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ボスその男シヴァージ ★★★

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貧しい人のために無料の病院を建設しようとする実業家と、それを邪魔する悪徳企業家の戦いを描くアクション映画。出演は、「ムトゥ 踊るマハラジャ」のラジニカーント。監督は、「ロボット」のシャンカール。音楽は、「スラムドッグ$ミリオネア」で第81回アカデミー賞作曲賞・歌曲賞を受賞したA・R・ラフマーン。
あらすじ:アメリカで大成功を収めたインド人実業家シヴァージ(ラジニカーント)はインドに帰り、仲の良い親戚の“おじさん”(ヴィヴェク)と一緒に、南インドの故郷チェンナイで貧しい人のために無料の病院や学校を建設しようと計画する。しかし、悪徳企業家アーディセーシャン(スマン)の裏工作により、病院の建設は中止に追い込まれる。裏金がはびこる国内の状況を嘆きつつ、シヴァージも裏取引を繰り返して病院建設に邁進する。病院ビジネスを独占し、市民から法外な診療費を徴収していたアーディセーシャンは、シヴァージに別のビジネスをやるよう提案するが、シヴァージは断る。
一方、シヴァージの両親や“おじさん”は、彼がなかなか結婚しないことを心配し、様々な女性を紹介する。しかし、タミル地方の魂を持った古風な女性しか興味がないと、シヴァージは首を縦に振らない。そんなシヴァージは、ある寺院でタミルセルヴィー(シュリヤー・サラン)という美女に一目ぼれする。彼女の気を引こうとあれこれ試すが、古風なタミルはかえって消極的になっていく。私財をすべて投入し、賄賂も使って病院の建設許可を得るが、アーディセーシャンの策略により新しい州知事が選挙に当選する。そのため、シヴァージの病院建設は白紙になってしまう。タミルは彼の情熱に心を打たれ、結婚を決意する。しかしシヴァージが賄賂を使っていたことが税務署にばれ、彼の手元には1ルピーしか残らなかった。シヴァージは“おじさん”とともにアーディセーシャンの悪事を暴き、賄賂を奪おうとするが失敗する。アーディセーシャンは役人を使ってシヴァージを逮捕させ、護送しながら殺害しようと企むが、間一髪のところで命を救われる。やがて、スキンヘッドにサングラス姿で、狂気を漂わせる男になって現れたシヴァージは、アーディセーシャンたちに復讐を誓う。

<感想>最近では「ロボット」で健在ぶりを示したインドのスーパースター、ラジニカーントの、2007年の主演作。その「ロボット」に記録を破られるまでは、本作品が映画史上最高の興行収入記録を保持していたというのだ。インドは決して貧しいわけではない。ただ富が一極に集中しているために、多くの人々が貧しい生活を余儀なくされているのだと。政治家や事業家が不当に得た金を溜め込んでいる。こうした裏金をすべて表に出し、貧しい国民のために役立てる。それがシヴァージの革命であったのだ。

と書けばずいぶん硬派な社会派ドラマを想像するけれど、実際はいつものように合間合間に、踊りと歌が入りつつ、あとは惚れた女に家族を挙げてストーカー行為を働いたりするので、徐々になんの映画を観ているのか分からなくなってくる。180分を超える映画の前半は、シヴァージの世直しと地道なストーカー活動の映像に費やされる。一家総出で、女の家に勝手に上り込んでおやつを要求し、あるいは自分の家に呼んで無理やりメシを食わせたりする。彼女は二人の相性が悪いという占い師の言葉を信用して、絶対に結婚はしないと言うのだ。

それと、悪徳実業家アーディセーシャンからの度重なる妨害があったりと、中々物事が上手く運ばないのだ。
それでも惚れた女に、あんたは色黒だから嫌だと言われれば、全身を漂白して踊りまくり呆れかえる。そうこうするうちに、本気を出してきた悪徳のアーディセーシャンにより、破産に追い込まれるシヴァージというところで前半は終了。ここまでで実に90分。
で、主人公は1ルピー硬貨を残して破産したのだが、走ってくる電車の前に立ち、覚悟を見せたら好きな彼女は結婚してくれるという、そして御殿みたいなところでダンス、これ衣装もバックの風景、建物もステキでした。決めゼリフは「COOL」なので余り悲壮感はなかった。ともあれ財産から何から奪われた落とし前は、付けなきゃならんと復讐を開始するシヴァージ。政治家や役人をお仕置き部屋に連れ込み、暴力でもって恫喝。あるいは裏切りの証拠を突きつけて脅迫。まさに悪をもって悪を制す。社会正義のためとはいえ野蛮すぎるやり方だが、映画のトーンがバカに明るいのであまり気になりません。
彼女と野外映画「キングコング」を観ていると、悪人に囲まれて車はベコベコに、蹴散らしてスクリーンへダイブするし、朝には警察が来て、不正資金洗浄の罪で捕まってしまう。その刑務所の中でこてんぱんに痛めつけられ、自分で電線引っこ抜いて感電死する。

おもろいのが、生まれ変わったシヴァージが、スキンヘットの頭で若返るしで、猿のような身軽さでバク転するわ足蹴りするわで、悪人たちを次々と鉄パイプ振り回して暴れまくる。それに札びらが桜吹雪のように空を舞うのもいい。

撮影当時、ラジニカーントは60歳前後で、踊りにしても立ち回りにしても、微妙に力を抜いている様子である。しかし映画の全篇にラジニさんの素敵な小ネタが満載で飽きさせないですね。例えば掌のガムをポンと飛ばして口に入れる。どこからか風が吹いてきて前髪のズラがなびく、あるいは大立ち回りの舞台へバイクに寝そべっての登場とか。さらにはスローモーションでこちらに向って歩いて来ること数え切れず。そういったキャラクターの力だけで、3時間もの長丁場を見せ切るのだから大したもんです。今回のダンスシーンで傑作だったのが、ラジニの背後で腹を揺らす100人のメタボ中年オヤジ軍団。最後にはラジニの似顔絵が腹にペイントされてて、激揺れするという痛快さ。
まぁ、歌あり踊りあり、立ち回りの間に執拗に決めポーズを挿入とか、よくよく考えてみれば一世を風靡したマツケンの公演みたいなもんです。
2013年DVD鑑賞作品・・・24  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ


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