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「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェシカ・チャステインが、目的実現のためならどんな手段も厭わない剛腕ロビイストを演じるポリティカル・サスペンス。政治を影で動かすロビイストに焦点を当て、銃規制法案を巡って対立する両陣営の熾烈な駆け引きの行方をスリリングに描き出す。共演はマーク・ストロング、ジョン・リスゴー、サム・ウォーターストン。監督は「恋におちたシェイクスピア」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のジョン・マッデン。
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<感想>主人公を演じたのがこれぞ女優ジェシカ・チャステインの、デキル女のキャラに良くハマった、目を見張る演技力を観た。まさにカメレオン・アクターであります。女優の場合はまず容姿からキャスティングされ、主要な役柄に付くチャンスは年齢と共に少なくなる。
彼女の映画を初めて見たのが、「ツリー・オブ・ライフ」のブラッド・ピットの妻役でした。厳しすぎる父親のピットに対して慈愛に満ちた母親として記憶されるはかなげな女性でした。「テイク・シェルター」もDVDで観ました。
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特に美人とは思えない控えめで華奢な女優でしかなかった。ところが、「ヘルプ/心がつなぐストーリー」でアカデミー賞候補になってから、女戦士を演じた「スノーホワイト/氷の王国」その他にも多数の映画に出演。そして再びオスカー候補になった「ゼロ・ダーク・サーティ」ではCIA分析官を演じて喝采を浴びた女優さん。
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今回演じる役は、最強のロビイストとして業界に名を轟かせるエリザベス・スローン。この役は10年前なら男の役としか考えられなかっただろう。しかし、今ならこう考える。これは女性だからこそ出世と金儲けに背を向けても、信念を貫くことを選ぶキャラクターなのだと。
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彼女の仕事が、さまざまな手を使って、政治家やマスコミ、世論などを動かし、選挙や法案など重要事項の決定にある結果へと導くことを職業にする「ロビイスト」。その敏腕ロビイストが全米の銃規制法案の是非をめぐって動き出すわけ。
だからその中でも勝つことが全てを信条に、目的の為ならば手段をも選ばない女になり、会社の仲間も含めて、他人を仕事の道具と割り切ってしまう姿は、まるで鬼婆ぁでもあり、まさに憎まれ役に徹して頑張るという。
この強烈なるヒロインを人間的に表現したのが彼女であり、しかもほとんど共感を持てるところがないような性格なのだ。実際そんなヒロインであるにもかかわらず、ストーリーが進むにつれ、彼女の大胆さ、勇気に驚嘆し、その信念の強さに感銘を受けてしまった。
毎晩のように眠らない身体を薬で維持し、男の欲求すら専門の男売春を金で買い済ませるという凄い女。果たして彼女は、周りからどれくらいのダメージを受けているのか、もちろんまったく影響されてないということはないだろうが、決してそれによって彼女が感傷的になることはないのだ。
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初めは銃擁護団体のために新たな銃規制法案を廃案に持ち込む役割を命じられるも、信条的に賛成できないと彼女はクライアントの目の前で断り、即刻解雇を言い渡される。だが、その晩に、早速法案成立を目指す小さなロビー会社にヘッドハンティングされて、腕利きの部下たちを引き抜き、彼女の反逆が始まるわけ。目的のためならば手段を選ばず、共に戦ってきた同僚すら出し抜くという。しかし、その裏には一時も気を抜けず、誰にも心を許せない孤独な女の姿があったのです。
ですが、銃規制の問題をテーマにした本作だが、偶然にも撮影の2か月後にフロリダ・オーランドの銃乱射事件が起きた。そこから映画の公開までは半年足らず。それに、アメリカでは、トランプが大統領に当選した選挙戦からほぼ2週間後に劇場リリースされた。現在のアメリカ社会の時勢が、配給の面でも本作に影響を与えたと監督は明かすのだが。
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それに、映画の中でも、エリザベス・スローンが引き抜いた女性社員が、高校生の時に銃乱射事件に遭遇し、ロッカーの中で震えて無事だったという女性がいた。その女性がTVにも出演、銃規制法案に賛成するよう話す後に、帰り道で暴漢に襲われ銃を向けられ殺されそうになるも、そこへ拳銃を所持していた男が暴漢を射殺するという事件が起きてしまう。
この映画を観てアメリカでは、つい先日ラスベガスで銃乱射事件が起きたことが記憶に生々しい。ここまで事態が悪化しても、なぜに一向にアメリカでは銃規制法が作られないのか。そんなことを考えつつ本作を観て、よりこのヒロインの在り方が、鮮烈に胸に響いてきてならなかった。
2017年劇場鑑賞作品・・・289Image may be NSFW.
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