『サスペリア』『フェノミナ』などの鬼才ダリオ・アルジェントが、ホラー文学の古典であるブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」を実写化。吸血鬼であるドラキュラ伯爵が巻き起こす恐怖の数々を、バンパイア研究家ヴァン・ヘルシングとの対決を交えて描く。ドラキュラにふんする『ワルキューレ』などのトーマス・クレッチマンや『ブレードランナー』などのルトガー・ハウアーを筆頭に、実力派が出演。妖しさと戦慄(せんりつ)を兼ね備えた物語に加え、アルジェント監督ならではの鮮やかなビジュアルも見応え満点。
あらすじ:19世紀末のトランシルバニア。ドラキュラ伯爵(トーマス・クレッチマン)の屋敷で行う図書館司書の仕事を紹介してもらおうと、妻・ミナ(マルタ・ガスティーニ)の友達であるルーシー(アーシア・アルジェント)のつてを頼ってパスブルクという小さな村へ向かったジョナサン・ハーカー(ウナクス・ウガルデ)。だが、それは美しいミナを手に入れようとたくらむ吸血鬼ドラキュラの策略であった。虎視眈々(たんたん)と彼女を狙うドラキュラであったが、その前に吸血鬼研究者のヴァン・ヘルシング(ルトガー・ハウアー)が立ちはだかる。
<感想>吸血鬼もの、ヴァンパイアの映画が好物な私。男女問わず人の生き血を吸い、決して死なず、愛を渇望する屈折した怪物が永遠を彷徨う。ミニシアターで上映していたのだが、今週で終わりということで観賞。74歳を迎えても、無敵なダリオ・アルジェント節は本作でも健在でした。
格調高い画面に突如ねじ込まれる女吸血鬼のおっぴろげなヌードシーンや、この時代に絵の具のような真っ赤な流血の数々。特筆すべきは一人黙々と必殺ニンニク弾丸を鋳造するヴァン・ヘルシング。そのスタイルはまるで西部劇のガンマンを見ているようだった。
ミナが依頼して現れる吸血鬼研究者のヴァン・ヘルシング、ドラキュラ退治に乗り出すルトガー・ハウアーに、呆気に取られ快感がすこぶるいい感じだった。
いやはや、いかにも古典的なドラキュラで、これはこれで悪くないと思った。もっとも、同時に、ホラーファン、それもウルサ型には応えられない映像でしょう。
サイレント映画を、派手な音楽と色彩つきで観ているような、妙な感じが付きまとう。全体に漂うムードが時代がかっているせいに違いありません。異国の小さな街の醸しだすエキゾチシズムがそうだし、美形女優をそろえて、特にミナを演じたマルタ・ガスティーニの、エロチックに仕立てたあたりも中々いい。
ドラキュラは難しい。全員、吸血鬼になってしまえば怖くないと思うからだろうか。ドラキュラ伯爵は、悲劇の存在にもなるし、ポランスキーのような喜劇にも簡単に反転するからだ。
70年代に、ホラー映画の華麗な革新を成し遂げた鬼才ダリオ・アルジェントが、どう料理したか、正統派を尊重しつつも、あらゆる要素を取り込もうとしているように見受けられる。
その結果、ドラキュラ伯爵の屋敷で、図書館司書の仕事をするジョナサン・ハーカーが、早々に伯爵の毒牙を受け、吸血鬼はとんでもない変身を遂げ、善と悪の闘いにもこの映画は中立を決め込むといった設定である。
幽体離脱を誘うような音響、クラウディオ・シモネッティのいかがわしい旋律も、バルカン半島の民族音楽ふうの旋律を取り入れているそうです。
テルミンの音色とともに、ドラキュラは狼やコウモリのみならず、鼠や蜘蛛、蠅とゴキブリなど自由自在に変化して、自由自在に始終画面をさまよい、霞がかった物語がぼんやりと流れて消えてゆくような感じ。
中でもドラキュラが一番狙っていた美女、ミナを毒牙にかけようとするシーンには巨大カマキリに変身するが、これは監督のアイデアであり変身は監督自身のファンタジーだというのだ。
ジャームッシュのシニカルで、悩めるインテリなヴァンパイアとは対極をいく、私情にまみれ欲情剥き出しの肉食系ドラキュラ伯爵。演じているトーマス・クレッチマンは、タキシードにマントの定番スタイルではなく、黒のロングコートに身を包んだお洒落な紳士の印象でした。
この監督の作品で「ジャーロ」DVDで観賞してました。
2014年劇場鑑賞作品・・・88 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:19世紀末のトランシルバニア。ドラキュラ伯爵(トーマス・クレッチマン)の屋敷で行う図書館司書の仕事を紹介してもらおうと、妻・ミナ(マルタ・ガスティーニ)の友達であるルーシー(アーシア・アルジェント)のつてを頼ってパスブルクという小さな村へ向かったジョナサン・ハーカー(ウナクス・ウガルデ)。だが、それは美しいミナを手に入れようとたくらむ吸血鬼ドラキュラの策略であった。虎視眈々(たんたん)と彼女を狙うドラキュラであったが、その前に吸血鬼研究者のヴァン・ヘルシング(ルトガー・ハウアー)が立ちはだかる。
<感想>吸血鬼もの、ヴァンパイアの映画が好物な私。男女問わず人の生き血を吸い、決して死なず、愛を渇望する屈折した怪物が永遠を彷徨う。ミニシアターで上映していたのだが、今週で終わりということで観賞。74歳を迎えても、無敵なダリオ・アルジェント節は本作でも健在でした。
格調高い画面に突如ねじ込まれる女吸血鬼のおっぴろげなヌードシーンや、この時代に絵の具のような真っ赤な流血の数々。特筆すべきは一人黙々と必殺ニンニク弾丸を鋳造するヴァン・ヘルシング。そのスタイルはまるで西部劇のガンマンを見ているようだった。
ミナが依頼して現れる吸血鬼研究者のヴァン・ヘルシング、ドラキュラ退治に乗り出すルトガー・ハウアーに、呆気に取られ快感がすこぶるいい感じだった。
いやはや、いかにも古典的なドラキュラで、これはこれで悪くないと思った。もっとも、同時に、ホラーファン、それもウルサ型には応えられない映像でしょう。
サイレント映画を、派手な音楽と色彩つきで観ているような、妙な感じが付きまとう。全体に漂うムードが時代がかっているせいに違いありません。異国の小さな街の醸しだすエキゾチシズムがそうだし、美形女優をそろえて、特にミナを演じたマルタ・ガスティーニの、エロチックに仕立てたあたりも中々いい。
ドラキュラは難しい。全員、吸血鬼になってしまえば怖くないと思うからだろうか。ドラキュラ伯爵は、悲劇の存在にもなるし、ポランスキーのような喜劇にも簡単に反転するからだ。
70年代に、ホラー映画の華麗な革新を成し遂げた鬼才ダリオ・アルジェントが、どう料理したか、正統派を尊重しつつも、あらゆる要素を取り込もうとしているように見受けられる。
その結果、ドラキュラ伯爵の屋敷で、図書館司書の仕事をするジョナサン・ハーカーが、早々に伯爵の毒牙を受け、吸血鬼はとんでもない変身を遂げ、善と悪の闘いにもこの映画は中立を決め込むといった設定である。
幽体離脱を誘うような音響、クラウディオ・シモネッティのいかがわしい旋律も、バルカン半島の民族音楽ふうの旋律を取り入れているそうです。
テルミンの音色とともに、ドラキュラは狼やコウモリのみならず、鼠や蜘蛛、蠅とゴキブリなど自由自在に変化して、自由自在に始終画面をさまよい、霞がかった物語がぼんやりと流れて消えてゆくような感じ。
中でもドラキュラが一番狙っていた美女、ミナを毒牙にかけようとするシーンには巨大カマキリに変身するが、これは監督のアイデアであり変身は監督自身のファンタジーだというのだ。
ジャームッシュのシニカルで、悩めるインテリなヴァンパイアとは対極をいく、私情にまみれ欲情剥き出しの肉食系ドラキュラ伯爵。演じているトーマス・クレッチマンは、タキシードにマントの定番スタイルではなく、黒のロングコートに身を包んだお洒落な紳士の印象でした。
この監督の作品で「ジャーロ」DVDで観賞してました。
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