大泉洋と松田龍平の共演で映画化した『探偵はBARにいる』シリーズ第3弾。今回も札幌のススキノを舞台に、大泉演じる探偵と松田演じる高田の名コンビが女子大生失踪事件の真相に迫る様子を活写する。田口トモロヲ、松重豊らシリーズおなじみのメンバーに加え、新たに北川景子、前田敦子、リリー・フランキーらが参加している。
あらすじ:ある日、高田(松田龍平)が探偵(大泉洋)に、行方不明になった大学生の麗子(前田敦子)の捜索話を持ってくる。調査を進めていくと、彼らはモデル事務所の美人オーナー・マリ(北川景子)にたどり着く。探偵と高田はミステリアスなマリに振り回されるうちに、やがて大きな事件に巻き込まれ……。
<感想>大泉洋の看板シリーズとして着々と新作が生み出されると信じて止まなかった私には、前作から4年である。待って待って、そしてお目見えした新作は、ハードボイルド・バディムービーとして期待を裏切らなかった。絶妙のコンビ「探偵」=大泉洋×「その相棒の高田」=松田龍平。この愛すべき2人が、シリーズ第3弾をひっさげようやく帰って来た。
探偵の大泉洋ちゃんは、これぞ彼のハマリ役、気取り屋で、お調子者で、女に弱いときてる。仕事は金のため生活のためであるのは無論だが、結局のところ、小悪党に振り回され、おおむねくたびれ儲けに終わる。いつも美女絡みの事件に巻き込まれて受難続きの探偵と、その探偵の窮地にワンテンポ遅れて飄々とやって来る高田。その名コンビ・珍コンビぶりは健在にして、どこか微妙な変化も感じられる今回の第3弾。
その舞台裏では何があったのか、確かに今回は高田に新しい面が幾つか見れましたね。志尊淳くんとの一対一のアクションとか、空手の師範代という設定の高田が負けてしまう場面もあるからして。
それにスローモーションでも大乱闘シーンも、「ゆっくり動いて相手にパンチやキックを当てる殺陣」いつもの洋ちゃんが、ヤクザの桐原組若頭の松重豊さんに、パンツ一丁で寒風にさらされながら、漁船の千首に縛られているシーンとか。ヒロインの北川景子とベッドで朝を迎えるシーンとか。
殆どが北海道でのロケだが、探偵のいるバー“ケラー・オオハタ”の店内、いつも通りの無表情な高田と落ち着かない探偵がいて、そこへヒロインの北川景子扮する岬マリ3人のシーンであります。高田の後輩から依頼された失踪した女子大生の前田敦子ちゃん探しが、探偵の命をも脅かす危険な事態に発展する。
追っていたはずのモデル事務所を装った風俗店のオーナーにして裏社会で暗躍する北城(リリー・フランキー)の愛人・マリから無理難題な依頼をされた探偵は、自らに銃を突き付けて命を投げ出そうとするマリに、張り手をくらわすという鬼気迫る場面であります。
そして、札幌のショッピングモール、サッポロファクトリーで行われた。北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督と札幌市長が登場し、スポーツイベントに集まった観客に混ざって、マリから依頼を受けた探偵が、北城とヤバいブツの取引をするところ。
中央の階段上に探偵とマリが真っ赤なボストンバックと茶色のボストンバックを持ち、階下のテーブルに座ると北城も子分を連れてやって来た。テーブルの下で赤いカバンに札束を1億円いれろと指図をする。茶色のカバンには覚醒剤5キロが入っている。その取引をスムーズにするためにこの賑やかな場所を選んだわけなのだが、追ってくるであろう階下にいる北城と子分たちを巻こうとする。
陰である役まわりだったマリが、探偵に向かって無邪気に微笑むと、「全員ぶっ殺すぞ!」と叫び空に向かって引き金を引くやいなや、大勢の大衆が悲鳴をあげ右往左往と逃げ惑う。ここで、本当にびっくりする北川景子の様子に呆気にとられ、探偵が札束の入った赤いカバンを持ち逃げる、逃げる。
追いかける北城の子分たち、途中できっと誰かにカバンをすり替えてしまうのだろうと思っていたら、やっぱりね、北城の子分に捕まる探偵は、札束のカバンを取られてしまう。だが、車の中の北城がニヤリと笑いながらカバンを開けると、週刊誌がぎっしりと詰まっていただけなのだ。
それにしても、探偵の行きつけの喫茶店のウェイトレス嬢の安藤玉恵の魅力とでもいうか、豊満な胸を武器に探偵にしなだれかかり、「好きなのよ」とばかり迫っていくも、探偵はびくともしない。それがキマリなのだが。
そして、探偵の腐れ縁の昔気質のヤクザ、相田役の松重豊さんも今回でもいい味を出している。初めの寒風での漁船の一見と、サウナに入っているシーンでは、こわもての松重さんと洋ちゃんと並んで入っているシーン。
そして、新聞記者の松尾役の田口トモロヲさんであり、本当は大悪党も演じられる凄腕の俳優でもあるので、もっと物語に深く絡ませてもらいたいと思う。
クライマックスでは、探偵をフォローして、客引き、源役のマギーたちが心意気を見せている。金も力もない探偵だが、人間関係においては、中々の手練れだということがよく分かる。
もう一人忘れてならないのが、元娼婦のモンローを演じた鈴木砂羽さん。北川景子が落ちぶれていたころに、一緒に働いていた彼女が、岬マリの親友として出て来て、死にたいという岬マリを助けて、マリに言う言葉が、「命を燃やせる何かが見つかるまで生きろ」と言い含める探偵。
その命を燃やせる何かが、昔、子供を妊娠して流産してしまい、入院先で病気の娘と出会い、その娘が自分がどうしても生みたかった子供、2月18日誕生日の、娘と同じ誕生日の女の子に、覚醒剤を売った金を全部上げるというお話でもある。結局は、何てことのない子供に、人間二人を殺して覚醒剤を売りさばき、自分は薬モルヒネを呑んでいるのは、末期がんであるってことなの。
最後にオマケのコントみたいなシーンがある。エンドロールの後なので、最後まで見てやって下さい。
2017年劇場鑑賞作品・・・282アクション・アドベンチャーランキング、