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人間の値打ち ★★★

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ひとつのひき逃げ事件をきっかけに、登場人物たちの秘められた利己的な振る舞いが露わになっていくさまを通して、お金持ちと彼らに群がる人々が織りなす欲望と打算の赤裸々な人間模様を巧みな筆致で描き出した群像ミステリー。イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では、みごと作品賞を含む7冠を獲得。出演はヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ、ヴァレリア・ゴリノ、マティルデ・ジョリ。監督は「見わたすかぎり人生」のパオロ・ヴィルズィ。

<感想>この映画では、さまざまな階級の男女による愛憎劇と欲望が渦巻く人間模様がミステリー仕立てで展開していく。それは、イタリアの高級リゾート地、コモ湖のほとりに立つ美しい邸宅を舞台に、経済格差のある複数の家庭に隠された欲望の本質を浮かび上がらせる物語。

「お金」「存在意義」「愛」をそれぞれ求める3人の人物を登場させ、同じ時系列のひとつの出来事を、別々の視点によって見つめていくというスタイルが出色だ。“人間の価値”という深遠なテーマを追求した名匠パオロ・ヴィルズィの手腕が光ります。

クリスマス・イブ前夜の、ミラノ郊外でひき逃げ事件が発生する。映画の冒頭、パーティで働いたウェイターが自転車で帰宅する途中、暗い道で何者かが運転する乗用車にひき逃げされるさまが映し出される。誰が彼をひき殺したのか? そのパーティには、ディーノ、セレーナのオッソラ家、カルラ、ジョヴァンニ、マッシのベルナスキ家の両家も出席していた。大きな謎の真相も、3つの視点で暴かれていくのだ。

その半年前、不動産屋を営む中年の男ディーノ(ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ)は、お金持ちになりたいと、自分の地位を上げるために、上流階級に憧れ、自分の見栄のために娘セレーナを金持ちの子女が集まる名門校に通わせているのが、セレーナが豪邸に住むマッシと付き合っていることを通して、彼の父親のジョヴァンニに取り入り、高利回りのファンドへの投資を図る。
だがディーノは、規約を満たすだけの資金など持っていない。知人にウソをつき、多額の借金をしてまで投資した彼は、一攫千金を実現できるのか……。

あなたなら何を求めるのか。人生で本当に大切なもの、そして人間の真の価値とは何か。濃密な人間ドラマに、自らも問いかけずにいられなくなる注目の作品です。
そして、何不自由ない生活を送りながらも、満たされない思いを募らせていたジョヴァンニの妻カルラは、老朽化した劇場の再建に情熱を注いでいく。昔、自分が舞台女優をやっていたから。その老朽化した劇場を買い取り、自分をまた舞台で演じてみたいという欲望が沸くのだ。劇場で上演する脚本を書いてる男と寝てしまう妻カルラ。夫への腹いせか、自分は夫の稼ぎで裕福に暮らしているのに。

だが、ディーノの娘セレーナは、マッシとの愛に疑問を持ち始めていた時、心療内科医である継母ロベルタの病院で、ひとりの少年ルカと出会い、心惹かれていく。そんな中、マッシの車がひき逃げ事故を起こしてしまうのだったが…。

やがて、彼らの人生は激変していき、ひき逃げ事件の意外な真相が明らかになっていく。
結局は、一攫千金を狙って投資したものの、株価が暴落して、投資をした金がパァーになる。それであきらめはしないのが、不動産屋のディーノ。娘の彼氏、大富豪のマッシの車がひき逃げをした車で、その車を運転していたのが、少年のルカ。叔父が麻薬の売人でルカも薬漬けみたいな、父母を失い、それに手首にリストカットの傷跡があり、大麻所持による逮捕で社会から阻害されている精神病患者。

マッシがひき逃げ犯人だとジョヴァンニの豪邸に警察が逮捕に来る。父親は株で大損こいて、屋敷も処分しなければならず、息子は轢き逃げ犯人になり、母親は喜んでいた劇場も売りに出され、息子が警察に捕まり自暴自棄になる。
そこへ、不動産屋のディーノが娘のPCのメールを見て、真犯人が未成年のルカだと判り、婦人に取引を願うのだ。自分が損をした投資額を返して貰うようにと。

ラストで明かされる。人間の値打ち、価値とはいったい何を指し示しているのか。その衝撃に、誰もが息を飲み、言葉を失ってしまうはずです。その轢き逃げされた男は、死んでしまい、ひき逃げ犯人として精神異常者でもある未成年のルカが犯人となれば、返済能力のないルカが、損害賠償金として21万ユーロ支払らうというのだ。轢き逃げされた男は、貧しい労働者で、生命保険も入ってないだろうし、その男の価値が日本円で2400万とは、何とも悲しい話なのだが、娘のセレーナは愛するルカと一緒に暮らせればそれでいいというのだ。最後は、ルカが刑務所に入るも、面会にいくセレーナの笑顔に、金よりも愛さえあればってことか。結果として、「人間の値打ち」とは何も結論ずけてはいないが、「お金では買えないもの」がそうなのかということ。しかし、お金も無いよりはあった方がいいにい決まっている。遺族にしても少しでも多くの賠償金が支払われることを望むだろうから。
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