トム・クルーズ演じる伝説のスパイ、イーサン・ハントが数々の不可能なミッションに挑む大人気アクション・シリーズの第6弾。複数の都市を標的にした同時核爆発の阻止というシリーズ最大の難題に立ち向かうイーサンとIMFチームの活躍を、トム・クルーズが体当たりで挑む迫力のアクション満載に描き出す。共演はヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、アレック・ボールドウィンら続投組に加え、新たにCIAの敏腕エージェント役でヘンリー・カヴィル。監督は引き続き「アウトロー」のクリストファー・マッカリー。
あらすじ:何者かによってプルトニウムが盗まれ、奪還を命じられたイーサンの作戦は失敗に終わる。3つの都市を標的にした同時核爆発テロの危機が迫る中、IMFとともにその阻止に奔走するイーサンだったが、CIAからは彼に疑惑の目を向ける最強のエージェント、オーガスト・ウォーカーが監視役として送り込まれる。一方、わずかな手がかりを頼りにテロを計画する謎の組織に迫ろうとするイーサンは、敵につながる謎の女ホワイト・ウィドウの信用を得るため、収監中の“シンジケート”の元リーダー、ソロモン・レーンの脱獄に手を貸すという危険な賭けに出るのだったが…。
<感想>トム・クルーズが敏腕エージェントのイーサン・ハントを演じる人気シリーズ第6作目。1996年の第1作以来、そのスケールとボルテージを増し続けている本シリーズですが、恒例のトム自身による生身のスタント・アクションも注目されるが、第6作目となる「フォールアウト」でも、高度7620mからのスカイダイビング、パリ市街地をヘルメットなしでのバイクチェイス、自ら操縦するヘリによるスパイラル飛行など、いっさい手抜きはしないヘビイなアクションに驚くと共に、年齢も56歳というのにいやはや頑張っているとしか言いようがない。
今回の美女の登場として、ホワイト・ウィドウ役のバネッサ・カービーは、「世界一キライなあなた」や「エベレスト 3D」に出ていたが、出番が少ないので印象がなかった。ここでも、お飾り程度の役柄なので、もう少しイーサンとの絡みでもあったら良かったのにね。
あらゆる不可能に挑むかのように走り続けるこの男は、いったい何と戦っているのだろう。世界の敵か、それとも己の限界なのか?、はたまた映画の原点であるアクションそのものか?・・・観る者を驚愕させ、それゆえに惹きつけてやまないトム・クルーズとその最新作に目が離せない。
この第6作は、5作目からの続きで、前作の敵“シンジケート”の残党「アポストル(使徒)“と戦うが、一方ではIMF(インポッシブル・ミッション・フォース)の存続をかけたCIAとの戦いでもある。ですので、「インファナル・アフェア」(02)的なサスペンスフルなドラマが展開されていて、この陰険さこそスパイものの醍醐味とも言えるものですが、ハデなアクションが次々に炸裂して感情を解放するので、陰に籠らないのが特徴でもある。
だから、イーサンの知的な葛藤の描き方が、シリーズ作を追うごとに、巧くなっているように感じるのも当たり前でしょうね。監督が余計な自己主張をしない、いわば透明な語り口が、イーサン・ハントに関する多くの情報を的確に伝え、トム・クルーズのどこまでも自分がやりたいスタント・アクションの体技の妙味を、これまた的確に捉えて魅せてくれるのである。
前半のイーサンと、イーサンに敵対するCIAのエージェントであるウォーカーが、共にスカイダイブする高度7620mからのハデな落下。飛行機からキャメラもそのままフォローして、天空に転げ出していく、その爽快感といったら言葉にならない。地表寸前でパラシュートが開くまでには、ウォーカーとの敵対的なやりとりがいろいろあって、優しいイーサンが、気絶したウォーカーを助ける下りも、スリルを盛り立てて凄かった。
終盤でのアクションクライマックスでは、カシミール山岳地帯での、2機のヘリコプターによる壮絶なるアクション。すなわちシリーズ第5作で、離陸する飛行機につかまったまま飛んで行ったイーサン。今回は当然のごとく、というか期待どおりに、敵のヘリに吊るされた荷物に掴まって、ロープを登っていく。
そして敵の傭兵を倒してヘリを乗っ取り、もう一機の大物ウォーカーが乗るヘリに向かって行く。ここまでやるのか、さらにその先へと、突っ走るというくらいの見せ場のテーマも落下のスリルであります。
今回は、ビルを飛び移るときに足首を骨折するというアクシデントもあり、そのシーンでも全速力でぶつかっていき、思いっきりがいいというか、妥協しない心意気を感じます。しかも、ぶつかった後、足を引きずりながら歩いているところまで撮っている。
さらにトムは、バイクや車のドライビングもヘルメットなしでやっている。これも実際かなり危険なので、自分がプロデュ-サーじゃないとできないでしょうね。パリの市街地を車とバイクが縦横無尽に駆け巡り、街並みの個性と魅力とスピード感、凱旋門のロータリーでの、長いチェイスシーンがある。
この二つだけでも充分にお腹いっぱいなのに、この映画は最後までストーリーのひねりを交えつつ、素晴らしい追いかけっこが延々と続くのだ。「普通、死ぬだろう」と言いたくなるトムのスタントはもちろん必見ですが、ひたすら横移動で捉えられる走り姿の美しさも劣らず必見ですぞ。
「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」2015年8月8日
今回では、ストーリーや構成が過去のシリーズから繋がるところも多く、バイクや車のチェイスもトム本人が進化させている。ヘリのチェイスもCGではなく、ニュージーランドで実際に撮影し、リアルな迫力を追求。CGが氾濫している昨今では、そのシーンはやはり新鮮に感じますね。
ところで、イーサンとイルサの関係というのが、やっぱりいいですよね。「ローグ・ネイション」では、イーサンの前にイルサが立ち塞がる。あれはイルサが彼から逃げ切れるわけがないと見切った上で、なお逃れるためのたった一つの方法で、しかも、イーサンは決して自分を轢くことはないだろう、転倒しても受け身を取ることができて、絶対に死ぬことはないだろうと、そこまでイルサは読んでいた。だから、同じように今回でも、イルサも何とかするだろうと分かっている。信頼関係が完全にできているんですね。
今回の二人の関係性が、とても丁寧に描かれていたのが、創意工夫に溢れたトイレでの格闘シーン。イーサンとウォーカーが、ジョン・ラークらしき男と闘うシーン。イルサが登場するショットでは、斜めのくせを付けたアップで、レベッカ・ファーガソンが銃を構えて撃つ。
作戦のメンバーであるルーサー(ヴィング・レイムス)を救うために、プルトニウムを敵に奪われるという失態を犯した後でも、イーサンは愛する仲間や、罪なき人の命を守ることに固執し続ける。そんなイーサンに惚れ込んで、CIAからIMFに異動したハンリー(アレック・ボールドウィン)と、イーサンとの姿勢をあくまでも拒否する現CIA長官のスローン(アンジェラ・バセット)との対比によって、イーサンの立ち位置が強調されるわけ。
ラストでのクライマックスでは、プルトニウムの爆発を防ぐシステム・アナリスト役のサイモン・ペッグと同僚のヴィング・レイムスが、コミカルでいい味を出している。シリーズ初の連作という点も含めて、従来とは違った作品にしたかったのだろうが、そこにこだわり過ぎてしまったかも。
それに、今回では人間ドラマの部分も大いに膨らませていて、イーサンが、何故に自分が最愛の女性ジュリアと、一緒にいられないのかという理由、そして自分の存在意義とに、もう一度向き合うことになります。その結果、イーサンは自分が安穏としているために「何か恐ろしいこと」が、世界に起きるのではないかと、不安と罪の意識を感じ、ジュリアも同じ理由でイーサンを独占することを恐れていたのだと言うことが明らかになる。
ほぼ2時間半の上映時間もまったく長くは感じさせません。アクションのハデさ規模の大きさも最大と言えるので、これがシリーズ全体のフィナーレだよと言われても納得してしまいそうな特別な作品になっていた。
2018年劇場鑑賞作品・・・152アクション・アドベンチャーランキング
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