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デビルズ・ノット ★★★

むごたらしい児童殺人と冤罪(えんざい)としか思えぬ容疑者逮捕で話題となった、ウエスト・メンフィス3事件を映画化したサスペンス。犯人と断定された若者たち、その逮捕に疑問を抱く探偵など、さまざまな者たちの姿を通して事件の全貌に迫っていく。メガホンを取るのは、『スウィート ヒアアフター』のアトム・エゴヤン。『英国王のスピーチ』などのコリン・ファース、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』などのリース・ウィザースプーンやデイン・デハーンらが顔をそろえる。彼らの妙演はもちろん、複雑怪奇でおぞましい事件の内容にも息をのんでしまう。
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<感想>先週末に観賞したのだが、1993年、アメリカのアーカンソー州ウエスト・メンフィスで、3人の幼い男の子が忽然と姿を消し、その夜、両親たちの通報を受けた警察が捜査を開始する。だが、翌日の午後、彼らは変わり果てた姿となって発見される。現場は「ロビンフッドの森」と呼ばれる緑地を流れる泥で濁った川で、3人の子供たちの遺体が発見されたのだ。
それは、全裸に剥がれ、靴ひもで手足を縛られ、屠殺される動物のような格好で水の底に沈んでいた。頭蓋骨は陥没し、体中に無数の切り傷やひっかき傷があった。一人の男の子は性器の皮を削ぎ取られていた。その惨たらしい状況からみて、警察は地元の「サタニストの関与」を疑い、1か月後に、10代の少年3人が容疑者として逮捕される。
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主犯格とされた18歳のダミアン・エコールズは死刑判決を受け、その親友である16歳のジェイソン・ボールドウィンに、警察に重要証言をもたらした17歳のジェシー・ミスケリー・Jr.は、それぞれ終身刑を言い渡された。
10代のオカルティストによる残虐非道な儀式殺人というセンセーショナルなニュースに、人々はおそれおののき、怒りと悲しみに打ち震えたのである。
ですが、事件発生から3年後、ケーブルTV局HBOで放映されたドキュメンタリーでは、さらに大きな衝撃を全米にもたらしたのです。
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犯人として逮捕された3人の罪が、すべて司法当局の憶測と、でっちあげによる「冤罪」であることを示唆(そそのかす)していたからなのです。
というのも、ダミアンとジェイソンは、メタルミュージックやホラー映画が好きで、いつも黒いTシャツを着ていて、周囲にの大人たちから白い目で見られているだけの、ごく普通のティーエイジャーだった。それに、ジェシーはIQが低く、事件当時はアリバイがあったにもかかわらず、警察の長時間の尋問により、判断力を奪われ、偽の証言を引き出されたことが明らかになったのだ。
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そして、裁判では、地元警察と検察による悪質な印象操作が徹底的に行われた。あるときは、ジェイソンの自宅そばの池から、都合よく見つかった凶器のナイフを証拠品として提出し、そのナイフは、刃の形状と遺体の傷跡が合致しなかった。それに、怪しげなオカルト専門家を招いてダミアンの落書き帳を分析させるなど、陪審員に偏ったイメージを巧みに植え付けていったのだ。
結果、数々の反証が弁護側から上げられたにもかかわらず、非常な判決が下されたのである。誰がどうみても間違った結末だったといえる。
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それから、冤罪を着せられた3人の少年たちを支持する運動が全米各地に広がり、やがて芸能人も彼らの支援に乗り出したのである。彼らと顔見知りだったアイスクリーム売りの青年には、デイン・デハーンが演じており、現場近くの女子トイレにいた血まみれの黒人男性など、不審な人物がいたにもかかわらず、警察はよく取り調べもしないのだ。
この映画は殺された事件の実話です。今から21年前、どこにでもいそうな感じのメタル好き、ホラー映画マニアの3人の少年が、地元で起きた凶悪殺人事件の犯人にでっちあげられた「ウエスト・メンフィス3」事件。彼らの釈放を求める長期に及ぶ闘いで、同事件を扱ったドキュメンタリーは4本にものぼり、満を持してのドラマ化されたのがこの映画です。
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探偵のロンにコリン・ファースが演じているが、この人は3人の少年の冤罪はらしに奔走したのか、もう少しだけの出番で勿体ない演技で、どちらかというと、殺された子供の母親を演じた妊娠中の、デブったリース・ウィザースプーンの方が上手かった。本当の犯人を見つけることができなかった警察は?・・・
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こんな不透明な題材を、よくぞここまで視覚化してくれたと思う。いかにも怪しすぎるヘヴィメタ信者の青年らを容疑者に仕立て上げ、真犯人よりも表向きの解決を望む共同体の、集団心理といった目に見えない社会的な意識の流れをとらえたドラマは、現実以上にリアルであるようだ。
それを裏付けるための、事件現場となった濁った川の不気味さ、そこに沈められた少年たちの手足を縛る靴ひもの描写などは、観るに堪えないほどの不快さと、猟奇的事件の結末が見えないことに苛立ちを覚える。
予備知識なしで見るなら、フィクションの結末がぼかされて終わるのに、納得のいかない苛立たしさが残る後味の悪さ。これは現実の事件を再現したものなので、冤罪事件への関心へと人を導くという政治的効果は十分に果たしていると思う。
実は、劇中でウィザースプーンの夫が怪しいと睨んだ。殺された息子が前夫の子供で、養父はあまり可愛がっていなかったようだ。映像の中で、この養父が真犯人のようなことが、母親であるパムから凶器のナイフを提示されるのだが、
後に犯人は、ほとんど示されているのと同じだが、警察はまだ真犯人を見つけてはいないようだ。養父の動機も不明なので、やはり不条理の時空に導かれるように思えた。最後まで曖昧なままで、どうにも腑に落ちないイライラ感が募って後味が悪くすっきりとしないのだ。
2015年劇場鑑賞作品・・・33Image may be NSFW.
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