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コッホ先生と僕らの革命 ★★★

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19世紀末、当時反英感情が強かった帝国主義下のドイツで初となる英語教師になり、自らの進退を顧みずイギリス発祥のスポーツであるサッカーを通じて生徒たちの自立や成長を促した男とその生徒たちを描いたヒューマンドラマ。後にドイツ・サッカーの父と呼ばれるコンラート・コッホを「イングロリアス・バスターズ」「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリュールが演じる。他、「白いリボン」のブルクハルト・クラウスナー、「es [エス]」のユストゥス・フォン・ドーナニー、「善き人のためのソナタ」のトマス・ティーマらが出演。監督は主にドイツのテレビ番組制作に携わってきたセバスチャン・グロブラー。本作がデビュー作となる。

<感想>正月三が日に鑑賞した映画。ドイツ・サッカーの起源は19世紀末のイギリスだとは知らなかった。オックスフォード大学に留学していたドイツ人の青年教師が、英語とともにドイツに持ち込んだというのだ。そのコンラート・コッホ先生は実在した人物だそうで、彼を演じるのが「グッバイ・レーニン」のダニエル・ブリュール。彼はドイツ人の父とスペイン人の母の間にバルセロナで生まれたハーフなためか、ドイツ語、スペイン語、英語に堪能でこの役にぴったりで、流ちょうなドイツ語と英語を披露している。

お話は、イギリス帰りのコッホ先生の母校への赴任から始まり、彼が持ち込んだ「サッカーによる英語教育」への反発へと飛び火して、やがては規律を重んじる帝国主義ドイツの教育と相いれない型破りで自由なコッホ式教育の排斥運動へと至る。
ドイツにおけるフットボール(サッカー)事始めを描いた映画で、それはそれで興味深いのだが、イギリスを敵視している時代風潮下で、学校はなぜ英語を教材に取り上げたのかとか、説明不足のところも少なくない。ドイツでは「こんなものはスポーツではない」とか、「イギリス発祥の野蛮なゲームだ」と、学校にはまったく取り合ってもらえなかった。

今から140年前のこと、ちょうど日本が開国した時代の話である。その後20世紀に入って、やがて第二次世界大戦で同盟を結ぶことになる日本も、ドイツも、世界からは後進国扱いされていた時代。
英国帰りの教師がドイツ的生真面目さを浮き彫りにしているのだが、それはケンスイに始まり、重力の主題が一貫することもいいが、サッカーに憑りつかれた生徒たちは、強権を振りかざす学校側にそっぷを向き、コッホ先生の周りに集まり心の成長を遂げていく、・・・というストーリー展開はありきたりで平凡であるのは致し方がないものの、セバスチャン・グロブラー監督の手堅い演出とブリュール少年たちの好演で最後まで見せているのがいい。

サッカーの面白さ、そしてスポーツとして“選手はみな公平である”という精神を辛抱強く繰り返しながら生徒たちを巻き込んでいく。一方では、将来の軍人を育てるための体育=軍事教練にへきえきしていた生徒たちは、ボールを追いかけ、ボールを蹴る楽しさに目覚めてしまう。学校の禁止されても、自分たちで場所を見つけ、ゴールを作り、ボールまで作って(ボールを作る生徒のエピソードは最高!)サッカーを楽しもうとする笑顔が最高。
それにしても、身分の違いや、いじめを乗り越えて、新しいものを警戒し毛嫌いする風潮と、因習とに戦ったコッホ先生と生徒たちの努力が、今の現在のドイツのサッカーの強さと言えるでしょう。
2013年劇場鑑賞作品・・・1   映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ



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