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バンクーバーの朝日 ★★★.5

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1900年代初頭のカナダに暮らす日系人が、過酷な環境にあえぎながらも野球チームを結成、戦術やひたむきさでやがて白人に認められていくさまを実話を基に描くドラマ。メガホンを取るのは『舟を編む』『ぼくたちの家族』などの石井裕也。製材所で肉体労働に就く野球チームのキャプテンを妻夫木聡が演じるほか、チームのメンバーに亀梨和也、勝地涼、上地雄輔、池松壮亮、主人公の父親に佐藤浩市など豪華キャストが集結する。体格で勝るカナダ人を相手に、力ではなく技術で立ち向かっていく彼らの姿に爽やかな感動を覚える。
あらすじ:1900年代初めのカナダ・バンクーバー。貧しい日本から新天地を目指してカナダにやって来た日本人たちは、想像を絶する激しい肉体労働や貧しさに加え、差別にも苦しんでいた。製材所で働くレジー笠原(妻夫木聡)やケイ北本(勝地涼)、漁業に携わるロイ永西(亀梨和也)らは野球チーム「バンクーバー朝日」に所属し、最初は白人チームにばかにされながらも、次第に現地の人々にも認められていく。

<感想>戦前、カナダの西海岸に実在した日系人野球チームの快進撃を描いた実録野球映画である。日系二世を中心とした「バンクーバーの朝日」は、体格とパワーで上回る白人チームを相手にし、足技を絡めた緻密なチームプレーで球場を沸せた人気アマチュアチームなのだ。

移民に対して人種差別が厳しかった時代ながら、フェアプレーに徹して白人ファンが多かったことで知られる。当時の資料や関係者への取材を元にして「サマーウォーズ」の奥寺佐渡子が脚本をまとめ、「舟を編む」の石井裕也監督が戦争の足音が近づく中で、野球に打ち込んだ若者たちの青春ドラマに仕立てている。
口下手なキャプテンのレジー笠原には妻夫木聡が、ショートを守り、年長者という理由からキャプテンになる。そして、無口な漁師のロイ永西には亀梨和也が、親子二代にわたる漁師で、父親はカナダ軍に志願して戦死。それでも行政の締め付けは厳しく、満足に漁に出ることもできない。
チームのムードメーカーのケイ北本には、勝地涼がセカンドを守りレジーと同じく製材所で働く。連戦連敗が続く中でも、決してふさぎこまない。寡黙なチームメイトが多い中、口数が多いタイプである。

そして、キャッチャーのトム三宅。豆腐屋に婿入りしたが、商売よりも野球が優先。妻には呆れられているが、それでも野球は止められない。野球こそが生き甲斐なのだ。そして、チーム最年少のサードを守るフランク野島には、池松壮亮が、ホテルでポーターをしているが、日本人らしい細やかなサービスがモットー。日中戦争が始まり、白人からの差別を強く感じ始める。

移民に対する締め付けは厳しく、白人より低賃金で職場も限定されていた。肉体労働をしながら野球好きな日系人らは、嬉々としてグランドに集まる。しかし、パワーでは白人に勝てないと新キャプテンに選ばれた妻夫木くんは、自分たちに合った戦術を考えるのであった。打席で追い詰められたレジーは、バントで出塁に成功するのであった。

上地雄輔も出演していた。
妻夫木君演じるレジーの父親が佐藤浩市。彼は昔気質の飲んだくれ親父で、頑なにカナダ人との交流を避けてきたのだが、草野球チーム朝日の快進撃に気を良くしたのか感化されて、息子のレジーのために初めてカナダ人店主の店でグローブを買うエピソード。レジーが父親に対して“ありがとう“とは言わないし、嬉しそうな顔すら見せない。でも、心の中では確実に嬉しくて感謝の念を持っていて、父親のいない場面で実にひっそりと示されるのである。
もう一つは、カナダ人との試合中に乱闘になる場面での後日談でのこと、出場停止の元凶となった亀梨和也演じるロイに、レジーが何故野球をするのかと問うシーンがある。これは、作品のテーマそのものを表す重要なやり取りなのだが、レジーが「なぜ、僕が野球をするのか」と大事な精神を語る場面。レジーの本心が、ロイの心に染み込んで野球をやる意味を失いかけていた彼の気持ちを変えるわけ。

大柄な白人に対して、小技で攻める攻撃は有効だった。少ないヒットで勝利するようになる。だが、日米開戦が迫り、日系人は収容所に隔離されることになる。その生活は電気も水道もなく、水は近くの川の水を汲み運ぶ重労働だ。
海外ロケのように見えるが、足利市に東京ドーム1つ分の広大なオープンセットを作り上げての撮影だ。観ていて違和感なしの古き善き下町情緒を漂わせる日本人街、オールドタイプの野球場、さらには白人街までリアルに再現した巨大オープンセットには感心しました。
2014年劇場鑑賞作品・・・369 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


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