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ノクターナル・アニマルズ★★★

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映画監督デビュー作「シングルマン」で高い評価を受けたカリスマ・デザイナー、トム・フォードが、オースティン・ライトのベストセラー・ミステリーを実力派キャストの豪華共演で映画化したサスペンス・ドラマ。20年前に別れた夫から突然小説が送られてきたことに戸惑いながらも、その衝撃的な内容に惹きつけられていくヒロインの不安と葛藤を、過去と現在に加え劇中小説の物語も巧みに織り交ぜ、美しくかつスリリングに描き出す。主演は「メッセージ」のエイミー・アダムスと「ナイトクローラー」のジェイク・ギレンホール。共演にマイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン。


あらすじ:アート・ディーラーとして成功を収めながらも夫との結婚生活は冷え切り、満たされない日々を送るスーザン。ある日そんな彼女のもとに、20年前に離婚した元夫エドワードから彼の著作『夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)』が送られてくる。作品が彼女に捧げられていることに困惑しつつも、早速読み始めたスーザン。そこに綴られていたのは、車で移動中の家族が暴漢グループの襲撃に遭い、妻と娘が殺され、夫は刑事と共に犯人たちを追い詰めていくという壮絶な復讐の物語だった。そのあまりに暴力的な内容と完成度の高さに衝撃を受けながらも、これを彼女に捧げたエドワードの意図をはかりかねるスーザンだったが…。

<感想>カリスマ・デザイナー、トム・フォードの2作目。ギャラリストとして成功した主人公のスーザン。ある日彼女のもとに元夫の小説家エドワードから新作が届く。この作品は彼女に捧げられており、ページをめくるうちに、彼女は言い尽くしがたい感情に気持ちをかき乱されてしまう。

映画は現在と過去と小説の内容が、複雑に交差する構成であり、特に小説の内容は非常に暴力的なものだった。複雑な構成の映画の撮影は大変だったろうか?・・・特にヴァイオレンスな部分はいかに取り組んだのだろう。

下手なホラーなんて目じゃないほどの恐怖で、観る側を追い詰めてくる猟奇スリラーなのだが、芽の出ない小説家が別れた妻に捧げる悔悛と、増悪の表明でもあるように思えた。

母親からの助言で、エドワードに見切りをつけ、妊娠した彼の子を中絶し、適当な彼氏を見つけたところで勝ち組に乗った彼女は、小説の中で断罪され、その上で、現在の夫によって愛人を作られ、孤独感に苛まれる彼女に対しての仕返しのようで恐ろしくなる。

現在と過去、それに小説の西部テキサスの世界が入り混じった展開であり、その小説部分の家族受難サスペンスは、よくある話ながら緊迫感がありました。

ジェイク・ギレンホールの元夫は、楽観的で爽やかな青年のはずが、すべてをはぎ取られて変貌してしまう。しかし、男として情けない負け組の男でもある。

それでも、刑事役のマイケル・シャノンが出て来ると、悪者を退治してくれるであろうとホットする。

若者3人が車でカーチェイスをして、家族が乗っている車に当ててくる。嫌がらせかとたかをくくっていたが、それが飛んでもない災難に遭ってしまうのだ。タイヤがパンクをして横の溝に落ちてしまう。若者とトニーが口論をしている隙に、乗っていた妻と娘を拉致していき、荒野のトレーラーの中でレイプをして殺し、真っ赤なソファに全裸で野ざらしにするという残酷さに驚く。若者のレイには「キック・アス」のアーロン・テイラー=ジョンソンが扮してました。

冒頭のフェリーニ・スタイル、妻と娘が真っ赤なソファに全裸で、投げ出されている殺人死体のショック。この監督は、映像感覚が斬新であり、アートな現実、殺伐とした虚構を表しているようだ。この二つがどのように絡むのか、息をも潜めて見守った。

だが、この結末には拍子抜けました。小説家って、どうして生活に対して無力なのだろう、その精神はもっと強靭ではなかろうか?・・・。どうして若者たちと戦わなかったのか。それに、アメリカなのだから、拳銃を持っていても不思議ではないのに、殴られ放題のトニー。ようするに、小説の中の夫も情けない弱虫男だったということ。まぁ、最後には、若者を見つけて拳銃で撃ち殺し、自分も自殺するのですがね。

と、同時に小説を読み終わって、彼女の愛が元夫に再点火するようなことも考えられるのだが、それは彼女がめかし込んで待ち合わせのレストランへと行くところがあるから。ですが、元夫のエドワードは現れなかった。きっと、彼女に残酷な小説を見せて、その内容に自分をあてはめたりしてくれることを望んだのだろう。しかし、彼女は全然変わってはいなかったのだから。派手なドレスを着て厚化粧をして、昔の彼女と同じでしたもの。

2017年劇場鑑賞作品・・・288アクション・アドベンチャーランキング

 


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