2017年に空前の大ヒットを記録したスティーヴン・キング原作ホラー「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の続編にして完結編。前作から27年後を舞台に、再び現われたたペニーワイズに立ち向かうべく再結集した大人になった“ルーザーズ・クラブ”の仲間たちを待ち受ける衝撃の運命を、過去と現在を行き来しつつ、ユーモアやエモーショナルなタッチを織り交ぜ描き出す。出演はジェームズ・マカヴォイ、ジェシカ・チャステイン、ビル・ヘイダー、ビル・スカルスガルド。監督は引き続き「MAMA」のアンディ・ムスキエティ。
あらすじ:小さな田舎町デリーで起きた連続児童失踪事件の恐怖が過ぎ去って27年。“ルーザーズ・クラブ”のメンバーでただ一人デリーに残り、事件の調査を続けていたマイクが、かつての仲間たちに連絡を取る。ついに、あのおぞましきピエロ“ペニーワイズ”が再び町に戻ってきたのだ。イギリスで脚本家として活躍するビルや、ファッション業界で成功を収めたベバリーたち大人になったルーザーズ・クラブの面々は、27年前の約束を果たすべくデリーへと戻ってくる。そして久々の再会を喜び合う一同だったが…。
<感想>2017年のヒット映画「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」に続く完結編です。前作ではホラー映画史上NO.1ヒットになっただけに期待が高まります。原作小説は読んでいませんが、原作によると過去の少年時代の話と現在の大人たちの物語が、錯綜して描かれているけれど、映画ではきっちりと時代を分けて描いているから、とても分かりやすい構成になっています。
時代設定も、原作とは違うそうですから。原作が出版されたのが1986年だから、現在が85年、過去が57年と言う設定。
前作では少年少女がとびきり怖い体験をするジュヴナイルだったが、今回は27年後に再結集した一同が、思春期をもう一度卒業し直す、泣かせる青春映画になっていた。極限の想像力をVFXの職人芸が克明に具象化する恐怖の演出も、あの手この手はゴージャスそのもの。
嫌らしい女体の奥のイメージが少年の性夢を思わせており、子供は大きなものが恐ろしかったのだと記憶を再生してくれる。メッセージは「それはあなたの心の中にいる」ということ。ですが、クリーチャーというか、化け物というか、それは、観る人によっては笑える描写になっていた。
もともとスティーヴン・キングの小説は、小道具などのディテールを描くことによって、作品内の世界を現実的にする効果がある。映画版もそれを踏襲していて、前作では80年代末の風俗や、音楽、ゲームなどが丁寧に描かれていて時代感覚を出していたというから凄い。
今回も描写は丁寧であり、その分長くなっているのだ。2時間49分もあり、前作から続けて観ると5時間越えになりますね。
前作では「ルーザーズ・クラブ」が生まれるまでを、少年少女の出会いから、それぞれが抱える問題までをも含めてきっちりと描いていて、青春映画の雰囲気もあった。
ホラー版の「スタンド・バイ・ミー」なんて言っていたくらいだからね。今回の作品は、それに比べると、グットホラーとしての強烈さが増していて、血まみれのシーンも増量されていた。時代設定以外にも原作とは違う部分が多いときている。
ベンの妻の女優とか、ビバリーのDV夫みたいに、他の街から来るキャラクターは、映画では冒頭のみの登場で、ストーリーには絡んでこない。でもペニーワイズの精神攻撃はグンと派手さを増しているから、原作を知っていても新たな驚きを楽しめるというわけ。
「遊星からの物体X」へのオマージュみたいなシーンもある。スティーヴン・キングが、もの凄い蜘蛛嫌いということがよく解ったよ。
それから原作には倫理上問題のある描写があるというが、それは上手く脚色されていたそうです。ルーザーズのメンバーが、一人一人を、内面描写も含めてじっくりと描いていたので、この尺の長さになったのだろう。ちょっと間延びした感じがしたがね。出たがりの原作者スティーヴン・キングが出ているのだけれど、しっかりとマカヴォイくんとの絡みもありますからね。お見逃しなく。
劇中で、ジェームズ・マカヴォイと、ジェシカ・チャスティンが並んでいると、一瞬、あれって、「X-MEN:ダーク・フェニックス」みたいと、思ったりするけれども、ラストでは洞窟の中を破壊するような天変地異が起きるんだけれど、映画の中では、ルーザーズVSペニーワイズに絞って描かれていて、見せ場も展開もスリリングです。
でも、この作品には、前作のおさらいみたいなシーンはないので、できればDVDで前作を観直してから行くといいですね。
前作では、89年、メイン州デリーの街で、子供の失踪事件が頻繁にあった。ビルの弟、ジョージーも雨の日に行方不明になった。様々な理由からいじめられっ子になっていた7人の少年少女は、“ルーザーズ”(負け犬)というクラブを結成する。町の怪異に立ち向かうことを決意するのだった。
デリーには27年ごとに大量の失踪事件が起きていて、その陰には道化師の姿をした怪人ペニーワイズの姿があったのだ。しかもそいつは、人の恐怖心を食い物にして、あらゆる物に姿を変えることができるのであった。
2019年劇場鑑賞作品・・・164 アクション・アドベンチャーランキング
「映画に夢中」
トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ
トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/30892121