サム・マンソンの同名ヤングアダルト小説を「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツと「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴート主演で映画化した青春ノワール・ミステリー。共演はデヴィッド・ストラザーン、キャサリン・キーナー。監督は「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」「ヒッチコック」のサーシャ・ガヴァシ。
あらすじ:ワシントンDCに暮らす平凡な高校生のアディソン。ある日、親友のケビンが何者かに殺された。警察はギャング同士の抗争に巻き込まれたものと見て、未解決のまま幕引きを図ろうとしていた。しかしケビンは優等生で、警察の見立てに納得いかないアディソンは、幼なじみのフィービーとともに独自に真相究明に乗り出す。ところが、そんな彼らに対し、調査を思い止まらせようとする圧力が次々とかけられる。まるで街全体が事件をなかったことにしようとしているかのような不自然な動きに、次第に不審が募っていくアディソンだったが…。
<感想>「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴートと「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツ、旬のスター2人の共演が実現した。無二の親友が、何者かに射殺された。同級生の死の真相を追う男女が、街や住人の“裏の顔”に迫っていく。友の死の真相を暴くため“独自捜査”に乗り出した男が、その果てに見たものは?・・・2人がたどり着く“真実”とは? 「ターミナル」や「イースタン・プロミス」のベテランスタッフが創出した、謎と人間ドラマが融合したかみごたえある物語となっています。
原作は「ティーンエイジノワールとして、マーク・トウェインやJ.D.サリンジャーと並ぶ傑作」と絶賛された小説「NOVEMBER CRIMINALS」。若手スターの共演に加えて、舞台となる米ワシントンD.C.の犯罪都市としての“裏の顔”も重要な見せ場となった。
町のあちこちで薬物が密売されているし、シカゴと同じくらいギャングも活動していて、それに関連する殺人事件もとても多い場所。若者の雇用や人種による分断、ホームレスや貧困の問題が山積している。実はアメリカ国内でも、この映画が描くワシントンD.C.の危機的な現状には、驚きの声があがるほどだった。ですから、殺されたケビンは、麻薬の売人グループに入っており、そこから抜け出すことはできないってこと。つまりは、結局口封じに殺されてしまうわけ。
劇中には16年に急逝した人気ロックスター、デビッド・ボウイの楽曲が散りばめられている。この作品は繊細なティーンの少年が、悲しみや喪失感といったトラウマと向き合い、受け入れる過程を描いている。その上でボウイの楽曲が、主人公のアディソンにとって、とてもパーソナルで強いつながりをもった存在となっていた。
美しい青春映画でもあり、10代のまっすぐな気持ちから始まる「捜査の真似事」が、やがては痛ましい喪失と人生の儚さ、かけがえのなさをめぐる物語へと転換されていく。
アディソンの母親の死と、親友の死を乗り越えることになる主人公の心情や、その過程がいまいち伝わらず、彼の捜査も高校生ゆえに限界ばかりで、クロエちゃんとのセックスに夢中になったりするのが、十代ならではのリアリティとして映るが、それはサスペンスとしてどうなのかと思ってしまうのだ。
少年少女と、親たちの関係も端的かつ的確に描写されていて、心に刺さる人は多いはずです。変人アンセルとしっかり者のクロエちゃんは、稀に見るお似合いのカップルであって、一緒にいるのを見るだけでワクワクしますね。
さらには、冒頭のラブシーンにて、クロエちゃんは横顔の鼻の形が良いんですよね。こんなに綺麗な鼻なのに、横顔を長尺で撮ってくれている映画って意外と少ないんです。(本作を)2回見ていただければ気づくと思いますが、横顔をとらえたシーンがすごく多いんですよ」と独自の視点でアピール。
それに、若い2人の、一番旬な瞬間が収められているんです。これからはもっと大人っぽくなるし、洗練されていくはず。あどけなさが残っている2人を切りとっているという意味では、キャストの撮り方がとても美しい映画でもある。
捜査をする高校生のアンセルが、警察を差し置いて、フィルムノワールの主人公になるのは無理があり、物語の中心が若い二人の友達や家族との関係、進学問題など、サリンジャーの小説ふうになると安心しますよね。
とりあえず、主人公のお二人さんのカップルぶりが、可愛らしく思える一品でした。
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