フィンランドで長く愛され続けるマリヤッタ・クレンニエミの同名児童文学を映画化したファミリー映画。忙しい両親にかまってもらえない仲良しの女の子2人が、ひょんなことから2人だけの秘密の家を手に入れ、自分たちだけで生活していく姿を、近所の不思議な隣人たちとの交流とともにファンタジックかつキュートに綴る。監督は「星の見える家で」のサーラ・カンテル。
あらすじ:女の子のオンネリとアンネリは大の仲良し。オンネリは9人兄弟の真ん中で、アンネリは離婚した両親の間を行ったり来たり。家族にかまってもらえず、いつも2人だけで遊んでいた。そんなある日、2人は“正直者にあげます”と書かれた大金の入った封筒を拾う。その後、バラの木夫人が売りに出していた水色の素敵な家を目にした2人はすっかり心奪われて、その家を買うことに。こうして、ちょっぴり不思議なご近所さんに囲まれながら、2人だけの生活をスタートさせるオンネリとアンネリだったが…。
<感想>ふたりだけの、秘密のおうち。ずっと、一緒。いつも、おそろい。北欧から届いた、ちょっぴりおませな女の子たちの、とってもキュートな独立宣言。事情は違うが、両親に十分に構ってもらえない2人の少女が、自分たちだけの家を買い、暮らすという奇想天外なストーリーである。
こんな作品を観ると、女の子に産まれて良かった。フィンランドの夏休み、親友同士のオンネリとアンネリは、白夜で長い長い一日を好きな物に囲まれて過ごすこと。可愛らしい夏のワンピースに帽子やリボン。未亡人の店で、ブタの貯金箱一つを買うのも冒険だ。
お婆さんから提供される「おうち」は、北欧のおしゃれな家具や小物、お人形やおもちゃで溢れている。たとえ家庭に複雑な事情があっても、女の子には、身近な楽しみがたくさんあるのよね、と羨ましくなる1本でした。
そんな2人の生活に相応しく主人公のオンネリとアンネリを含め、登場人物のキャラクターがバラエティーに富んでいて面白かった。児童文学の良質な映像化であり、現実と非現実の境目が曖昧で、理屈にとらわれない子供独特の世界観を、大人の文法に当てはめることなく描いているのもいい。
これらのキャラが、ひと通りで揃うと話の行方は見えてしまうのだが、カラフルなヴィジュアルと、マジカルな仕掛けで楽しませてくれるのだ。
名前も髪型もそっくりで、色違いや柄違いの双子コーデで共に行動する二人は、自分の存在を肯定するもう一人の自分の姿なのですね。もちろん男の子が憧れてもいい。子供たちがラップ調で歌うエンディングテーマも、かっこいいのだ。
アイスクリーム屋の中年の恋もあり、親子関係の問題もあり、少女の夢の世界に大人の事情も散りばめられていて、家族で安心して観られるのも良かった。
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「映画に夢中」
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