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ヘンリー・アンド・ザ・ファミリー★★★

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ジョーン・アーヴィングの小説を、ジャン=ピエール・ジュネが映画化したような新人デニス・リー監督の作風は、将来が期待できそう。

物語:シカゴ、母親と祖父と一緒に暮らす10歳のヘンリーは、写真記憶を持つIQ310の超天才児童だった。ある日、彼は祖父から秘密を打ち明けられる。母親パトリシアは、精子バンクを利用した人口受精によって彼を産んでいたのだ。しかも精子ドナーである生物学上の父親は近くに住んでおり、娘、つまり腹違いの姉がいるという。早速ふたりに会いにいくヘンリー。父親であるスラヴキン博士は、高名な心理学者だったが、彼が書いた本の影響で姉のオードリーは、レズビアンだと周囲に誤解されて、学校でイジメにあっていて、家庭崩壊の危機にあった。そんな中、ヘンリーは、パトリシアを交えて“家族”を一堂に会させるのだが、・・・。
<感想>だいぶ前に借りてきたのだが、レビューすることもないとそのままにしていた。ところが先日ミニシアターで「人生、ブラボー!」という映画を見て、そういえば精子バンクのお話って前にも観たと思いだしたわけ。
2011年、アメリカ制作。監督・脚本デニス・リー。アカデミー賞学生短編賞を受賞したものを、長編に拡大したもの。プロデュースはジュリア・ロバーツで撮影監督がジュリアの夫である、ダニー・モダーが担当と、ジュリア・ロバーツが、デニス・リーの才能に相当惚れこんでいることが伺える。
確かに、ジョン・アーヴィングの小説をジャン=ピエール・ジュネが映画化したような彼の作風は個性的で、将来が期待できそうですね。リー監督が韓国系なのにオリエンタリズムを全く感じさせないところも面白いです。
物語は、超天才児のヘンリーが1歳になる前に言葉を話し、写真記憶(目にしたものをすべて記憶できる能力)があるIQ310の超天才小年であり、10歳で大学生となってしまう。そのヘンリーが精子バンクへ行き、父親探しを始めるわけですが、やはり母親にしてみれば父親は必要ないと思って育ててきたわけで。しかし、ヘンリーは父親よりも自分と同じDNAを持つ姉がいることを喜んでいて、是非会いたいと願うんです。
ところが、その姉12歳のオードリーは父親と住んでいるのですが、性格が躁鬱状態で、機嫌が良いときは普通の女の子で、時には狂ったように奇声を上げて別人のようにも見える。その性格は、心理学者ある父親のスラヴキン博士の著書「同性愛は先天性か、後天性か」の表紙に、娘のオードリーの写真を使ったせいで、周囲にレズビアンと誤解され、学校でイジメにあっているわけ。だから父親との関係も悪化しているのです。
そんなリーの演出が、上滑りしていないのは、俳優陣の演技がしっかりとしているからだろう。パトリシア役のトニ・コレットは、「シックスセンス」の母親役の印象が強いが、この作品では神経質なフェミニストの母親を好演している。それに、スラヴキン博士のマイケル・シーンは「トワイライト・サーガ」のヴァンパイア貴族と同一人物とはとても思えない、鬱々としたキャラに成りきっており、英国舞台俳優恐るべしと思わせる演技が小気味いいです。祖父役のフランク・ムーアは、あまり知られてないがテレビ出演が多いそうです。それと、精子ドナーの受付の白人の男性が、自分は黒人だと信じているし、パトリシアの双子の兄たちのおかしな死に方もあるしで、コメディ作品なんだけど、少しシリアス感もある。
そして何よりも主人公ヘンリーを演じるジェイソン・スペヴァック君である。ファレリー兄弟の「2番目のキス」でジミー・ファロンの子供時代を演じてた子役なのだけど、もの凄く演技は巧いのにクセがないのが最高。彼の透明な存在感があるからこそ、クセだらけの登場人物たちが、疑似家族として結びついていく姿を、イヤミなく観る事ができるのですね。でも、残念なことに18歳のなったヘンリー役の、青年の顔も似てませんし、演技も何だかなぁ〜という感じでした。
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