孤独な女子高生と転校生の交流を描き、「MOOSIC LAB 2017」で観客賞を受賞した青春ドラマ。ミユリ役を「ミスiD2016」グランプリの保紫萌香、富田紬役を「RADWINPS」のアルバムジャケットで知られるモトーラ世理奈がそれぞれ演じる。監督は「美味しく、腐る。」で早稲田映画まつり観客賞を受賞した枝優花。「転校生」名義で活動していたミュージシャンの水本夏絵が音楽を担当。
あらすじ:いじめられたことがきっかけで声が出なくなってしまったミユリ。そんなミユリの唯一の友達は一匹の蚕だった。ミユリは山の中で拾ったこの蚕に「紬」と名付け大切に飼っていたが、いじめっ子の清水にその存在がバレて、蚕を捨てられてしまう。唯一の友達を失い絶望するミユリ。そんなある日、ミユリの学校に亡くなった蚕と同じ名前を持つ「富田紬」という少女が転校してくる。
<感想>イジメの作品では、4月の「ミスミソウ」が一番凄いと思った。自分は、中、高と虐めに遭ったことがないので、最近の学校ではよくイジメの話が出てきて、本人が自殺をしてしまうという悲惨な結果をニュースとかで良く観るので、こういうイジメの作品は、たくさんの人に観て欲しいと思います。
監督が、24歳の新星・枝優花であり、主人公の二人には、2016年に芸能活動をスタートしたばかりの保紫萌香がミユリ役を演じていて、転校生の紬には映画初出演のモトーラ世理奈が演じていた。そして、スタッフの多くが20代という超フレッシュな顔ぶれで制作されたということと、監督の枝優花の実体験を元にした残酷で美しすぎる青春映画。
いじめが原因で声を出せなくなった高校生のミユリが、周囲にSOSを出すこともできずに、ひたすら耐え忍ぶという毎日で、學校の授業で教本として渡された蚕を、小箱の中に入れて家に持ち帰り、ひたすらペットのように可愛がっていた。
ある日の放課後も、森の中で酷いイジメに遭っていたところから始まる映像に、観ていて辛くなる。3人組の女性とが森の中で、一人の女子生徒を虐めては、スカートをめくって、下半身を丸出しにして頭の上でヒモで結ぶという、残忍な悪戯には呆れかえってしまった。
そこへ現れた救いの手を差し伸べたのが、転校生の紬であります。ミユリにしてみれば、紬と名前を付けた「蚕」と同じ名前の転校生に心がときめきます。
監督は、憧れで綺麗なものとして、彼女・紬を描いたという言葉の通り、この「邂逅」シーン、淡い光の中でアンニュイな表情を浮かべる紬が、息を呑むほどに神々しくて、だが、ミユリ同様に、やはり彼女も内面に少女特有の不安定さがあり、二人の会話もどことなく危うげであり、自分の中に渦巻く感情をうまく処理できない不器用さも覗かせるのだ。
急速に二人は仲良くなり、喫茶店にも二人で入り夏休みに「沖縄」へ行きたいと二人とも気が合うのだった。そのことは、誰にも絶対に内緒にすることを誓ったはずなのに、3人の意地悪女たちも、転校生の紬と仲良くなっているミユリを見て、自分たちの仲間にしようと企んでいる。
そして、夏休みに「沖縄」へ旅行をしようと3人組がミユリを誘うのだった。そのことが、紬との中を切り裂くようなことになって訳でもないが、大学受験のことで、ミユリが東京の大学を受けたいといい、猛勉強の結果受かってしまうのだ。紬は家の事情で、地元の大学か、または就職組にと、あんなに仲良かった二人が、いつの間にか遠のいていってしまう。
紬の家庭内のことまでは良く知らなかったミユリ、まさか「沖縄」旅行のチケットを取るために、大人の男と売春をしていたとは。そのことを、友達から聞き、街でそういえば大人の男の人と仲良く話しをしているのを見かけたのだった。紬から「沖縄」のチケットを貰った時も、まさか本当に身売りまでしてお金を工面していたとは思わなかったミユリ。結局、「沖縄」には行かなかったようで、ミユリの想像だと思う沖縄の映像が綺麗に映し出される。
まさか、學校の授業で、蚕が繭になり、それをお湯の中で糸にするとは、・・・その時に紬がお湯を倒して失神してしまう。紬もミユリも、カッターナイフで手首を何度も切るシーンが映し出されるが、それが本当にしていたのかは知らない。
そして、大学受験が終わり、紬のことを友達が話すのを聞いて、「父親が娘を性的虐待をしていたこと」このことは、もっと早くに紬自身が先生か、児童相談所に駆け込み話すとかすれば、死ななくてもすんだのではないかと思う。それも餓死して亡くなったと聞き、今時に、餓死なんてことあるのかと、想像に絶する辛いことであり、紬の死を何とか防げなかったのかと、観ていて辛くて涙が止まらなかったです。
正直言って、そんな二人を見るのが辛い人もいるかもしれないが、少なくとも私はそうだったので。何年もかけて、やっとのことで脱ぎ捨てた不器用さとか、傷つきやすさとか、普段は考えないようにしている自分の弱さを、省みることになるからかもしれません。ですが、だからこそ,この作品は尊くて痛みを伴うような作品であると思います。
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