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プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命★★★★

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数々の映画祭で高い評価を得た『ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス監督とライアン・ゴズリングが再タッグを果たした人間ドラマ。妻子を養うため犯罪に手を染めるバイクレーサーと彼を追う野心的な警官をめぐる因果が、15年後の彼らの息子たちへと世代を超えて引き継がれていくさまが描かれる。『世界にひとつのプレイブック』などのブラッドリー・クーパー、『最後の恋のはじめ方』などのエヴァ・メンデス、ベテランのレイ・リオッタら実力派キャストの競演も見逃せない。

あらすじ:ニューヨーク州の田舎町。天才ライダーのルーク(ライアン・ゴズリング)は移動遊園地でバイクショーを行う刹那的な日々を送っていた。
1年ぶりに町へ帰ってきたある日、元恋人ロミーナ(エヴァ・メンデス)と再会。彼女がルークとの子どもを内緒で生んでいたことを知ると、二人の生活のためにバイクテクニックを生かして銀行強盗をするようになる。ある日銀行を襲撃したルークは逃走する際、昇進を目指す野心的な新米警官エイヴリー(ブラッドリー・クーパー)に追い込まれるが……。
<感想>何とも古めかしい因縁話なのだが、これが意外といいのだ。独創的な展開だし、質的にも高い。デレク・シアンフランス監督の長編劇映画三作目だが、主演俳優のライアン・ゴズリングと再びタッグを組んだ本作では、ゴズリングのヤサグレっぷり全開の序盤を見る限りでは、バイク版「ドライヴ」にしか見えない。
しかし、恋人ロミーナとの絡みのシーンも見せないまま、彼女の家へ行くと、「あんたの子供だよ」なんて言われても、観ているこっちも口があんぐり状態である。恋人ロミーナ役のエヴァ・メンデスとは、これが御縁でゴズリングとは恋人関係になったそうです。

それでも、自分の息子だと信じて、いい暮らしをさせてやろうと手っ取りばやい銀行強盗をやらかすとは、軽率な行動である。ライダーマンが軽率すぎてイラつくほどだったが、その軽率ぶりの素晴らしさ、軽率だからこそ後に続く因縁への見事な伏線となっていることに驚かされる。
ただし、銀行強盗のシーンで、時間をすっ飛ばすのはいただけない。役柄を逸脱しないように内的凶暴性とか、卑劣さとか、脚本の性格どおり演じさせるものだから、まったく共感できない人物像になってしまっている。
だが、ゴズリング、クーパーという今が旬の役者をうまく使いこなして、手に汗を握る対決を見せ、追い詰められたゴズリングが、ロミーナに電話で息子には絶対に父親が強盗をしたことを言わないようにと、捕まるよりも死を選んだ彼の生き様も凄いと思う。
そして、ここからは突如、英雄となったクーパー視点の物語へとチェンジする。カメラは、ニューヨーク州最高裁知事を父に持つ彼が、秘密を抱えたまま出世街道を歩んでゆく姿を追っていく。

しかし、彼の周りにはその出世が気に入らない悪徳警官もいる。彼が発砲をして銀行強盗のゴズリングを捕えたものの、ゴズリングの彼女の家へ押し込み、強盗で得た金が何処かに隠してあると睨み家探しをする。ベビーベットの下から1万7千ドルが出て来て収穫ありとばかりに、クーパーへも半分分け前を与える。いつも悪徳警官とか、ワル専門役が多いレイ・リオッタがボス的存在を引き受けている。何とも言い難い悪徳警官たち、正義感の強いクーパーが、そのことを検事に告白してしまう。悪徳警官たちは捕えられ刑務所行き。その後は、自分は検事局へと移動願いをするのだ。

舞台は一気に15年後に飛び、ゴズリングとクーパー、それぞれの息子が高校で遭遇するという展開になっていく。本作は、父から子へと受け継がれる宿命を、複数の視点から描いている。今どきの息子たちの話も面白い。
ゴズリングはもちろん最高だけど、いつもニヤケ顔を見せないブラッドリー・クーパーがいい感じで受けている。本作で見せるように、誠実で線の細いキャラこそが彼にとっては、一番のハマリ役なんじゃないかと思うほど。

そして、注目すべきは、ゴズリングの息子ジェイソンを演じるデイン・デハーンの活躍である。「リンカーン」の冒頭で兵士役で顔を出すシーンしかない彼だが、アメリカでは“エスパー版「クローバーフィールド」”なSF映画「クロニカル」で、狂気の高校生エスパーを演じてブレイク済みだそう。
というわけで、彼らの次の世代の新人たちから、爽やかな演技を引き出しているのも見上げたものだ。ここには、血の繋がりという古いテーマとアメリカ社会の現実とが混在しているようでもある。
2013年劇場鑑賞作品・・・239 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


飛び出す悪魔のいけにえ/レザーフェイス一家の逆襲★★

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映画史に残る殺人鬼レザーフェイスを生み出したトビー・フーパー監督の「悪魔のいけにえ」(1974)のその後を描く続編として製作された3Dホラー。1973年、米テキサスで凄惨な事件を引き起こした殺人鬼ソーヤー家は、幼子だったヘザーを除いた全員が、駆け付けた保安官と町の男たちにより抹殺された。時は流れ、養父母のもとで大人になったヘザーは、亡くなった祖母から遺産相続の通知を受け取り、自身の知られざるルーツにも興味を抱いたことから、祖母が残した大邸宅へ向かう。しかし、そこには祖母が密かにかくまい、生き延びていたレザーフェイスが待ち受けていた。
監督: ジョン・ラッセンホップ、出演: アレクサンドラ・ダダリオ、ダン・イェーガー、トレイ・ソングス
<感想>1974年の傑作ホラー「悪魔のいけにえ」の、新たな続編として制作された3D映画。これって3Dしか上映してないのよ、何も3Dでなくても良かったのに。確かにチェンソーが目の前に、血肉が激しく飛び散りそれが目の前までくるのには閉口したが、どうってことない。

「悪魔のいけにえ」のエンディングの直後から映画が始まる。目の前で肉親を切り刻まれたサリーは、地獄の一夜を生き延び警察へ通報。地元に人殺し一家が棲んでいることに逆上したテキサス住民たちは、自警団を結成し、レザーフェイスごとソーヤ一家の棲む白い屋敷を取り囲み、もちろん家の中はパニック状態。
「あいつが人を殺しまくったおかげで大変なことになってしまった」と、家族会議をしているところを包囲された。あの家の中にこんなに大勢人がいたんだ。なんて思っているうちに、銃撃戦が始まる。流れ弾に当たって死んでしまう爺さん。女子供も見境なく殺してしまうテキサス・ブロンコ。かくしてソーヤ一家は全滅である。実際のところ屋敷には、干物になってるばあさんとモウロク爺さんを含めて5人が暮らしていたのだ。サリーを拷問に掛けた時、食卓に出ている皿の数から考えてみても、今回の冒頭でソーヤ一族があれだけ家に集まっていたのは、やはり犯行がバレてしまったという特殊な事情があったからだろう。
そしてテキサスに平和が戻った。しかしだ、オリジナル版フッテージを使って事件の直後から映画をスタートさせ、一族を滅ぼした原因を作ったレザーフェイスが引きこもりとして20年間生きてきたけれど、面倒を見てくれていた祖母は死んでしまい、目の前が真っ暗になった殺人鬼の老いた人生を描くテーマは確かに鋭いと思う。

見どころのゴア・シーンやチェーンソーが飛び出すなどインパクトがあるのは7〜8か所だけ。予告編で湖の中からチェーンソーが出てきた時は、本当にド肝を抜いた「悪魔のいけにえ3/レザーフェイスの逆襲」(90)で使われているチェーンソーは、ヨクヨク見てみると、ソーヤー家の刻印に加えて握りに装飾まで施され実に豪華である。そんなとこまで観てないか(苦笑)こん回は、レザーフェイスが実は車の運転もするシーンもある。
レザーフェイス役に、ダン・イェーガーが扮して、これまでも観たリメイク版「テキサス・チェーンソー/ビギニング」。これは、捨て子でさんざん虐げられて育ったレザーフェイスが、殺人鬼として哀しい自己実現を果たす暗い青春映画だった。というわけで、この作品とは全然関係ありませんから。
けれども、「悪魔のいけにえ2」に比べて本作は、あまりに酷い。ホラー映画大好きなファンにとって、この映画のエンディングはあまりに重い。
後で書き直します。
2013年劇場鑑賞作品・・・240 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

終戦のエンペラー ★★★.5

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岡本嗣郎のノンフィクション「陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ」が原作の歴史サスペンス。進駐軍を率いて終戦直後の日本に降り立ったマッカーサー元帥から、太平洋戦争の責任者追究を命じられた男が衝撃の事実にたどり着く姿を息詰まるタッチで追う。監督に『ハンニバル・ライジング』のピーター・ウェーバー、出演に『メン・イン・ブラック』シリーズのトミー・リー・ジョーンズ、日本を代表する俳優西田敏行ら、国内外の実力派が結集。終戦をめぐる謎の数々に肉迫した物語に加え、日米の名優たちが見せる妙演も見ものだ。
あらすじ:1945年8月30日、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の司令官としてダグラス・マッカーサー元帥(トミー・リー・ジョーンズ)が日本に上陸。彼は日本文化に精通している部下ボナー・フェラーズ(マシュー・フォックス)に、太平洋戦争の真の責任者を探し出すという極秘任務を下す。わずか10日間という期限の中、懸命な調査で日本国民ですら知らなかった太平洋戦争にまつわる事実を暴き出していくボナー。ついに最大ともいうべき国家機密に近づくが、彼と敵対するGHQのグループや日本人たちの一団が立ちはだかる。

<感想>第二次大戦終結直後の日本で、戦争の真の責任者を探せというマッカーサーの極秘指令を受けた米国軍人が、大戦終結の知らぜらる真実に迫る歴史サスペンス。監督は「真珠の耳飾りの少女」のピーター・ウェーバー。岡本嗣郎のノンフィクションを原作に、架空の日本人ヒロインも登場させ、主人公フェラーズ准将の苦闘の日々を描き出している。主演は「LOST」のマシュー・フォックス、マッカーサー元帥にはトミリー・ジョーンズが演じている。

誰もが知る歴史の裏に隠された驚きの物語が浮き彫りに。天皇に戦争責任はあったのか?・・・マッカーサーが命じた極秘指令とは。日本が連合軍に降伏し、米軍占領統治が始まった1945年8月。GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)を率いるマッカーサー元帥が厚木飛行場に降り立ち、すべてを失った日本の再建の礎づくりに乗り出す冒頭のシーン。そこで、マッカーサーは、日本文化に精通している部下のフェラーズ准将に、ある極秘調査を命じる。
それは「この戦争がいかにして起きたかを探れ」という困難な任務。やがて、日米の様々な人物の思惑が交錯するなか、フェラーズは日本が開戦へといたった謎を丹念に解き明かしていく。

そして、驚きの真実が次々と告げられる。その調査の過程は歴史サスペンスの醍醐味たっぷりに描かれている。なぜ開戦直前に首相が東条英機に交代したのか?・・・真珠湾攻撃直前の御前会議で語られたことは?・・・玉音放送に込められた想いとは?・・・連合国側の本音と、マッカーサーの真の狙いとは?・・・そして、昭和天皇や大物軍人たちの実像に迫るフェラーズの胸には、彼が戦前から親密にしていた日本の女性アヤへの熱い想いがあったのだ。

これは、日本の運命を決定づけた物語の中で、国家の壁や時代の荒波を超えて愛し合った男女のラブストーリーが絡む構成になっている。戦後の瓦礫の中を、フェラーズがアヤを探して静岡まで行き、真実を知る哀しみは大きい。愛する人が、自分たちの国の襲撃で死んでしまう。戦争とはそういうものだ。

日本人俳優さんたちは、宮内次官の関屋貞三郎に、故・夏八木勲さんが開戦前の御前会議で、天皇が平和を望んで詠んだ和歌を、フェラーズに聞かせるシーンでは、朗々と詠みあげる彼の声が立派でした。内大臣の木戸には、伊武雅刀は、天皇の側近で、密かにGHQを訪れ、フェラーズに玉音放送前夜のある事件を語る。

元首相の近衛文麿に、中村雅俊さんが演じて、台詞の英語がまずますでした。本当に英語の台詞が巧かったのは、アヤの叔父である鹿島を演じた西田敏行さんですかね。役どころが元駐在武官で英語が堪能という設定なので、姪のアヤから紹介されたフェラーズに、日本人の精神性を説くのですが、聞いててあまり分かりづらくきっとフェラーズも理解できてないでしょう。
見終えて思ったのが、観客席にはお年寄りの夫婦が多かったような気がしました。ハリウッド映画でアニメだけでなく、アクション物やSFアドベンチャーなど吹き替えがあるのに、この映画は英語の台詞が字幕で出ており、これこそ吹き替え版もあれば良かったのにと、思いました。
2013年劇場鑑賞作品・・・241 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

野蛮なやつら/SAVAGES ★★★★

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ドン・ウィンズロウ原作のベストセラー小説を、『プラトーン』などでオスカーを受賞したオリヴァー・ストーン監督が映画化。平和に暮らす3人の男女が、巨大麻薬組織相手にとんでもない戦いを仕掛けるさまを生き生きと描く。主演はテイラー・キッチュ、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブレイク・ライヴリーら注目の俳優たち。そのほかオスカー俳優のベニチオ・デル・トロら濃い役者総出で見せる驚がくのエンディングに絶句。
あらすじ:平和主義者のベン(アーロン・テイラー=ジョンソン)と元傭兵(ようへい)のチョン(テイラー・キッチュ)は親友同士。彼らはカリフォルニア州ラグーナ・ビーチを拠点に大麻栽培のベンチャー起業で大成功を収め、二人の共通の恋人オフィーリア(ブレイク・ライヴリー)と3人で生活している。だが、ある日、彼女がメキシコの麻薬組織に拉致され……。

<感想>カリフォルニアの高級リゾート地の邸宅で暮らす、イケメンふたりと美女“O”(オフィーリア)。イケメンの一人は真面目で名門バークレー大学で、植物学を学んだインテリが、マリファナ栽培するベン。演じているのは「キック・アス」のヘタレ君でおなじみのアーロン・ジョンソン。
もう一人は悪の匂い漂う元傭兵のチョン。違法なマリファナで商売しているギャングたちともめる、トラブルを暴力で解決してくれるのが、アフガン帰りの演じるのは「バトルシップ」のテイラー・キッチュ。この文武コンビが手を組んでバリバリ稼ぐわけ。

そして、二人は親友で金持ちの娘の“O”は二人にとっては最愛の恋人なのだ。過剰に干渉し合わず、奪い合いや嫉妬とも無縁に楽しく暮らす彼らは「私たちルームシェアで〜す」などと、複数の男女で時には性的な関係にもなりながら、基本的には仲良く無邪気に生活している。この3人は高級大麻の栽培(自宅の裏に広い大麻栽培工場を持っている)で得た富で暮らしているのだが、そのビジネスはちゃんとライセンスを取っている店に卸すからクリーンな商売なんだけど。しかも収入でアフリカの支援を行うなど「CSRを大切にするIT企業ですか」と言いたくなる。腐敗や堕落、ドロドロとは無縁。これが現代のヒッピー生活なのだろうか。

しかし、いつまでも学生気分の彼らに、メキシコの大手麻薬カルテルが接近してくる。それまでカリフォルニアのマリファナを供給していたメキシコ系のマファア。女ボスを演じるのは、サルマ・ハエック。エリカ様みたいなおかっぱ頭のズラ被って、化粧もキツイよね。で、サルマはアーロン&キッチュのコンビに「上納金をよこせ」ってプレッシャーをかけてくる。ところが、キッチュはシールズの仲間を私設軍隊として使っているから、マフィアなんか怖くない。だが、アーロン&キッチュには弱点があった。その2人の恋人“O”(ブレイク・ライヴリーって女優さん、まぁまぁ綺麗)を、サルマ・ハエックは誘拐するわけ。
その仕事をする殺し屋ラドーが、ベニチオ・デル・トロ。表向きは庭師の会社を経営しているのだが、アメリカではメキシコ系の人々が一番多いのはレストラン経営と庭師なんだそうです。「マチェーテ」にも出てきましたね。庭師のフリしてどんな所にも入り込んで殺す。このベニチオの殺し方が酷くて、人間の首をグリグリと切断したり、ガソリンをかけて生きたまま焼いたりする。サドでスケベでずる賢くてキモイのだ。生理的にここまで不快な悪役も珍しいです。

だから、ベニチオが一番の野蛮人だと、拉致した“O” ブレイク・ライヴリーがベニチオに唾を吐く。するとニヤっと笑いながら、彼女の顔をベローと舐めたりね、本当に楽しそうに演じている。以前彼が熱血麻薬刑事を演じてアカデミー賞を取った「トラフィック」を思いっきり茶化しているのだ。こっちは、麻薬ギャングだものね。
そこからイケメン二人は、中々の活躍ぶりで、一人は元傭兵なので親友や武器の調達はお手者も、もう一人は頭脳派として作戦を練る。対するメキシコの組織はあくまで昔ながらの悪というイメージなのだが、その非情な女ボスは、実は娘との葛藤というイマドキの問題を抱え、悩んでいる。
それに、麻薬取締の刑事にデブ・ハゲ・ゲイのジョン・トラボルタが出ていて、もう悪徳警官だね、これは。クライマックスの別バージョンで、ヘリを飛ばしパトカーでやって来て、麻薬のボスや子分どもを逮捕するお手柄で表彰されるのよ。こんなの有りって感じ!

見どころは、彼女を助けるべく身代金調達のため、車に大麻を大量に積んで高速道路を走ると、後ろからパトカーが追いかけてきてのサスペンスなど、どうってことのないシーンだが、ハラハラさせる。語りのブレイク・ライヴリーが、冒頭で映画の最後まで生きていないかもしれないと、言い出すだけにエンディングで本物の悪たちとの戦いを通して、現代のヒッピーであるイケメンらと美女は無事大人になれるのであろうか。

ラストには、「やっぱり、大人になるにはあまりにも大きな痛みが伴うのだ」と、足を洗って、東インドネシアで仲良く暮らそうって言ってたのに、3人が銃弾あびて死ぬところ。そんなしんみりとした後にだ、とんでもない反則があるのよね。夢オチ以上に反則な展開があるんですよ。もう一つのエンディングが、エッって、目を疑うような仕掛けが待っていて、思わず笑ってしまう。
テンポのある筋運びの才人、オリヴァー・ストーンの真骨頂で、スタイリッシュな語り口とシャープなアクションが、程よいバランスで配置されている。権力者シリーズやドキュメンタリーよりも、ストーンはB級活劇が相応しいと思った。
2013年劇場鑑賞作品・・・242  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

フリーランサー NY捜査線 ★★★

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50セント、フォレスト・ウィテカー、ロバート・デ・ニーロの共演で、警察組織の腐敗と陰謀を描くクライムアクション。ストリートギャングから足を洗い、ニューヨーク市警の警察官となったジョナスは、驚くほど腐敗しきった警察内部の実態を目の当たりにする。
亡き父の相棒だったサルコーネ警部に目をかけられたジョナスは、サルコーネが仕切るドラッグビジネスに加担し、自らも悪に染まっていくが、父の死の真相を知ったことをきっかけにサルコーネと袂(たもと)を分かち、たった1人で巨悪に挑む。監督:ジェシー・テレロ
出演:カーティス・ジャクソン、ロバート・デ・ニーロ、フォレスト・ウィテカー、マルコム・グッドウィン、ライアン・オナン、アナベル・アコスタ、
ボー・ガレット、ダナ・デラニー、マイケル・マグレイディ
<感想>悪ガキ時代に麻薬の売買にも手を染めていたヒップホップ界の人気物カーティス“50セント”ジャクソン主演による犯罪サスペンス。警察学校を卒業したばかりの新人警官たちを笑顔で祝福するのが、ベテラン刑事役のロバート・デ・ニーロ。竹中直人がその昔、笑いながら怒る人をネタで演じていたが、満面の笑みを浮かべるデ・ニーロって、腹の中では必ずなにかを企んでいると言っていたことがある。案の定、デ・ニーロ演じるサルコーネ警部は、「殉職された君のお父さんは、最高の相棒だった。これからは俺を父親だと思ってくれ」と、新人警官のジュナス(50セント)を自分の懐にまんまと取り込んでしまう。

相手の瞳をじっと見つめてしみじみと語りかけるデ・ニーロ。テレビショッピングの司会をやれば、売り上げ倍増だろうに。善人づらしたサルコーネの正体は、ズブズブの汚職警官。麻薬ディーラーたちから上納金を徴収して大儲けしている。その徴収係としてジュナスに目を付けたのだ。
悪徳警官を描いたアメリカ映画は数が多く、ひとつのジャンルをなすほどだが、ニューヨーク市警の腐敗ぶりに真っ向から照明を当てたこの作品は、上の部に入るのではないだろうか。カーチェイスも撃ちあいもないけれど、黒に染まりかけたルーキーが、真っ黒なベテランに立ち向かうお話は悪くはない。

例えば麻薬捜査を担当する警官や刑事たちは、麻薬を巡る悪とほとんど四六時中、身体を貼って接している。悪の側から紙一枚隔てたこちら側が、麻薬捜査を担当する市警だ。彼らが腐敗すると、つまり麻薬を売る悪の側から、その悪の純粋に昇華されたものである現金を、ごく当然のことのように、様々に強引な手段で自分のものにすることが仕事になる。そしてピラミッドがいつのまにか出来上がっていく。ピラミッドが守られている限り不正な現金は入り続ける。
これらを機能させるのは、ピラミッドへの忠誠だ。ピラミッドを守るため、まともな人なら絶対に出来ないようなことをやってしまうための決断。
カーティス・ジャクソンが演じる主人公は、父親が警官だった。腐敗した警察のピラミッドの一員だったが、腐敗の実態を詳細に地方検事に明かそうとして、警察内部のスパイ網に引っかかり、暗殺された。まだ幼かった主人公は、そのげんばに居合わせてしまったという過去を持つ。
父親とは警官として相棒だったという男が、今は警部で、腐敗した警察のピラミッドの頂点にいる。
私腹を肥やしたサルコーネは、副業でバーを経営しており、このお店がもう“桃色パラダイス”バーにたむろするセクシー美女たちは、口説き放題で、高級酒は飲み放題だし、売人から押収した極上のブツもそろっている。サルコーネの傘下には、フォレスト・ウィテカーがいつもの怪演ぶりが見ものです。他にも、悪徳刑事役でいつもの顔ぶれが勢ぞろいしている。

サルコーネに頼まれた仕事を片付ければ、いつだってパラダイスの気分が味わえるのだ。汚職警官って、福利厚生が整ってるんですね。こんなシーンを見たら、男は誰しも「俺も警官になりてぇ」と思うんじゃないですか。悪徳警官というロス市警の内幕を描いた「トレーニングデイ」が思い浮かびます。
さて、物語はどのように展開するのか、警察もここまで腐敗すると、悪の側とまったく区別がつかないようですね。主人公の正義感に燃える裏の取引、地方検事に詳細に報告して、最後にデ・ニーロがスナイパーに撃たれるシーンは、これでいいのだと観ている側としては納得のいく終わり方でした。
本作は、ニューヨークが舞台で、「ミーン・ストリート」「タクシードライバー」「ブロンクス物語」と、デ・ニーロには、やはりニューヨークの裏通りが良く似合う。
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スプリング・ブレイカーズ ★★

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『ガンモ』『KEN PARK ケン パーク』などティーンのリアルな日常を見つめてきた鬼才ハーモニー・コリン監督による異色青春ドラマ。刺激を求める女子4人組が春休みに裏社会へと足を踏み入れていく姿を、ポップかつスタイリッシュに描く。セレーナ・ゴメス、ヴァネッサ・ハジェンズ、アシュレイ・ベンソン、レイチェル・コリンという若手女優たちが集結し、体当たり演技に挑む。彼女たちを悪の道へ引きずり込んでいく極悪人を、『127時間』などのジェームズ・フランコが怪演。

あらすじ:つまらない大学のルーティンに飽き飽きしている女の子4人組は、刺激を求めて春休みにフロリダ旅行を計画。資金調達のため強盗を計画すると予想外に成功し、訪れた春休みでは存分にハメを外しつつ大いに楽しんでいた。そんな中、自分のことをエイリアンと名乗る外見がいかつい男(ジェームズ・フランコ)と出会ったことで、4人の運命が狂い始めていき……。
<感想>ビキニギャル軍団が銃乱射、強盗団結成。無軌道な青春が炸裂するという前評判は嘘じゃなかった。これは、世の男ども、おじさんの大好きなものじゃないの。4人の女子大生たちが、春休みに退屈な日常から脱出して、フロリダあたりのビーチで、酒とドラッグとセックスを謳歌した挙句、抜き差しならない道に足を踏み入れてしまう、・・・それだけの話なんだけど。

とにかく女の子たちが可愛くてセクシーで、そしてとってもビッチなのである。これは、夏本番の日本では、男性諸君、映画のストーリーなんてどうでもいいような、中でもオッパイ出して腰をガンガン振るのは、4人のうちコティって女。レイチェル・コリンっていうんだけど、監督ハーモニー・コリンの奥さんだそうです。とにかく女の子がビキニ姿で、ビーチに勢ぞろいなんですから、目の保養にはなります、見るべし!
4人の女子大生が、「金がないから強盗しようって、TVゲームと同じだよ」って、目出し帽かぶって夜中のダイナーに押し入り強盗って酷くない。拳銃もおもちゃだし、金槌でテーブルガンガン叩いて「金出せ」って、考えられません。人は傷つけてないからいいようなものでも、犯罪ですから。その資金でフロリダへ、レッツゴー!初めはビーチでノリノリだったけど、大麻吸ってラリっていたら、そこへ警察ガサ入れされて全員ビキニのまま警察に捕まってしまう。

保釈金を払い、出してくれたのがエイリアンと名乗るジェームズ・フランコ。ヒッピー風で、あ一応ラッパーのグッチ・メインがネタ元というフランコの役は、いっぱしのギャングスタを気取っているのに、口を開ければ銀歯がギラリ、目つきが完全に決まっているし、見るからにヤバそうな男。白いピアノで、ブリトニーの歌を弾き語りする、中途半端なアーティスト志向の御仁。豪邸に住んでいて、部屋にはマシンガンを据え置き、部屋のTVでは「スカーフェイス」が常時リピートという、涙ぐましいまでのワルぶりをアピールしているのだ。
始めに女子大生の中のぽっちゃり目の女の子が、リタイヤして帰ると言う。一人脱落、ところが、エイリアンはこのギャルたちに銃で脅されて、地元のギャングとの抗争に駆り立てられる。

ビキニに拳銃、ピンクの覆面で決めたスプリング・ブレイカーズは、フロリダ中を荒らしまくる。これって、どうみてもその辺のお姉ちゃんたちが銃撃戦って、「悪の才能」を見ぬいたのか?・・・不思議です。だから、銃撃戦になっても、女が撃った弾しか当たらず、死ぬのは男だけ。あっ、女子一人の腕を撃たれた子がいた。その子は、もう嫌だといってバスで帰ったっけ。
すべて、ギャル軍団(2人しかいない)に都合良く出来てるのだ。これは現実なのか、それとも、葉っぱでラリラリの映像なのか?・・・「ピラニア3D」そっくりなオープニング映像が続くのかと思えば、ピンクの目出し帽かぶって、見知らぬ結婚式場へ乱入し、新婦を引きずり倒し、新郎をケーキに突っ込ませる。最後には、このビッチ2人が銃を片手に敵陣に乗り込むんですから。

ピンクの毛糸の目出し帽にビキニというスタイルで、銃をぶっ放しながらがんがん進んでいくのだが、昔のヤクザ映画を観ているような錯覚さえ覚える。その颯爽とした美しい姿に、死亡フラグ立ちまくってるわりには、女2人は死なず、エイリアンは頭を撃ち抜かれて死んでるし、黒人のワルたちはみんなこの女子に殺されてしまうんです。
そして、この2人はあっさりと故郷へ戻っていくんですよ。見ているときは、何にも残らない、こんなの有りって、死にぞこないのビッチに明日はないって、まともじゃないね。
2013年劇場鑑賞作品・・・243  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ローン・レンジャー ★★★.5

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『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジョニー・デップとゴア・ヴァービンスキー監督ら主要スタッフが再びタッグを組んだアクション・アドベンチャー。テレビドラマや映画で何度も映像化された人気西部劇を基に、悪霊ハンターと正義のヒーローのコンビが巨悪に立ち向かう姿を活写する。ジョニーとコンビを組むローン・レンジャー役には、『J・エドガー』のアーミー・ハマー。個性的で好感の持てるキャラクターたちのほか、荒野を舞台にした派手なアクションなどにも注目。

あらすじ:ジョン・リード(アーミー・ハマー)は、東部で法律を学び判事になった男。彼は列車で故郷のテキサスへ向かっていたが、同じ列車には護送中の凶悪犯、ブッチ・キャヴェンディッシュ(ウィリアム・フィクトナー)も乗っていた。案の定ブッチは、脱走を試みる。ジョンは同じく護送中の謎のインディアン、トントと共にこれを食い止めようとするが、結局は逃げられてしまった。

ブッチを逮捕したのは、ジョンの兄でテキサス・レンジャーのダンだった。ダンンは討伐隊を結成しブッチを追撃する。銃の嫌いなジョンも臨時にレンジャーに任命され、これに同行した。
しかし、彼らは罠にかけられ全滅。幼い頃に遭遇した悲しい事件への復讐をもくろむ悪霊ハンターのトント(ジョニー・デップ)は、そのスピリチュアルな力で死の一歩手前の男、ジョンも重傷を負うが、いきなり出現したトントに助けられ、トントの助言でマスクで顔を隠したジョンは、たった一人のレンジャー、ローン・レンジャーとしてブッチの陰謀に立ち向かう。

<感想>「ローン・レンジャー」といえば昔、TVで放送していた人気西部劇。西部劇と言うものを初めて認識した作品だった。さらに、映画の冒頭で1933年に始まる凝ったプロローグが用意されている。移動遊園地内のワイルドウェストの展示を見ていたら、目の前の展示物と思われる老インディアンが、ローン・レンジャーとの昔話をする形で映画は展開する。
小さいころのTVドラマ版なのであまり記憶に残ってないが、スーパーヒーロー的なウェスタン・コスチームに覆面を付けた主人公が、「インディアン、嘘つかない」や「キモサベ(友よ)」が口癖の従順で聡明なインディアンの相棒、トントと共に悪に立ち向かう。それに、軽快なウィリアム・テル序曲のメロディーにのって「ハイヨー、シルバー」の掛け声が響くのが、ローン・レンジャーなのである。

しかしだ、今回の映画の主演は、タイトル・ロールのアーミー・ハーマーというよりは、トントを演じるジョニー・デップである。なにしろ制作のジェリー・ブラッカイマー以下『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのチームが仕掛けた大作映画なのだからだ。今回のジョニーは、トントの造形に凝りまくった。インディアン絵画を元にした白塗りの顔、昔のトントは頭に羽根1本だったが、今回はスケールアップしてまるまるカラスの剥製1羽を頭にのっけているのだ。

ジョニーとヘレナ・ボナム=カーターが共演しているので、まるでバートン映画みたいで、彼女の役どころは、義足に銃を仕込んだ歓楽街のやり手ババアという、ロドリゲス映画のキャラみたいな感じでもある。

一番の見せ場の西部劇伝統の列車アクションは、もちろんCGも使っているが、特に橋をダイナマイトで爆発させ、列車に飛び乗り連結を外したり、列車での格闘の連続にハラハラして、大迫力でジョニーもハーマーも体を張ってアクションに挑戦。インディアン、騎兵隊といった定番アイテムもたっぷりでいい。
ハンス・ジマーがアレンジしたウィリアム・テル序曲も、映画にマッチしていてかっこいい。アメリカでは残念ながらコケたようだが、久々に大作アクションの西部劇、劇場で観なきゃ、もったいない。
2013年劇場鑑賞作品・・・244  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


ナイトピープル ★★

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直木賞作家、逢坂剛の短編小説を基に、2億円をめぐる男女の駆け引きをスリリングに描くクライム・サスペンス。2億円強奪の犯人だという謎めいた女を『CUTIE HONEY キューティーハニー』の佐藤江梨子が、女に翻弄(ほんろう)されるバーのマスターを北村一輝が、さらには女を執拗(しつよう)に追う刑事を杉本哲太が演じ、心理戦を絡めた危険な攻防を繰り広げる。メガホンを取るのは、『棚の隅』『休暇』で高い評価を得た門井肇。二転三転するストーリーや激しい銃撃戦など、一瞬たりとも観る者をとらえて離さない展開に魅了される。
あらすじ:ワインバー「NightPeople」に現われた、知的で美しい女性、杉野萌子(佐藤江梨子)。バーの店主、信治(北村一輝)は、かつて愛した人に似た萌子を雇うことにする。やがて常連客に親しまれるようになった萌子に信治は徐々に惹かれていく。

そんな中、刑事の曾根(杉本哲太)が来店し、不気味な笑みを浮かべながら信治に告げる。3年前、萌子は大石という男と共謀し、大物国会議員から2億円を奪った前科者だという。大石は行方不明で、奪った金はいまだに発見されていない。萌子はその2億円を隠し持っているに違いない。
困惑した信治だが、「金の在り知らない。罪は償ったのに曽根に酷い目に遭わされている」と嘆く萌子の言葉を信じて、曽根の暴挙から萌子を守ろうとする。そんな信治に古い付き合いのホテル経営者の花宮(若村麻由美)が、ある写真を突きつける。そこには、萌子と曽根が密談をしている姿が写っていた。誰が嘘をつき、何処からが偽りなのか、見る者を裏切り続ける物語の顛末とは。

<感想>小さなバーのマスターと、パート募集のビラを見てふらりと店にやってきた若い女。その女に何故かつきまとう不気味な中年刑事。ワケあり風な3人の、大金をめぐる騙し合いがどう転がるのか、先が読めない面白さがあります。それを演出が現代的なリアリティの側に引きつけようとする。
逢坂剛の原作「都会の野獣」は新宿が舞台だが、それを田舎町に置き換えているので、夜型キャラとひなびた商店街の風景が溶け合っていない。原作が短編なので、登場人物やストーリーを膨らましたのは分かるが、二転三転するストーリーと、信用ならない女と裏切りと銃と金。
この映画は二重底になっていて、二億円の物語と、復讐の物語が同時に並行して進んでいることがその後で分かるのだが、・・・。それは確かにどんでん返しであって、意外性を生む反面、登場人物、特に女について二重性を感じさせることにもなる。女の性格が前後で変わってしまうので、その点で見る側は戸惑わないこともない。

前半のファム・ファタル的造形よりは、後半の復讐のために近づきながらもマスターに惚れてしまう弱さや、意外な展開に戸惑っているような風情の方が印象的に見える。自分だけに逃がそうとする男に、「別れるつもりなら何故私を抱いたの」となじる場面や、逃げ延びた後、入ったホテルのエレベーターで最善の言葉を思いだして笑いあうシーン。

もうこれ以上何を望むかという詰め込み方で、男と女、拳銃に大金、どんでん返しを満載してジェットコスターのように展開する90分。
前半の激しい振り幅はどうかといった問題や、物理的な移動の疑問などもあるが、今の邦画の制作条件を見ればまぁまぁであると思う。寄る辺なさを漂わせ、寂しげな佐藤江梨子に、このヒロインは似合う。
そして、ショットガンをぶっ放す若村麻由美、彼女が足を撃たれる描写、その手下のおっさんも渋くていい。ラストは、思っていた通りの筋書でした。
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悪人に平穏なし ★★★.5

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2004年3月11日にマドリードで起きた同時多発テロを題材にした、ゴヤ賞作品賞など主要6部門で受賞のサスペンス・アクション。図らずも犯してしまった殺人の証拠隠滅に奔走する刑事が、その過程で強大なテロ組織と彼らが仕組む陰謀に対峙(たいじ)していく姿を活写する。メガホンを取るのは、『ナインスゲート』などで脚本家としても活躍するエンリケ・ウルビス。キャストには『密会1723号室』のホセ・コロナドを筆頭に、スペインの実力派が結集。二転三転する展開に加え、壮絶な銃撃アクションにも息をのむ。

あらすじ:捜査中に事件を引き起こし、異動させられてしまった中年刑事サントス(ホセ・コロナド)。ある夜、立ち寄ったバーで泥酔していた彼は、店主や店員に絡んだ果てに店内にいた者たちを銃で撃ち殺してしまう。証拠隠滅を図る彼だが、防犯カメラの映像に現場から逃げ出す目撃者の姿を見つける。口を封じようと目撃者を捜し回る中、サントスは麻薬密売のコネクションに接近。彼らがテロ組織の資金源となっている上に、大規模なテロ計画が始動していることを知り、忘れていた刑事としての職務と正義感をよみがえらせるが……。

<感想>風変わりなサスペンス、ミステリー映画ということか。スペイン映画です。いきなりショットガンを構えたオッサンのチラシを見ただけで、今時こんな渋い主人公いないですよね。まさか、このオッサンが主人公だとは思わなかった。日本の俳優で例えるなら、故・勝新太郎か原田芳雄みたいなムードです。何となく犯人と思わせる風貌、実際映画の中でやっていることも犯人のとる行動だし、・・・。
冒頭で泥酔して入ったバーで、いきなり3人も殺しますから。主人公が客3人を射殺する前に、相手をカウンターに思いきり叩きつける。「なんて野蛮なんだろう」と思う人と、スカっとしてしまう人。

こいつら、きっと悪いことをしている奴らなんだと解釈します。私ならね。「その男、凶暴につき」ですら情感に流されるシーンがあったというのに、観客の感情移入など一切受け付けない孤高の暴力刑事。その映画が現代でも実現可能なことに驚く。70年代のB級映画の残香を漂わせるオヤジ映画の復活というべきか。

ハードボイルドな雰囲気が漂うものの、いかんせんストーリーが地味すぎてサービス不足。いってみれば全体が人探しの話でアクションは期待薄ですから。主人公の暗く歪んだキャラクターに頼り過ぎて、盛り上げにかける。サントスが殺した人たちは、実はテロ組織の関係者で、しかも、大規模な爆破テロを計画している凄い物語。だから、自分が殺した証拠隠滅をしていくうちに、テロ集団との戦いに身を投じていくことになる。

サントスは、逃げた目撃者を黙々と追跡していくだけで、ナレーションもありません。普通なら自分のやっていることを正当化する奴が多いのに、サントスは言い訳を一切しないのだ。主人公のやさぐれ刑事も、職務や正義を守るというよりは個人的なケリを付けたいがために動いているように見える。そこも怖いのだが。その果てに訪れるラストが、これまた正義感を振りかざすことなく、野生動物が強いやつに尻尾を振るが、挑みかかるかの二択を迫られたかのような緊張感のまま、クライマックスになだれ込む構成もいい。
スタローンがリメイクを計画中のようだが、このストイックな作りが継承可能だろうか、心配だ。
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殺しのナンバー ★★★

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各国諜報(ちょうほう)機関などがエージェントに指令を暗号化して送信する乱数放送を題材にしたサスペンス・アクション。CIAの乱数放送局に異動した敏腕エージェントが、謎の集団からの襲撃を受けたのを機に巨大な陰謀に巻き込まれていく。『ハイ・フィデリティ』『1408号室』などのジョン・キューザックが、激闘を繰り広げるうちにCIAの非情な体質に怒りと疑問を募らせる主人公を好演。彼と行動を共にする乱数放送のプロには、『ウォッチメン』などのマリン・アッカーマン。予測不可能な展開に加え、重厚な銃撃戦や肉弾戦の数々も見ものだ。
あらすじ:任務中にミスを犯し、イングランド東部にあるCIAの乱数放送局へと飛ばされたエージェントのエマーソン(ジョン・キューザック)。そこで送信係を務める暗号作成のエキスパート、キャサリン(マリン・アッカーマン)の護衛をすることに。温かなキャサリンの人柄に触れ、殺伐とした世界で負ってきた心の傷を癒やすエマーソン。だが、彼女もろとも謎の武装団に襲われた上にCIA幹部たちの暗殺を下す偽指令を工作員たちに送信されてしまう。やがて、CIA本部からエマーソンにキャサリンの暗殺命令が言い渡されるが……。
<感想>ジョン・キューザック スペシャル、ということで1週間限定で「殺しのナンバー」と「コレクター」この2本が上映された。この俳優さん40代とは思えない若々しい風貌で、先日鑑賞した「ペーパーボーイ真夏の引力」では無実の死刑因を演じてましたが、内に秘めたる恐ろしい殺人鬼の素顔が見え隠れして良かったです。
本作でのキューザックの役柄は、CIAエージェントのキャストにぴったりですね。各国の情報機関や犯罪組織などが短波放送を使って暗号化した指令を現場のエージェントに送信する「乱数放送(Numbers Station)」を題材にしたサスペンスアクション。
イングランド東部の旧アメリカ軍基地内に置かれたCIA乱数放送局に左遷された彼は、そこで暗号作成係のキャサリンと放送局を護衛する任務に就いたエマーソンだったが、ある時、謎の集団が基地を襲撃する。
この設定は、前にも何度か映像化されているんじゃないの。コンピューターに映し出される数字の羅列、その中からキャサリンが暗号の数字を読み上げる。その数字は、各国に潜んでいるエージェントに暗殺指令をおくっていたのだ。
何故か、今回の数字を送った後に、外部の何者かが襲撃してくるのだ。これはいったい?・・・。
日本人拉致事件や、大韓航空機爆発事件の金賢姫元工作員への指令にも使われていたという、今でも世界のスパイ活動に頻繁に利用されている“乱数放送”を本格的に扱ったリアルサスペンス・アクション。
やっぱりね、途中でキューザックとキャサリンが一緒に車で帰るシーン。外から厳重に暗号化されてる入口。交代の女性と男性が来て、任務に就くのだが、3日後に二人で来てみると、何者かが建物の中に侵入しており、銃撃戦が始まり、男女の送信係が殺されていた。これは怪しい、上層部の命令で自分たちと同じ仲間が殺したと考える。
そして、キューザックにオペレーターからキャサリンを始末しろと言う命令が出る。暗号のこととか知り過ぎた女を殺すというのは、こういう映画では当たり前。キューザックの命だって狙われているのだもの。
果たして敵は、やはり内部の仲間たちが襲ってきたのだ。しかしだ、思うに敵のエージェントたちは、キャサリンが送った暗号の暗殺指令で襲撃してきたのだが、これには上層部たちも関わっていることは間違いないのだ。調べると出て来るわ、「これじゃこんな仕事やってられない。辞めちまえ!」と怒り心頭!それからのキューザックは、エージェントのスキルを生かしてその“CIAナンバーズ・ステーション(乱数放送局)の建物をダイナマイトで爆破させるのです。
しかし、キャサリンは足に怪我をして、腹を撃たれており重体。モルヒネを打って彼女をかついで逃げるキューザックの前に1台の車が、・・・助けてくれと頼むと、そいつの声に聞き覚えがあるのだ。そう“オペレーター”の声の男。そいつは、今の仕事がわりに合わないと敵に寝返った男で、アメリカの情報がダダ漏れだったのね。この男との銃撃戦は相撃ちで、キューザックも深手を負うも車を病院まで走らせて、車に突っ込む。
気が付くと、病院のベッドの上、キャサリンも命は助かった。だが、そこへボスが現れる。まったくもってこいう展開は極めて不条理にできている。しかし、今作は目出度くハッピーエンドで完結。
2013年劇場鑑賞作品・・・245  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


コレクター ★★★★

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1980年代にアメリカを震撼(しんかん)させた実在の猟奇殺人鬼ゲイリー・ハイドニック事件を題材にしたサイコ・スリラー。「自分の子どもを生ませ大家族を作る」という異常な動機から女性たちを拉致監禁、暴行を繰り返し、果ては殺害、人の肉を食するという犯罪者にまな娘を誘拐された刑事の姿を描く。監督は俳優としても活躍する『ドリフト』のモーガン・オニール、製作をヒットメーカーのジョエル・シルヴァーが担当。主人公を『2012』『シャンハイ』などのジョン・キューザックが熱演する。
あらすじ:ニューヨーク州バッファローで、連続娼婦失踪事件を3年も追っている刑事マイク(ジョン・キューザック)と相棒ケイシー(ジェニファー・カーペンター)は、新たな被害者の詳細を知って凍りつく。それはマイクの17歳になる娘アビー(メイ・ホイットマン)で、誘拐犯罪は48時間以内に解決しないと生存率が下がるため、彼は執念で犯人を追跡。一方、地下室に監禁されたアビーは犯人の異常な目的を知り……。

<感想>ジョン・キューザック、スペシャル第2弾。このタイトルで、モーガン・フリーマンとアシュレイ・ジャド共演の「コレクター」がある。(アメリカ南部で起きた、凄惨な女子大生連続誘拐殺人事件に挑むベテラン刑事を描いた、モーガン・フリーマン主演のサイコ・スリラー!)それに、最近アメリカでも、女性を拉致監禁して、性の道具として子供を産ませ、何人かで共同生活している事件が明るみになった。この作品も実話だそうで、見るに無残な、残忍な殺人で、捕らわれた女性は家族として共同生活しているという設定なのだ。
しかし、映像で映されているのは、地下室の拷問の様子や、犯人が子供を欲しがっていることから、妊娠を強要させて地下室で子供を産み、別の部屋で赤ん坊を育てている様子が映される。捕らわれた女性たちは、殆ど街角に立つ娼婦で、失踪しても誰も探さない。それに、遺体も見つからないのだ。雪が降る夜の街に立ち、客を呼ぶ娼婦たち。その中には、オカマもいるわけで、どう見ても暗がりでは女のしか見えない。犯人の車に乗り家へ連れて行かれ、犯人がオカマだと知り、そのオカマちゃんをひっかき棒で腹を刺して殺す惨劇が映される。

その事件を担当していたジョン・キューザック。彼は家にも殆ど帰らず感謝祭・クリスマスでさえ休暇をとらず、事件に没頭している。家には美人の奥さんと、高校生の娘に小学校の息子がいる。その17歳の娘が誘拐されたのだ。どうみても、ケバイ化粧で娼婦にしか見えない娘。付きあっていた男がダイナーで働いているところへ、夜に家を抜け出して会いに行く。それには訳があったんですね。実は彼女は彼の子供を妊娠していたのですから。母親はそんなことも知らず、ただ娘を叱りつけるばかり。教育がなってないのだ。
調べていくうち、どうもその男に会いに行った後で誘拐されたらしい。映像では、彼にフラレた娘が涙ながらにタバコの火を求めて、車に乗っている犯人にタバコの火を借りたのが、拉致監禁される事件に発展したわけ。同僚の刑事が女性で、目つきが鋭いきつい女で、犯人は娼婦しか狙わないからマイクの娘は友達のところへでも行っているのでは、なんて呑気なこと言っている。それに、マイクが事件を捜査しながら犯人にたどり着くことを恐れ、マイクに強い口調で食ってかかる気丈な女。私には、まさかこいつも共同犯人だったとは、後半まで気が付かなかった。相棒のケイシーに「エミリー・ローズ」のジェニファー・カーペンターが扮している。
デブの黒人で病院勤務の男が怪しいと睨み、追い詰めるも薬を過剰に飲んで死んでいた。その部屋の冷蔵庫の中には、人肉が切り刻んでラップして入っていたのですから。警察は、猟奇殺人事件の犯人をデブの黒人に決めつけて捜査を打ち切ろうとする。年末だしね、早く家に帰りたいのだ。
しかし、父親のマイクは、娘を助けようと車の中から封筒を見つける。それは病院の厨房で働いていた男のデリバリケアーの会社の名前が。冒頭から犯人を見せ、マイクも病院の厨房で犯人を会っているのに。実に犯人探しと裏腹に、刑事が目の前にいる真犯人を見分けられない悔しさが見られ構成も上手い。

ラストで犯人の家を突き止めて押し入る二人。普通だったら応援のスワットくらい頼むのに、相棒の女刑事と共に暗い家の中を調べる。マイクが地下室から娘の声を聴き、生きているとホット胸をなでおろしたろうに。地下室では、妊婦が帝王切開をしなければ子供を産み出せないという女。地下室にはそういう手術道具や薬が揃っているので、娘が赤ん坊を取り出したみたいだ。映像で見せてないので、そこまでは分からないが、果敢に犯人の男にナイフで切りつける姿が映し出される。地下室には、犯人と性交しても妊娠しない女は、井戸の中へ沈めて溺れさす残忍さ。早く妊娠するようにと、性交の後は、地下室で逆さ刷りだ。そして、冷凍庫の中には、切り刻んだ人肉が ビニールの袋に包んでびっしりと入っていた。犯人の異常な感情の持ち主と、母親になりたい女との共謀による犯行とは、恐ろしいです。

地下室の鍵は、犯人が首にかけているというので2階へと上がっていくマイク。その中の部屋には、赤ん坊がずらりと並んで泣き叫んでいるのに驚く。犯人を銃で撃ち、首の鍵を取り、地下室へ行こうとするところへ、相棒のケイシーがやって来る。まさか彼女がそんなと、でもその前から伏線のような、犯人探しを辞めるようにマイクに何度も言うのも変だと思った。それに、マイクの妻が娘を思って泣き叫ぶのに、「どうせ反抗期の娘だからそのうち帰って来るわよ」とケイシーが言うのに、「子供を産んだことがない女に何が分かるのよ」と酷い言葉を吐く母親。それよりも、娘が妊娠していることを知らないバカな母親。
いろんなことで、ケイシーも子供が欲しかったのでしょうが産めない体。そうこうしている内に、犯人と意気投合して結果、共犯者ということに。ですから、ラストはどんでん返しなんてもんじゃない。悲惨な結果になり、娘は助かるも、2階の赤ん坊はすでに何処かへ持ち去られて、ラストの映像には悲壮感が漂ってがっかりでした。いままでのこういう作品では、「96時間」とか、父親が必死で娘を探してハッピーエンドなのに、これは、それとは違う異質の映画です。
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パパの木 ★★★★

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目の前で家族を亡くした一家が少しずつ再生していく様子を、『アンチクライスト』などのシャルロット・ゲンズブール主演を務めたヒューマン・ドラマ。夫亡き後、人生の目的を見いだせない母と、父親の魂が宿る大きな木に話し掛ける幼い娘を中心に、母娘、息子たちが共に生きていこうとする姿を描き出す。メガホンを取るのは、『やさしい嘘』のジュリー・ベルトゥチェリ。切ないストーリーにユーモアを交え、爽やかな感動を与えてくれる。

<感想>オーストラリアの力強い大自然の中、大きなイチジクの木に守られるかのように穏やかに暮らす一家。父と母と4人の子供たちの平和な暮らし。自然と人間が織りなす大きなドラマを予感させる舞台設定である。
しかし、父親のピーターが長期間にわたる仕事が終わり、が待つ自宅に戻る途中、心臓発作が原因でこの世を去ってしまう。残された妻のドーンは子どもたちを抱え、この先どうやって生きていけばいいのかわからない状態に陥っていた。そんなある日、8歳の娘シモーンが庭の大きなイチジクの木に父が宿っているのではないかと感じ、木と対話していることを知る。そんな時、新しい恋をする母親と対立するようになる。

この作品「パパの木」は、ジュリー・ベルトゥチェリにとっては「やさしい嘘」に続く長篇監督2作目。前作同様に、喪の作業が大きな柱になり、時にはユーモアを交えながら、母と娘が大自然と共に、愛する人の死を昇華していく姿が描かれていく。事実、これは、自然の力と人間の悲劇と再生と、ファンタジーと寓話に満ちた巧妙な作品になっている。撮影は見事だし、演技も充実している。わけても8歳の娘を演じるモーガナ・デイヴィーズが、あまりにも演技が達者で、母親役のシャルロット・ゲンズブールを食っているのが印象的だ。

この映画は、ジュディ・パシコーの小説が元になっているが、本作は原作よりもシャルロット・ゲンズブール演じるドーンの心理に重きが置かれているようだ。だが、この作品の中では幼い娘が父親は木の中で生きていると思いながら、父を失くした悲しみをやわらげ、そしてだんだんと父への執着を断ち切って行く。だからというわけでないが、シモーヌは一度も神の名を口にしない。今までの幾多の映画で描かれたように、神に父の復活を祈りはしない。この家族は特別な信仰を持たないという前提であったのだろう。神というものは大人が子供に教え込む存在であり、小さな子供が本能的に感じるものではないと思うから。シモーンには、神の存在より父親との交信の方が重要だったに違いない。

ですが、この木に父親が宿っていると信じることも一つの信仰だと思います。
木の精と家族の対話、彼らはそこに今は亡き父親の魂を感じ取り、日ごと、夜ごとに自分の悩みを打ち明けるのだ。
その思いが強すぎることは危険をはらんでいることも。その木がある限り父親の死を受け入れられることが出来ないのでは。死んだ人というのは、目に見えないけれども、生前以上に存在感を増すこともあるわけで、心の中に居続ける、というのは詩的だと思いますね。確か、邦画でも「桜、ふたたび加奈子」で、生まれ変わりを信じることに投影して描いていた。

木下の斜面の住居と共に、充実した画面が出現する。その存在感に負けない俳優たちも偉い。父の不在をめぐる母と娘の葛藤。母が新たな男性に近づこうとするときに、響き渡るバッハの「ヨハネ受難曲」。それはキリストの肌着の処分をクジで決めようとする兵士たちの戯れ画のようなフーガである。
ここで木がどういう手を打ってくるかが観る側の予想を超えて、嵐の夜に大音響と共に、木が倒壊するシーンに込められた深い思いには、母親のドーンも心動かされたようで。
一家が大型トラックで、トレーラーの荷台に平屋の家屋を載せて、オーストラリアの大地を移動するラストに、妙な感動を覚えた。土台から家ごと引っ越すこのカットに、どこで何が起きても家族が一体となって生きて行こうとする姿が見られる。「モーガナちゃん、ガンバレ」と、ついエールを送りたくなる自立と共生の映画ですね。
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仙台七夕祭り

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一昨日、やっと8月6日から3日間開催されていた、仙台七夕祭りを見にいきました。
日中の温度は32度と天気予報は言ってましたが、体感温度はMAX35度以上に感じました。今日は35度まで上がるそうですが、もう2階の部屋は南向きということもあり、室内で34度あります。
それに最後の日でもあり、もの凄い混雑で、何年ぶりかで見に行ったものだから夕方の6時過ぎころにすればよかったと後悔しきりでした。
こちらは、仙台駅からアーケイドがあり、雨の日でも七夕飾りつけがあるのでいいですよね。

クリスロード〜ハッピーロードと、暑い七夕祭りなので、商店街も賑わっており、飲食店はどこも満員でした。本当に熱いので、お茶でもしようとドトール喫茶とか、スタバとか、たくさんセルフの喫茶店があるのに、どこも満員御礼です。
仕方がないので、地下通路を通って(これが良かった。冷房効いてましたよ(^0_0^))



この飾りは、ご当地サッカーチーム、ベガルタ仙台のです。
野球の楽天の飾りつけ探したんだけど、見つからなかった。
駅の裏側へ出て、マクドナルドへ入って、アイスコーヒーと野菜がたっぷり目のバーガーと、ソフトクリームを注文しました。
友達と一緒だったのですが、彼女も「何年ぶりかしら」なんて、地元にいるとそういうもんなんですね。
写真はたくさん撮ったのですが、その中から選びました。
どれも、変わり映えしないというか、特別ゴウジャスな飾りはないように思いました。1本100万円以上するそうですから。
それでも、震災復興という意味では、観光客に喜んでもらえればいいですよね。
2013年イベント鑑賞・・・1  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

パシフィック・リム3D ★★★★

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「ヘルボーイ」「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ監督が、謎の巨大生命体と人類が開発した人型兵器との壮絶な戦いを描いたVFX超大作。2013年8月11日、太平洋の深海の裂け目から超高層ビル並の巨体をもった怪物が突如出現し、サンフランシスコ湾を襲撃。「KAIJU」と名付けられたその怪物によって、わずか6日間で3つの都市が壊滅する。人類は存亡をかけて団結し、環太平洋沿岸(パシフィック・リム)諸国は英知を結集して人型巨大兵器「イェーガー」を開発。KAIJUとの戦いに乗り出す。それから10年が過ぎ、人類とKAIJUの戦いは続いていたが、かつてKAIJUにより兄を亡くし、失意のどん底にいたイェーガーのパイロット、ローリーは再び立ち上がることを決意。日本人研究者のマコ・モリとコンビを組み、旧型イェーガーのジプシー・デンジャーを修復する。菊地凛子が演じる日本人女性マコの幼少期役で芦田愛菜がハリウッドデビュー。

<感想>モンスター好きなギルレモ・デル・トロ監督が、日本の「怪獣」や「ロボット」への愛を詰め込んだ一作がついに完成した。謎の生命体「KAIJU」によって、破壊されていく各都市。人類は巨大兵器「イェーガー」を開発し、その猛攻に立ち向かうことに。そんな物語だけでも興奮を誘う上に、KAIJUたちが次々と現れる理由や、パイロット2人が脳を接続してのイェーガー操縦法など、あらゆる要素が大胆に、かつ奇抜な本作。ギレルモ・デル・トロ監督らしいマニアなネタを発見する楽しみだけでなく、KAIJU対イェーガーに、パイロットの動きをシンクロさせたバトルが圧倒的な映像で迫ってくる。
そして、戦いの果てにスラム化した都市など、こだわりのビジュアルも見どころの一つです。メインの舞台は香港だが、菊地凛子が演じる日本人女性マコや、凜子の幼少期役で芦田愛菜らの渾身の演技も含め、これは見逃せませんね。

何しろ、ロボットのイェーガーのデカさ加減が半端じゃない。旧型は原子力が動力で、内部に原子炉を搭載している。様々な改良が進み、新型は基本的に電力だが、充電機能が失われると致命的で、どちらのエネルギーもメリットとデメリットがある。輸送手段としては、遠距離はヘリで、近場には徒歩で移動する。

KAIJUが現れるのは、太平洋の深海。地球侵略を企む惑星「アンティヴァース」と時空の裂け目で繋がっており、KAIJUが地球に送り込まれてくるのだ。動きはまさに特撮怪獣だ。恐竜タイプや巨大なカニのような外見まで、多種が登場するが日本の「ウルトラマン」シリーズやゴジラのように、中にスーツアクターが入っているようなアナログなデザインは監督のこだわりだ。怪獣たちの攻撃法は強烈な酸性の唾液を噴射したり、電磁波を放ったりとロボットのイェーガーたちを苦しめる。
まるでロボットアニメと怪獣映画をまとめて実写化したかのような作品。というのも、往年の実写怪獣映画のようなレトロな雰囲気と、「マジンガーZ」や「ガンダム」、果ては「エヴァンゲリヲン」などのロボットアニメのテイストが合体したかのよう。怪獣とロボット、どちらのマニアの心をくすぐる映像である。
高層ビルを破壊しながらの怪獣VSロボットの闘いは、強力なパワーがマックスにぶつかり合い、怒涛の迫力である。海の中にまでおよぶバトルは、3D効果もあって、両者の巨大サイズや重量感に圧倒されまくりです。
ところが、死んだ怪獣を闇取引しているハンニバルという男がいる。デル・トロ監督の「ヘルボーイ」など常連の俳優、ロン・パールマンが演じており、怪獣の臓器や血液、体内の寄生虫は貴重品とのこと。死んだ現場で、それらを回収し、高額の裏取引で儲けているのだが、最後の怪獣が死んだと思っていたら、食われてしまったのだ。でも、腹をナイフで切りきざみ出てきたのには驚いた。
エンドロールの途中で見られるので、是非、最後までご覧ください。
2013年劇場鑑賞作品・・・248  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング



ワールド・ウォー Z ★★★★

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ベストセラーを記録した、マックス・ブルックスの小説を実写化したパニック大作。人間を凶暴化させる未知のウイルスの感染原因を解き明かそうと、感染者と非感染者の死闘が繰り広げられる世界各地を駆ける元国連捜査官の姿を、息詰まるタッチで活写する。ハリウッドスターのブラッド・ピットが主人公にふんし、製作も兼任。監督は『007/慰めの報酬』などのマーク・フォースター。無数の感染者が群がって生じた巨大人柱が防壁を越えようとするなど、圧倒的映像の数々に息をのむ。
あらすじ:元国連捜査官のジェリー(ブラッド・ピット)と家族の乗った車が、渋滞にはまっていた。すると、前方で爆発音が聞こえ、トレーラーが無数の車をはじき飛ばしてクラッシュし、パニック状態の群衆が通りになだれ込んでくる。そのただならぬ状態から家族を守ろうと、妻子を連れて逃げるジェリー。やがて、彼は人間を凶暴化させる未知のウイルスが猛スピードかつ世界的規模で感染拡大しているのを知る。そんな中、元国連職員の技能と知識を買われたジェリーは、各国を回ってウイルスの感染原因を突き止めるよう依頼される。

<感想>監督マーク・フォースターと製作・主演ブラッド・ピットの不仲が囁かれ、一時は完成さえ危ぶまれた本作。しかし、蓋を開けてみればそれは誰も見たことのない、原因不明のウィルスが蔓延した世界を舞台に、狂暴化しアンデッドと化した感染者との闘いが描かれていた。
とはいえ、単なる「ゾンビ映画」でもない。ある朝目覚めて、突然重要なものがすべて無意味になっていたら。自分と家族の命を守るために逃げなければならなくなったら。この映画のお話なのだが、冒頭の数分間で、予告で見た映像が見せられて、そこからがすごい。とにかくゾンビの走るのが速い。まるで稲妻ゾンビ。

前に観た「28週後…」も素早かったが、このままではウィル・スミスが主演した「アイ・アム・レジェンド」状態に世界がなっても嘘じゃない勢いなのだ。感染源を阻止する方法も分からない状態なのに、ある時突然に、全世界に拡散してしまったらどうなるのか、というお話です。さすがに、自分の家族だけは、無事アメリカの航空母艦へと軍のヘリで救出された。
そして、ブラピ演じる元国連捜査官のジェリーが、各国が感染し侵されるなか、事態の悪化をどうやって阻止するのかを究明しようとするのだが、どういうわけか、大きな壁を作った国、エルサレムだけがまだ感染されていないというのだ。すぐに、軍の飛行機で飛ぼうとするも、飛行場にもゾンビの猛威が押し寄せており、ブラピは間一髪で民間機に乗せてもらう。
感染者を滅ぼすために核ミサイルが発射されたのだろうか、輸送機の下に広がるキノコ雲が見える。同乗する女性が、飛行機の中に隠れていたゾンビに手を噛まれてしまう。即座にブラピがその女性の腕を切り落として、10秒間、数を数えて様子を見ると女は感染していなかった。そして、飛行機の中でのゾンビとの戦いは、スーツケースでゲートを作るもそんなの直ぐに崩されてダメ。ブラピが飛行機の壁に手榴弾を投げ、その炸裂によって空中分解し、感染者も非感染者も一緒くたになって機外へと放り出された果てに墜落してしまう。
それでも、自分と女はシートベルトをしてしっかりと椅子に掴まる。しかし、二人だけ助かるって、まぁ主人公は腹に飛行機の破片が刺さって大丈夫なの。
しかし、その中でも壮絶なのが、感染者が巨大防護壁へと群がって山となり、瀑布のごとくよじ登って傾れ込み、鉄砲水のように路地という路地を埋め尽くしていく。エルサレムにおけるゾンビ液状化襲撃シーンは、最大最強の見せ場といっていいでしょう。
その中にある病原体を持っている患者を、彼らが避けて通るのを見たブラピは、これは何らかのウイルスでワクチンを作れば助かるのだ、と思いつくのですが、これからが大変だったのです。その研究所の中も、ゾンビでいっぱいだったのですから。それでも、音に反応するゾンビなので、恐る恐ると、それこそ抜き足差し足、忍び足の「まるでだるまさんが転んだ」の遊びでもしているようでしたね。
スリルとサスペンスを追求したゾンビ・ムービー、繰り出されるパニック&カタストロフ描写にびっくりですから。しかしながら、ブラピほどの大物スターが、金髪なびかせながらゾンビに追い掛けられテンパリまくるなんてね。そんな日が来るとは夢にも思わなかったぞ。いくら息の長いゾンビ・ムービーが続いているとはいえ、ハリウッド・メジャーまでをも本気にさせてしまうとは、改めてゾンビ・ウィルスの感染力の強さを思い知りました。
2013年劇場鑑賞作品・・・249 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


少年H ★★★★

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作家・妹尾河童の自伝的小説で、上下巻あわせて340万部を突破するベストセラーを、「ホタル」「鉄道員(ぽっぽや)」の降旗康男監督が映画化。太平洋戦争下という時代に翻弄されながらも、勇気や信念を貫いて生きた家族の激動の20年間を描き、実生活でも夫婦の水谷豊と伊藤蘭が夫婦役で映画初共演を果たした。昭和初期の神戸。名前のイニシャルから「H(エッチ)」と呼ばれる少年・肇は、好奇心と正義感が強く、厳しい軍事統制下で誰もが口をつぐむ中でも、おかしなことには疑問を呈していく。Hはリベラルな父と博愛精神に溢れる母に見守られ成長し、やがて戦争が終わり15歳になると独り立ちを決意する。

<感想>毎年のごとく8月15日が来る度、日本人が辿った戦争の歴史を思い、二度と繰り返さないと、その気持ちを強くします。
激動の昭和初期をたくましく生き抜いた神戸のある一家の姿を描いている。リベラルな父親を水谷豊が演じ、実生活でも妻である伊藤蘭と夫婦役で共演。昭和10年代、神戸の下町。妹尾家の長男、肇は小学校の帰りに友人たちと海で道草をくったり、父親の仕事のお伴で外国人居留地を訪ねたりと、無邪気に子供らしい毎日を送っていた。だが、彼と家族のつましくも明るく幸せな暮らしに、戦争の影が徐々に忍び寄ってくる。

戦争が始まり、外国人を顧客に多く抱えていた父親盛夫にスパイの嫌疑がかかる。警察に連行された盛夫は夜どうし拷問を受け、洋裁で生計を立てている彼の右手を中心に痛めつけられる。息子の肇も学校でスパイの息子といじめに遭う。
中学生になった肇も軍事訓練でしごかれ、軍国主義に対する素朴な疑問を口にし、原田泰造演じる田森に目を付けられる。好きな絵を描いていつも画集を持って歩く肇。裸婦の西洋画を模写したことで「敵国の絵を真似るとはけしからん」と、田森に体罰を受ける肇。そんな彼を救ったのが、軍国主義に染まらない教官の佐々木蔵之介に出会う。
そんな中、肇と仲良くしていた近所のうどん屋の息子、小栗旬が政治活動をしていたらしく、ある夜のこと、「アカ」として逮捕されてしまう。一方では、オトコ姉ちゃん(早乙女太一)が、召集令状に一旦は応じたものの、出兵後に脱走し首吊り自殺をして死んでしまう。肇の周辺で戦時下の暗い空気が漂い始める。

戦争で外国人たちが帰国し、仕立て屋が立ちいかなくなったため、父親は志願をして消防士になる。体が小さい盛夫は、消防士の制服が大きくて、まるで貸衣装みたいだとみんなに囃され、一晩で自分の身の丈に合わせて作り上げる。
さすが、仕立て屋だけのことはある。しかし、消防士の仕事は、重労働で辛い毎日だ。
まだ幼い妹は田舎かに疎開させ、その後、神戸も大空襲に見舞われしまう。母親と二人で家に残っていた肇は、空襲の焼夷弾で家が焼け、火事を消そうと奮闘するが、近所の人たちは消火訓練のかいもなく、みんな逃げていなくなり町は一晩で焼け野原となる。それでも、父親の大事なミシンを2階から降ろすも、外は猛火で逃げるのに精いっぱい。命が助かっただけでも有難い。

空襲で避難所暮らしを余儀なくされる妹尾家。それでも、母親の敏子はどんな逆境にあっても楽観的で、キリスト教の愛を体現し変わらぬ明るさを持ち続けます。戦時中といえども将来、様々な国の人と交流するだろうと、教会の外国の人が国に帰る時に頂いたナイフ、フォーク、スプーンを取り入れ、外で話すときは標準語を使いなさいと、子供たちに新しいものをどんどん取り入れる。戦後の物不足の時代でも、自分の家族がやっと食べられるご飯を、隣の家族に分けて上げる優しさ。これには、肇も母親に反発して怒ります。でも、こういう母親だったからこそ、家の中が明るく和んで良かったのですよ。伊藤蘭さんの母親の演技も素晴らしかったです。

そして、父親の水谷豊さんの何より強く印象に残っている場面は、空襲の翌朝、自宅周辺の焼け野原で呆然とたたずむ姿。息子の肇を見つけた時、彼は喜びの表情さえ出すことができなかった。その後も、避難所暮らしでは、まるで抜け殻のような水谷さん。憔悴しきって何もする気が起こらないのだ。そんな時に、妻の敏子が宗教の信念ゆえの強さを見せて、家族を支える夫婦愛とでもいうのでしょうか良かったですね。

最後は、息子の肇が家を出て自立をして、絵描きになろうと頑張る姿が眩しかったです。理不尽と我慢を強いられる戦中、肇が線路の上で死のうと覚悟するも、何かを感じたのでしょうね、生きることを選んだ肇少年。

そして不安を抱きながらも「普通に生きられる喜び」を感じる戦後を、ユニークな家族の物語とともに描いていて、今現在、ささやかな日常を過ごせることの尊さを、この映画の中で戦争をあらためて考えさせる作品です。
2013年劇場鑑賞作品・・・250 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

映画 謎解きはディナーのあとで ★★★

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2011年の本屋大賞に選出された東川篤哉のミステリー小説を、嵐の櫻井翔と北川景子ら共演で映像化した人気テレビドラマの劇場版。財閥令嬢の新人刑事・麗子とトゲのある口調ながら彼女の推理を支える執事・影山という凸凹コンビが、アジア最大の豪華客船の中で起きた殺人事件の謎解きに挑む。「お嬢様の目は節穴でございますか?」と執事にあるまじき暴言を言い放つ影山と麗子の掛け合いはもちろん、中村雅俊、鹿賀丈史、宮沢りえ、生瀬勝久、竹中直人ら多彩なキャスト陣にも注目。
あらすじ:財閥の令嬢で新人刑事の宝生麗子(北川景子)と執事の影山(櫻井翔)は、久しぶりの休暇を楽しむためシンガポール行きの豪華客船に乗り込む。しかし、出航後ほどなくして船内で殺人事件が発生。乗員乗客3,000人を乗せた船が目的地に到着するまでの5日間に犯人を捕らえ、事件を解明しようとする麗子と影山だったが、次々と事件が発生してしまい……。

<感想>TVシリーズは、たまに見てました。テレビの映画化だからといって、映画らしさを出す必要もないが、スペシャルドラマで十分な内容なのでどうってことない。シンガポール行きの豪華客船に乗った気分で映画を鑑賞。
本格ミステリと、泥臭いコメディのドッキングという狙いは、悪くないと思います。豪華客船上での殺人事件。雰囲気はとてもあるのですが、謎がちょいと弱かったかなぁ。口の悪い執事とお人好しの主人というコンビは先例ありとのことで、そっちも有名になったが、これはこれで良し。

ただ事件の本筋とは無関係なお邪魔虫キャラと、彼らのドタバタが多すぎてしらけてしまう。つまり、竹中直人と大倉孝二扮する凸凹コンビの泥棒が、風祭警部の椎名桔平さんの部屋にある、黄金の翼を持つ“Kライオン”を盗む下りです。それが本当に安物って感じで、翼の片方が取れてしまうんですから。
もう一つのお宝は、宝生家の50億円もする“セイレーンの涙”なのです。両方ともそれは厳重なセキリティで管理しているのですがね、・・・。

そして、支配人・中村雅俊の娘の恋人である要潤さん、実はかれも泥棒だったのですが、運悪く彼女の父親に見つかり殺されてしまう。それも全裸で。

それと、厨房のシェフと機関士の男、警備員の甲本雅裕の3人組み、何やら怪しい感じがするでなし、実は船長の加賀丈史への誕生日ケーキプレゼントを作ってたんですね。
そして、ニャッとしたのが、何と宮沢りえの貫録ぶり、なんでこんな作品に(失礼)少し老けたかなぁ、謎多きオバサン役で、やっぱりお騒がせ女として意外性があり、その正体も、びっくりですから。
いくら娯楽ミステリだからとはいっても、過度な遊びや寄り道は、作品を薄っぺらにするだけ。お嬢様刑事と毒舌執事のコンビも、もう一つスマートさがあればと感じましたが、TVドラマからスタートしたキャラだけに不満を言ってもしょうがない。
北川景子よりも、櫻井翔を立てている趣旨のせいか、彼女が豪華なドレスを着て登場しようが、華がない見せ方に終始しているようで、ロマンチック・コメディ部分が不足しているのも当然。無人島に漂着して主従関係が逆転する展開も活かされていないのも残念である。

美貌のご主人がせっせと仕事をしている間に執事は骨休め、というコンセプトにシャッレケがあって良かったのですが。名探偵の休暇、もっとも、休んでいたのではないと、後で分かる仕掛けで怪盗の件も含め、全体に「後で分かる」ということが多くて、そこまでに退屈してしまうのが残念。これを見れば一流の執事魂を体得できるように出来ており、執事志願者には必見ですぞ!
豪華客船という限定空間が舞台にもかかわらず、主要人物が都合よく現れたり、消えたりしては、謎解きはどうでもよくなってしまうのは惜しい。丸ごとレジャー気分の映画で、楽しみましょう。
2013年劇場鑑賞作品・・・251 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

マニアック ★★★.5

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ウィリアム・ラスティグ監督による1980年の同名映画を、「ピラニア3D」のアレクサンドル・アジャ&「アーティスト」のトマ・ラングマン製作、「ロード・オブ・ザ・リング」のイライジャ・ウッド主演でリメイクしたサスペンススリラー。
ロサンゼルスで両親が経営していたマネキン店を継いだ青年フランクは、淫乱で残忍な母親に育てられたトラウマから、生身の女性を愛することができず、自分が修復したマネキンたちに愛情を注いでいく。やがてフランクは夜な夜な若い女性を殺害し、その毛髪を頭皮ごとはいで自分のマネキンにかぶせるという異常な行動に出始める。そんなある日、フランクの前にマネキンを作品のモチーフに使わせてほしいという女性カメラマンのアンナが現れ……。

<感想>1980年版の猟奇的サイコサスペンスのリメイクで、主人公の名前や猟奇性はほとんどオリジナル版のままだが、サイコホラーの恐怖度も時代と共に進化している。その痛さやサスペンスの密度は、この現代版の方が段違いに上だと感じた。
それは主人公役を「ロード・オブ・ザ・リング」3部作で全世界の老若男女のヒーローとなり、「ホビットの思いがけない冒険」でも、その品行方正な優等生的存在感を見せつけてくれるイライジャ・ウッド。
しかし、「シンシティ」で見せた怪演を確実に覚えているファンにとっては、彼がただの“いい子“なんかじゃないことは百も承知のはず。それもそのはず、彼はホラー映画専門の制作会社を設立するくらいの本格的なホラー・マニアなのである。
このところ、お行儀のよい芝居が続いた反動か、ついに自らの暗黒面を前面に押し出した狂気の演技で決めている。

イライジャが演じるのは、オリジナルではジョー・スピネリが小汚く演じたマネキンしか愛せない頭皮剥ぎ殺人マニア。KNBエフェクツの特殊メイクで描かれる強烈なバイオレンスの中で、イライジャは繊細かつ優雅なまでの圧倒的演技で、殺戮でしか愛を表現できない主人公の心情を表現。それは見る者に殺人鬼へのシンパシーを感じさせる域まで到達していると思った。
だが、何度も出て来る主観映像(鏡に映るイライジャ)が、観ているこちらの感情を殺人者側に同化させるような効果をもたらす。けれど、その変質的殺人は確かにおぞましいが、主人公のキャラクターにどこか哀れさを誘うものがあり、というか、まだ未熟なときに魂を傷つけられ、でも何がしか無垢なるものも残っているとでもいうような。
贔屓目は抜きにしても、主人公の人格形成を大きく左右した母親の存在が決定的で、そういう意味ではこの主人公は犠牲者でもあるのだ。男好きで薬中毒、溺愛と放置の繰り返しで、息子を育てたシングルマザー。よくある話だが、そういえば笑うしかないほどおぞましい快作中の「ムカデ人間2」の主人公も、息子を口汚く罵倒する母親と暮らしていた。予告編でしか見てないが。

そして、マネキン修復師という主人公の仕事。無機質な物体であるマネキンを、より完璧に仕上げるために、殺した女たちから剥ぎ取った毛髪を、頭皮ごとマネキンの頭にかぶせるというのだが、終盤で、何体ものそんなマネキンが置かれた彼のベッドルームの醜悪、不気味さはまさに悪夢そのまんまで、臭気すら漂う気分である。
「人間の身体の部分で唯一永遠なのは髪の毛だ」と、マネキン修復師のフランクが、一方的に妄想を募らせている女性カメラマンに言う。命が消えた肉体は、直ちに腐敗していくが、毛髪だけはそのままだということ。女性カメラマンを通して、美術界の俗悪ぶりを皮肉っているのも印象的。
そういえば、日本の「リング」シリーズの貞子の長い黒髪も、呪いと恐怖の重要な一部を担っていた。毒を飲まされた「四谷怪談」のお岩の髪の毛が、ゾロリと抜け落ちるのも、髪は女の命と言われているから、何故か恐怖映画には、女の髪の毛が付き物である。
2013年劇場鑑賞作品・・・252  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

クソすばらしいこの世界 ★★★

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本作で長編デビューを果たす朝倉加葉子が監督と脚本を担当し、『息もできない』で大きな存在感を示したキム・コッピをヒロインに迎えて放つホラー。留学先のアメリカで、とんでもない悲劇に見舞われることになる留学生たちの身の毛もよだつ体験を活写。衝撃作『ムカデ人間』で注目を浴びた北村昭博や、元AV女優のしじみらが共演。日韓のアイデンティティーを交錯させつつ描かれる、血みどろの地獄絵に卒倒しそうになる。

<感想>仙台でもやっと上映された。今年の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」でプレミア上映された朝倉加葉子監督作。女性監督による初の劇場映画がスラッシャー、しかも舞台はアメリカの荒野。ヒロインは「息もできない」のキム・コッピ。微妙に下品なタイトルの指し示す意味とは?・・・。
アメリカに留学しながら学びもせず、酒とドラッグにうつつを抜かす日本人留学生たちが、キャンプ先でホワイト・トラッシュの殺人鬼兄弟に襲われるお話。
アメリカの片田舎のキャンプ地で、次々に手足を切り落とされていく犠牲者が、日本人留学生たちというところに時局的な面白みがあると言えばあるんですよね。

親が金持ちで大学に多額の寄付をしているから、帰国して「留学」に一字を履歴書に書き加えることだけが目的で、英語などまるっきり喋れないまま、マリファナやセックスだけは一丁前に謳歌しているという。中には一人だけ、エリカ様だけは英語が喋れる。
でもね、猛烈に帰りたくなっても電車に乗って、みたいな場所ではない。最寄りのコンビニですらえんえん歩いても辿り着けない僻地の別荘なの。文明の利器たるiPhoneだって電波が届かなければ、ただのガラクタですから。

しかも、その兄弟とはコンビニですれ違っていたんですよね。一連の残虐殺人は、金銭目当てのホワイト・トラッシュ(クズ白人)の、レッドネックの兄弟の仕業で、父親不在の世界で、死んだ“ママ”への思い出への執着が、兄のヘンリーにあるらしいところが、かの有名なヒッチ・コックの「サイコ」みたいなシーンで見られます。殺人者がシャワーで血を洗うと排水口に鮮血が渦巻いて流れ込むシーンなんかは、もう「サイコ」のパロディであることは決定的である。
殺人鬼兄弟の弟ヴィクターが、殺人の後始末を「イエローの女」に目撃されたというところから、6人の東アジア系留学生に危険が迫るわけだが、どうやらこの弟と入れ替わって自ら新たな殺人者と化すエリカ様の方に「サイコ」じみた文字通りサイキックな秘密または謎があるんですね。この殺人鬼と化したエリカ様の、秋葉原メイド衣装が実にユニークでいい。

キャンプ行きの金づるに誘いこまれた韓国人留学生アジュン(キム・コッピ)は、日本語が全くダメだから頼りはエリカ様だけ。苦労して仕送りをしてくれる本国の母親への恩返しを口にして、努力努力で成績トップクラスというアジュンが、唯一生き残る人間として選ばれるのなら救いがあるのだが、物語の逆説からしても一番弱い人間が生き残る、そうなるしかないと思っていると。
果たしてその通りになった。地獄巡りの果てに何かを得る。これをしも一人一人の人間の成長物語。認識獲得の物語と呼べるとしても、荒涼たる風景の中をふらふら遠ざかっていくアジュンの姿が幕切れとは、これぞ救いなしとも読めるし、そこは観客の判断に任せているという終わり方っていうのもいいです。

映画のラストで、辛うじて興味を繋ぎ止めてくれるのが、この弟ヴィクターとエリカ様の、激しくもアンドロジーナスな入れ替わりがもたらす早い展開だが、結局は、一番深められそうなこの謎解きは、血なまぐさい活劇の中でウヤムヤになってしまう。
傑作の「悪魔のいけにえ」や凡作だった「13日の金曜日」、「飛び出す悪魔のいけにえ/レザーフェイス一家の逆襲」など、血を正当に受け継いで見せた、こうしたスラッシャー・ホラーの基本フオーマットは、どちらかというと日本の風土に馴染みがたいそれを、冒頭で雄大なアメリカの風景に置くことで、一気にリアリティを獲得していると思った。それに、ラストシーンでの雪が降るところ。偶然なのか知らないが効果的な雪のショットが素晴らしかった。
2013年劇場鑑賞作品・・・253  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ホワイトハウス・ダウン ★★★★★

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「インデペンデンス・デイ」「2012」のローランド・エメリッヒ監督が、謎の組織にホワイトハウスが乗っ取られ、ワシントンD.C.が危機に陥る様子を描くアクション大作。議会警察官のジョン・ケイルは、大統領のシークレットサービスになるため面接試験を受けるが不採用となってしまう。幼い娘をがっかりさせたくないと、ジョンは娘をホワイトハウスの見学ツアーに連れ出すが、その時、謎の武装集団がホワイトハウスを襲撃、占拠するという前代未聞の事態が発生する。政府が大混乱に陥る中、ジョンは大統領や娘、そして合衆国の命運をかけた戦いに身を投じる。主人公の警察官ジョン・ケイル役に「G.I.ジョー」のチャニング・テイタム、米大統領役に「ジャンゴ 繋がれざる者」のジェイミー・フォックス。

<感想>この映画の主人公は、ホワイトハウス・ファンの少女エミリー。そして黒人大統領を守り抜こうとする娘の父親ジョンである。議事堂護衛の守衛であるジョンは、大統領警護のシークレット・サービスになろうと躍起になっているのだが、日本には首相官邸ファンや官邸警護員になりたがる人ってあまりおらず、さらには、大統領選で膨大なボランティアが沸いて出るアメリカと違って、議院内閣制の首相選出にもあれほどの昂奮はないから、日本の観客の目には劇中での父娘の行動に、不可解に映るかもしれませんね。

それでも、同じコンセプトの企画で3月に公開された「エンド・オブ・ホワイトハウス」よりもこっちの方が数段面白かった。ストーリー的に似ていてもまったく違うのは敵。北朝鮮からのテロリストによる襲撃だったし、同じく一人の男、シークレット・サービスの男が大統領と独り息子を守るお話だった。
あの映画で思ったのは、ホワイトハウスのセキュリティの薄さに驚いた。アメリカを陥れることが出来るのは、内部にいる人間が関わっていること。これは政治的な映画で、一見テロリストのようだがそうじゃない。ここで起こっているのはクーデターなのかもしれない。

主人公のジョン・ケイルは大統領を尊敬する娘をがっかりさせたくないために、ホワイトハウス見学ツアーに参加するが、偶然、重武装した集団によるホワイトハウス乗っ取りの場に、居合わせてしまったのだ。ジョン・ケイルを演じるのは、米ピープル誌が選ぶ「世界一セクシーな男2012」に選ばれたチャニング・テイタム。アクションもラブストーリーもコメディもこなし、今最も脂ののっている彼が、元軍人という設定にふさわしい身のこなしと、鍛え上げられた筋肉美を披露。スタントの殆どを自らこなしたと言う、そのワイルドでセクシーな熱演には目が釘付けになります。

そして、彼が守ることになる大統領ジェームズ・ソイヤーを演じるジェイミー・フォックスとの絡みも見ものですよ。大統領を前にしても動じることなくタメ口で話すジョンと、大統領とな思えない戦いぶりを見せるジェイミーの掛け合いは、時にハードで、時にユーモラス。さらにもう一人の主役のエミリーが、ホワイトハウスを戦闘機のミサイルで爆破するのを、「大統領旗を打ち振り」待ったをかけ断行させる圧巻のシーンに惚れ惚れしました。彼女を演じたのはジョーイ・キング、ジェームズ・ブランコ主演の「オズ はじまりの戦い」では陶器の少女の声を演じて、「ラブアゲイン」ではウィーバー家の娘の役を演じていたのですね。

そして、主役級といえるのが、戦いの舞台となるホワイトハウス。監督のローランド・エメリッヒは、ホワイトハウスをできるだけリアルに描くことに力を注ぎ、一般的には解放されていない中枢部まで忠実に再現。オバマ大統領の経費節減政策によって見学ツアーが中止されたいま、ホワイトハウスの内部を見られるのはこの映画だけかも。いわばこの映画自体がスクープとなっているのだ。しかも、監督はこれまで2度もホワイトハウスをぶっ潰してきたディザスタームービーの巨匠であるからにして。今回も無残な姿へと変貌していくホワイトハウスの姿を、惜しげもなく映し、武装組織との銃撃戦から、炎上する軍事ヘリの墜落まで、激しいアクション描写で見る者を震え上がらせる。
合衆国政府が突然の混乱によってカオスと化し、国家の運命を委ねられたジョンは、まるで「ダイハード」のブルースのようにランニング一枚で、タイムリミットまでのカウントダウンが迫る中、孤独な戦いを続ける彼の活躍から目が離せなくなる。しかし、大統領が生きているのに、それが中枢部に知らせないと、次の大統領が選ばれて、核ミサイルボタンの暗唱番号とIDを知らされるなんて、これはクーデターの物語だ。
2013年劇場鑑賞作品・・・254  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

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