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ビューティフル・デイ★★★

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カンヌ国際映画祭で脚本賞と男優賞の2冠に輝いたクライム・ドラマ。ジョナサン・エイムズの同名小説を「少年は残酷な弓を射る」のリン・ラムジー監督、「ザ・マスター」「インヒアレント・ヴァイス」のホアキン・フェニックス主演で映画化。闇社会での人捜しを専門に請け負う孤独な元軍人の男が、組織に掠われた少女を救出する中で思わぬ陰謀に巻き込まれていくさまと、心が壊れてしまった少女との間に芽生える絆の行方をスタイリッシュなタッチで描く。共演はエカテリーナ・サムソノフ、ジュディス・ロバーツ。

あらすじ:元軍人のジョーは行方不明者の捜索のスペシャリスト。トラウマに苦しみ、自殺願望を抱えながらも、危険な汚れ仕事で生計を立て、年老いた母を世話していた。ある日、警察沙汰にしたくない州上院議員から、10代の娘ニーナを売春組織から取り戻してほしいという依頼が舞い込む。さっそくハンマー片手にニーナが囚われている娼館に乗り込み、無事少女を救い出すことに成功するジョーだったが…。

<感想>あの超・実力派にして超・個性派であるホアキン・フェニックス、本作では大きなトラウマを心に抱える、捜索・暗殺のプロを演じ切った、こん身の姿から目が離せない。ジョーが自殺願望にさいなまれるのはなぜなのか。幼少時の父親からの壮絶なる虐待、過去のトラウマがフラッシュバックする。

セルフが少ないし、寡黙な殺し屋というと、「レオン」を思い出すが、それとも違う人物像であり、アカデミー賞に3度ノミネートされた確かな演技力の持ち主が、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した。

死の誘惑に取り憑かれた凶暴な男が、ブロンド美少女を性的虐待から救出する構図は、余りにもハードボイルドの典型に収まっているが、少女を演じたエカテリーナ・サムソノフは、きっとワシコウスカや、ファニング姉妹の後釜を継ぐスターになると思いますね。

孤独な「一人」と「独り」が対峙する、二人のシーンが印象的でした。ジョーが年老いた母親と銀食器を磨くシーン。

彼が母親と暮らしているが、意外と母親には優しい言葉を投げかける。その母親が、自分の仕事の敵に殺されたことに腹を立てて、キッチンで死にかけた男(幼児性虐待の州知事)に、まるで獰猛なオオカミのような凄みで悪党どもに襲い掛かる。何ともはや、セリフではなく中年太りのフェニックスの後ろ姿から物語っているようだ。

優しさやユーモアがほの暗い灯の中で、孤独な人間の心に満ちた怒りは哀しみへと変わっていくのだ。このシーン、静かな変化に息を潜めて観るのは辛いが、ラストシーンが素晴らしかったので良しとしよう。ジョニーと助けた少女ニーナの迎える朝は、最後に残る気配までが、タイトル通りの美しさだった。

 

2018年劇場鑑賞作品・・・124アクション・アドベンチャーランキング

 

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