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俳優 亀岡拓次 ★★★.5

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脇役一筋の地味な俳優に訪れる突然のチャンスを、演劇ユニットTEAM NACSのメンバーであり『龍三と七人の子分たち』などの安田顕が演じたコメディー。オファーがあればどんな役でも演じ、私生活では酒を楽しみとする主人公の慎ましい人生を、業界でありがちな出来事をちりばめながらつづっていく。戌井昭人の小説を基に、『ジャーマン+雨』などの横浜聡子が監督を担当。テレビドラマ「あまちゃん」などの大友良英が音楽を手掛ける。地味だが魅力的な主人公のキャラクターと、ハートフルなストーリーに注目。
あらすじ:亀岡拓次(安田顕)は、37歳独身。脇役俳優としてどんな役にもはまることから、仕事の依頼はひっきりなし。しかし、なかなか名前を覚えてもらえない。私生活では、安い居酒屋を飲み歩くことがもっぱらの楽しみという地味な日常を送っている。そんなある日、ロケ先で知り合った飲み屋のおかみ・安曇を好きになる。さらには、世界的に著名な人物からオーディションに呼ばれることになり……。

<感想>主演の安田顕さんは、北海道生まれの大泉洋で知られる「TEAM NACS」のメンバーであり、最近ではTVドラマ「下町ロケット」、映画では「龍三と七人の子分たち」のヤクザを演じていた。そのほか、数々の作品に引っぱりだこの個性派バイプレーヤー=安田顕の初主演作であります。今回も彼が演じている亀岡拓次は、日々映画の現場を飛び回る“最強の脇役”俳優ということで、観る前から期待していた。
ですが、観て見ると、彼の脇役演技は良かったのですが、もう少し面白く成り得たのではないかと、そういう思いが拭いきれなかった。確かに役に入っている時だけは、生き生きとしていて、素の部分は殆どボーとしていて間が抜けて見えるではないか。こんなはずじゃなかったよ、ヤスケンは。

小説を読んだのですが、もの凄く面白くて、亀岡拓次の私生活も、映画や芝居に出ているところとかも、笑いどころが満載でした。それをこの作品の中に生かし切れていないようだ。もっといろんな役を演じてもらいたかった。確かに様々なシチューエションが登場するので、複数の映画を観た気がします。
ホームレスで出ている場面では、主演の若手俳優が、拳銃で撃たれるシーンですら個性を見せようとするクドイ演技。亀岡は銃で撃たれると、撃たれた瞬間にバタリと倒れ普通に死ぬ。それが監督には脇役たるものの演技だと言うのだ。
彼が脇役として演じることが好きというか、作品に携わることが好きというか。いろんな現場に行くのですが、中でも長野でロケしたヤクザに灰皿で頭を殴られるチンピラの役で、殴られて倒れるシーンで目ん玉飛び出しそうな亀岡がクローズアップされる。

そして、長野のロケ地で立ち寄った居酒屋のヒロインに一目惚れするという。その娘と酒の合間に話した、TVで放送されていたアメリカの宇宙飛行士の女が、浮気相手を追って車で長距離を、途中止まらないで行くために紙おむつを穿いて会いに行ったという話で盛り上がる。今度来る時は、「俺も紙オムツ穿いてきますよ」なんて言いながら、本気になって東京からバイクで花束を持って、紙オムツを穿き女に会いに行くなんて。彼女にフラレてしまい帰り道でオムツにション便をする亀岡の憐れな姿が可愛そうでしたね。
ダメ男の最強ミューズとして夢を与え続ける麻生久美子は、今回も美しくいい感じでした。名物の寒天の方は大映しでしたが、酒のつまみにタコブツを頼むのだが、私も好物なのでもっとアップで映して欲しかったです。お客さん見た事あるという娘の言葉に「ボーリングの球売っている」と嘘をつく亀岡。

時代劇、名優・山崎努が名監督役に!と。泥棒の役で橋の上で侍と殺陣をして、相手の侍が腹を刀の鞘で押すと、昨日たらふく飲んだ酒でゲロを吐き、斬られて川に落ちるという。本当は川には落ちないシーンだったのに。
外国のモロッコに行き、砂漠でただひたすらに歩くシーンを演じろというのだが、小説ではラクダを引いて、前の日にひたすら酒を飲み二日酔いで、熱い陽射しの中を歩くシーンはかなりキツイ。だが、映画では太陽がじりじりと照りつける砂漠をひたすら歩くという映画でのシーンになっていて、まるで鳥取砂丘で撮影しているみたい。

小説では、そこで監督のOKが出て、カサブランカで独りぼっちになり電車でタンジェの街へ行くのだが、電車の中で若い女性が向かい席に座り、日本の空手の技をして見せるのだ。つい、いつもの役者亀岡になり蹴られて吹っ飛び床に転がるのだ。亀岡の熱演に彼女はキスまでしてくれた。このシーンも小説では長いのに、残念ながら省略されてしまった。
それに小説の中の、山梨へ1ケ月の撮影「山伏サンダーキラー」で行き、撮影の合間に山菜採りで山へ入り、イノシシの糞を踏んで坂を転げ落ち脚を挫いてしまう。その帰り道が、四つん這いになりながら宿へ帰る様子が事細かく描かれており、笑ったね、この場面では。それに、挫いた足でない方をロープで結ばれて宙ズリにされ巨大イノシシの生贄になる役どころを演じる亀岡、これ観たかった。映画「熊次郎物語」のシーンがなかったのが残念でした。面白い場面が省略されているのが惜しいですね。

住んでいるアパートの近所のスナックのママに杉田かおるが、大御所の舞台の大女優に三田佳子が、その舞台では、三田さんのおっぱいを後ろから揉む役なのだが、この舞台って長いし、亀岡の脇役ってなんだったの?・・・。

それに、もう一つ、舞台の役で、外国の監督さんがいて、亀岡が舞台で一生懸命演じているのだが、監督が言っていることを、通訳の女が叫んで言うのがちょっとね。それが、照明が暗いし、何を演じているのかさっぱり解らないし、長いのなんの、飽きてくる。これって、オーディションだったのか。

それにインディーズ監督役の染谷将太のシーン「どまん中」では、亀岡は弁当屋の主人でフィリピン・パブのベンちゃんという女に入れあげて、通っているという設定なのだが、弁当屋の場面では奥さんと喧嘩をしながら、コロッケを揚げる亀岡が、額に油が撥ねて軽い火傷の部分がはぶいて無いのだ。その後で時間が空いたので、銭湯に行くのですが、その銭湯の風呂の湯が熱くて入れない亀岡の様子が面白可笑しく小説には描かれていた。
何もかもはぶいてすぐにフィリピン・パブの店の中のシーン。ベンちゃんは女優さんではなく、本当のフィリピンクラブからスカウトしてきた女で、「ベンちゃんの緑色のドレス、玉虫色で綺麗だね」と言うと、「虫、虫なんかじゃないよ。」「綺麗な虫なんだよ」と言っても、「バッタ、嫌だよ虫なんて」という会話。
ベンちゃんは日本語の台詞を全然覚えてこなくてダメで、じゃあ、アドリブでと言うので、適当に亀岡は本物の酒を飲みながら、フィリピンの話を聞くが「ケメオカさん」なんていう。映画の中ではミツオなのに。だんだん亀岡が酔っぱらってくるのだ。この「どまん中」のシーンはもっと長くあるのに。だって、キスシーンもあるんだよ。
確かに俳優である亀岡拓次という人間のありようが、リアルには描かれているのだが、俳優としてしか生きられない、極めて不器用で愛すべきキャラクター像を演じる彼を見ても、そこには答えがないということが、答えなのだが。そういう感覚的に理解できる不思議な映画なのである。もっと演技バカ、あるいは映画バカとして描いても良かったのでは。

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