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スキャナー 記憶のカケラをよむ男 ★★★

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「陰陽師」「のぼうの城」の野村萬斎主演で贈る異色の謎解きミステリー。物や場所に残る人間の記憶や感情を読み取ることができる特殊能力を持つ変わり者の主人公が、元相方の芸人とともに引き受けるハメになった怪しげな人探しの顛末を描く。共演は宮迫博之、杉咲花、安田章大。監督は「DEATH NOTE デスノート」の金子修介。
あらすじ:“残留思念”と呼ばれる物や場所に残る人間の記憶や感情を読み取ることができる超能力者、仙石和彦。かつてはひょんな成り行きから芸人の丸山竜司と“マイティーズ”というお笑いコンビを組んで人気を博すも、この特殊能力のせいで人間不信に陥り、コンビも解散。今はマンションの管理人として静かな隠遁生活を送っていた。そんなある日、かつての所属事務所に女子高生の秋山亜美が現われ、ある人捜しを依頼する。それは、彼女が慕う失踪したピアノ教師・沢村雪絵をマイティーズに捜し出してほしいというものだった。マイティーズ復活を目論む事務所の女社長・峠久美子に命じられ、渋々ながらも亜美とともに仙石の説得に向かった丸山。やがて紆余曲折の末、どうにか雪絵捜しを始めた3人だったが…。

<感想>当代随一の狂言師でありながら、映画「陰陽師」「のぼうの城」などでは鮮烈なキャラクターを演じて見る者を魅了する野村萬斎が主演の、初の現代劇に挑戦している。脚本家古沢良太が萬斎さんのために創造した主人公の仙石和彦は、とんでもない変人なのだ。人間嫌いで引きこもりで、猫背でぼそぼそと喋り、友だちは熱帯魚。おまけに元お笑い芸人という設定なのだが、実は“残留思念”を読み取る特殊な能力を持った人間なのだ。

萬斎さん演じる主人公の仙石和彦は、とても狂言師であるハキハキと物を申す萬斎さんとは真逆の役柄なので、どうしたものかと不安気に観てました。やはり、声が通る張りのある声で、とてもネクラ役には見えないし、時代劇のようにも感じてしまう台詞でした。

女子高生役の杉咲花ちゃんは、どうも中学生か小学6年生らしく見えてましたが、18歳になっているというのでびっくり。目付きが鋭くてハキハキとした台詞で良く演じてましたね。
相方の宮迫博之さんは、いつもの流暢なセリフ回しで「魍魎の匣」(2007)で、とてもいい演技だったので安心して観てられました。女子校生がお笑いの“マイティーズ”のファンだということで、ピアノ教師の失踪事件を調べて欲しいと依頼される。警察に話ても家出じゃないのと相手にされずに、困っていたらしい。
相方の宮迫博之にしてみれば、“マイティーズ”を復活させようと思い、仙石和彦に探してくれと頼む。始めはいやいやながら仕方なくピアノ教師の自転車などを手に取り、「残留思念」を読み取るのだが、髪の長い少女が出てくるのだ。
そのころ、世間では連続殺人が起こっており、一応警察に捜索願を出すことになるのですが、捜査一課の刑事である関ジャニ∞の安田章大が、行方不明のピアノ教師を一緒に探してくれることになる。

しかし、ピアノ教師の捜索はいっこうにはかどらず、謎解きミステリーらしく萬斎さん演じる主人公の仙石和彦が、真剣な眼差しで「残留思念」を読み取り推理していく過程は、さすがにお見事といっていいですね。
本作の中で、ピアノ教師の雪絵が「才能は自分のためではなく、他人のためにある」という台詞が強く心に残ります。その言葉で、ネクラで引きこもりだった仙石和彦も、ピアノコンテストへ出る女子高生の秋山亜美も、その言葉に最後には元気づけられるのだ。
犯人探しのミステリーでは、誰が犯人なのか?・・・仙石の脳裏に失踪後の雪絵の思念が繰り返し登場して、儚くも芯の強い女性を体現している木村文乃。

少しづつ解き明かされていく死んだ少女の謎が、その病気の少女の別荘の隣で、ピアノの夏期合宿をしていた生徒たちが、別荘の庭に入りボール遊びをしていた。それを見ていた妹が、仲間に入りたいと願うも、死期が間近に迫っており外へ出て遊ぶことは禁じられていた。
けれども、その少女は、雨の降る中ボールを持って、ピアノ合宿へ来ていた子供たちを待っていた。そして死んでしまう。そのことで、兄が妹を弄んで殺したと勘違いをしてしまい、その合宿に来ていた子供たちを探して殺していったというわけ。
幼くして死んでしまった妹に対してその死因が、雨の中へ飛び出して死期が早まってしまったこと。それが兄の恨みとなって招いてしまった事件なのだ。

その中には、ピアノ教師の雪絵も入っていたのだ。中でも、仙石和彦の「残留思念」を読み取ることができる能力で、雪絵の居場所とか、連続殺人事件との関係性とか、ある建物を探すも、犯人がそこを爆破してしまい手掛かりを消し去る。
犯人が、雪絵に最後の一人を誰なのか教えてくれと拷問するも、話さない雪絵にナイフを突きつけ、雪絵がそのナイフに自ら飛び込み刺されて死んでしまう。
犯人は、誰なのかと思いつつも、その刑事はやけに親切に捜索を手伝ってくれるのに伏線という疑惑がわきます。つまり、実はその刑事が兄だったからです。

だから、どんでん返しということでもなく、最後が仙石和彦によって犯人が暴かれて、仙石が読み取る思念によって、明らかになる真犯人の抱える想いと事情が兄の思い込みなのか、妹の作り話だったのか、妹への仕返しという復讐で起こった殺人事件。しかし、後味の悪い結果になってしまっているのだ。犯人の刑事である兄が拳銃自殺をしてしまうから。3人も殺して、罪を償わないで自殺するとは、誰にも止められなかったのだろうか。
仙石和彦と相方の宮迫博之が所属する芸能事務所の社長役には、高畑淳子が、安田を「お坊ちゃん」と呼ぶベテランの刑事に風間杜夫が演じている。

2016年劇場鑑賞作品・・・89映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

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