「ジュラシック・パーク」シリーズのジェフ・ゴールドブラム、『ハンター』のウィレム・デフォーほか豪華キャスト共演で贈る戦争ドラマ。ホロコースト生存者を集めた施設を舞台に、彼らが抱える心の闇と過去からの脱却を斬新な切り口で描く。監督はポール・シュレイダーで、ナスターシャ・キンスキー主演のホラー作品「キャット・ピープル」(05)。他にも「アメリカン・ジゴロ」リチャード・ギアがジゴロ役で熱演している。
あらすじ:1961年、かつてベルリンで喝采を浴び、人々に愛されていたエンターテイナーのアダム・シュタインは砂漠の真ん中に立つサイズリン研究所に身を置いていた。そこはナチスによるホロコーストを生き残った者達をケアする場所として建てられた精神施設だった。アダムは明晰な頭脳と持ち前の話術で周りを惹きつけ、一見すると施設に不釣り合いのように見えたが、彼には退所できないあるがあった…。
<感想>劇場未公開作品。元サーカスの団長アダムを演じるジェフ・ゴールドブラムと言うと、ウイル・スミスと共演してエイリアン退治をした「インデペンデンス・デイ」が有名ですよね。現在61歳のギョロ目で背が高い濃い顔の俳優さん。
その彼がこの作品の中で、イスラエル人作家の小説を映画化した、ナチスのホロコーストで生き延びた哀しいピエロの贖罪を描いた主人公を演じている。
現在と過去のホロコーストを幾度も交錯するなか、収容所の場面はモノクロ映像でセットもカメラワークも実に巧妙です。もちろん、現在の場面はカラーで描かれ、主人公の名前が神が創った最初の人間“アダム”だけに、神話的で寓話的な物語でもあり、人の心が読めて痛みを一身に引き受け、芸達者だけにみんなを笑わせながら癒していく死にかけたピエロを演じる、ジェフの怪優ぶりは還暦を過ぎても健在である。
過去と現在を演じ分けるジェフの二面性が、実に素晴らしい出来でした。
まだ第二次大戦前のベルリンで、サーカスの団長として奇術やコントで人気を得ていたころ。戦争が始まり妻や娘2人が強制収容所へ入れられる。
かつて、アダムのショーに感動したナチスの総司令官クラインに、命を救う代わりに四つん這いになれと、命令する冷酷な総司令官を演じるウィレム・デフォーも、ハマリ役で熱演。彼はこういう役柄はお手の物のようですね。
ペットにされて、犬に成りきり獰猛な軍用犬シェパードを瞬時に手なずけ、クラインの部屋でペットとして飼われることになる。いつも軍用犬と一緒で、首輪と鎖を付けられ、食事も犬と同じものを食べさせられる。
しかし、ここで生き抜くためには、そんな苦渋の選択も致し方ないこと。我慢の限界など通り越して、神経をすり減らし、妻と娘も生かしてくれるという言葉を信じつつ、ヴァイオリンを弾かされ、目の前のガス室に送られる妻と娘を見送ることになる辛いことばかり。
だから、戦後は命は助かったものの、ナチスの総司令官から貰った屋敷で独り暮らし。頭の神経がおかしくなり、ホロコースト生存者のための、砂漠の精神病院へ送られてしまう。
そこでの彼は、色っぽい看護婦役のアイェレット・ゾラー、トム・ハンクス主演の「天使と悪魔」に出ていた女優さん、犬を演じさせて調教プレイするHなシーンもエロいんですが、精神病院での働きぶりがどうも看護師として何をしているのか分かりません。
やはりジェフのギョロ目と長い手足を軽やかなステップに、漫談とお茶目な魅力を振り回している演技がいいですね。
ある日のこと、隔離部屋で鎖に繋がれた犬ように暮らす少年と出会う。その少年は人間を嫌うように四つん這いになり、いつも犬の鳴きまねをして近づくと噛みつく。かなり心に深い闇を抱えているようで、アダムも犬になって死を免れた辛い過去があるだけに、その少年にデヴィッドと言う名前を付けて、言葉を話かけ歩く練習をさせる。だが、少年が人間らしくなるにつれ、アダムの体の腎臓から出血して生死を彷徨い、夢の中で総司令官クラインの幻影に自殺を勧められる。
そして、生き延びた長女は、ホロコーストでナチスの男たちの慰め者になり、父親が家族を見捨てて犬になった父を許すことができなかった。その長女が息子と共に自殺をして、その墓前で彼女の夫に「ピエロの娘なのに、一度も笑わずに死んだ。笑わせてくれ」とアダムは言われる。
すると、墓前の花を食べ土をむさぼる悲痛な姿のアダム。ついに過去と決別して新たな生きていく覚悟を決めたアダムの笑顔が、精神病なんかじゃない。死を選ぶのはたやすいこと。でも、昔の辛い思い出から逃れたいばかりに、自分を殺してピエロを演じていただけ。
砂漠の精神病院の犬になっていた少年は、次第に元気を取り戻し叔父さんに引き取られていく。
この物語で、いかにナチスの収容所へ追いやられたユダヤ人たちの、過酷な生き様を見るにつけ、戦争は絶対にあってはならないと痛感し、平和な日々が、いかに人間にとって生きる糧になることかと思い知らされます。
2013年DVD鑑賞作品・・・48 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ
あらすじ:1961年、かつてベルリンで喝采を浴び、人々に愛されていたエンターテイナーのアダム・シュタインは砂漠の真ん中に立つサイズリン研究所に身を置いていた。そこはナチスによるホロコーストを生き残った者達をケアする場所として建てられた精神施設だった。アダムは明晰な頭脳と持ち前の話術で周りを惹きつけ、一見すると施設に不釣り合いのように見えたが、彼には退所できないあるがあった…。
<感想>劇場未公開作品。元サーカスの団長アダムを演じるジェフ・ゴールドブラムと言うと、ウイル・スミスと共演してエイリアン退治をした「インデペンデンス・デイ」が有名ですよね。現在61歳のギョロ目で背が高い濃い顔の俳優さん。
その彼がこの作品の中で、イスラエル人作家の小説を映画化した、ナチスのホロコーストで生き延びた哀しいピエロの贖罪を描いた主人公を演じている。
現在と過去のホロコーストを幾度も交錯するなか、収容所の場面はモノクロ映像でセットもカメラワークも実に巧妙です。もちろん、現在の場面はカラーで描かれ、主人公の名前が神が創った最初の人間“アダム”だけに、神話的で寓話的な物語でもあり、人の心が読めて痛みを一身に引き受け、芸達者だけにみんなを笑わせながら癒していく死にかけたピエロを演じる、ジェフの怪優ぶりは還暦を過ぎても健在である。
過去と現在を演じ分けるジェフの二面性が、実に素晴らしい出来でした。
まだ第二次大戦前のベルリンで、サーカスの団長として奇術やコントで人気を得ていたころ。戦争が始まり妻や娘2人が強制収容所へ入れられる。
かつて、アダムのショーに感動したナチスの総司令官クラインに、命を救う代わりに四つん這いになれと、命令する冷酷な総司令官を演じるウィレム・デフォーも、ハマリ役で熱演。彼はこういう役柄はお手の物のようですね。
ペットにされて、犬に成りきり獰猛な軍用犬シェパードを瞬時に手なずけ、クラインの部屋でペットとして飼われることになる。いつも軍用犬と一緒で、首輪と鎖を付けられ、食事も犬と同じものを食べさせられる。
しかし、ここで生き抜くためには、そんな苦渋の選択も致し方ないこと。我慢の限界など通り越して、神経をすり減らし、妻と娘も生かしてくれるという言葉を信じつつ、ヴァイオリンを弾かされ、目の前のガス室に送られる妻と娘を見送ることになる辛いことばかり。
だから、戦後は命は助かったものの、ナチスの総司令官から貰った屋敷で独り暮らし。頭の神経がおかしくなり、ホロコースト生存者のための、砂漠の精神病院へ送られてしまう。
そこでの彼は、色っぽい看護婦役のアイェレット・ゾラー、トム・ハンクス主演の「天使と悪魔」に出ていた女優さん、犬を演じさせて調教プレイするHなシーンもエロいんですが、精神病院での働きぶりがどうも看護師として何をしているのか分かりません。
やはりジェフのギョロ目と長い手足を軽やかなステップに、漫談とお茶目な魅力を振り回している演技がいいですね。
ある日のこと、隔離部屋で鎖に繋がれた犬ように暮らす少年と出会う。その少年は人間を嫌うように四つん這いになり、いつも犬の鳴きまねをして近づくと噛みつく。かなり心に深い闇を抱えているようで、アダムも犬になって死を免れた辛い過去があるだけに、その少年にデヴィッドと言う名前を付けて、言葉を話かけ歩く練習をさせる。だが、少年が人間らしくなるにつれ、アダムの体の腎臓から出血して生死を彷徨い、夢の中で総司令官クラインの幻影に自殺を勧められる。
そして、生き延びた長女は、ホロコーストでナチスの男たちの慰め者になり、父親が家族を見捨てて犬になった父を許すことができなかった。その長女が息子と共に自殺をして、その墓前で彼女の夫に「ピエロの娘なのに、一度も笑わずに死んだ。笑わせてくれ」とアダムは言われる。
すると、墓前の花を食べ土をむさぼる悲痛な姿のアダム。ついに過去と決別して新たな生きていく覚悟を決めたアダムの笑顔が、精神病なんかじゃない。死を選ぶのはたやすいこと。でも、昔の辛い思い出から逃れたいばかりに、自分を殺してピエロを演じていただけ。
砂漠の精神病院の犬になっていた少年は、次第に元気を取り戻し叔父さんに引き取られていく。
この物語で、いかにナチスの収容所へ追いやられたユダヤ人たちの、過酷な生き様を見るにつけ、戦争は絶対にあってはならないと痛感し、平和な日々が、いかに人間にとって生きる糧になることかと思い知らされます。
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