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エヴァ★★・5

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イザベル・ユペールがギャスパー・ウリエル扮する若き作家を破滅の道へといざなう娼婦を演じる官能ドラマ。かつてジャンヌ・モロー主演で「エヴァの匂い」として映画化されたジェームズ・ハドリー・チェイスの小説「悪女イヴ」を、「マリー・アントワネットに別れをつげて」のブノワ・ジャコー監督のメガホンで再映画化。2018年・第68回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品。

あらすじ:ベルトランは他人の戯曲を盗作して作家デビューを果たし、成功を手に入れた。周囲から2作目を期待されるものの思うように筆が進まないベルトランは執筆の場である別荘に到着した。するとそこには吹雪で立ち往生した男女が勝手に窓ガラスを割って部屋に侵入し、くつろぐ姿があった。怒り心頭のベルトランはバスタブでくつろぐ娼婦エヴァに文句を言うために近づくが、一瞬にして彼女に心を奪われてしまう。

<感想>今最高にのっている2人のフランス俳優イザベル・ユペールと、ギャスパー・ウリエルの顔合わせとなる、ジェームズ・ハドリー・チェイスの推理小説「悪女イヴ」の映画化である。物語の背景を1940年代の映画黄金時代のハリウッドから現代のフランス演劇界に移して、多様な映像解釈を加えた見応えのある心理スリラーに仕上げている。

 

主人公のエヴァをイザベル・ユペールが、新進作家でエヴァに魅了される青年ベルトランをギャスパー・ウリエルが演じている。今人気実力と共に最高の二人、エヴァは娼婦の仕事をしているのだが、それなりに演じてくれているわけですが、本作ではエヴァの抱える矛盾を強調することに焦点があったかと思いますね。エヴァは慎重で控えめで、娼婦のような妖艶な風情をさらす魅惑というのとはちょっと異なっている。

ベルトランを破滅の追い込む謎の女というフランス映画が好む典型的なファム・ファタールではなく、全く異例なファム・ファタールにしょうと考えたという監督。確かに筋書きを前後させたり、原作とは違う空想シーンを加えたり。観る者を困惑させる一方で、推理力をかきたてるという。

ギャスパー・ウリエルが演じるベルトランは、介護をしていた老作家が他界し、その作家の書いた戯曲を盗んで新進作家として成功した男なのだ。介護士というよりは、男妾のような存在である。当然2作目の執筆は進まず、そんな時に謎めいた娼婦エヴァに出会うわけ。

彼の演技の見どころは、何といってもエヴァに訳も分からず魅了され、自分を見失ってしまうところ。それは、彼が、まず彼女に自分の抱える問題の簡単な解決策だと思ったのだろう。彼は劇作家としての壁にぶちあたっていたから。彼女こそが、新作のテーマにもってこいだと思ったのだろう。

それに加えて、彼はエヴァの中に自分と同類の人間の質を感じたんだと思う。二人とも嘘つきで“なりすまし”なんですね。二人は似た者同士なんですよ。鏡を見ているような気持ち。自分の女性版であるような。実際にはもと複雑だとは思うけど。根底にはそういった気持ちがあるんだと思います。

エヴァが住んでいる豪邸も、刑務所に入っているエヴァの夫の存在を隠して、お客は金持ちの人ばかりで固定客のようだ。

 

本当は、ベルトランが彼女の別荘に執筆をしようと行ったのに、知らないカップルがのうのうと住んでいた。そこで怒り狂った彼が、警察を呼ぼうと泥棒の所へ行くと、そこには熟女のエヴァがいたということ。今までに付き合ったことのない、何処か自分と同じ匂いのする女が、それで男を追い出して、そのエヴァと仲良くなるわけ。

しかし、エヴァの家へ行くと、玄関の前の広いエントランスで前金300フランを取られるのだ。高級娼婦の値段であるが、お客がその値段に満足しているからだろう。

彼女とは結婚式を控えており、新婚旅行にはベニスに行こうなんて言っていたのに、好きになったエヴァも「ベニスへ旅行に行きたい」と言い出す。何回か逢瀬を楽しむ内に、彼女と出会った別荘へエヴァを誘う。

そこへ、婚約者の女がやって来たからさあ大変。結局は彼女との結婚はご破算になり、エヴァとの縁も金の切れ目でご破算になってしまうという。おバカな、男の浅ましい物語でした。

彼はすっかり自分を見失い、ベルトランの行動は不可解であり、観る者を不安にする。たとえば、自分の過去を消し去ったはずの新進作家の彼が、電車の中で昔の知り合いから声をかけられるという、危ういシーンなどもある。

ベルトランを演じたギャスパー・ウリエルは、目に見える世界と、見えない世界、現実とキャラクターの創造、リアリティーとファンタジーという境界線を、もてあそんでいるようなそんな感じでした。

エヴァのイザベル・ユペールに関しては、官能と誘惑、すべての男たちが、この女(娼婦)に狂わされると言うには、ちょっと年の行き過ぎた娼婦という感じで、普通だったらこの高値では客は付かないと思う。過去に苦悩する複雑なキャラクターを、何度も演じてきた経験を活かし、そのあたりを巧みな演技で見せているのには感心しました。

2018年劇場鑑賞作品・・・155アクション・アドベンチャーランキング

 

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