小林薫が小さな食堂の寡黙なマスターを演じ、日本のみならずアジア各国で人気を博す安倍夜郎原作の人情ドラマ・シリーズの劇場版第2弾。夜な夜な常連客で賑わう“深夜食堂”を舞台に、マスターの作る素朴で懐かしい料理の数々とワケありな客たちが織りなす悲喜こもごもの人間模様を心温まるタッチで綴る。共演は松重豊、オダギリジョーら常連客の面々と前作に続いての出演となる多部未華子、余貴美子に加え、佐藤浩市、河井青葉、池松壮亮、キムラ緑子、小島聖、渡辺美佐子、井川比佐志らがゲストで参加。監督は引き続き「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の松岡錠司。
あらすじ:繁華街の路地裏で、深夜になると開店する小さな食堂。メニューは酒と豚汁定食だけながら、注文すれば出来るものなら何でも作ってくれる。そんな“深夜食堂”には、今宵も店ののれんをくぐって、ワケありの客がやって来る
「深夜食堂」2015年
<感想>本作も第1作目と同じように三篇のエピソードと看板メニューが出て来て、もちろん、主人公小林薫がマスターを務め、真夜中だけ営業する小さな飯屋“深夜食堂”を舞台に、そこの常連客や新規のお客の人生を、食い物に絡めて描いた作品であります。
今回は、「焼肉定食」、「焼うどん」「豚汁定食」をテーマに、3つの物語が綴られていく。
埼玉県入間市にある倉庫の中に、「深夜食堂」を中心にした周辺の街並みのセットが建てられ、外から見ると普通のだだっ広い倉庫だが、一度中へ入ると何故か美味しい香りがどこからともなく漂ってきて、ここでは、物語の舞台である新宿・花園神社周辺にある、新宿ゴールデン街を思わせる小さな路地裏が出来上がっていた。
昭和の香りを残したネオン街の店看板、吐き出されたチューインガムやポイ捨てされた吸い殻など、ドラマシリーズから調整を重ねてきたという街並みには、カメラが映さないところでもディテールにこだわりが見られる。
いつもの常連さんの不破万作、金子清文、平田薫、そして深夜ファンからはお茶漬け三人娘のミキ、ルミ、カナらが、焼き色の付いた大ぶりの秋刀魚焼きをつつきながら、話に花を咲かせていた。
すでにTVドラマシリーズでも出ているキャストたちなので、息ももぴったりでテンポも良く撮影が進められていく。それにしても、これまで美味しそうな家庭的な、おふくろの味のする料理が出てくる映画はなかなかない。本シリーズのフードコーディネーターを務める飯島奈美は、本番前に一角に作られた小さなキッチンで、綺麗に並べた秋刀魚をじっくりと七輪で焼き上げている。この飯島奈美さんは、「かもめ食堂」、「海街diary」や、NHKの「ごちそうさん」でも活躍している。
本当に美味しいから、みなさん演技をしながら実際にどんどん食べちゃっている。料理を食べる出演者たちの幸せそうな表情が本物だったことは、映像からも伝わってくるのだ。
冒頭の場面では、ある夜のこと、常連客が揃いもそろって喪服姿で現れる。そんな中で、もう一人喪服姿の女範子(河井青葉)が入ってきて、彼女はストレス発散に喪服を着て街を歩くという一風変わった女。いつも食べるのは「焼肉定食」これも、豚バラ肉に生姜醤油で絡めて美味しそうだった。
編集社に務めており小説家の死に目に遭い、葬式場で渋い男性と出会う。その男は佐藤浩市が扮しており、心惹かれていくのだが、実は香典泥棒だったとはこれいかに。ベテランの佐藤浩市の渋い中年の男が演じているので、まさか香典泥棒だとは思いもよらなかった。コメディを見ているような感じでしたね。
最初の豚汁定食を食べる熊本から上京して来た渡辺美佐子おばあちゃん。キテキテ詐欺と思われる電話で息子のために200万円を持ってやってきて、見事に騙されてしまう。
帰り道途方にくれている渡辺婆ちゃんが今夜の泊まるところを探しているのに、マスターが2階が空いているのに泊めると言わない。
実は、2階では警察が向かいのアパートに住んでいる犯人を、張り込みしているわけで、時折2階で音がするのを、ネズミだろうと平気な顔して言う。
そこで出る「すきやき」も豪華版である。
仕方なく近所のカプセルホテルへ泊まるも、次の日は、1作目に出ていたみちるという女の部屋に泊まる。新潟から出て来て、男にお金を全財産騙されて取られてしまい、この店の前にいたあの女、多部未華子だ。この店の常連客でマスターの恋人のような存在の料亭の女将、余貴美子の店で板前修業をすることになるとは。
そして、「焼うどん」のお話しでは、近所のソバ屋の息子清太(池松壮亮)が、亡き父親の跡継ぎとして、母親(キムラ緑子)が子離れしてくれず、彼は近所の運送屋の事務員で、15歳も年上の女性さおり(小島聖)との結婚を母親に言い出せずにイライラしている。それに、ソバ屋の息子が大好きなのは、うどんなのだ。
母親に内緒で近所のソバ屋で修行をしていることも、趣味は卓球でそこで恋人のさおりと出会い、急速に仲良くなったというわけ。この二人に結婚も、初めは母親も15歳も年上の姉さん女房なんてと、怒って取り合わなかったが、最後には認めてやるのだ。
マスターがソバ屋の女将に出してやるざるそばは、息子の清太が近所で修行して打った蕎麦。涙を流しながら、ボソボソして美味しくないといい食べる母親の顔は、幸せそう。
この店に集まる客たちの人情味溢れる人柄に、喜劇ふうな笑いもあり、交番のおまわりさんのオダギリジョーが、これまたお人よしで熊本の渡辺ばあちゃんの為に、幼い時に若気の至りで置き去りにしてしまった息子を探してやるとは、最後にタクシーの中から遠くに見える、大きくなって幸せな生活をしている息子に嫁、孫の姿を見て安心して涙をこぼすシーンでは、観客もついもらい泣きしてしまう。
ラストは、大晦日で3人女が振袖を着て現れ、年越しをここで過ごす常連客たち。そこへ、みちるが重箱におせちを詰めて入って来る。
みんな家族のように和気あいあいであり、観ていてこういうお店があったら、私も通うのになんて思ってしまった。いい映画には美味しいごはんと、おふくろの味のする家庭料理に、旨い酒が一番ですからね。
2016年劇場鑑賞作品・・・242映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:繁華街の路地裏で、深夜になると開店する小さな食堂。メニューは酒と豚汁定食だけながら、注文すれば出来るものなら何でも作ってくれる。そんな“深夜食堂”には、今宵も店ののれんをくぐって、ワケありの客がやって来る
「深夜食堂」2015年
<感想>本作も第1作目と同じように三篇のエピソードと看板メニューが出て来て、もちろん、主人公小林薫がマスターを務め、真夜中だけ営業する小さな飯屋“深夜食堂”を舞台に、そこの常連客や新規のお客の人生を、食い物に絡めて描いた作品であります。
今回は、「焼肉定食」、「焼うどん」「豚汁定食」をテーマに、3つの物語が綴られていく。
埼玉県入間市にある倉庫の中に、「深夜食堂」を中心にした周辺の街並みのセットが建てられ、外から見ると普通のだだっ広い倉庫だが、一度中へ入ると何故か美味しい香りがどこからともなく漂ってきて、ここでは、物語の舞台である新宿・花園神社周辺にある、新宿ゴールデン街を思わせる小さな路地裏が出来上がっていた。
昭和の香りを残したネオン街の店看板、吐き出されたチューインガムやポイ捨てされた吸い殻など、ドラマシリーズから調整を重ねてきたという街並みには、カメラが映さないところでもディテールにこだわりが見られる。
いつもの常連さんの不破万作、金子清文、平田薫、そして深夜ファンからはお茶漬け三人娘のミキ、ルミ、カナらが、焼き色の付いた大ぶりの秋刀魚焼きをつつきながら、話に花を咲かせていた。
すでにTVドラマシリーズでも出ているキャストたちなので、息ももぴったりでテンポも良く撮影が進められていく。それにしても、これまで美味しそうな家庭的な、おふくろの味のする料理が出てくる映画はなかなかない。本シリーズのフードコーディネーターを務める飯島奈美は、本番前に一角に作られた小さなキッチンで、綺麗に並べた秋刀魚をじっくりと七輪で焼き上げている。この飯島奈美さんは、「かもめ食堂」、「海街diary」や、NHKの「ごちそうさん」でも活躍している。
本当に美味しいから、みなさん演技をしながら実際にどんどん食べちゃっている。料理を食べる出演者たちの幸せそうな表情が本物だったことは、映像からも伝わってくるのだ。
冒頭の場面では、ある夜のこと、常連客が揃いもそろって喪服姿で現れる。そんな中で、もう一人喪服姿の女範子(河井青葉)が入ってきて、彼女はストレス発散に喪服を着て街を歩くという一風変わった女。いつも食べるのは「焼肉定食」これも、豚バラ肉に生姜醤油で絡めて美味しそうだった。
編集社に務めており小説家の死に目に遭い、葬式場で渋い男性と出会う。その男は佐藤浩市が扮しており、心惹かれていくのだが、実は香典泥棒だったとはこれいかに。ベテランの佐藤浩市の渋い中年の男が演じているので、まさか香典泥棒だとは思いもよらなかった。コメディを見ているような感じでしたね。
最初の豚汁定食を食べる熊本から上京して来た渡辺美佐子おばあちゃん。キテキテ詐欺と思われる電話で息子のために200万円を持ってやってきて、見事に騙されてしまう。
帰り道途方にくれている渡辺婆ちゃんが今夜の泊まるところを探しているのに、マスターが2階が空いているのに泊めると言わない。
実は、2階では警察が向かいのアパートに住んでいる犯人を、張り込みしているわけで、時折2階で音がするのを、ネズミだろうと平気な顔して言う。
そこで出る「すきやき」も豪華版である。
仕方なく近所のカプセルホテルへ泊まるも、次の日は、1作目に出ていたみちるという女の部屋に泊まる。新潟から出て来て、男にお金を全財産騙されて取られてしまい、この店の前にいたあの女、多部未華子だ。この店の常連客でマスターの恋人のような存在の料亭の女将、余貴美子の店で板前修業をすることになるとは。
そして、「焼うどん」のお話しでは、近所のソバ屋の息子清太(池松壮亮)が、亡き父親の跡継ぎとして、母親(キムラ緑子)が子離れしてくれず、彼は近所の運送屋の事務員で、15歳も年上の女性さおり(小島聖)との結婚を母親に言い出せずにイライラしている。それに、ソバ屋の息子が大好きなのは、うどんなのだ。
母親に内緒で近所のソバ屋で修行をしていることも、趣味は卓球でそこで恋人のさおりと出会い、急速に仲良くなったというわけ。この二人に結婚も、初めは母親も15歳も年上の姉さん女房なんてと、怒って取り合わなかったが、最後には認めてやるのだ。
マスターがソバ屋の女将に出してやるざるそばは、息子の清太が近所で修行して打った蕎麦。涙を流しながら、ボソボソして美味しくないといい食べる母親の顔は、幸せそう。
この店に集まる客たちの人情味溢れる人柄に、喜劇ふうな笑いもあり、交番のおまわりさんのオダギリジョーが、これまたお人よしで熊本の渡辺ばあちゃんの為に、幼い時に若気の至りで置き去りにしてしまった息子を探してやるとは、最後にタクシーの中から遠くに見える、大きくなって幸せな生活をしている息子に嫁、孫の姿を見て安心して涙をこぼすシーンでは、観客もついもらい泣きしてしまう。
ラストは、大晦日で3人女が振袖を着て現れ、年越しをここで過ごす常連客たち。そこへ、みちるが重箱におせちを詰めて入って来る。
みんな家族のように和気あいあいであり、観ていてこういうお店があったら、私も通うのになんて思ってしまった。いい映画には美味しいごはんと、おふくろの味のする家庭料理に、旨い酒が一番ですからね。
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