『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソンを主演に迎え、文豪ギイ・ド・モーパッサンの長編小説「ベラミ」を映画化。19世紀、パリのブルジョア社会を舞台に、恵まれた容姿を武器にのし上がって行く青年のな野心を描く。タイプの違う貴婦人を演じるのはユマ・サーマン、クリスティン・スコット・トーマス、クリスティナ・リッチ。美女たちに愛されながらも満たされない主人公の陰のある表情にぞくりとする。
あらすじ:1890年のパリ、アルジェリア帰還兵のジョルジュ(ロバート・パティンソン)は鉄道会社に職を得たものの薄給で貧乏のどん底にいた。ある日、彼は騎兵隊時代の友人シャルル(フィリップ・グレニスター)と酒場で再会する。ジョルジュは新聞社勤務で金回りが良いシャルルに招かれ夕食に行き、才色兼備なシャルルの妻マドレーヌ(ユマ・サーマン)とかわいらしいド・マレル夫人(クリスティナ・リッチ)に出会う。(作品資料より)
<感想>モーパッサン原作の文芸作品である。十九世紀末パリ・社交界においてその美貌を武器に貴婦人たちを征服し続け、女たちを踏み台にしてのし上がっていく野心的な男をロバート・パティンソンが、セックスの匂いをプンプン臭わせた目つきと表情とで演じていた。彼を巡る女性陣は、ユマ・サーマン、クリスティーナ・リッチ、クリスティン・スコット・トーマスといった美女揃いなのである。いい男というのも辛いものだし、モテるのも結構大変なことだと思う。
なるほど、物語は現代に通じるに違いない。野心家だが無能なイケメン青年が、性的魅力を武器に階層をのし上がる話はいかにもありそうだし、ジャーナリズムと政治の関係も、モラルの低下も今日的である。
タイトルの「ベラミ」とは直訳すると「美貌の友」と言うらしいが、“色男”といってもいいくらい女にもてる。さて物語は、騎兵隊時代の旧友で、ラ・ヴィ・フランセーズ(フランス人の生活)紙の政治部長として羽振りのいい生活を送っていた。友人の家の夜会に招かれたパティンソン君は、夜会服を借りる金まで用立ててもらい出かけていく。夜会服をまとった彼は、見違えるほどの男ぶりで現れ、テーブルマナーさえおぼつかない彼だが、何気なく語ったアフリカでの回想話が一同を魅了することになるわけ。
男は見かけではなく、仕事ができることだとか、気っぷの良さだというが、何だかんだ言っても女性はイケメンが好きだ。パーティなどで女性たちをみていても、目は何となく美青年に寄っているのだから。老人ホームに入っても、やはりいい男はモテるらしい。この映画の主人公ジョルジュにしても、取り立てて何もない男なのだが、ただ一つ実にいい男で、見栄えがいいといった武器を持っている。映画では、人妻たちが次々に彼の虜になっていく。家柄とかで結婚した相手、経済的に恵まれても、夫が妻を満足させていないのだろう。
ジョルジュに扮しているのはロバート・パティンソンで、どこか育ちの悪さをよく出していた。だが、彼の内面の空虚やそこに惹かれる女性たちの心の心理描写が浅く、台詞だけで処理されているようなところが物足りなかった。
一番初めに上手く結婚にこぎつけたのは、ユマ・サーマンで友人シャルルの妻。彼女には年老いた伯爵という恋人がいた。夫が病気で亡くなった後、頻繁にお見舞いをした彼が、彼女と結婚するというのもその伯爵とのことが影にあったことなのかも。結局、伯爵との密会を目撃してしまい離婚ということに。
誰とも真に親密な関係を築けない人生の中で、最も長く続いたクリスティーナ・リッチとの間柄が、やはり一番充実していたと思う。しかし、彼女との逢引きの部屋へ、編集長夫人のスコット・トーマスおばさんを誘い込むのはどうかと思う。彼女は年齢的にも夫にも愛されず、パティンソンの誘いに嬉しそうになびく。でも、彼女の一人娘に色目を使い結婚までこぎつけるとは恐れ入りました。
死に直面した原作者モーパッサンが、痛感していた生の眩しさと、死の暗黒との対比がそこはかとなく漂ってくるが、にしてもこの男の中身の無さは凄いと感じた。作り手はこの才能なき男が、美貌だけをたよりに上流社会を食い散らかしていく様を、現代的と解釈したのか、だが、演出がいまいち冴えなかった。
2013年劇場鑑賞作品・・・92 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:1890年のパリ、アルジェリア帰還兵のジョルジュ(ロバート・パティンソン)は鉄道会社に職を得たものの薄給で貧乏のどん底にいた。ある日、彼は騎兵隊時代の友人シャルル(フィリップ・グレニスター)と酒場で再会する。ジョルジュは新聞社勤務で金回りが良いシャルルに招かれ夕食に行き、才色兼備なシャルルの妻マドレーヌ(ユマ・サーマン)とかわいらしいド・マレル夫人(クリスティナ・リッチ)に出会う。(作品資料より)
<感想>モーパッサン原作の文芸作品である。十九世紀末パリ・社交界においてその美貌を武器に貴婦人たちを征服し続け、女たちを踏み台にしてのし上がっていく野心的な男をロバート・パティンソンが、セックスの匂いをプンプン臭わせた目つきと表情とで演じていた。彼を巡る女性陣は、ユマ・サーマン、クリスティーナ・リッチ、クリスティン・スコット・トーマスといった美女揃いなのである。いい男というのも辛いものだし、モテるのも結構大変なことだと思う。
なるほど、物語は現代に通じるに違いない。野心家だが無能なイケメン青年が、性的魅力を武器に階層をのし上がる話はいかにもありそうだし、ジャーナリズムと政治の関係も、モラルの低下も今日的である。
タイトルの「ベラミ」とは直訳すると「美貌の友」と言うらしいが、“色男”といってもいいくらい女にもてる。さて物語は、騎兵隊時代の旧友で、ラ・ヴィ・フランセーズ(フランス人の生活)紙の政治部長として羽振りのいい生活を送っていた。友人の家の夜会に招かれたパティンソン君は、夜会服を借りる金まで用立ててもらい出かけていく。夜会服をまとった彼は、見違えるほどの男ぶりで現れ、テーブルマナーさえおぼつかない彼だが、何気なく語ったアフリカでの回想話が一同を魅了することになるわけ。
男は見かけではなく、仕事ができることだとか、気っぷの良さだというが、何だかんだ言っても女性はイケメンが好きだ。パーティなどで女性たちをみていても、目は何となく美青年に寄っているのだから。老人ホームに入っても、やはりいい男はモテるらしい。この映画の主人公ジョルジュにしても、取り立てて何もない男なのだが、ただ一つ実にいい男で、見栄えがいいといった武器を持っている。映画では、人妻たちが次々に彼の虜になっていく。家柄とかで結婚した相手、経済的に恵まれても、夫が妻を満足させていないのだろう。
ジョルジュに扮しているのはロバート・パティンソンで、どこか育ちの悪さをよく出していた。だが、彼の内面の空虚やそこに惹かれる女性たちの心の心理描写が浅く、台詞だけで処理されているようなところが物足りなかった。
一番初めに上手く結婚にこぎつけたのは、ユマ・サーマンで友人シャルルの妻。彼女には年老いた伯爵という恋人がいた。夫が病気で亡くなった後、頻繁にお見舞いをした彼が、彼女と結婚するというのもその伯爵とのことが影にあったことなのかも。結局、伯爵との密会を目撃してしまい離婚ということに。
誰とも真に親密な関係を築けない人生の中で、最も長く続いたクリスティーナ・リッチとの間柄が、やはり一番充実していたと思う。しかし、彼女との逢引きの部屋へ、編集長夫人のスコット・トーマスおばさんを誘い込むのはどうかと思う。彼女は年齢的にも夫にも愛されず、パティンソンの誘いに嬉しそうになびく。でも、彼女の一人娘に色目を使い結婚までこぎつけるとは恐れ入りました。
死に直面した原作者モーパッサンが、痛感していた生の眩しさと、死の暗黒との対比がそこはかとなく漂ってくるが、にしてもこの男の中身の無さは凄いと感じた。作り手はこの才能なき男が、美貌だけをたよりに上流社会を食い散らかしていく様を、現代的と解釈したのか、だが、演出がいまいち冴えなかった。
2013年劇場鑑賞作品・・・92 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング