ヴィンス・フリンの全米ベストセラー“ミッチ・ラップ”シリーズを「メイズ・ランナー」シリーズのディラン・オブライエン主演で映画化したサスペンス・アクション。婚約者をテロリストに殺され復讐に燃える若者がＣＩＡのもとで凄腕の工作員となり、世界の命運を左右する過酷な任務に挑む姿を描く。共演はマイケル・キートン、サナ・レイサン、テイラー・キッチュ。監督はＴＶを中心に活躍するマイケル・クエスタ。
あらすじ：スペインのイビサ島で恋人カトリーナとのバカンスを満喫していた青年ミッチ・ラップ。そこへ残忍なテロリストが現われ、カトリーナは無差別乱射の犠牲に。18ヵ月後、ミッチはテロリストへの復讐に人生の全てを捧げる男になっていた。やがて彼の才能に目をつけたＣＩＡにスカウトされ、元ネイビー・シールズの鬼教官スタン・ハーリーのもとで過酷な訓練をこなしていくミッチだったが…。
＜感想＞今は亡き人気作家ヴィンス・フリンが世に送り出した「ミッチ・ラップ」シリーズの主人公は、まさしくライアン＆ボーンの直系ともいうべきスパイキャラクターである。イビサ島で恋人にプロポーズした幸せいっぱいの青年ミッチ・ラップが、目の前で観光地を襲った無差別テロに巻き込まれ自らも傷を負いながら、恋人を失った。それから、彼は恋人の敵をとるために、自力でテロ組織に潜入しようとするが……。
まず主演のディラン・オブライエンだが、第二のマッドディモンになるかはさておき、アクションはすこぶるキレキレで観ていて気持ちがいい。肉体派でもなく、細マッチョ系で顔もイケメンだし、前半ではこれから誕生する新人エージェントの誕生秘話になっていた。ディランくん、これから売れれば尚いいよね。
アラブ語、射撃、格闘技を習得して、テロ首謀者のアル・マンスールへの報復の奇怪を狙っていたのだが。ようやくテロ組織との接触に成功し、マンスールとの面接の最中に突如文蔵集団の襲撃を受け、マンスールを殺されてしまい、ミッチはその武装集団に拘束されてしまった。
彼らはＣＩＡであり、ミッチを以前から暗殺者として目を付けていたのだ。テロのマンスールを殺され復讐を果たせずに進む方向を見失っていたミッチに、上官としてＣＩＡの特殊部隊長の鬼教官であるマイケル・キートンが、元バットマンによるしごき教室が始まる。ちなみにスコット・アドキンスも出演しているが見せ場はなかった、残念でならない。
あれよあれよと言う間に核テロ捜査の最前線に身を投じて行く無茶なストーリーだが、怒涛の展開に引き込まれていくミッチ。ＶＲゴーグルを付けての訓練シーンでは、ミスると電気ショックが身体を走るというバラエティ番組仕様なのはどうしてだろうか？
それでも、現場で指揮を執る元ネイビー・シリーズのスタン・ハーリー役のマイケル・キートンが現役感バリバリで好演しているのも良かった。
ハーリーとの因縁を持つ仇役フリーの傭兵“ゴースト”には、元ジョン・カーターのテイラー・キッチュが演じており、何だかクリス・プラネットに似ていて見分けがつかないのが惜しい。
とにかくアクションシーンが素晴らしくてご機嫌でしたね。配置やリアリティのバランスもよく、１１２分と短く纏まっており申し分ないのだが、なんだか６０年代の冷戦期に逆戻りしたような極右映画の登場は、やっぱりトランプ時代の産物かもしれない。
特に見せ場として、核爆弾が爆発するシーンは本当にリアルであり、海の中で爆発させたのだが、アメリカの航空母艦や艦隊がたくさん出ており、その中での核爆発シーンなので、キノコ雲も大きく広がり、余波の高波も凄くて、やっぱり核爆弾だけは戦争で使って欲しくないと思いました。
それでも、アメリカの正義を押し出さない現代的な視点で、ミッチの無鉄砲さを荒々しくも、しなやかなアクションで体現したディラン・オブライエンの起用も功を奏して全編を貫く疾走感や臨場感に身をゆだねたいスパイ活劇になっていた。
生身のアクションシーンの撮影風景も潤沢に盛り込まれており、オブライエンがスタントなしで挑んだことがよくわかる内容になっていた。スタントコーディネーターやトレーナーたちは「スパイのスキルを1から叩き込み、体格と筋肉作りだけでなく、体の動きも特訓した」とオブライエンたちに課したハードなトレーニングを解説している。
２０１８年劇場鑑賞作品・・・１２５
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