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少女 ★★★

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“イヤミス”を代表する作品ともなった『告白』でデビューした湊かなえがその次に発表した同名ベストセラーを「アオハライド」の本田翼と「貞子vs伽椰子」の山本美月の主演で映画化した青春ミステリー。不幸な出来事に遭遇し、心に深い闇を抱えた女子高生2人が、“人が死ぬ瞬間を見たい”との思いを胸に過ごす危険でおぞましい夏休みを描き出す。監督は「ぶどうのなみだ」「繕い裁つ人」の三島有紀子。

<感想>2人の女子高生がこの映画で紡ぎ出すのは、17歳という危うい年齢を生きる少女たちが抱える光と闇、生と死です。ミステリー要素の中に人間味が強く感じられます。主人公の桜井由紀と草野敦子の二人は、幼いころから剣道を続けて仲良しだったのですが、敦子が将来有望と言われるも高校の団体戦で一歩を踏み出した時、じん帯を損傷してしまい転落してしまう。ケガをしてから、イジメの対象になりひきこもりになる。

それに、由紀も、家庭の中で祖母がアルツハイマー症状で暴言を吐き、家族の悩みの種だったのだが、夜に由紀が濡れタオルを祖母の顔にかけて窒息死をさせようと試みるも、反対に元気な祖母の力で、頭を殴られ左手をナイフで切られてしまう。それからというもの、祖母を毛嫌いして近寄らなくなる。

学校では授業中に由紀が小説を書いているところを、担任の先生(児嶋)が咎めることもなく、後でその小説を盗み自分の名前で出版社に出し、新人文学賞を受賞してしまう。由紀はそのことで、先生を訴えることもなく、夜に教室へ行き、先生のPCのファイルにとってある生徒とのセックスの動画を暴露して、先生は学校を首になり自殺をするのだ。アンジャッシュの児嶋がこの教師の役をしている。
敦子の方は、足を引きずりながら歩くので、虐めの対象となり暗い性格なのだ。夏休みに入り、敦子は老人ホームで介護の手伝いをする。そこには、介護員の稲垣吾郎がいて、謎の多い過去にトラウマを抱えている男で、何を考えているのか分からない性格。だが、手伝いながら親しくなる。その老人ホームに、由紀の祖母も入所していた。

由紀の方は、老人ホームへ行くも、祖母の声に怯えて過去のトラウマの幻覚に苛まれる。そして、敦子に近づく紫織という転校生。彼女は実は電車のホームで中年男性に近寄り、でっち上げで痴漢をされたとその男を脅して金を巻き上げる悪い女。

敦子もそばにいて、見ていて金を巻き上げる悪女のしおりに驚きつつも、何にも言えないのだ。

由紀は病院の小児科病棟に通い、そこで余命僅かな2人の男の子と仲良くなり、手術をしても助からないかもしれないという男の子に、父親捜しをかって出る。男の子の父親が働いていた会社に行くも、そこの中年男に声をかけられ、自分の学校の生徒たちが援助交際をしているらしく、由紀も男に誘われるのだ。高校生って誘惑に弱いのか、それとも自分を大事にしてないの。

仲の良かった由紀と敦子の中がぎくしゃくしてしまい、その2人が再び話をする糸口を作るのが稲垣吾郎である。つまり、病院の男の子の父親捜しをしていて、見つかったのが稲垣吾郎であり、彼も女子高生の痴漢騒ぎで捕まり、本当は冤罪なのに結局は認めてしまい、会社も首になり家族とも別れてしまう。病院で親子の対面を果たすも、息子は父親に恨みを持っており、ナイフで父親の腹を刺す。何という悲劇なのか。

17歳の夏休みに経験をした“死にまつわる禁断の世界とは”転校生のしおりの言葉で「死体って見たことある?」という何気ない一言をきっかけに、由紀と敦子は人の死を見たいという願望に取り憑かれるようになる。
映画の中で因果応報とか、地獄や「死ね」、「死ねばいいのに」とか「死にたい」と言う、簡単に飛び交う年代なんだなぁと思いました。ですが、それは「生」の裏返しというか、「生きたい」とか「こうしたい」という欲求の裏返しかなとも取れると思います。
親友同士のヒロインを、テレビドラマ「恋仲」でも共演したことのある現在24歳の本田翼と山本美月が高校生役を演じており、17歳という多感な時期の心の闇を体現している2人は、それぞれの方法で、人が亡くなる瞬間を見れば生きる気力を取り戻せると考えるのだが、決して2人とも人殺しをしたいということではありませんからね。「死とは何なのか」を知ろうとする青春ミステリーになってました。

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