記憶を除去する特殊な手術を受けた男女の恋の行方を描いたラヴ・ストーリー。監督・原案は「ヒューマンネイチュア」のミシェル・ゴンドリー。製作総指揮・脚本・原案は「ヒューマンネイチュア」「アダプテーション」のチャーリー・カウフマン。撮影は「アナライズ・ユー」のエレン・クラス。出演は「ブルース・オールマイティ」のジム・キャリー、「ネバーランド」のケイト・ウィンスレット、「スパイダーマン」シリーズのキルスティン・ダンスト、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイライジャ・ウッド、「コラテラル」のマーク・ラファロ、「真珠の首飾りの少女」のトム・ウィルキンソンほか。2005年アカデミー賞オリジナル脚本賞ほか多数受賞。
あらすじ:バレンタイン目前のある日、ジョエル(ジム・キャリー)は、最近ケンカ別れした恋人のクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)が、自分との記憶を全部消してしまったという不思議な手紙を受け取る。ショックを受けたジョエルは、自らもクレメンタインとの波乱に満ちた日々を忘れようと、記憶除去を専門とするラクーナ医院の門を叩く。
ハワード・ミュージワック博士(トム・ウィルキンソン)が開発したその手術法は、一晩寝ている間に、脳の中の特定の記憶だけを消去できるというもの。さっそく施術を受けるジョエル。技師のパトリック(イライジャ・ウッド)、スタン(マーク・ラファロ)、メアリー(キルスティン・ダンスト)が記憶を消していく間、無意識のジョエルは、クレメンタインと過ごした日々を逆回転で体験する。
しかしやがて、ジョエルは忘れたくない素敵な時間の存在に気づき、手術を止めたいと思うようになるが、そのまま手術は終わる。そして朝。家を出たジョエルは、衝動的に仕事をさぼって海辺へと向かい、そこでクレメンタインと出会う。二人は互いに惹かれ合うが、彼らのもとに、消された記憶について二人がそれぞれ語っているテープが届く。自分と博士との不倫の記憶を消されたと知ったメアリーが、彼らに送ったのだ。テープから聞こえてくるお互いの悪口。しかし二人は、それでも改めて恋に落ちるのだった。(作品資料より)
<感想>だいぶ前にも見たのだけれど、記事を載せていないので。この作品の素晴らしさ、発想も構成も奇想天外で、ぶっ飛びまくりなのに、信じられないほどロマンティックです。脚本家のチャーリー・カウフマンと言えば、誰も思いつかないような変な世界に観客を誘い込み、幻惑しながら魅了する希代のストーリーテラー。
本作でももちろん、奇想天外で驚くことしかり。にもかかわらず、映画そのものは信じられないほどロマンティックで、ストレートに心を直撃するのです。ごくごく身近に共感できるラブストーリー。
しかも、とてつもなく可笑しくて、胸を締め付けられるように切なく、美しく、やたらヘヴィーで、いつまでも心をかき乱すのだから。とにかくなるべく予備知識を入れずに見ることをお勧めします。さわりだけ言えば、これはゴンドリー監督が友人から、もし、「あなたの恋人は、あなたの記憶を消去しました。今後、彼女には接触しないで下さい」と言われたらどうする?・・・と言われたことに端を発し、カウフマンの脳みそが反応してできた物語なのだそうです。
男と女が出会って恋に落る冒頭から、二人の関係は予想外の方向へ暴走し始める。その内、物語のどんなパーツを見せられているのかが、だんだんと分かり、脇役たちがどんなふうに主人公の運命にかかわっているのかが、判明して行くプロセスは、映画ファンとしても最高のご馳走である。
そして、予想外と言えば、主役の二人もしかり。内向的でローテーションなジョエル役にジム・キャリー。この作品で、彼はやっと成りたかった自分になれたのでは?
そして髪の毛を凄い色に染めた変人キャラ、クレメンタイン役のケイト・ウィンスレット。矛盾だらけの人間くささを振りまいて、素敵過ぎるくらいハマリ役である。
この正反対の二人が、愛することの意味、等々をとことん考えさせてくれる。さらには、これまた破壊的な映像感覚と音楽のセンス。もうこれ以上望み得ないという語り口が実現するところ。
特に記憶を除去中のジョエルが、幼い頃の恥ずかしい記憶の中に、クレメンタインを隠そうとあたふたする辺りの描写はもう、たまらない。強烈な二つのイメージ、想像力と映像が、完璧にお互いを補い合うという、摩訶不思議でクラクラするほど贅沢な奇跡だ。このパワーに心揺さぶられること間違いありません。
監督のゴンドリーとその友人ビスマスの原案が作品の出発点であるためか、カウフマンの脚本にしては物足りなさを感じる。ジョエルがクレメンタインと過ごした時間が逆行したり、記憶の中の彼女を守るために少年時代に連れ去るといった発想は、確かにユニークだが、入り組むのはあくまで時間であって、彼らの心の方は、複雑に揺れるというよりは、状況に応じて意外とシンプルに変化していく。
これまでのカウフマンの主人公たちは、耐えがたい自己嫌悪と抑えがたい欲望の狭間で、妄想を膨らませ、暴走を繰り広げてきた。それは、自分という枠組みすら危うくする妄想や暴走であり、ドラマには着地点が見えない緊張感があった。この映画の男女は、そういう次元には踏み出さない。だから結果がどちらに転んでも、一応は安心して見ていられる。
2014年DVD鑑賞作品・・・53 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:バレンタイン目前のある日、ジョエル(ジム・キャリー)は、最近ケンカ別れした恋人のクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)が、自分との記憶を全部消してしまったという不思議な手紙を受け取る。ショックを受けたジョエルは、自らもクレメンタインとの波乱に満ちた日々を忘れようと、記憶除去を専門とするラクーナ医院の門を叩く。
ハワード・ミュージワック博士(トム・ウィルキンソン)が開発したその手術法は、一晩寝ている間に、脳の中の特定の記憶だけを消去できるというもの。さっそく施術を受けるジョエル。技師のパトリック(イライジャ・ウッド)、スタン(マーク・ラファロ)、メアリー(キルスティン・ダンスト)が記憶を消していく間、無意識のジョエルは、クレメンタインと過ごした日々を逆回転で体験する。
しかしやがて、ジョエルは忘れたくない素敵な時間の存在に気づき、手術を止めたいと思うようになるが、そのまま手術は終わる。そして朝。家を出たジョエルは、衝動的に仕事をさぼって海辺へと向かい、そこでクレメンタインと出会う。二人は互いに惹かれ合うが、彼らのもとに、消された記憶について二人がそれぞれ語っているテープが届く。自分と博士との不倫の記憶を消されたと知ったメアリーが、彼らに送ったのだ。テープから聞こえてくるお互いの悪口。しかし二人は、それでも改めて恋に落ちるのだった。(作品資料より)
<感想>だいぶ前にも見たのだけれど、記事を載せていないので。この作品の素晴らしさ、発想も構成も奇想天外で、ぶっ飛びまくりなのに、信じられないほどロマンティックです。脚本家のチャーリー・カウフマンと言えば、誰も思いつかないような変な世界に観客を誘い込み、幻惑しながら魅了する希代のストーリーテラー。
本作でももちろん、奇想天外で驚くことしかり。にもかかわらず、映画そのものは信じられないほどロマンティックで、ストレートに心を直撃するのです。ごくごく身近に共感できるラブストーリー。
しかも、とてつもなく可笑しくて、胸を締め付けられるように切なく、美しく、やたらヘヴィーで、いつまでも心をかき乱すのだから。とにかくなるべく予備知識を入れずに見ることをお勧めします。さわりだけ言えば、これはゴンドリー監督が友人から、もし、「あなたの恋人は、あなたの記憶を消去しました。今後、彼女には接触しないで下さい」と言われたらどうする?・・・と言われたことに端を発し、カウフマンの脳みそが反応してできた物語なのだそうです。
男と女が出会って恋に落る冒頭から、二人の関係は予想外の方向へ暴走し始める。その内、物語のどんなパーツを見せられているのかが、だんだんと分かり、脇役たちがどんなふうに主人公の運命にかかわっているのかが、判明して行くプロセスは、映画ファンとしても最高のご馳走である。
そして、予想外と言えば、主役の二人もしかり。内向的でローテーションなジョエル役にジム・キャリー。この作品で、彼はやっと成りたかった自分になれたのでは?
そして髪の毛を凄い色に染めた変人キャラ、クレメンタイン役のケイト・ウィンスレット。矛盾だらけの人間くささを振りまいて、素敵過ぎるくらいハマリ役である。
この正反対の二人が、愛することの意味、等々をとことん考えさせてくれる。さらには、これまた破壊的な映像感覚と音楽のセンス。もうこれ以上望み得ないという語り口が実現するところ。
特に記憶を除去中のジョエルが、幼い頃の恥ずかしい記憶の中に、クレメンタインを隠そうとあたふたする辺りの描写はもう、たまらない。強烈な二つのイメージ、想像力と映像が、完璧にお互いを補い合うという、摩訶不思議でクラクラするほど贅沢な奇跡だ。このパワーに心揺さぶられること間違いありません。
監督のゴンドリーとその友人ビスマスの原案が作品の出発点であるためか、カウフマンの脚本にしては物足りなさを感じる。ジョエルがクレメンタインと過ごした時間が逆行したり、記憶の中の彼女を守るために少年時代に連れ去るといった発想は、確かにユニークだが、入り組むのはあくまで時間であって、彼らの心の方は、複雑に揺れるというよりは、状況に応じて意外とシンプルに変化していく。
これまでのカウフマンの主人公たちは、耐えがたい自己嫌悪と抑えがたい欲望の狭間で、妄想を膨らませ、暴走を繰り広げてきた。それは、自分という枠組みすら危うくする妄想や暴走であり、ドラマには着地点が見えない緊張感があった。この映画の男女は、そういう次元には踏み出さない。だから結果がどちらに転んでも、一応は安心して見ていられる。
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