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Channel: パピとママ映画のblog
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光にふれる ★★★.5

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台湾出身の盲目のピアニスト、ホアン・ユィシアンの実話を基に描く感動作。全盲ながらも類いまれなピアノの才能を持つ青年と、ダンサーを志す女性の出会いを通して、お互いに夢に向かって奮闘する姿をみずみずしいタッチで描き出す。ホアン・ユィシアン自身が主演を務め、相手役を台湾の女優サンドリーナ・ピンナが好演。さまざまな困難を乗り越え、母の愛や友情に包まれて羽ばたく主人公の姿に勇気をもらう。
あらすじ:生まれたときから目が見えないユィシアン(ホアン・ユィシアン)は、台中で花農家を経営する両親と幼い妹と一緒に生活していた。ピアノの才能に恵まれた彼は台北の大学に進学が決まり、母親(リー・リエ)の運転する軽トラックで大学の寮に向かう。視覚障害者を初めて受け入れた大学では、ユィシアンの移動を日直のクラスメートが手助けすることが決まり……。

<感想>台中で静かな田舎の風景の中、両親が農作業をする傍らで、山道の奥を見つめる兄と小さな妹。「誰がやってくるか、どっちが先に当てるか競争しよう」と、ほどなくしてバイクの音がする。その音に、瞬時に誰のバイクか当てる兄と、負けたことを悔しがる妹がいた。
多分いつもこうして当てっこして遊んでいたのだろう。兄は目が不自由なこと、その分聴覚が優れていることで、更にはユィシアンの台北の音大に旅立つその日の、家族との別れの辛さまでもさりげなく伝える冒頭のシーン。

盲目の天才ピアニストの実話に基づく感動作との、ふれこみから簡単には感動しないと、身構えて観ていました。一気に画面に引き寄せられる。この映画は、チャン・ロンジーによる短編「光にふれる」に、感銘を受けたウォン・カーウァイがプロデューサーとして名乗りをあげ、短編をさらに深めて長篇として仕上げたもの。

その物語は、ユィシアンの大学生活を描く過程でも通して変わらず、不安や戸惑いに揺れながらも、周囲の人々とのかかわりによって徐々に自立していく姿を、細やかに、かつ自然に映し出していく。

柔かい画調が、作品世界の優しい感触をうまく盛り上げている。ピアノ演奏に才能を見せる、目の不自由な若者ユィシアン本人を主人公に、飲料水配達の仕事をしながらダンサーを志す、
サンドリーナ・ピンナと親しくなっていくプロセスが描かれていて、フランスの血を半分受け継いでいるというピンナの雰囲気も、この作品に都会的な気分をもたらしているようですね。
感動秘話というよりは、コミカルなシーンやオタク学生たちの胸が熱くなる友情もあり、可愛いらしいカレッジ青春ものとして楽しく観れました。

音楽の力、ホアン・ユィシアンの演奏に心揺さぶられ静かに涙が頬を伝うとは。
最後の音楽コンテストと、ダンスのオーディションが、もうちょっと盛り上がると、もっと良かったのに。

日本にも盲目の天才ピアニストで辻井伸行さんがいます。彼のアメリカでの賞には本当に努力が実って良かったと思いました。ホアン・ユィシアンとどこか似ているようですね。
辻井さんは映画の「神様のカルテ」の、作曲家としてもみずみずしい才能を発揮している音楽家でもあります。彼の演奏するどの曲も、清々しく、音色がいきいきとしたピアノ演奏には驚かされます。ときに優しく、ときに力強く、一歩引いた感じの演奏がいいですね。

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