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バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち★★★

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エルヴィス・プレスリーやザ・ローリング・ストーンズなど数々のミュージシャンを、類いまれなる歌唱力で支えてきたバックシンガーたち。彼女たちの多くは聖歌隊で歌うことを覚え、才能を開花させた。しかし、多くがソロでの活躍を夢見ながら失敗に終わっている。1960年代から活躍するダーレン・ラヴをはじめ、第一線で活動するバックシンガーがその栄光と挫折を赤裸々に語る。

<感想>音楽界のトップスターたちを陰で支えてきたバックコーラスの女性たちにスポットを当てて、その知られざる成功と挫折を捉えたドキュメンタリー。彼女たちの波乱の人生を、当時の貴重な映像や大物ミュージシャンによる証言と即興セッションなどで描いている。
ロックやソウルのスターたちのライブ映像を見ると、ステージ後方に必ずといっていいほど黒人女性のバックコーラス隊がいることに気付く。中には驚くほどの美人もいるし、たまにはスターとデュエットしたりすると、主役を喰うほど歌が上手かったりする。
黒人女性がプロデューサーから搾取され、メインストリームに躍り出ても、黒いバービーとして男の眼を惹く露出度の高いドレスを着せられること。それでも、70年代にアーティストとして迎えられたロックシーンの話しが楽しい。

デイヴィッド・ボウイとのリハーサル風景や、ミック・ジャガーと何かあった感じのする睦まじい回想などが興味深かった。だが、念願のソロデビューで失敗する経緯は、バックコーラスがプロ意識として裏方なわけではない、という悶々とする現実を見たような気がした。
登場するのはサム・クック、エルヴィス、フィル・スペクターのセッションで活躍してきたダーレン・ラヴをはじめ、ストーンズや「ギミー・シェルダー」での絶唱で知られるメリー・クレイトン。そのストーンズのツアーに現在欠かせない存在であるリサ・フィッシャー、マイケル・ジャクソンの追悼コンサートで注目されてソロデビューが決まったジュディス・ヒルら。

彼女たちが参加したロック〜ソウルの名曲をBGMに、父親が牧師の家庭がやたらと多い音楽的背景や、自分たちを正当に扱ってくれた英国白人ロッカーたちへの感謝など、興味深いエピソードが続きます。
バックとはいうものの、いずれも抜群に歌が巧く、聞いているだけで楽しくなってくる。それでも彼女たちは現状に甘んじているわけではなく、いつかはセンターに立ちたいと願望しているのだが、その過程では挫折したり、消えていったり、ショービジネスの過酷な内側が映し出され、華やかさとは裏腹の悲しさが滲んでくる。

それにしても、黒人女性が多いという点が気になった。歌が巧いというだけでなく、そこには使い捨ててもいいという裏事情があるのではと勘ぐってしまった。バックに留まる者とフロントに出る者の違いはどこにあるのか、という問いに、別にスターと比べなくてもいいじゃないの。それぞれ多少地味でも個性があるのだし、声自体は素晴らしいのだから、とは思うだけれど。

でもやはりかたわらに映るミック・ジャガーや、デビッド・ボウイやマイケル・ジャクソンたちの特別な輝きには、本当のスターが映し出されると間が持つなぁと、感嘆してしまう自分もいたりするのだ。
彼女たちは何故にあの立場に甘んじているのだろうか?・・・これまでソロデビューの話はなかったのだろうか?・・・そんな疑問に答えてくれるのが、本作の音楽ドキュメンタリー映画を手掛けてきた、モーガン・ネヴィル監督である。
2014年劇場鑑賞作品・・・87  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


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