2008年に無差別テロの襲撃を受けたインドの5つ星ホテルで起きた衝撃の実話を映画化した実録群像サスペンス。テロリスト集団による凄惨な殺戮が繰り返される中、ひとりでも多くの宿泊客を救うために命がけで行動した誇り高きホテルマンたちによる奇跡の脱出劇を緊迫感あふれる筆致で描き出す。主演は「スラムドッグ$ミリオネア」「LION/ライオン ~25年目のただいま~」のデヴ・パテル。共演にアーミー・ハマー、アヌパム・カー、ジェイソン・アイザックス。監督は本作が長編デビューとなるアンソニー・マラス。
<感想>多くの命を救うために戦った“英雄”たちの愛と誇りを映した衝撃の感動作でした。今も各国でテロ事件は絶えることはないが、2008年、世界中を震撼させる事件が起きた。インド最大の都市ムンバイでの、イスラム武装勢力による同時多発テロです。
ムンバイのCST駅やレストランなど、テロリストによる襲撃事件が発生。十数か所で銃撃や爆発が起こり、ムンバイの象徴でもあるタージマハル・ホテルでは、優雅なひと時が流れていたホテルも、武装したテロリストたちが侵入し、状況が一変する。人質になった500人以上の宿泊客と従業員が3日間、生死の境をさまよう恐怖を味わったのであります。
そのホテルを中心に実際の事件を再現した本作。観る者は、異様なレベルの緊張感の中で、スリリングな現場を追体験することになる。ロビーや客室、エレベーターでの犯人たちによる容赦ない攻撃は、目を覆うばかりだが、宿泊客たちを守り、脱出させようとするホテル従業員の勇気が、とにかくドラマチックであります。
テロの脅威を受けてなお、従業員たちは取り残された宿泊客たちを守るため、ホテルの中にとどまることを決意する。レストランの給仕中に異変を察知したアルジュンは、隙を見て客を従業員通路から安全なVIPルームへと非難させる。戦ってどうこうできる相手じゃない。次々と銃弾に倒れて行く人々。
彼らにできることは、テロリストにバレないように隠れるだけだ。だが、頑丈なVIPルームに宿泊客を集めたオベロイ料理長。しかし、部屋の中では不安に駆られた宿泊客たちの間で、いざこざが発生する。そんな中、テロリストが部屋の存在に気づいてしまったのだ。ドアをこじあけようとするテロリストたち。その上で緊迫感を煽るシチュエーションが用意されている。
ホテルには、外へ抜ける非常口がある。しかし、「自分たちだけが逃げるわけにはいかない」と、献身的に戦う彼らの行動には、最初から最後まで胸が揺さぶられっぱなしでした。
名もなき英雄たちの活躍、そして客同士の団結や自己犠牲、赤ん坊を守る攻防と、胸を打つ衝撃の展開が続いていく。レストランの優秀な給仕アルジュン役には、「LION/ライオン ~25年目のただいま~」のデヴ・パテル。
妻と赤ん坊の息子の命を決死の思いで守るアメリカ人建築家のデヴィッドには、「君の名前で呼んで」のアーミー・ハマーが、妻とレストランで食事をしているところへ、襲撃があり初めは夫婦で助かると思っていたが、父親であるアーミー・ハマーが、6階の部屋にいる息子とベビーシッターを助けたくて、一人で部屋に行き、息子の無事を確認するも、そこからがテロたちに見つかり、ベビーシッターと息子を助けるために、命を投げ出して自分が率先して人質になり殺されるのだ。
ところが妻も見つかり、人質になるも、テロたちと同じ人種のイスラム教徒であり、死の間際に祈りを捧げる妻に、実行犯の若者たちは、その妻を助ける。もちろん、ベビーシッターと赤ん坊は、用具室に閉じこもり助かるし、最後には母親の腕に抱かれる赤ん坊に、涙がこぼれましたね。
そして、特殊部隊が到着して、ホテルの中にも入り、やっとホテルの中にいた客や従業員たちが解放された。中でも給仕アルジュンが、一目散に自転車で家へと帰る姿が、そして家族と再会して抱き合う姿が、印象的でした。
それに、苛立つのが警察や、テロ対策の特殊部隊たちの出番が遅いときてる。テロ実行犯たちは、若者5、6人なのに、ホテルには拳銃やショットガンなどの武器が一つもないのだ。反撃するにも、ただ逃げ惑うだけ。それも、金持ちのアメリカ人客を狙って殺しているのだ。ホテルの中で銃を乱射して、爆発物を爆発させて、火事を起こすのだ。大きなホテルとはいえ、逃げ惑う人たちの恐怖は計り知れない。
123分間ずっと緊張感で、ハラハラ、ドキドキ状態でした。実話であることを思いながら観ると恐ろしくなる。エンドクレジットの中で、従業員たちの死者が多かったという。ご冥福をお祈りいたします。
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