『ミルク』などのガス・ヴァン・サント監督が、「The Black List 2013」(製作前の優秀脚本)に選出された脚本を映画化。死に場所を求めて青木ヶ原樹海にやって来たアメリカ人男性が、自殺を思いとどまり樹海からの脱出を試みる日本人男性と出会ったことで、人生を見つめ直すさまを描く。『ダラス・バイヤーズクラブ』などのオスカー俳優マシュー・マコノヒーと、『インセプション』などで国際的に活躍する渡辺謙が初めて共演を果たし、『インポッシブル』などのナオミ・ワッツも出演。
<感想>はるばるアメリカから片道切符で冨士の樹海、青木ヶ原へやってきた一人の男にマシュー・マコノヒーが扮していて、自らの人生を終わらせたくて死に場所としてネットで見つけたのが、日本の自殺の名所である青木ヶ原樹海。日本人なら殆どの人が知っている場所で、昼間でも薄暗い森の中で足元が見えずらい。
死ぬ気まんまんのアーサーに、彼の眼に触れるように傷ついた一人の男が現れる。タクミと名乗るその男は、死にきれなくて森の中で道に迷い、出口を探して助けて欲しいとアーサーに頼むのだ。
寒さに震える男に自分のコートを着せ、出口へと続く道を案内するも、その道は行き止まりになっていた。樹海へ来てすぐに睡眠薬を飲んだアーサーは、ふらついて崖から落ちてしまい腹と足にけがをしてしまう。頭も打ったらしいのだが、タクミが手を差し伸べて助けて引き揚げてくれた。
そして、アーサーの回想劇が始まり、結婚生活の破綻。つまりはアーサーが浮気をしてしまい、それで夫婦喧嘩をして妻はアルコール依存症になってしまう。それ以来、妻はアーサーをことある事に責め立てて口汚くののしるのだ。
アーサーが大学の非常勤講師になり給料が激減して、不動産仲買いの仕事で高収入の妻が、住んでいる家のローンを支払っているのだ。夫婦の危機が迫る中で、妻に癌が発覚し手術をすることになる。そんな彼女を見て夫は優しくいたわり夫婦の中も円満になっていく。
その後手術の経過も良く、病院を転院して回復の兆しをみようとすることに。それが、救急車で転院先の病院へ行く途中で、妻の乗った救急車が交通事故に遭い、妻は帰らぬ人になってしまう。その後、妻のいない家で茫然と立ち尽くし、初めて妻の存在感の大切さを痛いほどに味わい、喪失感から死に場所を求めて日本へやって来たというわけなのだ。
樹海のアーサーとタクミは、死に場所を求めてここへ来たのに、どういう分けか生きたいと思うようになり、助けあってここから抜け出そうと出口を模索する。だが、大雨で二人は森の中を右往左往して、鉄砲水に遭い溺れ死ぬかと思った。
しかし、2人は生きたいのだ。だから必死で出口を探すわけ。首吊り自殺しているドイツ人の男から洋服を剥ぎ取り、テントを見つけて雨宿りをするも、そこには死体がある。その死体の洋服も自分たちが暖を取るために剥ぎ取るのだ。
食べ物なんてあるはずもなく、飲み水も夜の暗い中、沼地を歩き汚い水を飲む。生き抜くために、汚れた水でも飲むしかない。
それでも、アーサーには一人ぼっちで孤独になり気が変になって、樹海の中を歩くよりも、人恋しさもあり森の中で出会ったタクミと仲良くなる。タクミが妻と娘の名前は、キイロとフユと言ったようですが、それは季節と色のことであり、妻の好きな季節と色は何色なのかという話だったのだ。アーサーには、季節も好きな色も、食べ物も洋服だって何一つ妻の好きな物なんて知らないのだ。
観ている私には、タクミは実は亡霊であり生きてはいないと思った。アーサーが、森の中で薬を飲み、崖から落ちて怪我をして死にたくないと思う気持ちに、その樹海で死んだ人の成仏できない霊魂が彷徨い、生きたいと思う人に見える亡霊だったりもするから。
二人で話した童話は「ヘンゼルとグレーテル」。入口のカラフルな糸が張られている、帰り道が分るようにと、しかし、一度死のうと思って入った樹海へ、その後に死ぬのを止めて引き返そうと思い、そのための目印にってことなのかも。
つまり、再生へのヒントであり、必死になって助けを呼ぶアーサーが見えて、人間は弱い生き物であり、一度死にたいと思って死に場所を探し歩き、大怪我をしたり、亡霊に出会ったりしてまた生きたいと、元来た道を戻り必死になる。
そのあと、アーサーは病院へ搬送されて元気になるも、タクミを探しにまたもや樹海へと足を踏み入れる。その時は、絶対に生きて戻りたいと思う気持ちなのか、紐を木に結びつけてタクミを探すも、タクミにあげたレンコートを見つけその跡に花が咲いていた。
なんともファンタジーのようでもあり、死に場所を見つけて富士山麓の青木ヶ原樹海へやって来たのに、もう一度生きて見たいと思うようになる過程が、成仏できない霊魂に逢い、生きる勇気を与えてくれた物語でもある。
2016年劇場鑑賞作品・・・88映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
<感想>はるばるアメリカから片道切符で冨士の樹海、青木ヶ原へやってきた一人の男にマシュー・マコノヒーが扮していて、自らの人生を終わらせたくて死に場所としてネットで見つけたのが、日本の自殺の名所である青木ヶ原樹海。日本人なら殆どの人が知っている場所で、昼間でも薄暗い森の中で足元が見えずらい。
死ぬ気まんまんのアーサーに、彼の眼に触れるように傷ついた一人の男が現れる。タクミと名乗るその男は、死にきれなくて森の中で道に迷い、出口を探して助けて欲しいとアーサーに頼むのだ。
寒さに震える男に自分のコートを着せ、出口へと続く道を案内するも、その道は行き止まりになっていた。樹海へ来てすぐに睡眠薬を飲んだアーサーは、ふらついて崖から落ちてしまい腹と足にけがをしてしまう。頭も打ったらしいのだが、タクミが手を差し伸べて助けて引き揚げてくれた。
そして、アーサーの回想劇が始まり、結婚生活の破綻。つまりはアーサーが浮気をしてしまい、それで夫婦喧嘩をして妻はアルコール依存症になってしまう。それ以来、妻はアーサーをことある事に責め立てて口汚くののしるのだ。
アーサーが大学の非常勤講師になり給料が激減して、不動産仲買いの仕事で高収入の妻が、住んでいる家のローンを支払っているのだ。夫婦の危機が迫る中で、妻に癌が発覚し手術をすることになる。そんな彼女を見て夫は優しくいたわり夫婦の中も円満になっていく。
その後手術の経過も良く、病院を転院して回復の兆しをみようとすることに。それが、救急車で転院先の病院へ行く途中で、妻の乗った救急車が交通事故に遭い、妻は帰らぬ人になってしまう。その後、妻のいない家で茫然と立ち尽くし、初めて妻の存在感の大切さを痛いほどに味わい、喪失感から死に場所を求めて日本へやって来たというわけなのだ。
樹海のアーサーとタクミは、死に場所を求めてここへ来たのに、どういう分けか生きたいと思うようになり、助けあってここから抜け出そうと出口を模索する。だが、大雨で二人は森の中を右往左往して、鉄砲水に遭い溺れ死ぬかと思った。
しかし、2人は生きたいのだ。だから必死で出口を探すわけ。首吊り自殺しているドイツ人の男から洋服を剥ぎ取り、テントを見つけて雨宿りをするも、そこには死体がある。その死体の洋服も自分たちが暖を取るために剥ぎ取るのだ。
食べ物なんてあるはずもなく、飲み水も夜の暗い中、沼地を歩き汚い水を飲む。生き抜くために、汚れた水でも飲むしかない。
それでも、アーサーには一人ぼっちで孤独になり気が変になって、樹海の中を歩くよりも、人恋しさもあり森の中で出会ったタクミと仲良くなる。タクミが妻と娘の名前は、キイロとフユと言ったようですが、それは季節と色のことであり、妻の好きな季節と色は何色なのかという話だったのだ。アーサーには、季節も好きな色も、食べ物も洋服だって何一つ妻の好きな物なんて知らないのだ。
観ている私には、タクミは実は亡霊であり生きてはいないと思った。アーサーが、森の中で薬を飲み、崖から落ちて怪我をして死にたくないと思う気持ちに、その樹海で死んだ人の成仏できない霊魂が彷徨い、生きたいと思う人に見える亡霊だったりもするから。
二人で話した童話は「ヘンゼルとグレーテル」。入口のカラフルな糸が張られている、帰り道が分るようにと、しかし、一度死のうと思って入った樹海へ、その後に死ぬのを止めて引き返そうと思い、そのための目印にってことなのかも。
つまり、再生へのヒントであり、必死になって助けを呼ぶアーサーが見えて、人間は弱い生き物であり、一度死にたいと思って死に場所を探し歩き、大怪我をしたり、亡霊に出会ったりしてまた生きたいと、元来た道を戻り必死になる。
そのあと、アーサーは病院へ搬送されて元気になるも、タクミを探しにまたもや樹海へと足を踏み入れる。その時は、絶対に生きて戻りたいと思う気持ちなのか、紐を木に結びつけてタクミを探すも、タクミにあげたレンコートを見つけその跡に花が咲いていた。
なんともファンタジーのようでもあり、死に場所を見つけて富士山麓の青木ヶ原樹海へやって来たのに、もう一度生きて見たいと思うようになる過程が、成仏できない霊魂に逢い、生きる勇気を与えてくれた物語でもある。
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