ザ・ガード　西部の相棒　★★．５

アイルランドの田舎町を舞台に、地元警官とFBI捜査官の凸凹コンビが凶悪事件に挑む姿を描いたアクション・コメディ。アイルランド西部の小さな町で気ままな毎日を過ごしていた初老の警察官ボイル。そんな彼の前に、アメリカからやって来たFBI捜査官エベレットが現われる。この町で行われるという大規模な麻薬取引を捜査しに来たエベレットは、倫理観に欠けるボイルの言動に振り回されながらも一緒に捜査を進めていくが……。
コカイン密輸事件に興味がないボイルだったが、熱血でまだ若い相棒がこの事件で姿を消し、お気に入りの娼婦からは事件から目をつぶるよう説得される。密輸組織は地元の警察を買収。ボイルはエベレットだけを頼りに、事件に挑む。衝撃の結末へ向け、イギリスの相棒が動き出す!
主演は「ハリー・ポッター」シリーズのブレンダン・グリーソンと「ホテル・ルワンダ」のドン・チードル。第18回大阪ヨーロッパ映画祭で「アイルランドの事件簿」のタイトルで上映された。
２０１１年、アイルランド／監督：ジョン・マイケル・マクドナー　
原題:the guard

＜感想＞『ハリー・ポッターと死の秘宝』と「ベオウルフ＼呪われし勇者」のブレンダン・グリーソンと『ホテル・ルワンダ』のドン・チードルがデコボココンビとなって犯罪に挑むアクションコメディ。ちなみにブレンダン・グリーソンは、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」でブリガム曹長を演じていた。

ドン・チードルは『再会の街で』と最近では「アイアンマン３」でローディを演じて好印象。「アベンジャーズ＼エイジ・オブ・ウルトロン」（１５）でも、ローディで活躍している。
「オーシャンズ１３」では、曲芸バイク乗りを演じていた。
アイルランドの田舎町の巡査・ボイルは、傍若無人すぎる一匹狼の不良ガード。ガードとは警察官のこと。
倫理性を欠き、独特のユーモアのセンスを持つ女好きの中年男だ。ある日のこと、シリアル・キラーの殺人事件を一緒に捜査した新しい相棒が、赴任当日に行方不明に。事件を追っていく内に、国際的マフィアのコカイン密輸事件に行く着く。
ボイル巡査は、アメリカからやってきたＦＢＩ捜査官のドン・チードルと組んで、事件の真相に迫るが、・・・。
ゴールデングローブ賞ほか、世界中の映画賞にノミネートされたアイルランド発のブラック・コメディの傑作。マフィアのコカイン密輸事件と聞くと、ボイル巡査が手を上げて「黒人でしょう犯人は」と、虚言や差別発言がポンポン飛び出す、正気なのか狂っているのか分からないが、実はやり手の巡査なのだ。それに母親思いも。
独身で女好きなボイルの趣味は、休みの日はバリっと正装して売春婦とデート。デブった巨体でベッドシーンもあり。
悪党に捕まるも「性病で●●●がかゆい」と相手を油断させ、股間を掻きながら不意に、股間に隠していた拳銃を取り出し射殺する。などの警官ボイルのキャラ造形が秀悦で面白いのが最高。
そんな彼とペアを組むＦＢＩ捜査官が、アメリカ黒人という設定も憎いですよね。それにバディ・ムービーとしては、あまり機能してないのも確信犯的オフビート。アイルランドでは、よそ者に冷たいので、単独でドン・チードルが捜査するも誰も寄せ付けないのだ。
マフィアの親分を演じるマーク・ストロングは、「キック・アス」の役とややシンクロするが、水族館での秘密会談中に、「鮫はいい、癒される」などと神妙な顔で発言するなど、主役のグリーソンに負けないキャラクターと狂気で、クライマックスのブラッディな銃撃戦では、嬉々として大暴れする。
田舎の牧歌的な空間を舞台にした、わけのわからなさが魅力のトリッキーなブラック・コメディとしては、サイモン・ペッグの「ホットファズ／俺たちスーパーポリスメン！」を彷彿とさせ、見応えのあるブラック・コメディに仕上がっていると思う。劇場未公開なのが本当に惜しまれる。
２０１５年ＤＶＤ鑑賞作品・・・３５映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング