社会の規範に縛られることなく、代々犯罪を生業とする流浪のアウトサイダー一族を巡る父親と跡継ぎの確執の行方を、マイケル・ファスベンダーとブレンダン・グリーソンの共演で描いたクライム・ドラマ。監督はケミカル・ブラザーズを中心にミュージックビデオの監督として活躍し、本作が初の長編劇映画となるアダム・スミス。
あらすじ:トレイラーハウスで各地を転々としながら犯罪で生計を立てるカトラー・ファミリー。一家の跡継ぎで優秀なドライバーとして家業での重要な役割も担っていたチャドだったが、幼い2人の子どものことを思い、犯罪からも放浪生活からも抜け出したいと考えていた。そんな中、絶対的な力で一族を支配する父コルビーが、大きな強盗を計画、抵抗するチャドを無理やり手伝わせるのだったが…。
<感想>マイケル・ファスベンダー主演によるクライムアクション。カトラー一族の長男のチャドを演じているが、稼業は窃盗である。凄腕のドライバーで、日本車のデミオを見事なハンドルさばきで、パトカーの追跡を振り切るシーンが良く出て来るのだ。
タイトルの「アウトサイダーズ」=はみ出し者たちのこと。銀行口座もパスポートもなく、国民保険にも入っていないような、徹底的に社会から追いやられた人たちのことであり、彼らの多くは一度も学校に通ったことがない。
彼には妻と小学生の息子と娘がいるが、自分は父親が学校へ通わせないで育てた。そのこともあり、字も書けない自分にコンプレックスを持っている。トレイラーハウスで親父と一緒に住んでいるが、息子にはちゃんと学校へ通わせたいと思っている。
しかし、親父は「学校なんて無意味だ。どんどん遊べ」と孫に言い聞かせる。非常に教育上よろしくない環境での生活を強いられている。だから、親父は孫も学校へは行かせなくてもいいと思っている。しかし、自分が学校へ行きたかったのだろうが、行かせられない事情もあって、不満を持っているわけ。
周りにいるのはチンピラ同然のクズばかりで、中でも知的障害者のゴードンは、たき火に消化器をくべて爆発させて遊ぶ危険行為をする馬鹿ものだ。危険極まりない。近くで自分の息子が子犬と遊んでいたら、その焚火の爆発で子犬が死んでしまい、危うく息子も死ぬかと思うくらい大怪我をする。
だが、問題は、チャド自身がまともな仕事に就いてないないので、トレイラーの中でブラブラして毎日を過ごしている。警察を挑発し、だから警察に目を付けられているのだ。
この盗人家族は、毎晩のように焚火を囲んで酒盛りをし、こんな環境では子供はまともには育たないと思ているのだが、何しろ親離れ出来ないのか、それとも、父親が子離れできないのか、いつも長男のチャドを頼りにして生活をしているのだ。
そんな時に、親父のコルビーから新たな仕事を命じられる。自分は今度こそ足を洗ってまともに稼ぎ、家を建て堅気になろうと考えていたので断るのだが。
しかし、親父の命令に従わなければと思い、怒鳴られながらも渋々引き受ける。
仕事は、SUVとコンパクトカーの2台の車で無尽の豪邸に乗りつけて、SUVでサッシの窓を破って侵入し、金目の物を持ち出しコンパクトカーに運び、SUVにガソリンを撒き燃やしてしまい、コンパクトカーで逃亡するといういつもの手口だ。
ところがであります、この襲った豪邸が、州の総督邸で盗んだ美術品がイギリス史上最大規模の被害額になっていた。だから、全国ニュースになり、州総督は治安判事を任命するトップであるため、警察が本気で犯人を捜すわけ。
その上、チャドは逃亡中に警察犬を絞め殺してしまったために、担当警官が激怒しており、チャドとカトラー一族は追い込まれてしまう。
抜け出したいのに、チャドはコルビーに常に逆らおうとするも、最終的にはいいなりになっている。家族一緒にプールへ行くほど仲がいいのだ。妻がチャドにいつも文句を言われ続けるのも我慢の限界だ。
一方では警察や権力に対する反発もあり、しかし、まともに働いたこともないチャド。それに息子は祖父のコルビーに懐いており、コルビーも孫が可愛い。
凄腕ドライバーであるチャドだが、コンパクトカーを運転して警察のパトカーが追跡してくる中、パトカーを振り切る際にはタバコはかかせないのだ。
だから、わざわざガソリンスタンドに降りて煙草を買い、パトカーを追いつかせるのだ。きっと、煙草はコカインをやらないのでその代用品なのだろう。車を爆走させて、パトカーから逃げ切る快感は、チャドにとっては爽快感この上ない。
親子のしがらみというか、どんなにあがいても切っても切れない親子の絆。それこそが人生そのものといっていいのだろう。だから、自分の息子には、そんなふうになってもらいたくないという願望がある。ラストに警察に逮捕されるチャドが、息子に言う言葉が「自分の道を進め」と。
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