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カプチーノはお熱いうちに★★★.5

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『あしたのパスタはアルデンテ』などのフェルザン・オズペテク監督がメガホンを取り、南イタリアの風光明媚(めいび)な街レッチェを舞台に描くヒューマンドラマ。運命の出会いを果たした恋人たちの13年にわたる波乱の日々を活写する。ヒロインを『パリより愛をこめて』などのカシア・スムートニアックが演じ、相手役をテレビシリーズなどに出演してきたフランチェスコ・アルカが好演。人々の何げない日常を丁寧に切り取った物語が観る者の心に響く。
あらすじ:雨が降りしきるバス停で、カフェに勤務するエレナ(カシア・スムートニアック)はアントニオ(フランチェスコ・アルカ)と出会う。彼は同僚のシルヴィア(カロリーナ・クレシェンティーニ)の恋人だった上に、性格も全く違うにもかかわらず二人は恋に落ちる。13年後、親友と一緒に始めたカフェが軌道に乗り、子供にも恵まれた彼らを悲劇が襲う。

<感想>アドリア海を臨む南イタリアの美しい街、レッチェ。冒頭の土砂降りの雨が降りしきる中、足元しか映さないシーンがやたらと長い。雨宿りの人もいるバス停が大入り満員状態で、そこへよそ者のアントニオが入り込み、太った中年オバサンも加わりぎゅうぎゅうづめの状態で、口喧嘩が起こる。

タイトルバックの原題が「Allacciate le cinture」で、邦題の付け方にのっけから驚き、宣伝ヴィジュアルから想像されるものとは、まるで違うものが始まることを予想してしまう。
確かに終幕の主人公の展開での、女医がカフェでカプチーノを頼んだ女子学生だったこと。その女性が主人公の主治医となり、なるほど「カプチーノはお熱いうちに」という邦題の付け方に、そのような結び付きを目論んでのことかと。

主人公のエレナは聡明な美人で、働いているオーナーの息子ジョルジョと付き合っているのだが、相手のアントニオは、スペイン系の眉毛の濃い、体も筋肉むきむき型のイケメンなのだが、バンデラスを太目にしたような顔つきで、粗野で無教養な野獣のようなギラギラとした男の恋愛と結婚、物語はその13年間のラブロマンスなのだ。

男女が理屈なしに惹かれあっていく過程を、描く視線の演出が素晴らしく、技巧的に見えながらも登場人物がみな人間臭いのもいい。中でも、カフェの同僚で親友のゲイ、ファビオが好印象で、病院でも隣の癌患者が間違って、エレナに優しく接するのを見てゲイのファビオを旦那と間違えるのが微笑ましい。
その癌患者の女性との交流も、エレナの心の支えとなり、夫のアントニオの浮気も許してやり、されど、病院の患者のベッドでセックスをするのはどうかと思うね。やっぱり粗野で無教養で野獣な男アントニオ。

母親と居候の叔母さんの姉妹げんかに、アントニオとの結婚、子供が二人生まれて店もファビオと共同経営して順調にいっている。そんな時に、彼女が乳癌になり手術ができなくて、抗がん剤投与で治療という過酷な現実が待っていた。

主人公の癌闘病生活に、めそめそとした感じもなくもないが、ホクホクできる家族ドラマというわけでもない。それらの要素をすべて盛り込まれた「モザイク模様の人生」を描いた作品とでもいおうか。涙あり笑いあり、イタリア映画らしいイタリア映画になっています。監督のフェルザン・オズペテクはトルコ出身だが、性的、民族的マイノリティに対する視点は優しく厳しいようだ。
とにかく魅了されるのが、時と時のつなぎ方。ヒロインが13年間にわたって抱いてきた歓喜、苦悩、不安といった感情や感覚を、幻想的に走馬灯のように表現している最後。若き日々のフラッシュバックの映像で、幸せな生活を送ったという人生を閉じるような終りも感じ良かった。
イタリアならではの明るさと優しさに満ちた、ヒューマン・ラブストーリーで、人生は一度きり、カプチーノも、命もお熱いうちに。大事なのは、今を大切に生きること。
2015年劇場鑑賞作品・・・262映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

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