「魔女と呼ばれた少女」で第85回アカデミー外国語映画賞にノミネートされたカナダの新鋭キム・グエン監督が、地球の反対側で暮らす男女が監視ロボットを通じて出会う運命の恋を描いたラブストーリー。主演は「シークレット・アイズ」「グリーンルーム」のジョー・コールとフランス出身のリナ・エル・アラビ。
あらすじ:北アフリカの砂漠地帯にある石油パイプラインで石油泥棒を監視する6本足の小さなクモ型ロボットを1万キロ離れたアメリカ・デトロイトから遠隔操作しているオペレーターのゴードン(ジョー・コール)。恋人と別れたばかりのゴードンは監視ロボットを通して若くて美しいアユーシャ(リナ・エル・アラビ)と出会う。アユーシャはカリムという恋人がいながら、親からは別の相手との結婚を強要されていた。それを知ったゴードンは、アユーシャの運命を変える大胆なアクションを起こす。
<感想>遠隔操作の監視ロボットの、モニター映像に映るアフリカの少女に恋するアメリカの警備会社の青年ゴードン。現題は「ロミオとジュリエット」になぞらえて、ジュリエットを見つめる眼差しといった意味でもある。
設定じたいは、何となく日本人が思いつきそうなアイデアですが、因習に絡めとられた北アフリカの女の子を、奥手のアメリカ人青年がデトロイトから石油パイプライン監視の遠隔操作ロボットを通して助けようとする物語。
主演の二人はとても瑞々しくて感じがいいし、ゴードン役のジョー・コールは気弱気な目元が印象的でいいし、女の子のリナ・エル・アラビは、まだ幼さが残る美少女です。先端のテクノロジーを使ったお伽噺というべき物語。
1万キロも離れた場所から、知らない誰かに自分の行動を観られているとは、何て恐ろしいことなのだろう。しかし、誰にも見られていなと思って、石油を無断で泥棒する人間を、ロボットの遠隔操作で銃殺するという残酷さもある。
ロボットだけでも脅威なのに、見ず知らずの男の声が喋り出したら逃げるしかないのだ。ましてや、女の子を勝手に身辺を探られていたら、絶対に会いたくないと思う。目の見えない老人との交流が最も幸せな形だろう。アメリカのデトロイトの会社の椅子の上から、女の子との運命が見つかるならば苦労はしないと思う。
確かに6本足の監視ロボットのアイデアは面白いのだが、この一目惚れの恋の進行と、その結末は、あまりにもナイーブで楽天的に思えた。アメリカとアフリカを隔てる、地理的、歴史的、政治経済的など、さらには宗教上の大きな格差すべてを考えても、最後をハッピーエンドに持っていく描き方にはちょっと眉唾ものですね。
せっかくのテクノロジーの進化がもたらした出逢いの奇跡というチャンスから、監視社会への恐怖しか感じられなかったのが残念に思う。
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