金儲けのためにマフィアからドラッグを奪った刑事が、マフィアにさらわれた一人息子を取り戻す姿を描くノワール・アクション。監督・脚本は『優しい狂気』のフレデリック・ジャルダン。出演は「ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀」のトメル・シスレー。撮影を「グラン・トリノ」のトム・スターンが手掛ける。
あらすじ:白日の下、車が襲われ、大量のコカインが強奪された。犯人は刑事二人組で、彼らはドラッグの転売による金儲けを企んでいた。だがコカインは強奪できたものの、首謀者のヴァンサン(トメル・シスレー)は、相手に腹部を刺され、傷を負ってしまう。その直後、別れた妻から“一人息子のトマと連絡がとれない”との電話が入る。犯行の最中に素顔を見られたためにヴァンサンの素性がばれ、マフィアのボスにトマを誘拐されてしまったのだ。
マフィアは、コカインの入ったバッグの返還を要求、ヴァンサンは彼らが経営するクラブへと向かう。クラブの天井裏にコカインを隠し、ヴァンサンはマフィアとの交渉に向かうが、彼を尾行していた女性麻薬捜査官がコカインを奪取。隠し場所からコカインがなくなっていることに気付いたヴァンサンは焦りを募らせるが、さらにそこへコカインを受け取る予定だった別のマフィアが現れる。客でごった返すナイトクラブで、刑事とマフィア、そして彼らを追うもう一組の刑事とマフィアの思惑が複雑に絡み始める。刺された傷が悪化する中、ヴァンサンは一人息子を救うため、命をかけて絶体絶命の状況に立ち向かうのだが……。 (作品資料より)
<感想>これ面白かったです。アクション好きには堪らない映画です。フランスで大ヒットを記録したそうで、ハリウッドリメイクも決定したスリリングな超絶サスペンス・アクション。きっとハリウッド・リメイクでは主人公をウィル・スミスが適任ではないかしら。
この作品の主人公ヴァンサン刑事を演じているのは、「裏切りの闇で眠れ」や「ラル
ゴ・ウィンチシリーズで知られるトメル・シスレー。監督のフレデリックは、父親に「墓場なき野郎ども」などフィルム・ノワールを中心に活躍した脚本家パスカルで、兄も監督・脚本家・俳優として活躍するアレクサンドルと映画家業一家出身である。
クラブという一つのロケーションを舞台にして、どんどんドツボにハマっていく四面楚歌状態な刑事の、苦難の1日を追うという設定が面白い。父親が子供を救出するために邪魔者を全員蹴散らしていく様は、「96時間」のリーアム・ニーソンさながらだが、本作の主人公は格闘のスキルのレベルが高くない上に、それほど知的でもないのだ。だからなのか、逆にそこがリアリスティックで現実性を巧く醸し出していると思った。
なにせ厨房での格闘シーンは白眉だし、トイレの天井裏へ隠したヘロイン入りバックを、女刑事が見つけて男トイレの天井裏へ隠す。それを悪徳同僚刑事が奪って自分の車に隠す。ヴァンサン刑事が息子を取り戻すためには、そのバックが必要なのだが、見つからず厨房で粉を袋詰めして鞄に押し込み、それをマフィアのところへ持って行く。中身がヘロインでないのがバレないか冷や冷やもんのシーンも上手い。
とにかくクラブの中には、玉突きや、ポーカー、ディスコダンスを踊る場所とか、どれくらい広いのよ、っていうくらいにクラブの中だけで格闘したり逃げたり、子供が拉致されている場所もすぐには分からないのもいい。それに、女刑事がストーリーにどれだけ邪魔しているかとか、悪徳刑事にまんまと騙されるし、最後が可愛そうだった。
でも、そのクラブの中にあるレストランのテーブルの上を、駆け抜けるチェイスシーンのカメラワークはお見事といっていい。監督は韓国の「インファナル・アフェア」的なサスペンス要素を取り入れたと言うが、そのツイストはちょっと強引で説得力に欠けている。
そして、舞台となるクラブで流れる肝心の音楽のセンスはイマイチだし、スピード感を前面に出しつつも、たまにトーンダウンしてテンポが狂うから、全体としての構成の甘さが感じられるのが惜しい。
最後で息子が深手を負った父親を病院まで車を運転して送るも、父親が生きているかは分からずじまいで終わるラストに、親子愛を感じてつい胸が熱くなるのがいい。
それでも、リユック・ベッソンが関与していないところで、こんなに切れ味の鋭いサスペンス・アクションがフランスから誕生したのは頼もしい限りですよね。
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あらすじ:白日の下、車が襲われ、大量のコカインが強奪された。犯人は刑事二人組で、彼らはドラッグの転売による金儲けを企んでいた。だがコカインは強奪できたものの、首謀者のヴァンサン(トメル・シスレー)は、相手に腹部を刺され、傷を負ってしまう。その直後、別れた妻から“一人息子のトマと連絡がとれない”との電話が入る。犯行の最中に素顔を見られたためにヴァンサンの素性がばれ、マフィアのボスにトマを誘拐されてしまったのだ。
マフィアは、コカインの入ったバッグの返還を要求、ヴァンサンは彼らが経営するクラブへと向かう。クラブの天井裏にコカインを隠し、ヴァンサンはマフィアとの交渉に向かうが、彼を尾行していた女性麻薬捜査官がコカインを奪取。隠し場所からコカインがなくなっていることに気付いたヴァンサンは焦りを募らせるが、さらにそこへコカインを受け取る予定だった別のマフィアが現れる。客でごった返すナイトクラブで、刑事とマフィア、そして彼らを追うもう一組の刑事とマフィアの思惑が複雑に絡み始める。刺された傷が悪化する中、ヴァンサンは一人息子を救うため、命をかけて絶体絶命の状況に立ち向かうのだが……。 (作品資料より)
<感想>これ面白かったです。アクション好きには堪らない映画です。フランスで大ヒットを記録したそうで、ハリウッドリメイクも決定したスリリングな超絶サスペンス・アクション。きっとハリウッド・リメイクでは主人公をウィル・スミスが適任ではないかしら。
この作品の主人公ヴァンサン刑事を演じているのは、「裏切りの闇で眠れ」や「ラル
ゴ・ウィンチシリーズで知られるトメル・シスレー。監督のフレデリックは、父親に「墓場なき野郎ども」などフィルム・ノワールを中心に活躍した脚本家パスカルで、兄も監督・脚本家・俳優として活躍するアレクサンドルと映画家業一家出身である。
クラブという一つのロケーションを舞台にして、どんどんドツボにハマっていく四面楚歌状態な刑事の、苦難の1日を追うという設定が面白い。父親が子供を救出するために邪魔者を全員蹴散らしていく様は、「96時間」のリーアム・ニーソンさながらだが、本作の主人公は格闘のスキルのレベルが高くない上に、それほど知的でもないのだ。だからなのか、逆にそこがリアリスティックで現実性を巧く醸し出していると思った。
なにせ厨房での格闘シーンは白眉だし、トイレの天井裏へ隠したヘロイン入りバックを、女刑事が見つけて男トイレの天井裏へ隠す。それを悪徳同僚刑事が奪って自分の車に隠す。ヴァンサン刑事が息子を取り戻すためには、そのバックが必要なのだが、見つからず厨房で粉を袋詰めして鞄に押し込み、それをマフィアのところへ持って行く。中身がヘロインでないのがバレないか冷や冷やもんのシーンも上手い。
とにかくクラブの中には、玉突きや、ポーカー、ディスコダンスを踊る場所とか、どれくらい広いのよ、っていうくらいにクラブの中だけで格闘したり逃げたり、子供が拉致されている場所もすぐには分からないのもいい。それに、女刑事がストーリーにどれだけ邪魔しているかとか、悪徳刑事にまんまと騙されるし、最後が可愛そうだった。
でも、そのクラブの中にあるレストランのテーブルの上を、駆け抜けるチェイスシーンのカメラワークはお見事といっていい。監督は韓国の「インファナル・アフェア」的なサスペンス要素を取り入れたと言うが、そのツイストはちょっと強引で説得力に欠けている。
そして、舞台となるクラブで流れる肝心の音楽のセンスはイマイチだし、スピード感を前面に出しつつも、たまにトーンダウンしてテンポが狂うから、全体としての構成の甘さが感じられるのが惜しい。
最後で息子が深手を負った父親を病院まで車を運転して送るも、父親が生きているかは分からずじまいで終わるラストに、親子愛を感じてつい胸が熱くなるのがいい。
それでも、リユック・ベッソンが関与していないところで、こんなに切れ味の鋭いサスペンス・アクションがフランスから誕生したのは頼もしい限りですよね。
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