北村一輝、宍戸開、市村正親ら濃い顔の面々が再結集。その他にも、のんびり屋の真実の両親、笹野高史&キムラ緑子、全身傷だらけの湯治客の竹内力、前作で銭湯の客を演じた、いか八郎が炭焼き小屋で「与作」を歌うのを、ルシウスは歌が温浴効果を高めると大きな勘違いをしてしまうとか。
ぎっくり腰のルシウスに、針治療と、浪越徳三郎の「指圧の心、母心、押せば命の泉わく」って、親指デカイ!・・・ローマにも連れて行って皇帝の腰を揉ませてしまうんですから。だから“指圧の神様”像がありました。それに、ラーメン屋の店主役に、白木みのると湯もみショーの出演者役で、松島トモ子がお風呂で熊に首噛みつかれてました。古代ローマにもラーメン屋にギョウザもあるって、あの山賊(曙)たちにやらせてました。
そして、寿司にもトライするがわさびに悶絶し、余りの刺激に前作で腐った酒と同様に、毒を盛られたと思い込むルシウスであった。上戸彩がルシウスを日本に長くいて欲しいために、タマネギの大袋を隠す乙女心。涙を流すと元いた世界に戻るのは前作と同様で、タマネギやわさびには要注意ですぞ。

古代ローマにまたもや、上戸彩ちゃんがタイムトラベルして、今度は魔女と思われて火あぶりの刑にって、ルシウス何とかしなければ。
今回の見どころはと、阿部ちゃんの肉体美でしょうかね。体格のいいブルガリア人に交じると阿部でさえ小さく見えることも。体重が落ちやすい体質でもあり、キープするために1日5食の日々だったという。そんな肉体美を存分に披露してくれていて、裸でいる割合も確実に上がっているのでこうご期待あれ。ムフ、フフッ阿部ちゃんの筋肉美良かったぞ!
2014年劇場鑑賞作品・・・96  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


東京難民 ★★★

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学費未払いを理由に大学から除籍された青年が、ネットカフェ難民からホスト、さらにホームレスへと転落していく青春群像劇。『ツレがうつになりまして。』の監督、脚本コンビの佐々部清と青島武が福澤徹三の小説を原作に、現代社会が抱える闇をリアルに描く。格差社会の底辺でもがく主人公を、『行け!男子高校演劇部』などの中村蒼が熱演。共演には『パートナーズ』などの大塚千弘、劇団EXILEの青柳翔、『桐島、部活やめるってよ』などの山本美月ら多彩な顔ぶれがそろう。
あらすじ:堕落した大学生活を送ってきた時枝修(中村蒼)は、生活費を工面してくれた父親が借金を抱えて行方をくらまし、授業料未納によって大学を除籍される。家賃も払えずアパートを追い出された彼は、ネットカフェで宿泊しながら日払いのアルバイトで過ごしていた。さらにはホストクラブで働くはめになり、ついにはホームレスになってしまう。
<感想>この映画を観て思ったのは、過酷な生活をしている人たちはたくさんいるが、そこから努力して成功した人だっているのだ。境遇を恨んで犯行に及んだ加害者は腐っているとしか言えないのだが、しかし、そんなことはとても口にできるものでもない。自分がもし、そういう状況に陥ったら本当にそれでも明るく前向きに努力を続けることなど、とてもできないと知っているからだと思う。

この手の映画でも現実の事件でも同じだと思うが、判で押したように言われることだ。主人公は何処にでもいる普通の大学生。その父親が借金を抱え失踪。あっという間に大学は授業料滞納で除籍、住んでいるアパートも出なくてはならなくなる。
それでも最初のうちは、ネットカフェに身を寄せながら、新薬の実験台になる高額アルバイトなどに、半ばゲーム感覚でトライする余裕さえある。「自分が本気を出せば就職くらい何とかできるさ」、と思って居たのかも知れない。

だが、後戻りできなくなるのは、うかつにも足を踏み入れたホストクラブで料金を払えずに、結局は自分もホストとして働き始めたころからか。金のためには女性客を騙したり、仲間を裏切ったり、時には違法ビジネスにまで手を染めるのは当たり前と言う、ホストの世界に「昨日までは普通の大学生だったのに」と主人公はショックを受ける。
しかしだ、世間では評価される彼の誠実さや人間性も、裏の社会で生き延びる上では、邪魔以外の何物でもないのだ。その世界に染まることができなかった彼は、逃げるようにそこを離れて日雇い労働の現場に飛び込むのだが、そこで待っていたのは劣悪な環境と搾取である。
弱い立場の人間は、何処まで行っても“食い物”にされるだけなのだ。結局は、彼を受け入れてくれたのは、段ボールとビニールシートで作った住まいで暮らすホームレスだったというわけ。

この元学生は、親のスネをかじりヌクヌクと育った甘ちゃんだ。だから普通だったら、親の親戚に相談に行くとか、大学だって働きながら奨学金の申請を出すとか、役所の福祉課や弁護士の無料相談に行けば何とかなっただろうに。ですが、ここでは主人公はそういった社会的資源を使う情報も手段も持ち合わせていなかったのだろう。
これまで街の風景としか見てなかったネットカフェやティッシュ配りや、ホストクラブに対する見方が少し変わり、途中から主人公、時枝修の大学を除籍されてから路上へと放り出されるまでの描写は、シャープでかつ冷酷非情極まりなく、もはやスリラーの域である。

さらには、修がその時の感情に流されて、事態をどんどん悪化させていく過程を丁寧かつリアルに描き、身分証や住居がなければ普通に働くことさえできない格差社会の厳しい現実を浮き彫りに見せているのも良かった。ですが、一つ一つのエピソードのネタとなっている格差や貧困の実態はすでに知られている物ばかりで、インパクトがあるわけではない。
お金がすべての世の中に絶望的な気分になったが、井上順が演じているホームレスの優しさに救われた感じもする。主人公が対峙する連中が意外と悪いやつじゃない連中ばかりで、結局のところ、いい話で締めているところが物足りなかった。
2014年劇場鑑賞作品・・・97  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

コン・ティキ ★★★.5

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ノルウェーの人類学者で海洋生物学者、トール・ヘイエルダールの実話を基に、太平洋の航海をダイナミックに描いた海洋アドベンチャー。南太平洋に浮かぶポリネシア諸島の人々の起源が南米にあることを立証すべく、ヘイエルダールが敢行したいかだ「コン・ティキ号」による8,000キロにも及ぶ旅を活写する。監督は、『ナチスが最も恐れた男』でコンビを組んだエスペン・サンドベリとヨアヒム・ローニング。危険を伴う壮大な冒険に挑む男たちの姿に圧倒される。
あらすじ:ノルウェーの学者、トール・ヘイエルダールは、第二次世界大戦後、現地への長期滞在をはじめ10年に及ぶ研究の結果、「ポリネシア人の祖先は南米大陸から海を渡ってきた」と推論。だが、無名の男が唱えた新設を誰も信じなかったため、やむなく自ら実証航海を決意する。
ヘイエルダールはインカ帝国を征服したスペイン人の図面を参考にし、古代インカでも簡単に手に入る材料を使用し、コン・ティキ号という名前のいかだを作る。そして1947年、ついにペルーからポリネシアまで約8,000キロに及ぶ航海に出発する。

<感想>「ラストエンペラー」「戦場のメリークリスマス」などを手掛けた名プロデューサー、ジェレミー・トーマスが16年越しの企画を実らせた、驚くべき実話に基づく海洋冒険映画。第24回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞に輝いている。ただし、北欧俳優の英語の巧さに感心する。

南太平洋のポリネシアの民族研究に取り憑かれた男が、自説のためにすべてを懸けた101日間の航海に挑む様を、端正にかつ爽快な演出で描いている。現代の造船技術や鋼材も使わない、1500年前とまったく同じ丸太と麻縄のイカダで、海流と風だけを頼りに8000Kmも太平洋を横断(漂流)するという野放図な試みは、いかにして成し遂げられたか?・・・「証明したいのは、海はバリア(障壁)ではなく道だということだ」とは、原作者の弁です。観終わった後、あなたは歴史の目撃者となるだろう。

記録1:無謀な航海に挑んだ6人の男たち。トールの幼馴染であるエリック、仲の悪い無線士トルスティン&クヌート、元冷蔵庫セールスマンで技術者のヘルマン、学者で写真家のベングトと、多様なジャンルから選び出したクルーも印象的です。そして、6人の男たちを乗せた柔らかいバルサ材のイカダの周囲には、獲物を狙って群れる狂暴なホオジロザメが、まるで「ジョーズ」ばりの迫力で旋回している。特に波間の小魚をついばもうとした愛鳥のオウムが一瞬で襲われ喰われてしまう場面は衝撃的です。

記録2:荒れ狂う嵐に仲間内でのトラブルも、エンジンはなく、操舵も出来ず、誰かが海に落ちれば救出はまさに奇跡。トールの滑落、神経をすり減らしたクヌートの狂気じみた行動、材木の浸水腐食めぐる争いなど、大自然の脅威のみならず人的な葛藤も見どころの一つです。
それでも、厳しいだけじゃない、美しい海の映像にウットリしますから。06年にトールの孫が」旅を再体験したイカダを借りて海上ロケを敢行し、そこに繊細なCGを追加して、トビウオの群れや足元をくぐる巨大なジンベイザメなど、息をのむ場面の連続に目を奪われます。
記録3:立ち塞がる最大最悪の難所に遭遇。艱難辛苦を経て南静起動海流に乗り、ポリネシアへ到達したクルーに迫る「ラロイア環礁」が目の前に現れる。あえて錨を沈め、連続する高潮の最大波に乗じて環礁を一気に乗り越える。その計画は、寸前に頼みのロープが切れる緊急事態に、・・・。
たいていの人が知っているに違いないコン・ティキ号の南太平洋横断の、事実再現物語である。16年前、トール・ヘイエルダールの生前から始まった企画として、その意思も反映しているようだ。
見渡す限りの海の中に浮かぶ小さな船。波の音しかしない夢の時間には、海を知る人、命がけの人しか同行させられないと。でも、コン・ティキ号の6名は知識なんてないのだ。プリミティブな好奇心でただ進み、成功するのである。

ですが、男の野望を遂げるためとはいえ、待っている奥さんと子供たちは、彼が生きて帰って来るのかさえ不安でならない。そして、成功の知らせを受けるも、妻とは離婚することになるとは、皮肉なものです。
意表をつくファーストショットから幕切れまで、陸上シーンも含めて撮影が圧倒的に素晴らしい。静寂の支配する場面が続く部分を、あわてず腰を据えて演出しているのも好ましく、ヘイエルダールの性格的欠点もきっちり描かれ、迫力のあるクライマックスのあと、爽快感のなかに、一抹のペーソスが残る味わい深さがある。

それでも難を言えば、出港の時には全員スーツ姿でビシッと決めポーズですから、それに、よくタバコを吸う場面が多い。ドキュメンタリーのように事実を追いながら、ドラマ的な見せ場やサスペンスで盛り上げようとしているため、作品としての仕上がりは、虚構でもなく再現記録でもない、どっちつかずのものになっている。
極めてユニークな企画であり、題材であるだけに、まことにとても誠実に作られた偉大な事柄の再現フィクションであることは確かなのだが、それがとても残念に思われる。
2014年DVD鑑賞作品・・・30 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ファントム/開戦前夜 ★★★

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冷戦時代、ハワイ沖で消息を絶ったソビエト連邦の核ミサイル搭載潜水艦をめぐって米ソが繰り広げた情報戦「プロジェクト・ジェニファー」の謎を描いたミリタリーサスペンス。1968年、冷戦下のソ連。旧式の潜水艦B-67の指揮を命じられたデミトリー艦長は、「ファントム」と呼ばれる謎の試作装置と、その実験のため同行するブルニー、ガーリンという2人の技術者を艦に乗せ、航海に出る。しかし、ファントムには誰も近づくことが許されず、デミトリーや副長のアレックスは、ブルニーらの正体や補充された要員の身許にも不審を抱く。そんな時、B-67はアメリカの原子力潜水艦と遭遇。ブルニーがファントムを起動させるが……。

<感想>冷戦時代にあった“プロジェクト・ジェニファー”と呼ばれる諜報戦に基づく軍事スペクタクル。ソ連の潜水艦の艦長デミトリーには、エド・ハリスが扮しており、その右腕副館長アレックスに、ウィリアム・フィクトナーが演じて、この潜水艦にブルニーという不審な要員にはデイヴィッド・ドゥカヴニーが扮して、艦長を部屋に閉じ込めてミサイルを発射させようと企む。

実話を基にした脚本は、緊迫度もあり悪くはないが、現実に核戦争は起こらなかったわけで、それは誰でも知っているわけで、もっとフィクション度を上げても良かったのではないかと思った。
この事件を覚えているとしたら、すでに高齢者ということになるだろうか。東西冷戦中の1968年、核弾頭ミサイルを搭載したソ連の潜水艦が、南太平洋で行方不明になったというニュースは、かなり衝撃的だった。この映画は、その史実を踏まえたフィクションなのだけれど、なかなかもって面白く出来ている。

物語りにはそれなりの工夫があるし、演出もサスペンスを盛り上げるし、何よりもエド・ハリス以下の俳優たちがいい。考えれば考えるほど背筋が寒くなるような話だといえるのでは。
問題は、潜水艦内の狭さで、活劇するには空間が明らかに不足している。

もちろん、核弾頭ミサイルの発射管内での命がけの工作という狭さが活用されるシーンもある。ここは映画中で垂直軸の出現という意味も。こんな狭い丸い筒状のミサイルの中で、発射のコードを切ってダメにしようと考えるのもちょっと。結局は発射されたのだが、海の底に不発弾として沈んでいる。中に入っていた隊員は死んでしまったようだ。
ただ潜水艦の中で、敵味方の顔の描き分けと位置関係の説明が足らないことが、サスペンスを不完全燃焼させている原因でもある。

ちょっと露骨なくらいのアメリカ賛歌に戸惑う。良くも悪くも冷戦という世界の勢力図における、対立構造が明確だった時代設定だからこそ、成り立つドラマではあるが、妄信的な表情で米国肯定の台詞を断言する、エド・ハリスの姿には正義というもの、そのいかがわしさ、違和感をぬぐえない。
当時の本物の潜水艦を使った内部は、生々しいレトロさがあり、閉鎖的な空間からは、外界から切り離された異次元のようなライティングで撮影されており、ラストに至る艦長デミトリーの幽霊ともいうべき姿が見え、助かった副館長がデミトリーの家族と潜水艦を見ている、幻想的な展開には意表をつかれました。
2014年DVD鑑賞作品・・・31 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

それでも夜は明ける ★★★★

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奴隷制度がはびこっていたアメリカを舞台に、自由の身でありながら拉致され、南部の綿花農園で12年間も奴隷生活を強いられた黒人男性の実話を映画化した伝記ドラマ。主人公が体験した壮絶な奴隷生活の行方、そして絶望に打ち勝つ希望を描き出す。監督は『SHAME -シェイム-』のスティーヴ・マックィーン、黒人男性を『2012』などのキウェテル・イジョフォーが演じる。共演には、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ブラッド・ピットら豪華キャストがそろう。
あらすじ:1841年、奴隷制廃止以前のニューヨーク、家族と一緒に幸せに暮らしていた黒人音楽家ソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、ある日突然拉致され、奴隷として南部の綿花農園に売られてしまう。狂信的な選民主義者エップス(マイケル・ファスベンダー)ら白人たちの非道な仕打ちに虐げられながらも、彼は自身の尊厳を守り続ける。やがて12年の歳月が流れ、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バス(ブラッド・ピット)と出会い……。

<感想>本年度のアカデミー賞作品賞を受賞した、この映画は、黒人であれば避けては通れない奴隷制度というテーマで、非常に真摯で素直な作りの映画だと思います。
過去に、ピュリッツァー受賞のアレックス・ヘイリー原作で「ルーツ」が、TVシリーズで放映されてからすでに36年。あれだけのブームを呼びながら以来、黒人差別を主題としたドラマはあったもの、再び過去に戻りアメリカの暗黒史、奴隷制度を映像化した作品は皆無といっていい。
今回は、これを真正面から見つめ直して、力強い映画に仕上げた情熱と信念に脱帽ですね。不正をただ嘆き、告白するだけでなく、かすかな希望に向かって懸命に生きようとする主人公の姿に、素直に感動させられました。

1853年に出版されたソロモン・ノーサップの、体験を基にした本の映画化で、本作の主人公が自由黒人でありながら、騙され、監禁され、奴隷売買されて、大農園で強制労働を強いられた12年間の時期(1841年〜1853年)と重なる。この映画は、ブラット・ピットがプロデューサーとして支援している。彼も出演、南部の綿花農園の主人エップス(マイケル・ファスベンダー)の所へ、東屋建築のため身を寄せて、そこでソロモンと出会い、彼が騙されて南部へ売られてきたこと。自分は自由黒人だと証明することを、北部の友人にそのことを証明してもらうように手紙を出してくれと頼む。
最後の方で、保安官と一緒に北部の友人が迎えに来てくれた時のソロモンの嬉しそうな顔といったら、観ていてどうなることかと、救いの手は無いのかと、でも本当に良かった。

主人公が奴隷売買のために違法に拉致されたあと、過酷な運命をたどる姿が淡々と描かれている。何をしてもご主人様の怒りに触れると、鞭打ちの拷問が待っており、それよりも熾烈なのが首吊りの刑だ。人間として扱われない奴隷たち、家畜と同じ扱いで主人に刃向うの者は死が待っている。
拷問シーンなどは壮絶に痛いだろうと想像がつくものの、監督の演出は追体験の身体的痛みを生み出し、観ている方も身が縮こまる思いで胸が痛くなる。映画は現在進行形の生きた記憶の探究の場にしようとしている。
何よりもそのことの切迫さが画面を張りつめさせている。もう思い出すことさえ困難な遠い体験を生き生きとした方法でなぞっていき、遥か彼方に失われた記憶を丸ごとわしづかみするには、このような映画の場しか残されていないのでは。
主人公のキウェテル・イジョフォーの存在感と演技は「キンキーブーツ」でも知っていたので、偉大なオーラと繊細な部分を同時に持ち合わせた、そんな主人公の人柄を上手く演じていた。

そして、マイケル・ファスベンダーの役どころは敬虔なクリスチャンなのに、サディスティックで残虐な農園主でしたね。彼は綿花畑に奴隷をつかって生産させているのですが、奴隷1人当たり、1日の綿花の積む量を決めて、その量に達しない者はムチ打ちの刑にする。女性の奴隷を自分の性の道具として毎夜慰みとして扱い、中には、可愛がられて妻のように扱われる奴隷女もいる。そのことで、妻とも揉めるのだが、妻も子共を産めないので、夫の性のはけ口を奴隷女に任せている。しかし妻は、その奴隷女に女性としての憎しみと、嫉妬が入り交じりその奴隷女を殺そうと仕向けるのだ。その女性の奴隷役でルピタ・ニョンゴが熱演し、アカデミー賞助演女優賞を獲得したのも納得できます。
2014年劇場鑑賞作品・・・98 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ラヴレース ★★★

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1970年―― 21才のリンダ・ボアマン(アマンダ・セイフライド)は、フロリダの小さな町で、厳格なカトリック教徒の両親(ロバート・パトリック&シャロン・ストーン)と暮らしていた。ある夜、リンダは女友達と遊びに行った帰りに、地元でバーの経営をしているチャック・トレイナー(ピーター・サースガード)と知り合う。厳しい両親との生活にうんざりしていたリンダは、チャックの優しい言葉に惹かれ、彼とつきあい、すぐに結婚する。性的にうぶだったリンダに対して、チャックは、セックスの快楽を一から教え込んでいった。
その半年後―― チャックのダークで陰湿な一面が、しだいに明らかになってきた。妻のリンダをポルノ映画へ出演させるという、とんでもないアイディアを思いつく。
たった7日間で撮影されたリンダの主演映画『ディープ・スロート』(タイトルはリンダがチャックから伝授された「秘技」を指して付けられた)は、1972年に全米公開され、記録的な大ヒット作となった。「リンダ・ラヴレース」というポルノ女優としての芸名を授かった彼女は、一躍スーパースターに――パーティ会場でも「プレイボーイ」編集長のヒュー・ヘフナー(ジェームズ・フランコ)やサミー・デイヴィス・Jr.といった有名人から賞賛されるほどの人気者となり、70年代の解放的な「セックス革命のシンボル」として祭り上げられていく。
しかし、その6年後―― ニューヨークで新生活を始めたリンダは、自伝本を書くために、出版社を訪れる。これから書こうとする内容の真偽を証明するため、彼女はポリグラフ(ウソ発見器)のテストを受ける。そこで語られるのは、長年メディアによって捏造されてきた「リンダ・ラヴレース伝説」の裏で起こっていた「衝撃の真実」だった…。

<感想>アメリカ人男子で知らないものはいないと言われるほど、語り継がれている伝説のポルノ映画。物語性のある初の一般劇場用ポルノ映画として、72年に全米公開された「デープ・スロート」。社会現象にもなり大ヒットした作品の主演を務めたリンダ・ラヴレースの生涯を描いている。
ロバート・エプスタインとジェフリー・フリードマンの共同監督作と言う、強靭な社会派映画を想像したら、この映画は、そんな彼女の知られざる陰の部分を描いたシリアスな、端正な男尊女卑をえぐる映画だった。
ハリウッド・セレブのパーティでもてはやされ一方で、プライベートでは自分を業界に売り込んだ夫のDVに耐え忍び、救いのない状況に追い込まれていた彼女の苦悩を描いている。
まさに体当たりで伝説の「ディープ・スロート」、コゼット役からの何というふり幅だろう。というよりも、コゼットがファンティーヌにさせられるお話と言うべきか。イメチェン的な迫真の演技を見せる、主演女優を演じたアマンダ・セイフライドの華奢な裸体に胸を突かれます。

70年代、1本のポルノ映画で世界を湧かせたラヴレースが、当時の自分を振り返り「夫に従う」という教えに疑いを覚え、その勇気を知る正しく作られた映画です。エロさを期待して観ると、後半にこれでもかと返り討ちに遭うはず。つまり、夫は借金を抱えており、その資金繰りに妻であるリンダに売春をさせる。普通では考えられないのに、こんな仕打ちをされたら絶対に離婚するはずなのに。実家へ逃げ帰るも、母親には自分が選んだ結婚なのだから、どんな虐待があろうと夫の言うことを聞きなさいと、戻らされる。
リンダ・ラヴレースは自身の過酷な経験から、ポルノグラフィによる女性搾取と、男性のDVに後半では立ち向かった女性なのであり、だからこの映画も一種の啓蒙性を帯びているようですね。後に女性運動家となるラヴレースの内面の変化に重きを置いています。

中間地点で語りが「折り返す」構成になっているのも面白いです。母親役のシャローン・ストーンがしばらく誰だか判らずビックリしました。それに、卑劣さの滲み出るピーター・サースガードなど、ヒュー・ヘナフー役のジェームズ・フランコには、もう少し見せ場があっても良かった気がします。

この映画の主人公であるリンダ・ラヴレースや彼女が主演した「ディープ・スロート」が世界的な話題になった1970年代は、まだビデオが普及していなかった。ポルノ映画は、そういう映画を専門に上映する映画館で見る物だった。そんな時代状況が、今の若者に判るといいのだが、普通の女の子が男たちの食い物にされて不幸になる。という話はいかにも古臭い。これはもっと生かせる面白い題材だった、と思う。
私には、始めから年上の男が若い彼女に目を付けて、彼女に売春をさせ、ヒモとなって食い物にしようと企んでいたとしか思えないのですが、この時代ではこんふうに騙されたのを知らないで、幸せになろうと男と結婚するのだろう。一つの家庭からもう一つの家庭に至るまでに、彼女が体験したすべての事実を人々に知ってもらうための自伝になっています。
2014年劇場鑑賞作品・・・99 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

LEGO(R)ムービー★★★

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世界中で親しまれているデンマーク発のブロック玩具、LEGO(R)をフィーチャーしたアドベンチャー。フィギュアの男性が、救世主に勘違いされたばかりに思いも寄らぬ大冒険に身を投じていく。メガホンを取るのは『くもりときどきミートボール』のフィル・ロード、クリストファー・ミラー。ウィル・フェレル、リーアム・ニーソン、モーガン・フリーマンら、そうそうたる顔ぶれがボイスキャストを務めている。彼らの妙演に加え、バットマンやスーパーマンも飛び出す奇想天外な物語からも目が離せない。
<感想>子供のみならず大人をも魅了するレゴブロックの世界を描いたファンタジー。コンピューター上に撮り込まれた約15万個ものパーツを組み立て、人物はもちろんメカや背景まで、全てをレゴで創造する。創意に富んだビジュアルやスリリングな冒険はもちろん、諷刺を効かせた結末も味わい深い。
全てが整然と管理された、レゴワールドの一部、ブロックシティ。そこではお仕事社長の管理のもと、人々がマニュアルに従って暮らしていた。

エメットもそんな市民の一人で、平穏な生活に何の疑問も抱いてなかったが、謎めいた女性ワイルドガールに出会ったことで、日常は一変。実は、おしごと社長は世界を終わらせようと企む悪の大王で、彼女はそれを阻止する組織のメンバーだったのです。こうしてエメットは、ヒーローたちと共に世界を救う戦いに巻き込まれていく。
3日後に世界が変わる?・・・大王とガチンコ勝負!お仕事大王は、“スバボン”と呼ばれる特殊な薬品を開発し、反体制分子を一掃しようとしていた。従わない市民は、その威力によって消されるのみ。チームプレイを活かして立ち向かうエメットたちも苦戦を強いられる。やがてブロクシティの意外な秘密が判明する。

これは観ないでおこうと決めていたのに、最後に何故か見てしまった。子供だましのアニメかと思いきや、中々もって見応えがあり子供に返ったようで楽しめました。
奇跡のパーツを巡り大王の手下と大激戦!・・・エメットとワイルドガールは雲の上の楽園に到着。そこは、ブロックシティとは正反対の自由な地で、マスタービルダー拠点にもなっていた。ヒーローたちの前で救世主の資質を試されるも、何もできずまごつくエメット。そこにお仕事大王が放った刺客が現れる。

謎の美少女を追って、組み立て現場の穴に落下!・・・ビルに不法侵入していたワイルドガールに気をとられ、工事現場から転落したエメット。気付けば彼の背中には、お仕事大王の陰謀を阻止する力を秘めた“奇跡のパーツ”が装着されていた。彼を救世主と信じたワイルドガールに導かれ、エメットは冒険の旅へ、・・・。
カラフルなパーツを組み合わせ、自分だけの世界を作れるレゴの魅力が丸ごと映画になった。主人公はレゴワールドのブロックシティに暮らす青年エメット。無害で個性も主張もない若者が、選ばれし者に間違えられ邪悪な大王との争いに巻き込まれるお話。ストーリーこそ平凡だが、驚くべきはそのビジュアル。登場人物はミニフィグ、建物や乗り物、小道具はもちろん、太陽や雲、海から煙や炎といったフィジカル系のエフェクトまで、画面に出て来るもの全てがレゴのパーツで出来ているのだ。
CGアニメのためあくまでデジタルなのだが、映画オリジナルパーツもレゴのガイドラインに沿っており、全てに於いて凝ってます。ですが、テンポが速くて目が付いていけないのが難点ですね。

劇中では、バットマンやスーパーマン、ワンダーウーマン、グリーンランタンら、ジャスティス・リーグの面々をはじめ、ガンダルフとダンブルドア校長が掛け合いを演じたり、私の大好きな「スター・ウォーズ」シリーズからは、ハン・ソロたちを乗せたミレニアム・ファルコンも飛来、チューバッカやC-3POやランド・カルリシアンがぞろぞろと、おまけにスペース・スラッグもですから。スタジオを超えた夢の共演が味わえるのも、レゴワールドならではのお楽しみですね。
本作がなにより特徴的なのが、デザインだけでなく、キャラやメカの動きまでレゴをシミュレートしていること。コマ撮りふうのぎこちない動き、ミニチュア感を強調した絵作りも手伝って、まるでレゴのままごと遊びをそのまま撮ったようなゴキゲンなティストなんですよ。
これは、危険極まりないコマ撮りキラーじゃないか、なんて感激しつつも、ラストに飛んでもないサプライズが待っていた。エンドロールの冒頭3分間、コマ撮りによるレゴワールドが展開します。6万個ものパーツを使った楽しい映像。
もうすでに、続編が決まっているらしいが、楽しみなシリーズになりそうですね。吹き替え版で観たのだが、幅広い層が楽しめるようにと、監修に放送作家の鈴木おさむさんを起用しており、トム・クルーズの吹き替えで知られる森川智之、「クレヨンしんちゃん」の矢島晶子、羽佐間道夫、山寺宏一ら8人の実力派声優が、150ものキャラを演じ分けているそうですが、分かった声は森川さんと矢島さん、それに山ちゃんの声は自由自在に変化しているので、良く判らなかった。
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相棒 -劇場版III- 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ★★★.5

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2002年より連続テレビドラマとしてオンエアされて人気を博す刑事ドラマ「相棒」のおよそ3年半ぶりとなる劇場版。太平洋に位置する孤島を舞台に、水谷豊演じる警視庁特命係の刑事・杉下右京とその相棒で成宮寛貴演じる甲斐享が、実業家が所有し、元自衛隊員が訓練をする謎の島の真相を探るべく捜査に乗り出す。六角精児や川原和久らレギュラー陣のほか、伊原剛志や釈由美子、そしてかつての相棒である及川光博などが共演。防衛省や国の権力者の暗躍、ジャングルや岩礁での捜査など、劇場版ならではのスケールに期待が膨らむ。
<感想>絶海の孤島で、杉下右京の名推理が冴えわたる「相棒 劇場版」シリーズの第3弾。個人の私有地である東京から約300キロ離れた島・鳳凰島で、一人の青年が馬に蹴られて死亡するという事故が発生。

警視庁特命係の杉下右京(水谷豊)と甲斐享(成宮寛貴)は、不思議なうわさのある島の実態を調査することに。その島は実業家(宅麻伸)が所有し、元自衛隊員OBによって構成された民兵によって支配されており、官僚からの横やりを受けながらも、訓練をしている。右京は男性の死亡理由が事故ではなく殺人であると確信。島には特命係、捜査一課、鑑識課が集結するが、彼らを何者かが襲撃し……。

「相棒」ファンとしては嬉しい劇場版、2代目相棒の及川光博のカムバックなのだが、ほんの少ししか出番なし、それでも右京に重要情報を提供するキーマンとして活躍している。さらに特命係りと陸上自衛隊の特殊部隊が激突する劇場版ならではの緊迫シーンも用意されている。というか、この島で起きたことに対して、警察は邪魔者であり、即刻この島から出て行けとばかりに、強引に拉致監禁されてヘリで東京に帰されてしまう。ですが、これで引き下がる右京さんではない。

南海の密林だろうが、スーツ姿にネクタイ締めて、密林の河で紅茶を飲む右京さんは、とことん優雅に見えました。しかし、その紅茶茶碗は東京から持ってきたの?・・・それに紅茶も。そして、こんかいの相棒は、父親が警視庁次官(石坂浩二)の息子である成宮寛貴くん。

それに、右京に呼び出された鑑識課の六角さんに、川原和久、大谷亮介、山中崇史らレギュラー陣の人たちの賑やかなこと。鑑識課の米沢は、バックの中で鳴った衛星電話を取り出し、「ご依頼のブツです」と、右京に電話をわたす。この島では普通の携帯電話は電波が通じないのだ。

劇場版第3弾ということで、今回のテーマは、ズバリ「国防」である。作品の冒頭で久々に警視庁特命係りに足を踏み入れた及川光博の神戸さん、ある孤島で起こった、ある死亡事故の捜査を口実に、警視庁次官からの密命を特命係りの2人に託すわけ。
そして物語は、並外れた洞察力の右京と、特命係りの捜査によって実は“事件”であることが明らかになっていくその死亡事故と、島の民兵組織が隠蔽している“国防”に関わる機密事項を、その2つの謎が同時進行で展開していく。事故のあった馬房から馬蹄が一つ消えていることに疑念を抱く右京。
そして、事故死と見られたその現場に落ちていたベルト通し、加害の馬(大和)の向かいの使ってない馬房にあった馬の糞、そして数の足りない馬蹄、などの疑惑から右京の灰色の頭脳が動き出す。馬蹄の指紋などを逆手にとって、いかにも右京さんらしいワナに嵌める手が、紅一点の志摩子に向けられたりする。そして、島から非合法兵器を運び出すことに着眼を得、そのことをずばり気づく右京さんの洞察力には、この辺の本格ミステリー謎解きぶりも相変わらずの「相棒」タッチでしょう。
だが、防衛省官僚から捜査を打ち切るよう圧力がかかるわけで、この馬蹄が殺人用具だということで、殺された人間は、実は実業家から差し向けられたスパイで、この島で「天然痘」のウィルスを秘密に実験制作していることを探り、そのことが公にされないように口封じされて殺されたのだ。

真犯人は核兵器に対して“貧者の核兵器”と呼ばれる生物兵器への不当な扱いへの義憤を表す。あるいは、お友達と称する大国は有事には、本当に日本を守ってくれると思うのか、との疑問を提示する。はたまた、日本人は平和ボケという病に冒されていると指摘する示申室司。これに対して右京は、いかにも彼らしい名言で返すのです。

鳳凰島の民兵を組織する示申室司に扮する伊原剛志は、拾い肩幅に長い脚でガッチリとした体格、厳めしい表情がいかにも軍人っぽい。訓練用の馬、大和を自在に乗りこなす姿は、かつて伊原が演じた「硫黄島からの手紙」のバロン西を彷彿とさせ、ハマリ役である。膝の骨が砕ける大怪我負ったことで自衛隊を退官し、常に杖は手放せない。そして、民兵の紅一点、高野を演じた釈由美子も、演じている時は口を真一文字に結んだ厳しい表情で美しい。
今回も話が進むにつれて意外な方向に導かれ、ただならぬ緊張感に支配されて心地よいです。「相棒」劇場版の3本の重要な共通部分は、一つ挙げるならキナ臭さか。もっと具体的に言うなら“テロルの匂い”か。
第1作目では、東京マラソンがテロの標的となり、第2作目では元刑事が警視庁内に籠城し、警察幹部を人質にして占拠する“自爆テロ”的なお話が展開したし、スピンオフ作の「相棒シリーズX DAY」もまたサイバーテロを描いていた。そして今回は、そんなキナ臭さが最も強烈であり、テロルの匂いもまた一番濃厚なのであります。
今作では、アクションも楽しいですが、腹の探り合いとかネチネチしたものが好きなんですね。スケール感は劇場版としては物足りなさを感じましたが、絶海の孤島というシリーズ初となる大々的なロケを敢行している。沖縄本島北部や座間味島で1ケ月以上に渡って長期撮影を行う。密林や岩礁といった大自然を舞台にした、特命係の活躍が見どころですかね。
2014年劇場鑑賞作品・・・101  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


ネイチャー3D(吹き替え版)★★★★

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アース』などを製作したBBC EARTHが、水をテーマに大自然を特殊なカメラで撮影したドキュメンタリー。573日の撮影期間を要し、謎めいた森、燃え盛る地下世界、異国の砂、灼熱の平原、魅惑の海中都市、凍てつく山脈、荒れ狂う激流の七つのカテゴリーの自然で構成。『ウォーキング with ダイナソー』のニール・ナイチンゲイルと共にパトリック・モスが共同でメガホンを取る。ジンバブエ共和国のビクトリアの滝の縁からの眼下に落ちていく水、数千羽のフラミンゴの色が変化する過程など、迫力あるビジュアルでいまだ見たことのない大自然が眼前に広がる。
あらすじ:多くの人々が雨に濡れないように身を潜める中、雨は自然の神秘と奇跡の象徴だと愉悦を覚える少女。そこへ地球の旅への案内人が出現。世界最大の落差と称されるジンバブエの滝、大群のフラミンゴの色が瞬く間に変化する様子など、七つの大自然の王国を最新鋭のカメラが捉える。

<感想>これまでのドキュメンタリー作品とは一線を画す、3Dのメリットを最大限に活かした驚きの映像は、“体感型ドキュメンタリー”と言うべき新しいジャンルを切り開いています。大自然の中をナビゲ−トしてくれのは、滝川クリステルさん。この地球上に残された7つの未知の世界へと、観客を誘ってくれます。
人類が数十年万年に渡って近づくことのなかった奥深いジャングル。降り注ぐ雨音、雨の語りかける言葉に耳をかたむける。雨が大自然に住んでいる動物たちの命を育むことの重要な役割を担っているとは。カメレオンや蛇、蜘蛛、カミキリムシ、カブトムシ、そこへ大量500万匹の軍隊蟻が地面一面に、真っ黒に絨毯のように広がって後進している。小さい体をしているのに、大きなカブトムシを軍隊蟻が群がってあっという間に獲物にする。かつてない臨場感で野生生物のエネルギーを体感できる。

神秘的な緑の熱帯雨林では、人間とDNAが98%一致するマウンテンゴリラの家族が、穏やかに暮らしていた。赤ちゃんゴリラの可愛いことといったら、危険なジャングルで暮らすには、この家族を守る背中が灰色の毛のシルバーバックの存在がある。

そして、真っ赤に溶岩が燃えるニーラゴン山。カメラは火山の表面と、有毒ガスが人間や生き物をはばむ火山湖へと接近する。マグマが溶岩がドロドロと川のように流れて、硫黄と塩でできた世界、生き物が棲めない世界。まるでバスクリーンをぶちまけたような感じがする。

溜まった酸やガスで人間は息をできなくなる。ケニヤ山のガスマスクを付けての撮影は、機材にとって過激な湿度変化でレンズに霧がかかったり、バッテリーが切れたりと過酷なロケを敢行した。別府温泉にある血の池地獄とか海地獄とか、そんな感じはあっという間に吹っ飛んでいく迫力、あれは観光ように人間が作ったのでは?・・・なんて思ってしまう。

火山の下には、ボホリア湖の地下から湧き出す塩分濃度、火山湖の特殊な炎の色の藻を求める、100万羽以上のフラミンゴの羽は、より艶やかなピンク色に染まりその美しさに感動します。この火山湖でパートナーを見つけて大賑わい。フラミンゴのつがいは、生涯同じパートナーと過ごすそうです。求愛ダンスをして、まるで宝塚のショーを見ているようでした。パートナーが見つかると巣作りをするために、湖を飛び立つ姿も優雅で美しい。
そしてアフリカ、永遠に不毛な地帯。ナミブ砂漠、500年前から砂は波のように風によって動きを止めるこのがない。風と砂が作りだす造形美に魅入られます。

そこに潜んでいる毒蛇、横ばいしながら移動する白い蛇。獲物を捕獲するシーンは、砂のなかに潜り獲物が向こうから近づくのを待っている。そこへ、目が360度動くナニクワカメレオンがやってきた。獲物はこおろぎだ。鎧のように固い皮で覆われているし、少し大きすぎたようで諦める。次は小さな黒いコオロギを、長い舌でペロって食べてしまった。殆どの生き物は、この熱さでは耐えられない。
だが、熱砂でヤケドしないように両脚を交互に挙げるシャベルカナヘビの、小さなカメレオンが、器用に手足を動かして、まるでダンスでも踊っているような、“アチチくん”が可愛らしい。そこへ砂の中から獲物を狙っている毒蛇が尻尾をチョロチョロと動かして誘い込む。アチチくんに危険が迫っている。しかし、アチチくんも頭がいいのか直ぐに危険を察知して砂の中へと逃げていく。

雨季を乾季で環境が一変するサバンナで、飢えと熱さに耐え、水場を求めて動物の群れが移動する。ほんの少しでも雨が降れば様相が変わる灼熱の砂漠。乾き切った大地をアフリカゾウの群れが、水を求めてひたすら後進している。夜中も歩いている、驚くべき記憶で水場の所へと。母親ゾウの足のところに、子供のゾウが一緒に歩いているが、夜は危険である。ハイエナや豹、ライオンたちが子ゾウたちを狙って襲ってくるのだ。
子供を守り死と隣り合わせの環境を生き抜くアフリカゾウの家族にカメラは密着する。群れからはぐれた小象がライオンの餌食になるシーンは、壮絶極まりない。可哀相なシーンだが、母親ゾウが小象を守ることを怠ったためにこういうことが起きる。やっと水場に着くのだが、そこは泥水のようだが、長い鼻で井戸を掘るように地下水を汲み上げ飲む。ほんの2,3口飲むだけで力が付く。泥の中へ体をこすり付ける。まるで泥浴みたい。しかし、このドロや日焼け止めにもなる。そこへ、オスの像たちが乱入してくる。譲り合い精神がここにもあるようだ。そしてまた水場を求めて歩く。

海です、3Dで打ち寄せる波を捉えて映し出します。ビッグウェーブのアーチをすり抜けるサーファー体験から、そのまま海中へと潜っていきます。イワシの群れかと思ったら、大カマスの魚群が渦を巻いて、まるでタワーのように見えた。

サンゴ礁がカラフルな森を形成する世界には、海のお掃除屋さん、小さな真っ赤な魚が群れをなし本当に綺麗。

海カメも優雅に泳いでいます。陽の光が届かない深海には背びれに猛毒を持つライオンフィッシュが潜んでいる。泳いでいる姿は羽を広げたようで美しいのに、猛毒を持っているとはね。

ケニヤ山では、高山植物が魔法のようなサイクルで息づいている。満天の星空、山の頂上では星に手が届きそうだ。そこは赤道直下にありながら、雪を冠するケニヤ山。夜はすべてが凍りつき零下にまで下がる。日の出をともに草木が息づき、日中は夏日を思わせる気候になるというのだ。一夜にして真冬が夏に変わるという、凍てつく山の神秘に触れて、幻想的な季節の逆転に息をのみます。

標高4500m級の山地に棲息するゲラダヒヒは、聖なる動物として崇められている。家族で群れ夜の寒さには、体毛が長いので絶えられるのだ。
山岳地帯の水滴が集まり、激流となる。辿り着く先は、世界遺産でもあるビクトリアの滝だ。ごうごうと爆音を立てながら落ちていく水の壮大なこと。

毎秒100万ℓもの水の流れる滝の、縁のギリギリまで近づき撮影するカメラは、真っ逆さまに滝壺へと。この映像は3Dならではの迫力でした。水しぶきが目の前まで迫って来て、体をそっくり返るようになる感じ。

そのまま、川の中からカメラが捉えたのは、クロコダイルか、いや水を飲むオグロヌーの群れに近寄る。のんびりと水を飲んでいるヌーたち、そこへ川に潜んでいたワニが瞬時に襲い掛かる狂暴さは圧巻です。ワニたちは1年もの間獲物に有り着かないものもいる。川を渡るヌーの群れを襲うワニの俊敏さに驚く。
そして黒雲にカミナリと、恵の雨が降る。雨の中をライオンの親子が歩いている。
スクリーンの上で、息づかいや表情も伝わるほどの接近感で撮影に成功した本作は、群れに混ざった感覚で動物たちの“命の育み”を学べるはず。過酷な自然の中、躍動的に生きる動物の生態に見入ること間違いありません。かつてない臨場感で野生生物のエネルギーを体感できる作品ですね。
以前観賞した「ライフ いのちをつなぐ物語
それに、邦画の「日本列島 いきものたちの物語」この映画だって、中々外国ドキュメンタリー作品に負けてないですから。
2014年劇場鑑賞作品・・・102  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

L♡DK  ★★

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渡辺あゆの人気コミックを実写化した青春恋愛コメディー。ひょんなことから校内きってのモテ男子と一緒に住むことになった女子高生が、ツンデレな彼に翻弄(ほんろう)されながらも心惹(ひ)かれる姿を描く。主人公カップルを、テレビドラマ「ビブリア古書堂の事件手帖」などの剛力彩芽と『リアル鬼ごっこ』シリーズの山崎賢人が快演。そのほか『ROOKIES』シリーズの中尾明慶をはじめ、岡本玲、石橋杏奈など、バラエティーに富んだ顔ぶれが脇を固める。にぎやかな作風に加え、トレードマークのショートヘアとは打って変わったロングヘアの剛力にも注目。
あらすじ:直情型な性格で、ことあるごとに暴走してしまう女子高生の西森葵(剛力彩芽)。そんな中、ある騒動を引き起こしてしまったのがきっかけで、学校で一番のツンデレにしてモテ男である久我山柊聖(山崎賢人)と生活を共にすることに。彼と同居していることが知られれば、校内の女子たちから敵視され、退学させられる可能性もあるとして、その秘密を懸命に守ろうとする葵。だが、柊聖は右往左往する彼女の姿を楽しみ、何かとちょっかいを出す。そんな柊聖に振り回されながら、葵は彼に魅力を感じるようになり……。

<感想>漫画原作のラブコメに文句をつけるのは野暮だと思うが、高校生男女の同棲を成立させるための強引な展開に、これは許されるものなのかが問われます。
韓流華流なみのベタベタな「イケメン」ラブコメとして始まり、正直どうしたもんかと頭を抱えてしまった。
それでも剛力彩芽の“ウザ女”対、“性悪女”石橋の対決の構図が明らかになる展開に、急に面白くなってきた。やっぱり恋はめそめそしたり、ドロドロしたりしないとね。
ちょっと「翔んだカップル」を連想したのだが、こちらはキラキラネーム世代向けのキラキラ・ラブ。何やら全身がムズ痒くなってきて、さっさと何処かへ飛んで行けって叫びたくなる。けれどもこちらがムズ痒くなったということは、映画としてはそれなりに恋する女の子の、恋の上澄みを描きだしているということで、いかにも少女漫画的なきれいごと世界はちょいと恥ずかしいが、その辺は達者である。

同棲がバレると退学といいながら、親、教師など干渉してくる大人を、最初から登場させない無菌室のような、メルヘンタッチのお伽噺ぶりについていけなかった。しかし、山崎に付きまとう謎の女、剛力彩芽に想いを寄せる大学生が、重要な役を担いながら、終盤で何のフォローもなく姿を消すなんて、とんでもない刺身のツマですよ。

主人公がラブラブならそれでもいいのか、剛力が堤防で泣くシーンは、悪い冗談にしか見えなかった。一部屋に同居する羽目になった2人の「おままごと生活」に、生臭さが一切ないのもいいんじゃないのこれで。
そして、何と言っても七夕花火大会の盛り上がりが上首尾ですから。クライマックスのヴィジュアルにこだわる監督だが、これまで空振りが多かっただけに、今回の大仕掛けの数々は嬉しかったです。
傲慢なイケメン野郎も最後は意外に純情でほっとしました。
2014年劇場鑑賞作品・・・103  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

クローズEXPLODE ★★.5

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不良漫画のジャンルで人気を博す高橋ヒロシのコミックを映画化した『クローズ』シリーズの新章。前作から1か月後の新学期を迎えた鈴蘭高校を舞台に、3年生の卒業により空席となった頂点を目指す壮絶な抗争が他校も巻き込み繰り広げられる。監督は、『青い春』『空中庭園』などの豊田利晃。メインキャストは前2作から一新し、『桐島、部活やめるってよ』などの東出昌大をはじめ、早乙女太一、勝地涼、柳楽優弥らが共演する。
あらすじ:新学期を迎えた鈴蘭高校では空席となった頂点をめぐり、野心的な新3年生たちが火花を散らす。しかし、そんな抗争に興味を示さない3年の転校生・鏑木旋風雄(東出昌大)と好戦的な新入生・加賀美遼平(早乙女太一)の登場により、校内の勢力図は大きく変わろうとしていた。一方、そんな学内抗争に加え外部の不良勢力が不穏な動きを見せており……。

<感想>最初の“ワルメン”ブームを巻き起こした小栗旬くんや、山田孝之くんの「クローズZERO」(07)は面白いし、特に山田君がカッコ良かった。今回はあれから5年が経過した設定であり、監督も三池崇史から豊田利晃に交代して、キャストも一新されたが、鈴蘭高校のカラスたちが喧嘩に明け暮れる基本的構図は変わらない。誰しもが“テッペン“を獲るぞとばかりに自分の力を誇示する。
冒頭からスローモーションにかぶってくるメタリックな効果音!・・・の豊田節が良いですよね。ライブハウスでdipの演奏をバックに大乱闘するシーンでは、奇声を上げそうになってしまった。

しゃがれ声で歌う若者のヘビメタでも、老若男女にも聴かせる最高のビートの曲は、誰が聴いてもいいのはいい。最後にも聴かせてくれる。そんな乱闘のシーンでもキャラクターの描き分けバッチリなアクション演出も冴えわたる。
前作、前々作の三池崇史監督は、素手で闘うという暗黙のルールに従って、怒涛の集団乱闘やタイマンのアクション表現、殺陣に工夫を凝らし、やりつくした感もある。
だから、それだけに豊田監督の演出に新鮮味がなく、青春映画に必要なろくでなしの純粋さや、カッコ良さが不足しているような気がしました。ナイフで刺したり、バットで殴ったり、挙句に鉄パイプを持ち出したりするのはダメですから。それに付け火もダメ。


ですが、前作では薄い存在感だったもう一人の主人公片桐のやべきょうすけ、彼がOBとして出演して、鈴蘭のOBの友達が働いている中古自動車屋に就職して、ガキどもの喧嘩ばかりでなく、物語の中にその中古自動車屋の存続に、黒咲高校を退学し、少年院に行っていた永山絢人の悪がきが、火をつけて燃やしてしまうなど、それにかかわる地上げ屋のヤクザの板尾も、加わって面白くしている。

その中心となるのが、テッペン争いに興味を示さない一匹オオカミの転入生、東出昌大と、本能のままに暴れまくる新入生の早乙女太一。この二人の対決を軸に、鈴蘭の内部抗争とそこに絡む他校、黒咲高校との争いが、「クローズ」の名物とも言える激しい乱闘シーンと共に描かれている。永山絢人というワルメンが、物語の展開を面白くしていて、黒咲にも鈴蘭にも喧嘩を仕掛けて、こいつは本当に悪いヤツだ。少年院へ入ったのも、黒咲の生徒と喧嘩して体に灯油をかけ火をつけて大やけどを負わせた悪いヤツ。後で、仲なおりをするも心の中では恨んでいるに違いない。

なんといっても、勝地涼の存在感も格別だし、キレッぷりを見せつける早乙女太一のお坊ちゃん(父親が元ヤクザの組長)を筆頭に、柳楽優弥などは鈴蘭のテッペンなのに、キング強羅とかフルファイターなど異名持つが、小汚い格好で喧嘩には強いが頭は悪そうだ。
しかし、どうみても10代の高校生には見えない役者ばかりで、ヤクザの抗争みたいだった感がある。こういう集団の喧嘩では、戦争と同じなので、勝ち負けは頭も使わなければ勝てないのだ。ただ殴り合えばいいというものでもない。

本作での主人公東出昌大くんの活躍は、始めはオトナシイしこういう役は向いてないのでは、と思ったが、彼の幼少時代が映され孤児院育ち。母親の高岡早紀に父親がボクサーだったということもあり、腕っ節はそれなりに切れ技があり、回し蹴りとかボディへのブローなどは本格的で、アッパーカウントで彼の勝という終わり方には満足です。

一時期、こいう不良生徒ばかりが中学校でも多く、弱いものを虐めたりカツアゲしたり、女子生徒に乱暴したりする事件が多かった。家には女の子ばかりだったので、男の子供を持つと身体が成長していき、はけ口を喧嘩やかつあげとか、勉強もしないで親のスネをかじってどうしようもない大人になるのかと心配してしまう。
しかし、高校生といっても彼らには家族愛とか、家族というものが存在しないのか画面には出てこない。彼らは卒業して生きる道があるのか、ヤクザになるしか能はないのか、フィクションというけれど、これでは日本の将来も不安だらけだ。よけいなお世話かもしれないが・・・。
他の作品では優男の印象しかない若手俳優たちの生きのいい表情を引出し、新シリーズなので次回作に期待したい。
2014年劇場鑑賞作品・・・104  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ウェア -破滅- ★★★

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ある一家惨殺事件を担当することになった女性弁護士と科学捜査班が、調査を進めていくうちに恐るべき真実に行き当たるホラー。古くから伝わるモンスター伝説をベースに、遺伝子異常によって人間を超越した凶暴性を示す大男が引き起こす惨劇と、彼の秘密が科学的視点から解明されていくさまを描く。『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなどのプロデューサー、スティーヴン・シュナイダーが製作を手掛け、テレビドラマ「クリミナル・マインド」シリーズなどのA・J・クックらが出演。
あらすじ:フランスでバカンスを過ごしていた一家が惨殺される事件が発生し、タラン・グィネックという大男が容疑者として拘束される。男を担当することになった弁護士のケイト・ムーア(A・J・クック)と科学捜査班は、多毛で筋肉障害を持つ彼の特異な遺伝子に着目して調査を進める。科学的な観点からタランの身辺を調査していくにつれ、恐るべき事実が浮かび上がり……。

<感想>これも未公開じゃなくて、昨年11月16日に公開されていた。だが、「TSUTAYA」でレンタルしてDVDで観賞。内容は、狼男のお話。冒頭でアメリカ人の親子がフランスに旅行に来て、何か大きな獣に襲われるというショキングなことが起きる。一人だけ助かった母親の供述では、その怪物は背の高い、毛がもじゃもじゃした人間だったというのだ。

何か昔DVDで観た「ジェヴォーダンの獣」を思い出しました。この事件の捜査に美人弁護士が担当するのだが、犯人らしき大男が捕まり美人弁護士はこの狼男の弁護を引き受けるんですね。どうみても背が高くて狂暴な感じしか見受けられないのに、何故に弁護して彼が犯人じゃないと決めつけるのか、良く判りません。
その内、その森に獣が出て鹿とか動物を襲う事件が起き、結局捉えたのは大きな熊でした。その熊が家族を襲ったとは考えられません。母親のビデオカメラの映像とか、父親と息子の遺体を見ると、いかにも肉食系の獣に襲われたと思いがちですが、噛みち切られた顎から頬肉、モモ肉も噛み切られて残酷極まりない。

この襲われた親子のDNAと、犯人として逮捕された大男に付着している血液検査をすれば、襲ったのはその男だと判るのに。ダメだったんですね。
そして、美人弁護士がその狼男に優しい言葉をかけて、無実を証明すると誓うのです。その時、一緒にいた彼女の元恋人、動物法医学者の男が狼男と接触して感染してしまう。
ところがですよ、やっぱりその大男は狂暴な狼人間で、満月になると狂暴化し、驚異の身体能力を発揮する。人間を軽々と持ち上げて投げ飛ばす怪力もさることながら、噛む力は人間の7倍以上。巨体に似合わず動きは俊敏で、ビルの上階から跳び下りるジャンプ力も超人的なんです!それに不死身ときているのだから、警察の拳銃で撃っても死なないのだ。

この狼男が暴れ回るシーンは凄いです。弁護していた美人の彼女も唖然として、その狼男に襲われます。もしかして、妊娠して子孫ができたりしてなんて思ってはダメですよ。クライマックスでは、その狼男と、感染して狼男に変身した動物法医学者の一騎打ちです。

どういう分けか、動物法医学者は頭の髪の毛を剃り、スキンヘットで上半身がムキムキの筋肉になっていた。これは見分けをつけるためなのか?・・・何も頭剃らなくてもね。
どちらも不死身だから、戦ってもムダだと思うのですが、美人弁護士を助けるために闘うのです。でも、撃たれてしまうんですよ。狼男に変身した動物法医学者は、このまま不死身で生き続けるんでしょうね。ホラーとしても面白かったですが、オチがねB級ですよね。
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アナザープラネット★★★

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2011年サンダンス映画祭で審査員特別賞ほか2部門を受賞したSFヒューマンドラマ。
あらすじ:ある日、宇宙に地球と瓜二つの惑星が出現し、世間の注目を集める。17歳でMITに合格し、前途洋洋だった少女ローダは、夜空に浮かぶ惑星に気を取られ、その不注意が原因で交通事故を起こてしまう。妊婦と幼い子どもを死なせてしまったローダは刑務所に入り、4年の月日が流れる。刑期を終えたローダは謝罪のため被害者家族の男性ジョンを訪れるが、思わず身元を偽ってしまい、そのままジョンと交流を深めていく。一方、謎の惑星は現在の地球と同じ人間が住む「もうひとつの地球」であることが判明。ローダはその惑星に向かう第一陣のメンバーに選ばれるが……。
監督は、マイク・ケイヒル。(作品資料より)
<感想>ある日突然、地球から見える距離に“もうひとつの地球”が現れた世界のお話なんですが、SF映画のようにも見えるし、映画館で見た「メランコリア」という作品では、主人公やその姉が鬱状態で、月を見てそいう惑星が地球に近づいてくる幻覚に捉われるお話だった。
この作品もどちらかというと、主人公のローダが人身事故で相手の家族のことを想うために心を病んでしまったような感じがする。そんな時、惑星間旅行の参加者を一般公募しているのに応募する彼女。
それが、そのもう一つの地球も派手なCGで見せるわけでもなく、ローダが事故で残された一人の男の家へ、彼女のジョンに対する懺悔と贖罪の気持ちが、そうさせたのでしょう。

主人公のローダ役を演じたブリット・マーリングは、「ザ・イースト」(14)でも主人公で熱演しています。
ローダは、学歴もあるのになるべく目立たない清掃会社に勤め、高校の清掃の仕事をする。そんな彼女に優しく仕事を教える老人、その老人がある日のこと自分の目と耳に漂白剤を流し込み病院へ運ばれる。その老人も過去に過ちを犯し自分の罪を引きずって生きて来たのだろう。世間のことを何も見たくないし、聞きたくないという。自分を許せなかったし、変わろうとすることを諦めたのだろう。ローダが見舞いに行くと、「自分を許しなさい」と助言する。
それから彼女は身分を偽り、事故で残された一人の男の家へ、彼女のジョンに対する懺悔と贖罪の気持ちが、そうさせたのでしょう。
彼女は、自暴自棄となって生きているジョンの家に入り込み、掃除をしたり料理を作ったりしていくうちに、二人は互いに心に傷を持つどうし、自然と愛し合うようになる。
しかし、ジョンが彼女のことを自分の家族の命を奪った加害者だと知ると、拒否反応を示して家には来るなという。またもや家に閉じこもり切りになってしまったジョン。彼女のために、ノコギリで音楽を奏でるシーンもあったのに。
そんな時、その“もう一つの地球”へ行く当選者発表があり、なんとローダが当選する。でも、その惑星に行くと自分と同じローダがいて、人身事故も起こさず立派に就職して生活しているのを見にいくことをためらう彼女。
その権利を彼女は、ジョンに差し出すのである。きっと“もう一つの地球”では、ジョンの家族が事故は起こっていなく生きていて、奥さんや息子たちと幸せな生活を営んでいるだろうと想像したのだろう。
なんだか、ジョンにその権利を譲った彼女は、応募する時にはまだ自分がこの地球から逃避行しようと考えてのことだったのに、最後には彼、ジョンにその宇宙旅行を譲ってしまった心境が痛いほどに伝わってくる。
ラストに、ジョンが“もう一つの地球”へ旅だった後、数年経ち、ローダが仕事から帰ると、自分の家の前に自分とそっくりの女性がそれも素敵な洋服を着て立っている。まるで幻でも見ているかのように。そんな終わり方って、不思議な感じがした。自分も過去の過ちに、いつまでもウジウジしてないで、生き方を変えて新しい人生を歩みなさいということなのかもしれませんね。
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