『ハッピーボイス・キラー』などのライアン・レイノルズ、『トランス』などのロザリオ・ドーソンらが共演を果たしたサスペンス。突如として娘が行方不明となり、その8年後に生存を感じさせるサインを受け取った父親を待ち受ける、思いも寄らない運命を見つめる。監督は『クロエ』『デビルズ・ノット』などの鬼才、アトム・エゴヤン。時系列を解体したパズル的な語り口に引き込まれる。
あらすじ:マシュー(ライアン・レイノルズ)の9歳になる娘キャスが、雪の降る日に行方がわからなくなる。誘拐されたと取り乱すマシューだったが、それを裏付ける目撃情報や物的証拠が出てこない。それが原因で警察は彼が自分で娘に危害を加えたのではないかと疑うが、捜査は進展することなく8年が経過してしまう。ある日、突如としてキャスの生存をほのめかすような証拠が次々と浮かび上がる。混乱しながらも娘との再会の希望を見いだすマシューだったが、衝撃的な事実を突き付けられることに。
<感想>カナダを舞台にした、児童誘拐・監禁をモチーフにして社会の闇をサスペンスフルに描いた作品。時系列が交錯し、意表を突くような場面から映画は始まります。そこから徐々にストーリーが繋がっていく。
アトム・エゴヤン監督の作品では、『デビルズ・ノット』を観ているが、ミステリーふうの題材が多いようですね。ですが、その種の映画の常道的な撮り方は決してしてません。
犯人の動機も最初から判っているのに、コロンボ刑事ふうの「倒叙ミステリ」ではないし、行方不明になった娘のキャスが生きているのが、早い段階で描かれるので、陰湿な児童虐待がテーマですが、キャスを弄ぶような虐待シーンは一切見せていないので想像するしかない。かつて映画に登場したことのないタイプの犯人像は極めて新鮮であり、見応えのあるサスペンス映画になっている。
この映画の難点は、時系列が交錯して、現在と8年前とを時制を行き来して描いていくので、観ていて判らなくなる。しかし、後半ではもっぱら現在時制で順に話が描かれていき、普通というか凡庸なスリラーになっていた。
寒々しい雪の風景の中、物語は淡々と進むが、警察の無能さが観客をイラつかせる。特に男性の刑事だ。変態犯罪者が誘拐した少女の所持品を、母親が勤めているホテルの部屋にコッソリと置き、部屋の監視カメラが仕掛けてあり、それを見て困惑する母親の顔を見ては喜んでいる犯人に、吐き気がするのだ。
始めは父親のライアン・レイノルズが、金に困っているというので娘を変態犯罪者に売り飛ばしたのかと思ってしまった。知っている俳優はライアン・レイノルズだけなので、彼がリーアム・ニーソンのようなパパだったら、犯人を追いつめてズタズタに殴り殺してしまうだろうに。
いかんや、アクションは無いですから、ハラハラする場面もないしつまらないしで、それでも、カーチェイスを引き起こすシーンは、自分が山奥で樹木を街に配達する仕事をしていて、トラックの後ろに牽引してた樹木が盗まれてしまう。誰が、どうしてと探すと、道路沿いに転々とその樹木が捨てられてあり、それを追っていく内に何故か、8年経った17歳の娘キャスが目の前に立っているではないか。感動のご対面シーンだが、普通だったら娘を奪還すべく父親が奮闘するのに、ダメな父親を見せつけるのだ。この犯人は、殺しはしないのだ。だからこの時、麻酔銃を撃たれてしまう父親が残念でならない。
だから、そのことも警察には言わずに、ただ、何年間もの間道路沿いに車を走らせ探すフリをしているだけ。誘拐組織の全貌そのものも描かれないので、警察の出番もなく、両親が娘が生きていることを願っているだけ。
だから派手な見せ場はなく、しいて言えば、女刑事がパーティ会場でその変態犯人に睡眠薬を飲まされて誘拐され、子供時代に廃墟の車の中で生活した記憶を、パーティ会場で話したことから、犯人がまた同じ状況を作り女刑事を死に追いやるような感じがたまりません。
誘拐された少女もキャスだけではないだろうに、そういう趣味のあるサイトを作り客を集めて金を稼いでいるのだから。しかし、この映画ではキャスしか映さないし、犯人が同居しているので、このスケベ変態親父がキャスだけを愛して8年も同居していたのだろう。
終盤で、娘が無事保護されるのだが、監禁されていた部屋を見せるも、そこで娘はピアノを弾き歌を歌っている。とても上手いのがいい感じ。恐怖感はあまり感じない。
前に観たヒュー・ジャックマン主演「プリズナーズ」の方がミステリーであり、サスペンスが強いので最後がちょっと、フィギャースケート選手としての娘の8年間が台無しなのが可愛そうだ。
2016年劇場鑑賞作品・・・4映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:マシュー(ライアン・レイノルズ)の9歳になる娘キャスが、雪の降る日に行方がわからなくなる。誘拐されたと取り乱すマシューだったが、それを裏付ける目撃情報や物的証拠が出てこない。それが原因で警察は彼が自分で娘に危害を加えたのではないかと疑うが、捜査は進展することなく8年が経過してしまう。ある日、突如としてキャスの生存をほのめかすような証拠が次々と浮かび上がる。混乱しながらも娘との再会の希望を見いだすマシューだったが、衝撃的な事実を突き付けられることに。
<感想>カナダを舞台にした、児童誘拐・監禁をモチーフにして社会の闇をサスペンスフルに描いた作品。時系列が交錯し、意表を突くような場面から映画は始まります。そこから徐々にストーリーが繋がっていく。
アトム・エゴヤン監督の作品では、『デビルズ・ノット』を観ているが、ミステリーふうの題材が多いようですね。ですが、その種の映画の常道的な撮り方は決してしてません。
犯人の動機も最初から判っているのに、コロンボ刑事ふうの「倒叙ミステリ」ではないし、行方不明になった娘のキャスが生きているのが、早い段階で描かれるので、陰湿な児童虐待がテーマですが、キャスを弄ぶような虐待シーンは一切見せていないので想像するしかない。かつて映画に登場したことのないタイプの犯人像は極めて新鮮であり、見応えのあるサスペンス映画になっている。
この映画の難点は、時系列が交錯して、現在と8年前とを時制を行き来して描いていくので、観ていて判らなくなる。しかし、後半ではもっぱら現在時制で順に話が描かれていき、普通というか凡庸なスリラーになっていた。
寒々しい雪の風景の中、物語は淡々と進むが、警察の無能さが観客をイラつかせる。特に男性の刑事だ。変態犯罪者が誘拐した少女の所持品を、母親が勤めているホテルの部屋にコッソリと置き、部屋の監視カメラが仕掛けてあり、それを見て困惑する母親の顔を見ては喜んでいる犯人に、吐き気がするのだ。
始めは父親のライアン・レイノルズが、金に困っているというので娘を変態犯罪者に売り飛ばしたのかと思ってしまった。知っている俳優はライアン・レイノルズだけなので、彼がリーアム・ニーソンのようなパパだったら、犯人を追いつめてズタズタに殴り殺してしまうだろうに。
いかんや、アクションは無いですから、ハラハラする場面もないしつまらないしで、それでも、カーチェイスを引き起こすシーンは、自分が山奥で樹木を街に配達する仕事をしていて、トラックの後ろに牽引してた樹木が盗まれてしまう。誰が、どうしてと探すと、道路沿いに転々とその樹木が捨てられてあり、それを追っていく内に何故か、8年経った17歳の娘キャスが目の前に立っているではないか。感動のご対面シーンだが、普通だったら娘を奪還すべく父親が奮闘するのに、ダメな父親を見せつけるのだ。この犯人は、殺しはしないのだ。だからこの時、麻酔銃を撃たれてしまう父親が残念でならない。
だから、そのことも警察には言わずに、ただ、何年間もの間道路沿いに車を走らせ探すフリをしているだけ。誘拐組織の全貌そのものも描かれないので、警察の出番もなく、両親が娘が生きていることを願っているだけ。
だから派手な見せ場はなく、しいて言えば、女刑事がパーティ会場でその変態犯人に睡眠薬を飲まされて誘拐され、子供時代に廃墟の車の中で生活した記憶を、パーティ会場で話したことから、犯人がまた同じ状況を作り女刑事を死に追いやるような感じがたまりません。
誘拐された少女もキャスだけではないだろうに、そういう趣味のあるサイトを作り客を集めて金を稼いでいるのだから。しかし、この映画ではキャスしか映さないし、犯人が同居しているので、このスケベ変態親父がキャスだけを愛して8年も同居していたのだろう。
終盤で、娘が無事保護されるのだが、監禁されていた部屋を見せるも、そこで娘はピアノを弾き歌を歌っている。とても上手いのがいい感じ。恐怖感はあまり感じない。
前に観たヒュー・ジャックマン主演「プリズナーズ」の方がミステリーであり、サスペンスが強いので最後がちょっと、フィギャースケート選手としての娘の8年間が台無しなのが可愛そうだ。
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