日本でも寺尾聰主演で映画化された東野圭吾のベストセラー小説を、『殺人の告白』などのチョン・ジェヨンを主演に迎え韓国で映画化した衝撃の復讐(ふくしゅう)劇。大事な一人娘を少年たちに陵辱(りょうじょく)された揚げ句に殺害された父親の煩悶(はんもん)と、血も涙もない事件にまつわる人々がそれぞれ抱える苦悩に迫る。ベテラン刑事を、『凍える牙』などのイ・ソンミンが熱演。加害者と被害者、罪と罰という単純な構図とかけ離れた人間の深い業と宿命に涙する。
あらすじ:織物工場に勤務するごく普通のサラリーマンのサンヒョン(チョン・ジェヨン)は、数年前に妻をガンで亡くして以来娘のスジン(イ・スビン)を男手一つで育ててきた。残業ばかりの父親に対し娘は不満顔で、ある朝、不機嫌な顔のまま朝食も食べずに登校してしまう。その夜、土砂降りの雨の中サンヒョンが仕事から戻っても家にスジンの姿はなかった。
<感想>邦画の「さまよう刃」も、小説も読みました。特に東野圭吾の小説は殆どといってくらい読んでいます。特に東野圭吾の小説は映画化されているのが多く、それも全部といってくらい観賞しています。中でも良かったのは、映画「麒麟の翼 劇場版・新参者」(12)、「容疑者Xの献身」「白夜行」、「手紙」(06)でしょうか。
本作は、快楽を求める少年(高校生)たちによって中学生の娘を拉致され、薬物を投与した後での強姦の後で、殺された父親が、警察や法律の手を借りずに、自分の手で彼らを罰しようとする姿が描かれている。
娘を惨殺された親ができることは何か?・・・という問いを抱えた父親の、激しい感情のうねりが物語を導いていきます。その分、それぞれのキャラクター描写も丁寧で、特に被害者から犯人たちを殺害する加害者へと、変貌する父親が、職場では誠実に働く姿を見せていることで、「人のいい平凡な男が、人を殺すという極端な選択に追い込まれていく」という皮肉な構図をはっきりと感じさせております。
また、犯人の家に侵入した父親が、少年を殺すに至る過程や、普通の人には縁遠いはずの猟銃を手にする経過も説得力があると思われた。とにかく、警察が怠慢で何をしているのか、観ていて苛立ちが隠せません。犯人を追って、父親がここまで調べ上げているのに、警察は何処を捜査しているのか。
父親は、娘を殺した少年たちの家を探し、そこで自分の娘をレイプしている動画のDVDを見つけて唖然とする。もし、自分だって殺してしまうかもしれない。金属バットで頭を殴りつける父親は、こうでもしないと娘に対して申し訳が立たないと思って殴ったのだろう。
こうした、映画の中で見せるべきことをくっきりと太い線で描き出す、と言った姿勢は、近年の韓国映画の作品には共通しており、長編2作目となるイ・ジョンホ監督が手掛けた本作も、その成功例となっているようだ。
この先どうなっていくのかという、興味で観る者をぐいぐいと引っ張っていくスピーディな展開とサスペンスな映像に魅了されます。
中でも、少年たちを追いつめていく父親を「黒く濁る村」「殺人の告白」のチョン・ジェヨンが、加害者を守る少年法への疑問と職務との間で葛藤する刑事を「凍える牙」のイ・ソンミンがそれぞれ熱演。その他にも実力のある俳優が加わり、不条理な犯罪によって、愛する者を奪われてしまった人間の、どうしようもない絶望感が伝わってきます。
ラストでは、父親はすでにあの雑木林の雪の中で凍え死んでしまったかのように見えたのだが、顔も知らない高校生を探してケータイで駅前にいると知り、最後の力を振り絞ってよろよろと町まで行きつく。駅前では、警察が大勢張り込んでいて、今か今かと待っている。
そこへ猟銃を抱えて父親が来るのだが、バスの中で見た高校生に名前を聞くと、他人の名前を言う彼を、まさか娘を殺した犯人とは分からなかったのだ。だから、皮肉にも町へと必死の形相で男を探しに行っても父親には分からない。そこへ警察が、その高校生を確保するのを見て、初めて気が付くのだ。もうその時は、犯人を殺す気力なんてない。猟銃には弾が入っておらず、しかし、猟銃を少年に向けた瞬間に刑事が発砲する。
なんて理不尽なことが、法律では少年法に守られて、いくら婦女暴行の末に殺しても殺人罪の適用はなく、裁判でも2年位の少年院行ですぐに世の中に出て来るのだ。こうした事件は日本でもあるので、実話でなくとも信憑性がありますよね。ラストの父親が亡くなってから、あの世で娘に傘を持って、駅に迎えにいく姿が映し出され涙を誘います。
2009年日本版「さまよう刃」寺尾聰さんの名演技で光る、感動の映画です。
2014念劇場鑑賞作品・・・344 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
東野圭吾作品
「麒麟の翼 劇場版・新参者」(12)、
「容疑者Xの献身」
「白夜行」、「手紙」
あらすじ:織物工場に勤務するごく普通のサラリーマンのサンヒョン(チョン・ジェヨン)は、数年前に妻をガンで亡くして以来娘のスジン(イ・スビン)を男手一つで育ててきた。残業ばかりの父親に対し娘は不満顔で、ある朝、不機嫌な顔のまま朝食も食べずに登校してしまう。その夜、土砂降りの雨の中サンヒョンが仕事から戻っても家にスジンの姿はなかった。
<感想>邦画の「さまよう刃」も、小説も読みました。特に東野圭吾の小説は殆どといってくらい読んでいます。特に東野圭吾の小説は映画化されているのが多く、それも全部といってくらい観賞しています。中でも良かったのは、映画「麒麟の翼 劇場版・新参者」(12)、「容疑者Xの献身」「白夜行」、「手紙」(06)でしょうか。
本作は、快楽を求める少年(高校生)たちによって中学生の娘を拉致され、薬物を投与した後での強姦の後で、殺された父親が、警察や法律の手を借りずに、自分の手で彼らを罰しようとする姿が描かれている。
娘を惨殺された親ができることは何か?・・・という問いを抱えた父親の、激しい感情のうねりが物語を導いていきます。その分、それぞれのキャラクター描写も丁寧で、特に被害者から犯人たちを殺害する加害者へと、変貌する父親が、職場では誠実に働く姿を見せていることで、「人のいい平凡な男が、人を殺すという極端な選択に追い込まれていく」という皮肉な構図をはっきりと感じさせております。
また、犯人の家に侵入した父親が、少年を殺すに至る過程や、普通の人には縁遠いはずの猟銃を手にする経過も説得力があると思われた。とにかく、警察が怠慢で何をしているのか、観ていて苛立ちが隠せません。犯人を追って、父親がここまで調べ上げているのに、警察は何処を捜査しているのか。
父親は、娘を殺した少年たちの家を探し、そこで自分の娘をレイプしている動画のDVDを見つけて唖然とする。もし、自分だって殺してしまうかもしれない。金属バットで頭を殴りつける父親は、こうでもしないと娘に対して申し訳が立たないと思って殴ったのだろう。
こうした、映画の中で見せるべきことをくっきりと太い線で描き出す、と言った姿勢は、近年の韓国映画の作品には共通しており、長編2作目となるイ・ジョンホ監督が手掛けた本作も、その成功例となっているようだ。
この先どうなっていくのかという、興味で観る者をぐいぐいと引っ張っていくスピーディな展開とサスペンスな映像に魅了されます。
中でも、少年たちを追いつめていく父親を「黒く濁る村」「殺人の告白」のチョン・ジェヨンが、加害者を守る少年法への疑問と職務との間で葛藤する刑事を「凍える牙」のイ・ソンミンがそれぞれ熱演。その他にも実力のある俳優が加わり、不条理な犯罪によって、愛する者を奪われてしまった人間の、どうしようもない絶望感が伝わってきます。
ラストでは、父親はすでにあの雑木林の雪の中で凍え死んでしまったかのように見えたのだが、顔も知らない高校生を探してケータイで駅前にいると知り、最後の力を振り絞ってよろよろと町まで行きつく。駅前では、警察が大勢張り込んでいて、今か今かと待っている。
そこへ猟銃を抱えて父親が来るのだが、バスの中で見た高校生に名前を聞くと、他人の名前を言う彼を、まさか娘を殺した犯人とは分からなかったのだ。だから、皮肉にも町へと必死の形相で男を探しに行っても父親には分からない。そこへ警察が、その高校生を確保するのを見て、初めて気が付くのだ。もうその時は、犯人を殺す気力なんてない。猟銃には弾が入っておらず、しかし、猟銃を少年に向けた瞬間に刑事が発砲する。
なんて理不尽なことが、法律では少年法に守られて、いくら婦女暴行の末に殺しても殺人罪の適用はなく、裁判でも2年位の少年院行ですぐに世の中に出て来るのだ。こうした事件は日本でもあるので、実話でなくとも信憑性がありますよね。ラストの父親が亡くなってから、あの世で娘に傘を持って、駅に迎えにいく姿が映し出され涙を誘います。
2009年日本版「さまよう刃」寺尾聰さんの名演技で光る、感動の映画です。
2014念劇場鑑賞作品・・・344 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
東野圭吾作品
「麒麟の翼 劇場版・新参者」(12)、
「容疑者Xの献身」
「白夜行」、「手紙」