アメリカ同時多発テロ発生直後、初めて対テロ戦闘に身を投じたアメリカ陸軍特殊部隊の活躍を描いた実録ミリタリーアクション。同時多発テロの翌日にアフガニスタンに入り、タリバンの拠点制圧に挑んだ彼らを映し出す。製作を務めるのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどのジェリー・ブラッカイマー。『マイティ・ソー』シリーズなどのクリス・ヘムズワース、『ノクターナル・アニマルズ』などのマイケル・シャノン、『エンド・オブ・ウォッチ』などのマイケル・ペーニャらが出演する。
<感想>2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの直後、アメリカが初めて行った、これまで決して明かされることのなかった極秘作戦の全貌を初めて描く実話超大作です。本作では、テロ勢力タリバンに反撃するべくアフガニスタンに降り立った12人のグリーンベレー(米陸軍特殊部隊)たちの壮絶な戦いを描いている。タリバンへの報復作戦に志願した彼らに与えられたミッションは、アフガン空爆を誘導しつつ、現地の反タリバン勢力を支援することだった。
テロに直面したことで、国を守る使命感を新たにした彼らは、培ってきたスキルを活かして任務にあたるのだ。だが、現地で思わぬ難題が持ち上がる。それは山岳地帯を超える手段として、彼らはスキルにはない乗馬を強いられることになったからだ。しかし彼らは、「どんな状況でもあきらめないこと」勇気を胸に戦い抜いた、男たちの生きざまが胸に迫り熱くなります。
戦車やミサイルといった最新鋭の武器を持つタリバン(イスラム原理主義組織)に対して、12人のアメリカ陸軍特殊部隊員“グリーンベレー”、さらに地元の反タリバン勢力がわずかな銃と馬で戦いを挑む戦闘シーン。ミサイルや爆弾の集中砲火をくぐり抜け、兵士たちは敵のリーダーを目指し突撃する。近代兵器を恐れぬ勇敢な姿に、敵は恐れをなしていく。あの兵士たちの存在は、この映画を観て初めてしりました。
9・11の直後、テロ勢力に対抗するべく、こんな壮絶な作戦が行われていたとはね。09年に刊行されたノンフィクションによって初めて世に知られることになった「超極秘作戦」。長らく最高機密扱いだった戦いが明らかになるとなれば、実話映画ファンにとってもたまらない。そのリアリティに震えます。
しかもこの極秘作戦の内容は、「映画以上に映画的」と言える驚くべきもの。アフガニスタンに部隊を構える5万人の敵勢力に、米特殊部隊はたった12名で戦いを挑もうとするのだ。そして、作戦遂行に許された時間は3週間。険しい岩山を超え、敵拠点に迫るこのミッションは成功するのか?季節は冬の11月で、クリスマスまでには、戦闘が終わって家に帰りたいと家族と約束する。
現在でこそ、ドローン(無人戦闘機)による空爆が主流となっている対テロ戦争だが、01年当時は肉眼で敵の位置を確認して空軍に指示を送る必要があった。アフガンの岩山を登り、道なき道を行くには「馬」が最も有効な手段。現代戦争であるのに「騎馬隊」が活躍するというこの“逆に新しい”異色な状況が見ものになっている。馬も、爆発も、戦車も戦闘機も、すべてが本物! クライマックスの戦闘は臨場感満点で鳥肌もんですからね。
特殊部隊員“グリーンベレー”は、戦車やミサイルなど、最新鋭の武器を擁するタリバン(イスラム原理主義組織)と戦うにあたり、“馬”という手段を余儀なくされる。だが、グリーンベレーの皆は乗馬経験がほとんどなく、兵力も圧倒的に劣っている状態。なんとか地元の反タリバン勢力の協力を得るも、戦力差は依然として歴然だった。
クライマックスの場面では、圧倒的不利な状況を覆すために「敵が40連発のミサイルの装てんを行っている間に突撃する」という命がけの作戦に挑んだミッチ(ヘムズワース)が、敵の攻撃にあって落馬し、絶体絶命のピンチに陥る瞬間が描かれる。唯一の活路だった作戦が失敗に終わってしまうのか、ミッチの運命がどうなるのか、これには余りのリアルさに驚きました。
軍人が騎馬で戦うなんて、まるで第1次世界大戦みたいですから。キャスト陣は、撮影前に厳しい軍事訓練に挑んだそうで、未経験者がほとんどの馬術訓練では、40ポンド(約20キログラム)の重りを背負った状態で馬に乗り、銃を構えるなど、馬を乗りこなせるように徹底的に鍛えたという。
主人公のネルソン大尉を演じた、ヘムズワースについては、ソー役もぴったりでしたが、この役にもハマっていたと思う。初めは反タリバンの将軍が、ハルの年上のシャノンが隊長だと思い近づいて握手をし抱き合う。だが、そのことについても怒りもせずに、黒髪の男が好きなんだろうなんて笑っている。それに、いかにも隊長らしい風格を持っていて、絶対に12名の隊員を無事に故郷へ帰れることを願っていることだ。ヘムズワース演じるネルソンは、軍人としての経験こそ長くはないが、臨機応変に対処する能力にたけている。もちろん恐怖や不安もあったと思うが、隊長としてうまく部隊をまとめていた。
主人公ネルソンを支えるベテランの軍人ハル・スペンサー准尉を渋く演じたマイケル・シャノン。ハル・スペンサー准尉は長年軍人をやっていたんだけど、家族で過ごす時間を作るためにそろそろ引退を考えていた。だが彼は“9・11”を無視できなかった。事件の報道を見て『もう体力は落ちているけど、まだ役に立てることがある。俺は行くべきなんだ!』と、 “本物”にこだわり、過酷な撮影が多く続いた本作だけに、苦楽を共にした共演陣とは特別な絆を築いたという。途中で腰にヘルニアを患い、這ってでも空爆をするのに通信は出来ると頑張る。中でも彼だけが、胸に重傷を負い、救助ヘリが間に合うかどうかの瀬戸際にハラハラさせられた。
その他には、「フューリー」のマイケル・ペーニャ、「ムーンライト」のトレバンテ・ローズらが脇を固めている。それに、ミッチ・ネルソン大尉の妻役で、エルザ・パタキーと夫婦役を演じているとは、どうりで意気が合ってたわけだ。
ド派手なアクションと、爆破と崩壊のカタルシス。壮絶な戦場へと観客を引きずり込む、迫真の戦争映画であることを証明する。アフガンの山岳地帯で、何万というタリバン戦力に囲まれた、米特殊部隊の決死の極秘作戦をリアルに、かつストロングな戦闘描写で展開させているのだ。中でも本当かどうか分からないが、米軍基地へ物資をヘリで落下してくれと無線で依頼するも、自分たちのところへ落下せずに村に物資が落下して、自分たちがそこへ向かうと、村人たちが長靴や冬服、毛布に食料などを売っているのだ。高い金を払って自分たちの物資を買うことになるとは。
米軍には空からの空爆を頼むと、アフガンのドスタム将軍は馬に乗り、戦争は土の上で決まると言うのだ。だが、ラストでの空爆が出来ない危険な峠での戦闘では、ドスタム将軍が、急に峠には行かないと言い出す始末。だが、米軍の騎馬隊が先陣を進まなければ絶対に勝てなかったと思う。そこでの局戦地の地獄絵図を我々に見せつけるのだ。
彼らの頭上にはBM―21ロケット砲の雨が降り注ぐ瞬間、ネルソン大尉でなくても生きた心地がしない。凄残な戦闘の実態をリアルに見せつけるのには、本当に手に汗を握る思いであった。
トランプ大統領の就任後、“分断”という言葉が頻繁に語られるようになったが、本作では国籍や人種によって分断された社会に疑問を投げかけるようなメッセージが。そして、米特殊部隊を率いる大尉と、反タリバン勢力のドスタム将軍との友情(始めは心が通じず、タリバンの適地がいる場所を正確に明かさないのだ)。
そして、米兵とイスラム少年兵との交流や、信仰を超えて、言葉を超えて芽生える絆が胸を熱くするのだ。人と人との繋がりの重要性を考えさせる、優れた人間ドラマでもありました。
「ブラックホーク・ダウン」で戦場をリアルに再現した売れっ子のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーの制作下、報道写真家である新鋭ニコライ・フルシーが演出を担当。現実味にこだわった作りにも注目したい。
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