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ルージュの手紙★★★・5

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フランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーヴとカトリーヌ・フロが対照的な義理の母娘を演じる人生ドラマ。助産師の生真面目な中年女性が、30年ぶりに現われた継母に戸惑いつつも、過去のわだかまりを乗り越え、彼女の自由奔放な生き方も少しずつ受け入れていくさまを、ユーモアを織り交ぜつつほろ苦くも心温まるタッチで綴る。共演にオリヴィエ・グルメ。監督は「セラフィーヌの庭」「ヴィオレット ある作家の肖像」のマルタン・プロヴォ。

あらすじ:助産師として働くクレール。真面目すぎる彼女は子育てを終えた今も、堅実で禁欲的な日々を送っていた。そんな彼女の前に、30年前に突然姿を消した継母のベアトリスがいきなり現われる。酒とギャンブルが大好きで自分勝手に生きてきた彼女だったが、癌になったことで、生涯で唯一愛した男性にもう一度会いたいと戻ってきたのだった。しかし当のクレールの父は、ベアトリスが理由も告げずに去った直後に自殺していた。父と自分を捨てた憎むべき存在のベアトリスとの思いがけない再会に、戸惑いと苛立ちを隠せないクレールだったが…。

<感想>30年ぶりに現れた、血のつながらない母。風まかせに 生きる彼女が、笑いと涙を運ぶ。助産婦とその自由奔放な継母の再会劇であり、大女優カトリーヌ・ドヌーヴと言えば、フランス映画だけでなくハリウッドを含めた世界の映画界で活躍するトップ女優といっても過言ではない。

さすがに大女優だけある、年をとっても衰えることのないその前向きな生き方である。確かに1943年生まれの74歳といえば高齢ではあるが。ですが、チャーミングな仕草は「シュルブールの雨傘」や「昼顔」の時代からさして変わっていないのに驚くべきことだ。20歳代から70歳まで50年間の時間が嘘のようにそこに蓄積されているのだから。

だから、この映画も時間の流れをうまく取り入れており、見応え十分でした。主人公の助産婦役が、カトリーヌ・フロで、この女優さんも芸達者であり「偉大なるマルグリット」(16)「大統領の料理人」(13)などに出演していた。

彼女のリアルな出産シーンと、忙しい夜勤の後の脱力感まで伝わってくる演技が上手い。30年前に忽然と姿を消した亡き父親の元妻で継母の来訪を受け、医大に通う息子との2人の静かな生活をかき乱される。さて、彼女は何が目的なのか?・・・。

どうやら30年間は、酒とギャンブル漬けで自由奔放な生活を送ってきたという設定。しかも末期がんで余命幾ばくもないという。息子の恋人が妊娠をして、息子は大学を辞めて助産婦になるというのだから。

自分は職業意識に徹して地味に生きてきたのに、継母とはあまりにもかけ離れた生き方に戸惑いを覚えるばかりなのだ。

しかし、彼女は自由奔放な継母に魅力を感じないわけではない。その辺りの自由気まま継母の生き方を再現するような、カトリーヌ・ドヌーヴが素晴らしい。それはひょっとして、女優カトリーヌ・ドヌーヴの素顔と重なってくる部分もあるのではと思わせるほどリアル感があるからなのだ。

それにしても、年をとってから、お金もなく自分の暮らしを昔暮らした娘に頼ってくるとは。どうにもならなかったのだろうか。娘にお金を借りてはギャンブルをしにゆく継母。自分の時計やジュエリーを質に入れてこずかいを作る。

もうすぐ死が近づいているのに、自分勝手な性格も自分とは正反対で、だからつい、家庭菜園で知り合ったポールと愛し合うようになったのも、継母のように自分も生きたかったのだろう。

そんな時に、家庭菜園でお隣の畑をしているトラック運転手のポールと仲良くなる。彼は独り者で、家庭菜園の小屋でいつの間にか二人は愛し合うようになってしまう。

セーヌ河の近くにある家庭菜園で、川で泳ぐ息子や、亡き父親の遺灰もセーヌ河に撒いたというから。セーヌ河に浮かぶボートの底が壊れている。そのボートを見つめる継母の姿。沈んでいくボートのシーンにポールとベアトリスのダンス、まるでベアトリスの死を象徴しているようでした。

末期がんにしては元気溌剌なのが気になるところだが、最後には母子の和解へ持っていくあたりが、型通りとは言え女性客の共感を得るに違いないでしょう。

 

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