「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」のダニエル・ラドクリフ主演で贈るゴシック・ホラー。19世紀末、他界した大富豪の遺産整理のため、イギリスの田舎町に赴いた弁護士が“黒衣の女”にまつわる怪現象に遭遇する。原作はスーザン・ヒルの『黒衣の女 ある亡霊の物語』。ホラーの名門、ハマーフィルムズによる作品。
あらすじ:19世紀末のロンドン。若手弁護士アーサー・キップス(ダニエル・ラドクリフ)は事務所所長から、田舎町クライシン・ギフォードにある“イールマーシュの館”で、他界したアリス・ドラブロウ夫人の遺産整理に必要な遺言書の捜索を指示される。
さらに所長は、4年前に最愛の妻を亡くしてから仕事に身が入らないアーサーに、この仕事をやり遂げないと解雇すると通告。アーサーは火曜日にロンドンを発ち、仕事が終わった週末は息子ジョセフを現地に呼び寄せ、一緒に過ごす計画で旅立つ。
列車内で紳士のサム・デイリー(キアラン・ハインズ)と知り合い、町に到着するが、宿の主人や地元弁護士の態度には歓迎せざる空気が漂っていた。翌日、人里離れた沼地で陰鬱に佇む館に出向いた彼は、文書整理を進めるうちにナサニエルという7歳の少年の死亡証明書を発見。
沼地で溺死したこの少年の遺体は未発見だった。やがて、森の中に立つ黒衣の女を目撃するアーサー。その報告に訪れた警察では、真っ青な顔をした少女が現れ、目の前で息絶える。木曜日。少女が警察で亡くなったのは、館への訪問が原因だと主張する村人たちの制止を振り切って出かけたアーサーは、再び黒衣の女を目撃。
その部屋で、ナサニエルの死の真相と、その母ジェネットが、息子の命を守れなかった姉のアリス宛てに呪いの言葉を記した手紙を発見する。ジェネットが自殺した事実を知ったアーサーは、怪奇現象に遭遇し、一連の事件原因が彼女の呪いだと確信。町の住人を憎むジェネットが、子どもたちの命を奪い続けていたのだ。
“あの女の姿を見ると、必ずその人の子どもは死ぬ”。デイリーの妻エリザベス(ジャネット・マクティア)の警告に、アーサーは戦慄する。今日は金曜日。夜には家政婦とともにジョセフがやってくる。息子の命を救うには、ナサニエルの遺体をジェネットに返すしかないと考えたアーサーは、デイリーとともに遺体が眠る沼地へ向かうが……。 (作品資料より)
<感想>スーザン・ヒルのゴシックホラー小説「黒衣の女 ある亡霊の物語」を原作にした映画化で、新生ハマーが制作に参加。原作は、英国本国ではTVやラジオでドラマ化され、出版から4年後には舞台劇となり、現在も上演中というから驚く。日本では92年に斉藤晴彦と萩原流行で初演して、以後、斉藤晴彦と西島秀俊とか、上川隆也で度々上演されているというくらい有名なのだそうですが、知らなかった。
今回は「ハリー・ポッター」シリーズ完結後、初となるダニエル・ラドクリフ主演作です。英国のホラー映画としては異例の大ヒットを各国で記録したというし、すでに続編の制作が決定しているそうです。
妻が死んで心を痛める弁護士のラドクリフが、仕事で田舎町へ出かけるため、幼い息子と離れ離れになるという切ない心情に、観客の心の胸をグッと掴むような。心心身共にやつれた彼が、霧の立ち込める沼地の島の洋館を訪れ、彼はその洋館の周辺で“黒衣の女”の姿を度々目撃するが、・・・。
“黒衣の女”が画面の端に影のように映っていたり、景色とかすかに同化していたり、まるでJホラーの恐怖演出のような、音響もおどろおどろしく、さも亡霊の怨念が憑りつくような、恐怖を醸し出しているのも効果的です。日頃オカルトホラー映画を観ているので、そんなに怖くはありませんが、そんな表現で緊張感を高めながら、ラドクリフが底なし沼から亡霊の女の子供と思われるナサニエルの死体を発見し、成仏させようとする下りになると、親子の絆をテーマにした「リング」を彷彿とさせる。
引き潮時だけに行ける孤島にある館。深い霧が立ち込め、1本の道を馬車や車で行くにも、一つ間違えて道を踏み外すと泥沼にハマり込んでしまうという恐ろしい場所。その亡霊の怨念がいつまで続くのか、亡霊の息子を沼から引き揚げるラドクリフの奮闘も叶わず、自分の息子までその亡霊の生贄になるとは。
それでも英国伝統のゴシックホラーのプライドとして、格調高いムードは感じられます。例えば霧深い沼地の島をつなぐ1本道が、満ち潮時に消えてゆく様を捉えた映像は、あまりに素晴らしく、その沼地に建つ洋館のたたずまいも実に恐ろしく荒れ放題で見事でした。
脚本家のジェーン・ゴールドマンが参考にしたのは「リング」や「呪怨」など和製ホラーで、館に残る女の怨念や逃れられない死の恐怖といった要素とか、霧の出現シーンなどにその影響がうかがえますね。
2012年劇場鑑賞作品・・・134 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ
あらすじ:19世紀末のロンドン。若手弁護士アーサー・キップス(ダニエル・ラドクリフ)は事務所所長から、田舎町クライシン・ギフォードにある“イールマーシュの館”で、他界したアリス・ドラブロウ夫人の遺産整理に必要な遺言書の捜索を指示される。
さらに所長は、4年前に最愛の妻を亡くしてから仕事に身が入らないアーサーに、この仕事をやり遂げないと解雇すると通告。アーサーは火曜日にロンドンを発ち、仕事が終わった週末は息子ジョセフを現地に呼び寄せ、一緒に過ごす計画で旅立つ。
列車内で紳士のサム・デイリー(キアラン・ハインズ)と知り合い、町に到着するが、宿の主人や地元弁護士の態度には歓迎せざる空気が漂っていた。翌日、人里離れた沼地で陰鬱に佇む館に出向いた彼は、文書整理を進めるうちにナサニエルという7歳の少年の死亡証明書を発見。
沼地で溺死したこの少年の遺体は未発見だった。やがて、森の中に立つ黒衣の女を目撃するアーサー。その報告に訪れた警察では、真っ青な顔をした少女が現れ、目の前で息絶える。木曜日。少女が警察で亡くなったのは、館への訪問が原因だと主張する村人たちの制止を振り切って出かけたアーサーは、再び黒衣の女を目撃。
その部屋で、ナサニエルの死の真相と、その母ジェネットが、息子の命を守れなかった姉のアリス宛てに呪いの言葉を記した手紙を発見する。ジェネットが自殺した事実を知ったアーサーは、怪奇現象に遭遇し、一連の事件原因が彼女の呪いだと確信。町の住人を憎むジェネットが、子どもたちの命を奪い続けていたのだ。
“あの女の姿を見ると、必ずその人の子どもは死ぬ”。デイリーの妻エリザベス(ジャネット・マクティア)の警告に、アーサーは戦慄する。今日は金曜日。夜には家政婦とともにジョセフがやってくる。息子の命を救うには、ナサニエルの遺体をジェネットに返すしかないと考えたアーサーは、デイリーとともに遺体が眠る沼地へ向かうが……。 (作品資料より)
<感想>スーザン・ヒルのゴシックホラー小説「黒衣の女 ある亡霊の物語」を原作にした映画化で、新生ハマーが制作に参加。原作は、英国本国ではTVやラジオでドラマ化され、出版から4年後には舞台劇となり、現在も上演中というから驚く。日本では92年に斉藤晴彦と萩原流行で初演して、以後、斉藤晴彦と西島秀俊とか、上川隆也で度々上演されているというくらい有名なのだそうですが、知らなかった。
今回は「ハリー・ポッター」シリーズ完結後、初となるダニエル・ラドクリフ主演作です。英国のホラー映画としては異例の大ヒットを各国で記録したというし、すでに続編の制作が決定しているそうです。
妻が死んで心を痛める弁護士のラドクリフが、仕事で田舎町へ出かけるため、幼い息子と離れ離れになるという切ない心情に、観客の心の胸をグッと掴むような。心心身共にやつれた彼が、霧の立ち込める沼地の島の洋館を訪れ、彼はその洋館の周辺で“黒衣の女”の姿を度々目撃するが、・・・。
“黒衣の女”が画面の端に影のように映っていたり、景色とかすかに同化していたり、まるでJホラーの恐怖演出のような、音響もおどろおどろしく、さも亡霊の怨念が憑りつくような、恐怖を醸し出しているのも効果的です。日頃オカルトホラー映画を観ているので、そんなに怖くはありませんが、そんな表現で緊張感を高めながら、ラドクリフが底なし沼から亡霊の女の子供と思われるナサニエルの死体を発見し、成仏させようとする下りになると、親子の絆をテーマにした「リング」を彷彿とさせる。
引き潮時だけに行ける孤島にある館。深い霧が立ち込め、1本の道を馬車や車で行くにも、一つ間違えて道を踏み外すと泥沼にハマり込んでしまうという恐ろしい場所。その亡霊の怨念がいつまで続くのか、亡霊の息子を沼から引き揚げるラドクリフの奮闘も叶わず、自分の息子までその亡霊の生贄になるとは。
それでも英国伝統のゴシックホラーのプライドとして、格調高いムードは感じられます。例えば霧深い沼地の島をつなぐ1本道が、満ち潮時に消えてゆく様を捉えた映像は、あまりに素晴らしく、その沼地に建つ洋館のたたずまいも実に恐ろしく荒れ放題で見事でした。
脚本家のジェーン・ゴールドマンが参考にしたのは「リング」や「呪怨」など和製ホラーで、館に残る女の怨念や逃れられない死の恐怖といった要素とか、霧の出現シーンなどにその影響がうかがえますね。
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