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2013年、邦画作品ランキング・ベスト10

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以前は洋画が専門でしたが、最近は、邦画とて馬鹿にできないくらいとてもレベルの高い作品が公開され、大変喜ばしいことと存じます。
第1位 :永遠の0
第2位 :風立ちぬ
第3位 :清須会議
第4位 :さよなら渓谷
第5位 :そして父になる
第6位 :SHORT PEACE 「GAMBO」「武器よさらば」
第6位 :SHORT PEACE「火要鎮」「九十九」
第7位 : 少年H
第8位 :許されざる者
第9位 :脳男
第10位:共喰い
その他にも、ランキングに惜しい作品として、「かぐや姫の物語」「ストロベリー・ナイト」、
     映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング  


危険なプロット ★★★★

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フランソワ・オゾン監督が、文才あふれる少年と彼に翻弄される国語教師が繰り広げる心理戦を描いた作品。かつて作家を目指していた高校教師ジェルマンは、生徒たちの作文を採点している最中、男子生徒クロードが書いた文章に目を留める。それは、あるクラスメイトとその家族を皮肉につづったものだった。クロードの感情あふれる文章に危うさを感じながらも、その才能にひきつけられたジェルマンは、クロードに小説の書き方を指導していくが……。

<感想>人間が持つ毒と日常に潜む狂気を、ユーモアを交えて描いたサスペンス劇である。何だか、ウッディ・アレンと一瞬錯覚してしまった。可笑しくて、奇妙で、軽くて深くて、メリハリがあって、ただただ唸る傑作です。
本当に巧すぎる。この俳優さんたちの豊潤さときたら、言葉とかイメージ的でも、褒めすぎかしらと思うくらいに見事な連鎖である。

物語に魅入られていく、恐ろしいのか、美しいのか、分からない結末。この感覚はもしかして「雨月物語」と、驚いてみたりもする。
というのも、人間関係の描写に、奇妙な心理的スリルと、シニックな笑いがいかにもフランソワ・オゾン流である。高校の国語の教師が、文才のある生徒に、作文の指導を通して、友達の母親との恋愛ごっこのコーチをする。それはスリリングで面白いのだが、教師のやるべきことではない。

国語教師のジェルマン役のファブリス・ルキーニは、そんな教師を巧みに演じているのもいい。教師の妻ジャンヌを演じるクリスティン・スコット・トーマスが、ソファに脚を交差させて肉感的に座るのも最高に上手いし、友達の母・エステルを演じるエマニュエル・セニエも適役でいい。そして、エルンスト・ウンハウアーの、悪意なき魔性の美少年ぶりにも注目したい。

語りの視点次第で、切り出される現実は異なってくる。のみならず、創作行為は現実に介入して、現実もまたフィィクションに模倣するのだ。では、虚実の境界とは、いったい、・・・それらの知的刺激に満ちたメタ構造映画である。こういった語りの進め方をする映画って、これまでいくつか見たことあったと考えながら、真っ先に思いついたのがヒッチ・コックの「裏窓」だったのだけど。映画のラストショットを見ると、その連想もあながち的外れではなかったように思えた。全体的に、皮肉で小味な人間喜劇に仕上がっている。
2014年劇場鑑賞作品・・・1  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング  

ムード・インディゴ うたかたの日々 ★★★.5

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作家やミュージシャンなどとしてマルチに活躍したボリス・ヴィアンの傑作小説を、『エターナル・サンシャイン』などのミシェル・ゴンドリー監督が映画化。肺の中にスイレンの花が咲く病にかかった女性と、彼女を救おうと奔走する青年の切なくも美しい愛を描く。カクテルを作るピアノや恋人たちを運ぶ雲など、原作の独創的な世界観をゴンドリー監督ならではの遊び心あふれるセンスで映像化。出演は、『タイピスト!』などのロマン・デュリスと『アメリ』などのオドレイ・トトゥ。
あらすじ:仕事をしなくても生活できる財産があり気ままに生きていたコラン(ロマン・デュリス)は、純粋なクロエ(オドレイ・トトゥ)と付き合うことに。その後、友人たちに見守られながら結婚した二人は幸福に満ちあふれた生活を送っていたが、ある日クロエが肺にスイレンが咲くという奇病に侵されてしまう。ばく大な治療費を稼ぐために仕事をし始めたコランの人生は徐々に狂い出し、クロエも日増しに弱っていき……。

<感想>フランスで半世紀以上愛されているボリス・ヴィアンの恋愛小説「うたかたの日々」を映画化したもの。この作品は、前から絶対に観たいと思っていたもので、4日から地方でも上映されて、早速観てまいりました。
ミシェル・ゴンドリー監督の独特な遊び心満載で大人の寓話ですね。お伽噺として楽しむには面白いと思います。ですが、内容よりもメランコリックなイマジネーションが表に出ていて、おかげでストーリー運びや登場人物の心理描写が中途半端になって、少し分かりにくいのが難点。

主人公のクロエのオドレイ・トトゥは、ちょっと年齢的に無理があるような、でも不思議ちゃん役はお手の物なので違和感はないです。それに、彼氏のロマン・デュリスも、金持ちのお坊ちゃんという役も「タイピスト」など、やっているので良かったです。特に上手かったのは、同居している料理人のニコラのオマール・シーが良かったですね。彼は前作の「最強の二人」での演技も良かったですしね。
でも、ボリス・ヴィアンの原作も摩訶不思議な物語ですが、ミシェル・ゴンドリー監督の偏執狂的な細工を施した演出は、イマジネーションとクリエイティビティの限界に挑戦しているようにも見えた。見たこともないものを作っているのはよくわかるのだが、個人的にはピンとこない部分があった。
大勢の人間がタイプをしているシーンは、この物語をタイプしているようにも取れた。うなぎが蛇口からにょろにょろと出て来るし、ガラスや鉄の食材や、カクテルを作るピアノも、他の動く食べ物やいろんなものが“チャップリン”の作品にあったのを見ているみたいな感覚でした。
家の中では鼠がペットのようにいろんなことをしているし、呼び鈴が蜘蛛のような動きで叩いても数が増えていく。窓からの日差しが白いゴムで、幾本もの日差しが差し込む様子も素敵。それに、コランの靴がガルルって唸るし、この辺りは楽しげに見てました。

クロエと知り合って、恋に落ちて雲のような乗り物でデートする。ダンス会場での二人は、足が伸びて不思議なダンスに驚く。結婚式も素敵だったし、ガラスで出来たリムジンもスケスケでいい感じだし、ですが、新婚初夜の晩にクロエの口の中へ、白い雪の精のようなものが入り、それが肺の中で育って睡蓮の花となるという難病だなんて。

そこからが、コランの人生が落ちていくような、家の壁にカビがびっしりと付いて、いかにも貧乏のどん底に落ちていくような描写が、前半の明るい色から薄暗い灰色に変わっていく様子も分かり安くていいと思います。
これは出来不出来とは関係なく、このセンスに乗れる人には、チャーミングで宝箱のような作品なのでしょう。様々な奇想天外さを盛り込みつつ、意外に骨組みは原作に忠実であるそうで、単純にここまでくると相性の問題なのだろう。やはり好き嫌いがあるのでは。タイトルにある「うたかたの日々」のように、最愛の妻に愛情を注いでも、難病ともなればそれはどうしようもないことなのだ。儚い夢物語を表しているんですね。
ですが、一方的にCGに偏ることなく、手作り感が映像の表現による視覚効果が素晴らしかった。物語が難病悲恋ものだけに、恋人のクロエの肺に睡蓮の花の蕾が根付くというお話は、少しニュアンスが違うが、邦画の「シャニダールの花」のよう。
原作に書かれた奇想天外な物語を、次々と視覚化してみせるスタミナと手腕には脱帽せざるを得ない。ですが、それらのアイディアの無意味さや無責任さ、そして意図された現実への敬意のなさなど。おもちゃ箱をかき混ぜたような子供っぽい残酷な想像力が、ゴンドリー監督にとってはボリス・ヴィアン小説が、格好の題材だったのだろう。
2014年劇場鑑賞作品・・・2  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング 

くもりときどきミートボール2 ★★.5

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ジュディ・バレット、ロン・バレットの児童書を原作にしたCGアニメーションの続編。前作で町を大混乱に陥れた「食べ物マシーン」が再び暴走し、動物と食べ物を次々と合体させたことからとんでもない騒動が巻き起こる。メガホンを取るのは、『オープン・シーズン3 森の仲間とゆかいなサーカス』のコディ・キャメロンと『サーフズ・アップ』などに携わったクリス・パーン。奇想天外な物語はもとより、食べ物と動物の融合生物フード・アニマルたちのユーモラスな姿も見ものだ。
あらすじ:水を食べ物に変える「食べ物マシーン」を発明したものの、巨大ミートボールなどが空から落ちてくる異常気象を引き起こして町をパニック状態にしてしまった青年フリント。何とか町を救った彼だったが、思わぬ事態が新たに発生していたことを知る。何と壊したはずのマシーンが再び作動してしまい、マンゴーとフラミンゴが一緒になったフラマンゴーといった、食べ物と動物の融合生物フード・アニマルたちが生み出されていたのだった。

<感想>前作を忘れてしまったので、レンタルしに行ったけれどDVDが1本しかなくて、借りられていてダメだった。それでも、冒頭部分で1作目の物語を少し描いてくれる親切さに感心しました。しかしながら、2作目の出だしからカラフルな色彩で、内容は違うが「シュガーラッシュ」を思い出してしまった。
タイトルの横に「フード・アニマル誕生の秘密」なんてあるから、内容が分かってしまう。これは、本当にお子様向けですよね。
おなかがすいてもだいじょうぶ。食べたいものは、みーんな空からふってくる。なんて、奇抜な発想でいいのですが、今回は食べ物と動物を掛け合わせた奇妙な“フード・アニマル”が登場するんですよ。

フリントが発明した「水を食べ物に変えるマシン、FLDSMDFR」が、彼の故郷の島、スワロー・フォールズで再び暴走します。
生きた食べ物を生み出すようになったマシンを、停止させるよう、憧れの発明家チェスターVに依頼されたフリントは、仲間と共に島へ向かうんですが、・・・。
今回は、フリントの彼女、タツマキの情報レポーターのサムも一緒に行きます。
島はジャングルになっていて、街は破壊されてチーズ臭いし、ネギの恐竜に、タコス型のワニとか、子供もいるんだよ。レモン型のネズミなど不思議なアニマルが次々と出現。

マシンを探して歩き始めたフリントたちを、ポテトの脚が生えたチーズバーガーのクモ“チーズパイダー”が襲ってくる。でも、タイトルのミートボールは出てこなかったぞ。
一番目立って可愛いのが大きなイチゴなんです。目がついてるしワァワァ喋るし、でもこのイチゴちゃんは、後でとてもいいことをするんですね。

そこへ、チェスターVも島に到着して、フリントたちと合流。ですが、道中にチェスターVの嘘がバレてしまう。食品会社のCEOでもある彼は、ある目的のためマシンを手に入れようとしていたのですね。
かわいいしゃべるいちごはいいかもですが、ピューピューってチーズを吐く“チーズパイダー”には困ったもんです。確かに、食べ物と動物が融合したものってユーモアがあって面白いですが、大人の目線では、いくらなんでも口の中へ入れるものをそんな動物と合体させるなんてダメですから。

夜までは帰ると言ってきたのに、島にある我が家へ行ってみる。オイルサーディンを食べようとすると、キュウリが化け物に変わるし。キュウリに魚釣りを教えるピクルスたち。PCも壊れて使えないし、

やっぱり作り手の微妙なセンスが、「エイリアン」ぽい部分もあるし、襲ってくるのがデカイしで「怪獣」みたいなところもあって、観ていると子供には受けますよね。
発明家が作った、「食べ物マシーン」が暴走して、危険なアニマルの脅威から世界を救うべく、発明家のフリントが奮闘するファンタジーなお話なんですが、彼女のサムは氷ずけにされてしまうし、子供のころから憧れていたチェスターVの裏切りに負けてしまうのか?・・・そこへ父親が現れて助けてくれる。
それでも、くだものや野菜もみんな仲間になって、ロボットたちの絆や、冒険とか、最後は絶対にうまくいくという前提の元で見ているから、子供と一緒に楽しむにはいいかもです。
2014年劇場鑑賞作品・・・3   映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング 

黒いスーツを着た男 ★★★.5

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『彼女たちの時間』のカトリーヌ・コルシニが監督と脚本を務め、フランスで人気の美形俳優ラファエル・ペルソナーズが主人公を熱演したクライムサスペンス。ひき逃げ事故を起こした加害者男性と目撃者の女性、さらに被害者の妻らの運命が交錯し合う。『ミステリーズ 運命のリスボン』のクロティルド・エスムが、揺れ動く目撃者を好演。主人公の葛藤はもとより、共鳴し合う登場人物たちの魂の叫びに心が震える。
あらすじ:苦労して出世した自動車ディーラーのアル(ラファエル・ペルソナーズ)は、10日後に社長令嬢と結婚式を挙げる予定だった。仲間たちとパーティーで、ついついはめを外してしまった彼は、深夜のパリの街角で男を車ではねてしまう。動揺したアルは現場から逃亡するが、一連の状況をジュリエット(クロティルド・エスム)がバルコニーから目撃していた。

<感想>チラシを見て、アラン・ドロンの再来と言われているラファエル・ペルソナーズ見たさに鑑賞した。なるほど、この俳優さんは、フランスではモテモテだそうで、2013年だけでも何と6本もの新作が控えているそうな。
まぁ、今が旬の新人スターの顔を見るには格好の映画といっていいのではないかと。というのも、このイケメン俳優ラファエルが違和感なく映画の世界に溶け込んでいるからなのだ。フランス伝統のフィルム・ノワールの世界にぴったりなのである。少し贔屓目ではあります。
内容が重く興味深く最後まで見せてくれます。深夜に不注意な運転をしていたベンツに跳ねられる事故を見て、ドライバーが車の外へ出て道路に横たわる被害者を見る。普通ならいくら動揺していても救急車を呼ぶべきだと思った。ところが、この若い黒いスーツを着た男は、同乗者の言う「誰も見ていないし、早くこの場から立ち去ろうぜ」と、轢逃げを強要するのだ。

それを、アパートの窓から見ていたのが、目撃者、医師志望のジュリエットだ。彼女は直ぐに救急車を呼んだ。そして病院へも行く。被害者はモルドヴァからパリへ移住して来た不法就労者の男。この被害者の男に関するその後の展開が丁寧に描かれているのもいい。
しかし、目撃した若い女性ジュリエットの関与に対しては、なにもそこまでしなくてもと、つまり加害者の男を見つけて会社まで行き、医療費などの金を請求して仲介者をすること。警察へ届ければすむことなのだが、被害者の妻が不法滞在者であることで、警察に届けられると強制送還させられるというのだ。
困った彼女は、仕方なくというよりも自分から望んで仲介者をかって出たようにも取れる。

だから、時々その素敵な若者アルに逢うのも嫌じゃなく嬉しそうなそぶり。だからなのか、後半で車の中で肉体関係を結んでしまう。彼女はお腹に彼氏の子供を妊娠しているのにだ。どうも、このジュリエットは好きになれない。
男がいかに重体であることの描写や、予測される彼の死など、この段階ではどうにもならない。死は誰にも代わってやれないという、死が必ず持つどうにもならなさは、生きていく人間の課題なのだろう。

加害者の男は、働いている車の会社の社長の娘との結婚式を数日後に控えている。今まで苦労してきたことが認められ、娘と結婚すれば出世街道まっしぐらというわけだ。そこに、この人身事故である。
悩めよ、悩め、真っ当な人間なら自分の犯した罪を償うのが当たり前だ。アルは、同乗していた会社の友達に、このことは絶対に知らんふりをしていろと言われるが、自分としてはやはり被害者の死も、その被害者の家族のことも気にかかるのだ。人間として当然だから。
男は死亡して、残された妻は膨大な病院代に途方にくれる。それを見て、ジュリエットが加害者のアルと掛け合うわけ。その金も会社の金庫の中から拝借してと、それが社長に見つかってしまう。車の会社だから、内緒で中古の車を横流しして金を工面する。
アルから貰ったお金で妻は、亡き夫に着せるスーツに自分の喪服も買い、棺に横たわる夫と親戚たちの偲ぶ会が開かれる。その家に、アルがやって来るのだが、妻の嘆き悲しみが尋常じゃない。アルに抱きつき泣きじゃくる妻。

その後は、被害者の親戚の男たちに、道端でボコボコにされるアル。映画は轢逃げされた男は死亡し、轢いたアルは生きている。この男がやったという事実は、観客にもはっきりと初めから明白となるのだが、「警察へ突き出しても1年ほどの刑で出所し、罪は償われたものとしてあんたは直ぐに忘れる」と妻は言うのだ。それに、警察の前までアルを連れて行くのだが、自分にも不利だしいいことない。やりきれない苛正しさが胸のしこりとなる。
こういう、どにもならなさを始めとして、いろんなことのどうにもならなさを、轢逃げしたアルは一身に引き受けるのだ。無精髭をはやし、ヤツレはて放心状態のアルは、恋人とも別れて会社も辞め、独り列車に乗って何処へともなく向かっているところで終わる。
颯爽と黒いスーツを着こなしたラファエル・ペルソナーズ、歩く姿のかっこいいことといったら、最近は韓流俳優さんにイケメンが多いと思っていたが、フランス人とは、なるほどどこかアラン・ドロン似の風貌だが、イケメンだけではどうってことない。これからの活躍に期待したいものです。
ですが、この映画を見て思ったのですが、世界のどこでも、日本でも轢逃げ事故で逃げて、知らん顔している加害者たちがいることを。あなたたちはどれほど悩み苦しんでいるのだろうか。早く自首して罪を償いなさい。
2014年劇場鑑賞作品・・・4 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング 

マッキー ★★★★

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ハエに転生した青年が愛する彼女を守るため、自分を殺した建設会社社長にしてマフィアの男に立ち向かっていくアクションコメディー。ハエが前世のリベンジのために、強大な敵に戦いを挑む姿が描かれる。CGと実写を絶妙なバランスで織り交ぜ、ハエ対人間の壮絶バトルが展開。人間から見れば無力なハエがさまざまなアイデアでトレーニングし、知恵を巡らせ戦うさまが笑いと感動を誘う。
あらすじ:ジャニ(ナニ)は近所で暮らす美女ビンドゥ(サマンサ・プラブー)に思いを寄せていて、彼女もジャニのことが心に引っ掛かっていた。しかし、建設会社社長のスディープ(スディープ)もまた彼女に夢中で二人が相思相愛になったことを知ると、マフィアの顔も持つ彼は激怒した揚げ句ジャニを殺害する。やがて小さなハエに生まれ変わったジャニは、殺された恨みを晴らそうとするが……。

<感想>タイトルになっている「マッキー」とは、北インドの言葉ヒンディー語でハエのこと。本作の日本公開キャッチコピーは、「世界初!!ハエがヒーロー」である。確かに、以前「ザ・フライ」など、人間とハエとが合体したグロテスクなクリーチャーが主人公の映画はあったが、昆虫のハエそのものが主人公という映画は珍しい。
本作で何故ハエが輪廻転生してハエになって、人間に復讐をするのかが見どころなのだが。本作は、まず女たらしの社長スディーブが登場する。ちょい悪どころか極ワル親父で、人を殺すことなんて平気。
それにNGO活動家のビンドゥと、彼女に片思いをする青年ジャニのお話が進行していき、二人が両想いになりつつある時に、まず女たらしの社長スディーブがビンドゥを見初める。ビンドゥが中々自分になびかない分けを知ったスディーブは、怒り狂ってジャニを殺してしまう。

映画はここから俄然面白くなります。ジャニの魂がハエに輪廻転生するのである。インドを良く知る人なら、ハエに転生するとはと、話が盛り下がるのにとダメ出しを出したくなる来世である。
事実、蛆虫の殻を破ってハエに誕生するあたりは、目を背けたくなるし、でも、羽を伸ばしたり見事な飛翔を見せ始めると、このハエに目が釘付けになります。
CGから生まれたハエのマッキーは、グロテスクどころかフォルムも動きも実にチャーミングなのだ。
マッキーは、スディーブを見た途端、前世の記憶が甦り、彼を仇と付けねらうことになります。たかがハエと侮ってはいけません。頭脳戦を次々と仕掛けるマッキーは、出陣前にはハエ特有の手足をスリスリで武者ぶるいをし、見事にスディーブをへこませた時には、細い腕でガッツポーズを決める。見ている方は、小さなヒーローに魅せられて、次第に感情移入をしてしまう。

とにかく、サウナ風呂でのマッキーは、スディーブの顔面でブンブンと飛び回り耳の中へ入ってしまう。それを追い払おうと体を動かして、箱型に入った彼は危なく顔面にポールが突き刺さりそうになる。
さらには、運転中に目を攻撃して、交通事故を起こさせ、大破した車のフロントガラスに「殺す」と英語でメッセージを書くのには、あり得ませんから。
それに、小さいながらもブンブンと目の前を飛び回る行為は、スディーブでなくても閉口しそうだ。笑ったのが、会社の大事なお得意さんの頭にマッキーが止まったのを見て、頭を叩く、頬っぺたを叩く、で、結局仕事は全部パァになってしまう。

それでも、スディーブが自分の家を密室にしてしまい、愛するビンドゥを人質にしてマッキーに降参をさせようとする。最後にはマッキーの捨て身の戦法、つまりおもちゃの大砲の中にせっせと運んだ火薬に、自分が火だるまとなってつ込んでいく勇敢さに拍手だ。

あり得ないけど、漫画のようなマッキーの仕草や行動にあっぱれを送りたい。最後で、またもやハエに輪廻転生するとは、これまた笑える。
さらに、ハエで知るIT大国の実力である。ビンドゥの趣味をマイクロ・アートにしている点、日本でもお米に彫刻をしたりしている人がいるが、小さな素材を加工して芸術的な作品を作っているビンドゥは、ハエのマッキーがジャニの生まれ変わりと気づいた後、彼の強い味方となるのですね。マッキー用の金属の武器や、殺虫スプレーの攻撃から目を守るためのゴーグルや、トレーニング用のマシン。
身振り手振りのジェスチャーや、頭を動かす仕草など、マッキーのCG描写の素晴らしさと同時に、実写との合成の巧みさはハリウッド映画と比べても甲乙つけがたしである。
インド映画というと、歌と踊りで時間を取り、うざいと思ったことがある。しかし、この作品では歌、踊りが少なかっただけに、ハエの踊りが可愛らしかったです。
2014年劇場鑑賞作品・・・5 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

もらとりあむタマ子 ★★★.5

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『苦役列車』の山下敦弘監督と前田敦子が再びタッグを組み、実家で自堕落な日々を過ごすヒロインの生活を切り取った人間ドラマ。東京からUターンして実家に戻るものの就職もせず、家業を手伝うでもなくただ無為な毎日をやり過ごす若者が、やがて小さな第一歩を踏み出すまでを描写する。『マイ・バック・ページ』などの康すおんや、『アウトレイジ』シリーズなどの音楽を担当した鈴木慶一らが共演。ふがいないが、どこか憎めない主人公の成長物語が共感を呼ぶ。
あらすじ:東京の大学を卒業した23歳のタマ子(前田敦子)は、父親がスポーツ用品店を営む甲府に戻って来る。彼女は特に就職活動をするわけでもなく、ほぼ毎日惰眠をむさぼり、ぐうたらな日々を送っていた。父親に仕事を探せとせっつかれても聞く耳も持たず、たまに起きているときはマンガやゲームに没頭していたが……。

<感想>決してファンではないが、主人公は元AKB48の前田敦子ちゃん。お笑い芸人のキンタロウを思い浮かべるが、ただ美しく、可愛いだけではなく根性のある女優魂見せつけてくれるというので鑑賞した。
東京の大学を卒業したものの、山梨の実家へ戻り、自堕落な生活を送る寄生虫、タマ子である。そのダメっぷりの描写は、映画のファーストショットに現れる。惰眠をむさぼるタマ子のお尻の大写しから始まる。つまりお尻から起き上がるわけ。敦ちゃんがボサボサ頭でジャージ姿でも、画になる女優力はやはり尋常じゃないです。

堂々たるモラトリアム宣言映画なのである。ところが敦ちゃんの食っちゃ寝のグータラぶりに妙なリアル感があり、こんなニート女が実在するに違いないと思えてくる。いるんですよね、最近の男も女も、大学出て就職が決まらず実家で寄生虫している子供たちがね。自分の子供だったら、絶対に叱り飛ばして、アルバイトでも何でもいいから働いて、家から出て行ってくれと言いたい。
ところが、親が片親で娘に甘いというか、田舎町でスポーツ用品店を経営しながら、料理や掃除、洗濯など家事を豆にこなす父親との対比が面白いときた。
テレビのニュースを見ながら「ダメだな、日本は」とぬかすナメた態度のタマ子に、父親が「ダメなのは日本じゃなくてお前だ」という父親の苦言に共感する。
しかしだ、痛いところを突かれても、「その時が来たら動くわよ、私だって」と逆ギレする。「何時なんだよ、」と追い討ちをかけられると、「少なくとも、今ではない」とこうのたもう。それもいけしゃあしゃあと。父親の問いかけに言葉ではなく、ひたすら舌打ちで返すというシーンもあったりする。

中盤くらいで、タマ子がなぜここまでズボラになったのか、やがていろんなものが見えてくるんですね。彼女がアゴで使う中学生、その弟分との関係性にもいろいろ裏があって面白い。
エリック・ロメールの連作「四季の物語」4部作もかくやの、人生“春夏秋冬”ストーリー。変わりゆく季節に応じて、タマ子の心の表情も移ろっていく。秋・冬編を撮影したのは黒沢清の諸作でも知られる芦澤明子。春・夏編は、「リンダリンダリンダ」「苦役列車」の池内義浩。
いつも高度な仕事ぶりの安宅紀史の美術。ラストを飾る星野源の主題歌「季節」もとてもマッチしていて沁みいる。

それで、これは監督が、女優・前田敦子を輝かせる隠し駒を握ってしまったのだろう。単純に可愛さはハンパないし、ぐうたらも孤独も漫画好きも、彼女と掛け合わされることで、内に秘めたる鬱屈の大きさを思わせ、切なさすら漂わせてくれる。
二人の関係は父親の再婚話をめぐってしだいにシリアスになり、娘の自立が親の自立につながるところなんか納得ですよ。

ラストの父と娘の決断は、それはほんの些細なことなんだけど、そこに至るまでのテンポのまま、とりわけ夏編での長回し、富田靖子を相手にした演技が圧巻です。夏のアイスのごとく自然と溶けて余韻を残すところがいい。
きちんと面白みに繋げているし、80分以下の尺ながらも、四季の移ろいと長さをしっかり感じさせ、子離れできない“親のモラトリアム”の物語にも転じさせていく語り口が印象的でもある。
エンドクレジット後に映し出される、山下監督は敦ちゃんが可愛くてしかたないんだろうなぁ、と思わせるフッテージもいい。
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ザ・タワー/超高層ビル大火災 ★★★

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『TSUNAMI-ツナミ-』のソル・ギョング、『白夜行 -白い闇の中を歩く-』のソン・イェジンら、韓国の実力派が顔をそろえたディザスタームービー。大火災に見舞われた地上108階の超高層ビルを舞台に、ビルから出られなくなった人々のサバイバルと消防士たちによる決死の救出劇を映し出す。監督は、『第7鉱区』などのキム・ジフン。極限状況下に置かれた者たちの内面を深く見つめたドラマもさることながら、実写と最先端CG技術を巧みに融合して作られたパニック描写の数々にも圧倒される。
あらすじ:ソウルの汝矣島にそびえ立つ、地上108階の高層ビル「タワースカイ」。クリスマスイブを同ビルで迎えようとする客に備えるフードモール・マネージャーのユニ(ソン・イェジン)は、思わぬ厨房のボヤ発生に驚き不十分な換気設備に不安を抱く。人々が上層階に集う中、タワースカイ会長(チャ・インピョ)はタワー周囲を旋回する10機のヘリコプターで粉雪を降らせる演出を敢行。だが、そのうちの1機が上昇気流の影響によりビル内部に激突、すぐさま爆発炎上を起こしてタワースカイを火炎地獄へと変貌させる。

<感想>つい最近ミニシアターで上映していた。すでにDVDレンタルしているというのに。韓国版「タワーリングインフェルノ」ってだいぶ昔の映画でしょうに。私には、超高層ビルのクリスマス・パーティというと「ダイ・ハード」とビル火災の炎の爆発では「バックドラフト」のイメージが強かった。
展望レストランでのクリスマス・イブの夜を過ごそうとたくさんのお客さんが、その中には、施設管理チーフのデホの娘ハナが待っていた。デホが密かに愛するフードモール・マネージャーのユニに、仕事が終わるまでハナを頼む。一方では、伝説の消防士カン隊長は、結婚後初めてのイブに休暇をもらい妻への感謝のケーキを注文する。でも、火災が起きれば休暇なんか返上して現場へと。

誰もがささやかな幸せに包まれていたその夜、タワー上層階で火災が発生。その火事の原因となったのは、目立ちがりやのタワースカイビルの会長が、ヘリを飛ばしてタワーを旋回しながら粉雪を降らせようと馬鹿みたいな派手な演出をしたからなのだ。その夜は強風でヘリを飛ばすには危険だというのに、会長が無理やり「飛ばせ」と、金にものを言わせてヘリを飛ばして、それはその時は粉雪が降りホワイトクリスマスだなんてみんな喜んでいましたからね。

しかし、ヘリは上昇気流に煽られ、タワーに激突し大爆発!・・・スプリンクラーは作動せずタワーは炎の地獄と化す。最上階にある展望レストランの厨房で、冒頭でボヤ騒ぎがあるのですが、スプリンクラーからの水がちょろちょろでダメ。上司いわく、火事なんて起きないからとのたもうすのである。スプリンクラーの水道管がビルの外に出ていて、凍っているなんてあり得ませんから。

このビルはそんなにズサンな工事しているなんて、それでも貯水タンクが上と地下と2か所にあるんですね。その貯水タンクを初めはスイッチで放流する。火の熱さで参っている人たちが水が欲しいと騒ぐ。そこへこの激流ですから。こういう火災とか起きた時は、エレベーターは危険なので使わないのが当たり前なのに、みんなエレベーターに押し寄せて満員御礼で、重みで急降下。それに止まったのはいいけれど、火災が起きている階で止まるなんて。

このタワービルは、マレーシアのツインタワービルみたいな、上の階に連絡通路があるんですが、それがガラス張りで出来ている。そこを渡ってもう一つある建物へ行こうとする人たち。ガラスがパリパリとヒビが入って今にも割れそうです。それが、やっぱり妊婦さんが渡ると割れるんですね。その妊婦さんは、最後まで水の中やエレベーターの中とか、普通では絶対にお腹の子共がどうにかなるのに、助かるんですから。
それに、デホさんと娘のハナちゃんとマネージャーのユニさん、新人の消防士に、一度下へ落下したのに奇跡的に助かった副隊長など、最初からこの人は絶対に助かると思っていた人たちは生還しました。助かって憎らしいのが、屋上に救助のヘリが来るのですが、限られた人、つまり金持ち夫妻と犬ですね。

残念なのが、「シルミド」「TSUNAMI/ツナミ」でも、生存率限りなくゼロのカン隊長を演じたソル・ギョングです。地下の貯水タンクを爆破するために、爆弾を仕掛けに行ったのはいいのですが、リモコンスイッチを落としてしまい、自分が最後までその場所に残ってスイッチを押して殉職ということに。そして、頼んだホワイトチョコレートのクリスマスケーキが、1個だけ店のガラス棚に残っているのを映し、涙を誘います。消防士さんたちの活躍も見事ですが、閉じ込められた人たちの火責め、水責め、煙責めのサバイバルも見どころの一つ。それも、これでもかというくらいに何度も襲い来る大惨事なのに、台詞がコメディのような笑いも含めて、ハラハラしたりその生き様と決断に、役者根性を見せつけられるのには驚きですから。
2014年DVD鑑賞作品・・・1 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


キリングゲーム ★★★.5

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名優ロバート・デ・ニーロとジョン・トラヴォルタが初共演を果たしたアクションサスペンス。アパラチア山脈を舞台に、セルビア人の元兵士と彼から人間狩りの標的にされた元アメリカ軍人が繰り広げる攻防を映し出す。メガホンを取るのは、『デアデビル』『ゴーストライダー』などのマーク・スティーヴン・ジョンソン。殺しの技術を知り尽くした者たちの激闘ぶりもさることながら、ベテラン俳優2人がしのぎを削る演技合戦にも圧倒されてしまう。
あらすじ:アメリカ北東部からカナダへと大自然が広がる、アパラチア山脈。そこに山小屋を構え、一人暮らしをしている元アメリカ軍人のベンジャミン(ロバート・デ・ニーロ)。そんな彼の前にセルビア人の元兵士コヴァチ(ジョン・トラヴォルタ)が現れ、一緒に狩りを楽しむことに。しかし、山へと足を踏み入れるや、コヴァチはベンジャミンに向けて矢を放つ。混乱しながらも、軍隊と山での生活で得た経験と技術を生かして応戦するベンジャミンだが、この人間狩りにはボスニア紛争で起きたある事件が深く関わっていた。

<感想>ロバート・デ・ニーロ70歳とジョン・トラヴォルタが60歳の二人が初激突したサバイバルアクション。確かにデ・ニーロの息子夫婦と孫が出たりはするが、主な登場人物は二人だけという緊張感漂う異色作である。デ・ニーロー扮する米軍帰還兵がひっそりと暮らす山小屋を、ボスニア紛争時に因縁のあった元セリビア兵のジョン・トラヴォルタが復讐に訪れると言うストーリー。
誰もいない狩猟区で、男二人の死闘が繰り広げられるのだが、デ・ニーロは足の古傷が痛みだし、最後の鎮痛剤を洗面所で落としてしまった。それで、町まで車で買い出しに行く途中、車が故障してしまう。そこへ、ジョン・トラヴォルタが通りがかり、車を修理してくれる。

そこで、気を良くしたベンジャミンは、山小屋へ向かい入れ食事を振る舞う。トラヴォルタが荷物からウィスキーを出して、二人で酒を酌み交わし、そして、壁にかかっているヘラ鹿の剥製を見て、狩猟の話やら写真の話に花が咲く。泊まればいいものを、夜なのに帰るといってどうやら野宿をするらしい。次の朝、狩に出かけた二人だが、トラヴォルタの態度が急変して、いきなりデ・ニーロに向けて弓矢を射って攻撃をしかけてくるのだ。

その矢がデ・ニーロのふくらはぎに刺さり貫通する。自分でその矢を引き抜いて、薬草を塗り煎じて飲む。山の生活が長いのか、そういう心得はあるのだ。しかし、その矢の刺さったふくらはぎの傷跡に、今度はコヴァチが傷口にひもを通せと命じて逆さ吊にする。これは手痛い拷問である。紛争時の罪を告白するよう激しく責め立てるのだ。

20年前の戦争のトラウマを抱えた敵同士2人が、相対して死に直面することで、過去に落とし前をつけるという話なのだが、アクション・バイオレンスとテンポが良すぎて、決着がつかないのだ。どうにも物足りないし、説得力がない。
つまり、内戦で家族を虐殺され、自分も捕まり銃刑にされる。その時に彼を撃ったのが米軍大佐のデ・ニーロで、頭を撃たないで肩を撃ち彼は命が助かったのだ。しかし、その復讐を果たそうという一心でリハビリに努め、復讐相手の居場所を突き止める。
だが、最後に明かされたのは、コヴァチは“さそり”というセルビアの死の部隊の隊員でかなり酷い仕打ちを民間人にしていたというのだ。それで、アメリカ軍隊が介入して、彼らを処刑したという話なのだが、何しろ恨みツラミが深く、憎くて仕方がないコヴァチ。何としても、ベンジャミンを殺そうとするのだが、デ・ニーロも老いたとはいえ中々どうして大したもんですから。

お次はデ・ニーロの番で、すかさずトラヴォルタの頬を手作りの弓矢で射って貫通させる。その裂けた傷跡にレモン汁と塩を注ぐ拷問。沁みるよね、これは。拷問描写に力が入ったさすがに「ディア・ハンター」と同じような外傷後ストレス障害を扱った作品である。
その後も、デ・ニーロは逆さ吊の後、谷川に落ちて必死で岩にしがみつき助かるも、二転三転と攻防が延々と続くのだが、二人とも詰めが甘くてすぐに反撃を許すと言う、アンプロフェッショナルな展開の連続に過ぎないのが残念。見ていてイラつく。
最後は、デ・ニーロが車に乗せられて行く途中で、体当たりをかまして車が坂を横転しながら崖下へと。直ぐに這い出たのがデ・ニーロ。しかし、拳銃を持って出てきたのがトラヴォルタである。

もうこれで決着が付くのかと思ったのに、またもやデ・ニーロが森の中の古い教会の中へと逃げ込み、ピアノ線で天井板を落ちる仕掛けを作り、トラヴォルタがまんまとその仕掛けにハマって、上から天井板が落ちてくるのだ。それでも負けないトラヴォルタ。いくらか年齢が若いだけ回復力が速いのだ。その時、デ・ニーロのところに、天井の穴から神々しいような光が差し込むのだ。
デ・ニーロは、70歳には見えないくらいアクションにも果敢に挑んで素晴らしいですね。体を張ったアクションを披露してくれるので、今度は「RED/レッド」か「エクスペンダブルズ」にも出演して欲しいものです。
2014年劇場鑑賞作品・・・7  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ペコロスの母に会いに行く ★★★

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漫画家・岡野雄一が、自分が経験したことをヒントに描いたエッセイコミックを実写化したヒューマンドラマ。認知症の老いた母親とその息子が織り成す、笑いと涙にあふれた触れ合いをつづっていく。メガホンを取るのは、『時代屋の女房』『ニワトリはハダシだ』などのベテラン監督・森崎東。テレビドラマ「3年B組金八先生」シリーズなどの赤木春恵、数多くの出演作を持つ岩松了が主人公の母子を熱演する。老いや認知症を肯定する前向きなストーリーとテーマはもとより、舞台となる長崎や九州各所の美しい景色も見どころ。
あらすじ:長崎で生まれ育った団塊世代のサラリーマン、ゆういち(岩松了)。ちいさな玉ねぎ「ペコロス」のようなハゲ頭を光らせながら、漫画を描いたり、音楽活動をしながら、彼は父さとる(加瀬亮)の死を契機に認知症を発症した母みつえ(赤木春恵)の面倒を見ていた。迷子になったり、汚れたままの下着をタンスにしまったりするようになった彼女を、ゆういちは断腸の思いで介護施設に預けることに。苦労した少女時代や夫との生活といった過去へと意識がさかのぼっている母の様子を見て、彼の胸にある思いが去来する。

<感想>誰しもが老いれば認知症になる。物忘れもしないで元気で自分の身の回りや家事をこなす老人はいるにはいるが、少ないはず。ここでは、長崎を舞台に、認知症の老母を抱えた五十代半ばの息子のてんやわんやの日々が描かれるのだが、途中に二つの過去が織り込まれている。
それは、郷里の天草における母親の幼少時代と、二十代後半の母が夫および幼い息子とともに長崎に移り住んだ時代である。認知症においては、過去が現在以上に生々しく描写されるのである。
私の両親も二人とも認知症になり、いくら自分の親と言えども介護は本当に心身ともに大変でした。確かに認知症の老人は、現在のことは忘れても、過去のことは鮮明に憶えているもので、若き日の楽しいことや辛いことなどが蘇ってくるところがあるようですね。

現在のシーンに過去が混入する場合は、通常、回想の形を取っている。老母の赤木春恵から「夜声八丁」と言う言葉を聞いた息子の岩松了が、夜、車を運転するシーンに、若い母の声がかぶさり、彼女が幼い息子を寝かしつける光景が出て来る下りがそれである。
その後に、自宅で眠る赤木春恵の姿に続いて、1943年の天草の家における幼い妹や親友のシーンが出て来るのも、回想シーンである。だが、そのシーンが、幼い母と親友を漫画に描く現在の岩松了の姿へと転じ、再び眠る赤木春恵へと。起き上がった彼女が天草で親友に約束した手紙を書く姿へと画面が進む時に、微妙に様相が異なるのだ。
それは夢と回想と現在とが入り交じってゆくようでもある。そして、回想の混在はそれ以後も出て来るのだ。介護施設に入った老母が、幼い時の歌を口ずさむ天草の家から原爆雲を見る映像と、老母が施設に訪ねてきた妹二人に会うシーンでは、天草の庭で別の妹が歌いながらマリをつくという場面である。

だが、その後、施設で縫物の動作をする老母が、夫の背広のつぎあてをしなければと呟くや、1965年の若い母の原田貴和子が夫の加瀬亮に赤ん坊と長崎の家へと移ってくる場面に替わるあたりから、混在の有り方が一変するのだ。
1965年のシーンでは、親友を探して赤線を歩き、現実とも幻想ともつかぬ形で親友の原田知世と再会する場面へと、原田貴和子が彼女に手紙を書き、返事を待ち焦がれるシーンへと進むのだが、彼女は長崎で原爆に遭い、生き延びるも十年後に原爆症で死亡。
それが現在への過去の混入が単なる回想とは思えないほど印象的に映るのだ。
それは、給料を酒で使ってしまう酒乱で錯乱する夫の加瀬に怯える妻と子供たち。雪の道で酔いつぶれ、その夫を背負い帰る幼い息子と妻の原田貴和子。
これは、現在に過去が混じってくるうちに、別のもう一つの物語が繰り広げられ、そんな現在を生きる母子が描き出され、夫をめぐる苦労のあと、原田貴和子と息子が、夜の埠頭に立つ自殺寸前のシーンが出て来るのだ。
それが、岩松了の回想シーンとして始まりながら、ランタン祭りの場面でこれは年老いた赤木春恵の現在に他ならないと判ることに。
この映画の中でしばしば登場する「早春賦」の歌、“春は名のみの”と、・・・この歌は、現在と過去を橋渡しするのではなく、二つの時代が二つとも現在にほかならないと思わせるようでもある。
2014年劇場鑑賞作品・・・8 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

大脱出  ★★★★

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シルヴェスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーの二大アクション俳優が共演し、洋上にあるタンカー型監獄からの脱獄を描いたサスペンスアクション。すご腕のセキュリティーコンサルタントであり、自らが設計した巨大監獄からの脱出を企てる男をスタローンが、彼の前に立ちはだかる囚人のボスをシュワルツェネッガーが演じる。メガホンを取るのは、『シャンハイ』などのミカエル・ハフストローム。敵か味方か明かされていない二人の関係の真相や、年齢を感じさせない怒とうのアクションが見どころ。
あらすじ:陸から離れた海上に存在する、通称墓場と呼ばれるタンカー監獄。ある日、その監獄に、世界でもトップレベルののセキュリティーコンサルタントのブレスリン(シルヴェスター・スタローン)が身に覚えのない罪で投獄される。ブレスリンは、自らが設計に携わったこの監獄から脱出することを決意。しかし、囚人たちのボス、ロットマイヤー(アーノルド・シュワルツェネッガー)がブレスリンの前に立ちはだかり……。

<感想>シルヴェスター・スタローン67歳とアーノルド・シュワルツェネッガー66歳。年齢は確かに老人だが、肉体の重量感はヘビー級ですから。スクリーンが揺れるような重量級インパクトに、二人の意地が感じられ、ファンには堪らない見せ場も用意されています。
そんな二人が本気でぶつかり合う肉弾戦が、本作の大きな見どころです。囚人服に身を包んだスタローンとシュワちゃんが、ガンを飛ばし合い、そのまま雪崩れ込むような肉弾ファイト。これには分けがあるんですが、それは劇場でご覧ください。細かい技や、姑息なテクニックは一切ナシで、カリスマオーラで圧倒する戦いについ目頭が熱くなります。

アクション映画界の両雄が、究極のタッグを組んだ新春ビッグマッチに興奮!
「エクスペンダブルズ」での初顔合わせ、続いて「エクスペン〜2」では共演時間がぐっとアップした上に両シークエンスともにアクションに絡み、ガチ共演という意味では、今回の顔合わせはファンにとっても嬉しいですよね。
互いを知り尽くした二人の駆け引きには、演技を超えた空気感が漂います。
物語は、スタローンが脱獄のプロで、各地の刑務所に囚人を装って入獄し、脱獄しては警備の盲点を調査するセキュリティ・コンサルタントのブレスリンを演じている。そんな彼が何者かの罠によって、場所も大きさも分からない上に、自身考案の「脱獄できない獄内構造」に基づく刑務所へと放りこまれてしまう。
しかし、単身では脱獄できないと悟り、シュワちゃん扮する敵とも味方ともつかぬ囚人ロットマイヤー(国際指名手配を受ける凶悪犯の居場所を知っているため、看守や所長からも特別扱いを受けている)と手を組むことになる。

それで、舞台となる刑務所が巨大タンカーの内部という意表をつくと同時に、難攻不落感、全開な設定で、始めは、周囲がガラス張りの独房で、まるで「007/スカイフォール」のハビエル・バルデムが入っていた独房のようだ。
そして、いつものように懲罰用の独房へ喧嘩をしてわざと入り、そこは狭い小さな独房でライトの照明が眩しく、身体から汗が滴る。その汗を利用して換気ダクトのネジを浮かせて開けるという知恵。換気ダクトから屋外へと出るもそこは、海に浮かぶ巨大タンカーだった。

刑務所船が浮かぶ位置を割り出し(モロッコ沖)、計画を悟られぬように所長にブラフを仕掛けるスリリングなプロセスなど、脱獄映画に必要な要素を揃えているが、ノリとしては実に大味だった。ですが、それでいいんですよ。脱獄映画である以前に、二大肉体派スターとして張り合ってきたスタローンとシュワちゃんの共演作なのだから。
それに、彼らが同じフレームの中で、並んで拳を交わし、銃を構えぶっ放すという80年〜90年代に映画ファンが夢見ていた画のみだから。それを全て叶えてくれているのだもの、文句は言うまい。

シュワちゃんが囚人のボスという役どころも完璧。刑務所所長のジム・カヴィーゼル、蝶の標本を溺愛するなどちょっと怪しい一面もあり、囚人を痛めつけるのはお手の物。囚人の中で、スーツ姿の彼は一際目立ってカッコいい役柄だ。それに、刑務所内勤務の医師、カイリーにサム・ニールが扮しており、看守や所長が冷血な中で、ただ一人信頼できそうな存在である。
脱出不可能と思える、海上のハイテク極秘刑務所を舞台に、それぞれの執念が激しくスパークします。スタローンの天才的な脱獄テクで驚かせつつ、後半部分では、刑務所所長の執拗な嫌がらせに衰弱したスタローンの体を抱えるシュワちゃん。背中合わせにハンドガンの引き金を引きまくる二人。中でも、ヘリコプターに備え付けられた馬鹿でかい機関銃で掃射するシュワちゃんの姿には、「コマンドー」のランチャー発射を思い起こさせてくれる。
CIAの関連も匂わせる陰謀劇も展開するし、脱獄の緊迫感だけでなく、周囲の妖しいキャラ(シュワちゃんの娘がCIAとか)や予想外のオチも見どころの一つになっています。
2014年劇場鑑賞作品・・・9   映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

トランジッタ ★★★

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史上最強のタッグが放つノンストップ・アクション。手に汗を握るクライムアクション・スリラーがTSUTAYA限定でレンタル開始。2011年、アメリカ。監督はアントニオ・ネグレ。
制作は、「ダイ・ハード」「マトリックス」の大ヒットシリーズを生んできた、ジョエル・シルバー。
家族を救って男になれ、元詐欺師、決死の大爆走!「TSUTAYA」 で劇場未公開作品。アクション・スリラー映画となっていたが、予測不可能なノンストップ・スリラー、これはお得なDVDレンタルでした。
だいぶ前にレンタルしたのですが、今回「大脱出」で刑務所の所長を演じたジム・カヴィーゼルが主演を務めるアクション劇です。
物語は、ジム・カヴィーゼル演じる仮釈放中の男ネイトは、妻と二人の息子とファミリーカーでキャンプ地へ向かっていた。だが、途中で現金輸送車の強奪事件に巻き込まれる。4人組の犯人グループに追いまわされる羽目になってしまう。
と、紹介すると極悪な男たちが、善良なファミリーを追いまわすだけのシンプルな展開を想像するかもしれない。だが、お話はそう簡単には進まないのである。不動産詐欺で捕まり、仮釈放中の男が家族と絆を取り戻すためにキャンプ地に向かっていた。
だが、現金輸送車を強奪した犯人たちが、現金と拳銃を持っているため検問に見つかる。
それで、その犯人の中の女が、家族のファミリーカーの屋根の上に荷物を積んでいるのを見つけ、その中に強奪した現金400万ドル(4億)を積みこむ。
検問を難なく通り過ぎ、犯人たちは現金の入ったカバンを取り戻そうと、家族の車を追い掛け始めるのだが、まさか車の上にそんなものが乗っているとは気づかず、カーチェイスが始まり家族の車だけが、警察のスピード違反で捕まり夫が逮捕される。

家族はモーテルに泊まるも悪党に襲われ、奥さんがトイレに立て篭もり警察へ通報。それで夫は釈放されるのだが、一難去ってまたもや一難。
妻が車の上にある荷物を調べると、そこには大金400万ドルの札束があり、妻はまた夫が悪事を働いたと勘違いをして、夫と現金を残して車で立ち去ってしまう。
それからが、この男は沼の中を思いカバンを引きずって、ワニが生息している危険地帯。大きな朽ち果てた木の穴にカバンを隠し、自分だけ道路へ出るも、犯人の車が妻たちの車に追い付き現金を出せと脅迫。
夫と共に置いてきたというと、後戻りして夫を見つけるも、現金と引き換えに家族を渡すというが、行ってみると木の穴にはすでに現金はなく、その沼に住み込んでいる男が持ち去ったのだ。

それからが悪党どもから、家族を守るために男が俄然張り切るのだが、意外と弱いのだ。悪党にナタで手の指を切られ、鎖でぶんぶん振り回すも、反対に鎖を悪人に取られて首を絞められるしまつ。
沼の小屋に行くも、その住人も悪党たちの襲撃で撃たれて死亡。その小屋に立て篭もった奥さんの方が、悪党に向かってライフルを発砲したり、札束に油をかけて燃やしたりと勇敢に見えた。息子二人も応戦。悪党と銃撃戦の凄さには半端ない。もうこれって劇場で公開してもいいくらいスリリングで見応えある。
犯人グループの間でも仲間割れがあったりして、夫婦の関係にも暗い過去があったり、状況を把握していない警察が途中で乱入して来たりするので、先の展開がまったくもって読めず、予想外のアクション・シーンが、ほぼノンストップで待ちうけているのだ。
最後の最後まで目が離せないハラハラ、ドキドキ感が最高です。ラストの悪人と言うと、仲間の女が脚を骨折しているので邪魔になったのか後ろを向かせて銃で撃つ。そして、夫が小屋の前で闘うのだが、悪党の運も尽きたのか、床に転がった際に後頭部を床から出ていたクギで打つというあっけない最後だった。
最先端のCGをふんだんに使ったハリウッド超大作アクションももちろんいいけれど、やっぱりたまには、タフでソリッドなB級スリラー映画の良作も見たいですよね。という気分の時こそ是非ご覧ください。期待外れだという思う貴方に、絶対に損はさせませんから。
2014年DVD鑑賞作品・・・2 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング



インシディアス 第2章 ★★★

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『ソウ』シリーズのジェームズ・ワン監督と、脚本家のリー・ワネルのコンビによりアメリカなどで大ヒットを記録した『インシディアス』の続編。前作のラストで霊が去ったのもつかの間、主人公に悪霊が取りついたことにより、次第に明らかになる彼の衝撃の過去を描写する。前作同様パトリック・ウィルソンとローズ・バーンが夫婦役で出演。再び一家を襲う恐怖はもとより、封印された衝撃の記憶に震撼(しんかん)する。
あらすじ:3人の子どもたちを狙っていた悪霊も去り、ジョシュ(パトリック・ウィルソン)とレネ(ローズ・バーン)夫妻にようやく平穏な日々が訪れたように見えた。だが、息子を救うために幽体離脱したジョシュは、自分と共にこちら側の世界にやって来た何かに取りつかれていた。実は彼には幼い頃から、幽体離脱してあちら側の世界とつながる特別な能力が宿っており……。

<感想>今度は幽体離脱が時空も飛び越え、悪霊との闘いは新たな次元へと。
今回はジェイムズ・ワン監督と「パラノーマル・アクティビティ」のプロデューサー、オーレン・ペリ&ジェイソン・ブラムが再結集して、主人公の知られざる過去を描いている。ですので、この第2章を初めて見る方には、ジョシュの幽体離脱や悪霊のいる“彼方への世界”について、説明がほとんどないままに物語りが進み、前作の復讐は絶対ですね。

悪霊から家族を救うも霊界から連れて来た“何か”に、霊媒師のエリーズが殺される。エリーズの首に咬み傷があり、父親のジョシュが疑われるが違っていた。そして、一家は彼の母親のロレイン宅へ身を寄せるのだが、そこで怪奇現象続発する。
もろ「ポルターガイスト」シリーズへの強烈なオマージュに加えて、キチガイ幽霊軍団が登場するなど、ホラー好きには堪りませんね。それに、タイムスリップもあるよ。
家族は、事件を忘れたいと頑なに言うジョシュに、妻のルネは不信を募らせます。一方、エリーズの助手、巨漢とメガネの2人組みは、前の家で彼女の昔の相棒である霊媒師カールと共に調査を続行するのです。
このカール爺さんは、アルファベットを彫ったサイコロで、幽霊とコンタクトを取るだけという頼りなさ。この幽霊撃退部隊のてんやわんやの騒動は見ていて本当に面白いですから。ですので、そんなに怖くないです。

やがて幼いころの夫ジョシュに、事件の原因が隠されていることが発覚する。幼い頃のジョシュは、悪夢にさいなまれていた。ロレイン(祖母)から相談を受けていたエリーズは、ジョシュが幽体離脱をしていることを知り、その記憶を封印する。相談時の一部始終を記録したビデオを、2011年に亡きエリーズの助手2人が発見。見るとなんと現在のジョシュが写っていたのだ。
しかし、家族は祖母のロレインの家に移っても怪現象は止まないのだ。ロレインとエリーズの助手2人は、エリーズの霊魂がもたらしたヒントに導かれ、かつてロレインが勤務していた病院へ。そこで、当時の入院患者パーカーを思い出した祖母のロレインは、その男の自宅へと急ぐ。そこで、幼い少年少女の霊に遭遇。ここは少し幽霊屋敷のようで怖かった。

しかしだ、病院も患者の自宅も廃墟となっていた。患者の老人は飛び降り自殺。そこでロレインは、何度か目撃していた女の幽霊とそっくりな肖像画を発見する。それは、患者の母親で、娘が欲しかったのに男の子が産まれ、どういうわけか母親は息子に女の服を着せておさげ髪にし、嫌がる息子を女の子として育てる。その廃屋で何度か母親と見られる白いワンピースを着た女と娘の幽霊が見られます。

それと、夫のジョシュは息子を探しに“彼方の世界”へ行き、帰って来たのだが、実は体も心も悪魔のような感じがする別の人間。奥さんのルネがピアノの音とか、赤ちゃんの歩行器が勝手に動くしで頭が変になる。このピアノが勝手に響くのが、実はルネが夫のために作ったピアノ曲なんですね。これも本作の伏線となります。

それに、廃屋のパーカーの部屋の本棚を動かすと、奥に部屋がありそこには白い布を被された遺体がたくさんあった。パーカーは女に変装して人殺しをして、遺体をこの部屋に隠していたのです。変人として扱われ、警察は知らなかったことで、このような痛ましい女性の遺体の霊が浮かばれないで浮遊しているのでしょう。
夫のジョシュと霊媒師のカールが“彼方の世界”へと行くも、エリーズと出会い、幽体離脱中の体は魂が不在状態となるため、その身体に入り込もうと幽霊やら悪魔たちが集まってくるところなのだと。早く現実の世界へ帰りなさいというのだ。どうやら幽霊が、人間に憑りついて、また現実の世界へ戻りたいと襲いかかってくるのだ。
息子が父親を探しに”彼方への世界”へ来て現実の世界へと導くのです。

いや、母親は強い、ローズ・バーンが子供たちを守るためにフライパンで叩いたりして悪霊と闘う姿は、素晴らしい。それにしても、この映画の婆ぁといい、迫力あって凄いにつきます。
2014年劇場鑑賞作品・・・10   映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


ブラインド・フィアー ★★★.5

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盲目のヒロインが自宅のペントハウスに侵入した2人の犯罪者に監禁され、決死の攻防を繰り広げるサスペンススリラー。『ミッション:8ミニッツ』などのミシェル・モナハンが元報道カメラマンで失明したヒロインを演じ、『バットマン』などのマイケル・キートンが彼女を追い詰める異常な犯罪者にふんする。メガホンを取るのは、『愛がこわれるとき』『フォーガットン』などのジョセフ・ルーベン。何も見えず、助けもない状況がスリルを駆り立て、アクションに駆け引きにと奮闘するヒロインから目が離せない。
あらすじ:元報道カメラマンのサラ(ミシェル・モナハン)は戦場取材で失明してしまい、現在は恋人のライアン(アンドリュー・ウォーカー)と豪華なペントハウスで暮らしている。大みそか、買い物から戻ったサラは床に広がる大量の血で転倒。そこにはライアンの死体が横たわっていた。ライアンが横取りした金とダイヤを探すチャド(バリー・スローン)は、サラに隠し場所を問い詰め……。

<感想>21世紀版の「暗くなるまで待って」を素材にした、盲目の女が主人公のサスペンス・スリラー。元戦場カメラマンという設定にも説得力があり、冒頭の戦場でのいかつい迷彩服&ヘルメット姿に違和感ゼロの肢体が頼もしい。
だから、押し入った強盗にガムテープ拘束され、水責め拷問されるシーンは、これがヘップバーン的な華奢な女優さんだと痛々しくて正視できない。主人公のミシェル・モナハンだからこそ打ち勝つ姿にガテンがいくのだ。
物語は、シンプルで力強い直球の内容で、低予算なりの高層アパートセットを最大に活用している。目が見えない状態のアイデアの練り込みが足りないのか?・・・せっかくの企画がもったいないと思う満載の作品。

まぁ、それでも小品ながら上手くまとまっている。特に気張らずに、すんなりとまとめ上げているのは、ジョセフ・ルーベン監督の職人技的手腕と褒めていいでしょう。アパートの管理人も悪党に殺され、警察に連絡するすべがないのだ。だからなのか、盲目のサラが一人で悪党2人相手に闘うのが見どころ。

悪のボスとなったのは、マイケル・キートンだが、すっかり頭もハゲて中年のオッサンになっていたのに驚いた。この俳優さんが作品を支えているのに、盗んだお金とかダイヤとかを盲目のサラを拷問して、在り処を吐かせるのだが、主人公のヒロインが盲目であることと、アフガン帰りの元戦場カメラマンであることも、あまり上手く活かせてない気がする。
それに、サラの恋人のライアンが出会う前に強盗だったことも描かれていないのが残念。盗んだ金とダイヤを独り占めして、豪華なペントハウスで暮らしとは、そのことをサラは妖しいと思わなかったのか。現金は、サラがアフガンで撮った写真の裏に隠してあった。

サラが部屋中の電球を壊して、カメラのシャッターを自動にして、目をくらませる筋書も、ダイヤの在り処をベランダの鉢植えの中と嘘を言って時間稼ぎをするも、もう一人の若い相棒がすでに冷凍庫の中の製氷皿に入っているダイヤを見つけてしまっているのだ。
拳銃で相棒を撃ち殺し、持っているダイヤを独り占めしようとするも、そのダイヤをサラに取り上げられ、ベランダでのモナハンとキートンの攻防戦は呆気ない終わり方。
これで、悪人どもの異常さが、もっと抜きんでいれば、さらに凄い犯罪映画になったはず。惜しいですね。

その一方で、臨月の妹やその夫が刑事でマンションへやって来るも、サラが応対して「今、彼と喧嘩しているから」と言って追い返す下りや、飼い猫の使い方も悪党のキートンが、「俺は猫が好きだ」と言いながらベランダから猫を放り投げる残虐な行為。
しかし、最後でサラにベランダから落とされたキートンの死体の傍にやってくる飼い猫の使い方(あんなに高い所からでも、猫は着地するんだ)と、大晦日の夜という設定(花火が上がる)の活かし方は中々いいアイデアだと感じました。
2014年劇場鑑賞作品・・・11    映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

ジャッジ! ★★★★

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世界的にも有数の広告祭に参加することになった新人広告マンが、自社CMのグランプリ獲得を目指して奔走するさまを描くコメディー。名字の読みが同じことからニセ夫婦として広告祭に参加する会社の同僚を、妻夫木聡と北川景子が演じる。ソフトバンクモバイルの「ホワイト家族」シリーズなど数々のヒットCMに携わってきた澤本嘉光が脚本を手掛け、監督はCMディレクター出身の永井聡が担当。広告業界の裏側を知り尽くした二人が描くストーリーに引き込まれる。

<感想>一見華やかに見える国際広告祭の裏側と、そこに乗り込んだ三流広告マンの奮闘を、妻夫木聡主演でつづる内幕劇。監督、脚本を共に広告業界のトップランナーが務めており、とにかく笑った、笑った、ダメダメ広告マンに扮した妻夫木君がこんなに面白く演技をするとは思わなかった。
主人公の太田喜一郎の妻夫木聡。広告愛だけは人一倍だが、何をやってもうまくいかない若手広告マンの喜一郎。英語もできないのに国際広告祭の審査員に選ばれてしまった上、自社が出品した「ちくわ堂」のダメCMをグランプリにしないと会社をクビという絶体絶命の状況に。しかも、自分がピンチなのに他人を心配する超お人よし人間。果たして喜一郎のお人よしは国際広告祭を乗り切れるのか……。
だが、その前に、エースコックの“きつねうどん“のCMを着ぐるみで撮らされ、腰ふりダンスでキツネなのにニャーニャー鳴くとは、テロップにはネコの文字が。実は、エースコックの社長がネコ好きで、コンコンと鳴くのは止めてニャーニャーと言ってくれという無茶ぶりなのだ。ですが、このCMは、実際のTVCMを劇中に使っており、事実と創作が絶妙にブレンドされている最高の出来栄えです。
それが現地の広告マンたちに“美味しい”ということを「ニャーニャー」と言うんだよと嘘を付くのだ。それが何故か受けてサンタモニカ会場周辺のウドン屋さんでは、外人さんがニャーニャー言いながらうどんを食べているのだ。信じられない。彼のCMは入賞できなかったけれど、この“きつねうどん”が海外でも大売れで、クビを免れるのだ。

ヒロインの大田ひかりに北川景子さんが、ギャンブル好きでツンデレ女子を熱演?・・・喜一郎の同僚ひかりは、大のギャンブル好き。開催地がギャンブルの本場ラスベガスに近いと知り、喜一郎の“偽の奥さん”として広告祭へ。最初は喜一郎のダメっぷりに愛想を尽かしていたが、広告祭の受賞レースを目前にするとギャンブラー魂に火が。勝負師としての血が騒ぎ出し、大活躍!? そして、太田とひかりの関係は…?

リリー・フランキーの鏡さん、窓際社員で英語の教師とは、謎の人物。なぜかサンタモニカ国際広告祭を知り尽くす窓際社員、鏡さん。しかし喜一郎に教えることは、少しの英語のフレーズとレストランでの英会話集の暗記。さらにペン回し、「カマキリ」のポーズと要領を得ないことばかり。揚げ句の果てに大量のアニメグッズの中から「ラムちゃん」のTシャツを取り出し、「オタクになれ」と迷アドバイス!しかし、これが大うけで日本のアニメはバカに出来ないよ。

鈴木京香の木沢はるかさん、まさかのちくわストローに京香さんが挑戦するなんて。国際広告祭は「賞をとらせる戦争!」と言い切り、票集めに奔走するライバル会社白風堂のやり手CMプランナー。自作の「トヨタ」のCMをエントリーしているのだが、それは本当にユニークなCMでした。このCMも実際にTVで使われています。だから優勝しないのが不思議ですから。
しかし、度重なる審査委員長たちの妨害についにブチギレ! バーで津軽弁をまき散らし、ちくわをまさかのストロー代わりに! 必見です!?

豊川悦司の大滝一郎さん、無茶ぶりだらけの身勝手クリエイター。「部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下のもの」をまんま実践! 大滝は、自分の功績第一のCMクリエイター。キツネをネコに1日で直せ! とか、箸にも棒にも掛からないダメCMを受賞させる役目を喜一郎に無理やり押し付けるなどムチャぶりの嵐! こんな上司がいたら、転職したくなるかもね?
物語の脇を固める個性あふれる実力派俳優の、思いも寄らぬまさかのチョイ出演の実力キャストたち。荒川良々のブラジル人審査員カルロス。現通社員で太田の上司の加瀬亮さんが、仕事の出来ない太田へ激を飛ばす叱りっぷりは、マジ怖いですから。そして、現通社長に風間杜夫があまり貫録なし、ちくわ堂の社長にでんでんと、居酒屋のおっちゃんに竹中直人に現通の女子社員で松本伊代も出演。それに、外国人の審査員の人たちにも拍手です。

しかし、国際広告祭の裏側の実態は、実に審査員の手の中で踊らされているような。だから、他の国の審査員たちは皆、互いに相談して自分のCMに票を入れるように裏工作するわけ。こんなのがまかり通のなら、せっかくの最高のCMも入賞するわけない。
年配の審査員たち、昔は太田と同じCM愛がいっぱいだったのに、入賞して有名になり金持ちになり、広告というものの本来のあるべき姿を忘れて、傲慢で怠惰な姿になっていく。そんな彼らを、太田がつたない英語で「大事な話があるんだ」と彼らを痛烈に指摘しつつ、ジョークで笑い飛ばす妻夫木君の演技に感動です。
2014年劇場鑑賞作品・・・12  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


トリック劇場版 ラストステージ ★★★★

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自称天才美人マジシャンと天才物理学者のコンビを仲間由紀恵と阿部寛が演じ、高視聴率を記録したテレビドラマシリーズのラストを飾る劇場版。レアアース採掘の障壁となる魔術師のトリックを解くべく、秘境を舞台に登場人物が活躍を繰り広げる。主演の二人に生瀬勝久らレギュラー陣のほか、東山紀之、北村一輝、水原希子ら豪華キャストが共演。監督は、『TRICK』シリーズに携わってきた堤幸彦。マレーシアでの初の海外ロケや奈緒子の出生の秘密など、シリーズのファンには見逃せない内容が満載となっている。
あらすじ:海外の秘境でレアアースを採掘するため、協力を依頼された天才物理学者・上田次郎(阿部寛)。しかし、採掘権は獲得してあるものの、そこに住む部族が立ち退きを拒否。上田は自称天才マジシャン・山田奈緒子(仲間由紀恵)の力を借り、部族が信奉する呪術師(水原希子)のトリックを見破ろうとするが……。

<感想>凄いですよね、2000年にテレビ朝日系で放送が始まった「トリック」シリーズが、「トリック劇場版ラストステージ」で、14年の歴史にピリオドを打つという。ここまで続いたら奇跡といってよいのか、ファンもいるわけで、これで終わりというのが寂しい気もする。
この世に霊能力はないと、信念を持つ自称売れっ子天才美人マジシャンの山田奈緒子と、山田と共にニセ超能力者を暴いてきた天才物理学者の、上田次郎の凸凹コンビが、超常現象が絡む怪事件のトリックを暴いていく展開と、ゆる〜いギャグは変わらないが、今回は初の海外ロケを敢行した。

舞台となるのは今回も村だが、日本ではなく海外の秘境ムッシュム・ラー村。現地のレアアースを採掘しようと日本の企業、村上商事の依頼で、人の生死を操る秘境の呪術師と対決することになった山田&上田コンビが、世界滅亡の危機に直面する。果たして2人は世界を救えるのか?・・・。

山田の出生の秘密がまたも事件に深く関わってくる。そもそも山田の母親、里見は黒門島という島の霊媒師の家系の出。霊媒師としての血を断とうとして、山田の父親マジシャンだった剛三と結婚したわけ。今回は、その山田の秘められた霊媒師としての能力を、村の呪術師が見抜いたことで、事態はよりややこしくなっていく。
そして、秘境に入っていく際に、背中のかゆみを感じ始めた上田。最初は虫にでも刺されて腫れたのだとタカをくくっていたら、意識不明の重体になる。これも呪術師の呪いなのか?・・・。現地の男は「彼を救えるのは呪術師だけ」といい、山田は上田を救うために呪術師と直接会うことに。
そして、山田らが事件に遭遇すると何故か現れる警視庁公安部のへっぽこ警部補の矢部。ハゲやズラに異常に反応する。それに、矢部の3人目の部下の秋葉。パソコンなど電子機器を使ったハイテク捜査で矢部をサポートする。

上田に呪術師のトリックを暴いて欲しいと依頼してきた村上商事の社員、加賀美に東山紀之が扮して、彼には重い病に冒された娘がいる。それにしても、東山さんが出ていたのに、あまり存在感がないように思われ、それに、スターとしてのオーロラも無いように感じました。山田が呪術師からもらった赤い袋の中に、娘さんの病気を治す薬草が入っているのを東山に上げる。これで不治の病の娘が完治するというわけ。
もう一人、加賀美に同行する医師の谷岡、こう見えてもお姉キャラの北村一輝。かつては大学の病院で伝染病の研究をしていた。この俳優さん、本当にいい味出してました。死なせるには惜しい気がします。

ロケ地となったマレーシア、ジャングルの洞窟にはコウモリが棲んでおり、ガッツ石松の顔しているし、村人たちは口を揃えて山田のことを「貧乳」と笑っているような。この「貧乳」は、前回のシーンで上田が合言葉として使ったのが「貧乳」だった。それにしても、どうせ海外ロケするなら、世界遺産とかの有名な場所で撮ればよかったのに。予算がないのか?

今回では、上田はいつも山田に対して上から目線だし、山田は絶対に負けまいと張り切ってるし、だから山田の後ろに隠れたりして頼っているふうでした。
まさか、火炎性のガスが吹きだし、それに火を点ける山田の勇気には感心しました。洞窟の壁絵にも描かれているので、やっぱり最後には爆発するわけで、それを洞窟内で治めるためには、誰かが犠牲にならなければならないと。そのことを、女呪術師が山田に頼むことは、山田が霊媒師の子孫だと言うことを見抜いたから。
いつもの阿部ちゃんと仲間さんのコメディ・コンビ、台詞回しのボケとツッコミが微妙に可笑しくて、強がり言ってた上田も山田の最後の仕事に、一緒に行動しないなんて、と思っていたら、この2人、結局は一緒にならなかったわけで、最後で上田が告白するのかと思っていたのに。
しかしですよ、記憶喪失の日本人女性がマレーシアで発見なんて、オチでありましたね。やっぱり、監督心得ている。続編あるかもですよね。
中でも一番面白かったのが、劇場版TRICK「霊能力者バトルロイヤル」
それと、2014年1月にTV放映された「トリック新作スペシャル3」ダジャレ、ギャグネタ満載で面白かった。
2014年劇場鑑賞作品・・・13  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

セイフ ヘイヴン ★★★

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『きみに読む物語』などのニコラス・スパークスの小説を、『サイダーハウス・ルール』などのラッセ・ハルストレム監督が映画化した恋愛ドラマ。小さな港町にやって来た女性が最愛の妻を亡くした男と恋に落ちるも、逃亡中の身であるヒロインの真実が次第に明かされていく。ヒロインとの出会いで悲しみから癒やされていく男を『トランスフォーマー』シリーズのジョシュ・デュアメルが、暗い過去を抱えるヒロインを『ロック・オブ・エイジズ』のジュリアン・ハフが演じる。ミステリアスでロマンチックな物語と、温かく驚きに満ちたラストに胸を揺さぶられる。
あらすじ:小さな港町。長距離バスに乗り、逃げるようにやって来たケイティ(ジュリアン・ハフ)は、そこで新しい生活をスタートさせる。ケイティは男手ひとつで2人の子どもを養っているアレックス(ジョシュ・デュアメル)と出会い、近所に住むジョー(コビー・スマルダーズ)のアドバイスもあって親しくなっていく。そんなある日、アレックスは警察署でケイティの指名手配書を目にする。

<感想>「泣ける恋愛小説の名手」によると原作をもとに、脚本もいやらしいほど観客心理のツボを押さえているようだ。心温まる犯罪ドラマという合わせ技をもったサスペンス、ラブロマンスになっている。
冒頭で緊迫感あふれる逃亡シーンを披露する一方で、ケイティが争って人を刺したような、妙に気をもたせる手口。そして、そのまま長距離バスに飛び乗り、落ち着いたところがサウスポートの港町。食堂で働き口が見つかり、小さな住む家も見つかった。中盤では、車の後部座席でぶつかる二つのペンキ缶で、男女の距離感をほのめかす可愛らしいカットもさらりと入れて、程の良い男女関係の進め方、そして終盤の泣かせの仕掛けなど。

ラッセ・ハルストレム監督だから、語り口は手堅いし、絵になるロケ地を選んでいるし、若い俳優たちも上手く使っているしで、ただし、ツボにハマっているのはいいとして、観客に思わせる感があるのと、泣かせに新鮮味がないのが惜しまれます。
一番いいのは、サウスポートの街の描写につきますね。逃げ出して、人目につかぬように隠れ住むヒロインの舞台としては、実に理想的な場所である。
彼女を執拗に追い掛ける執念深い刑事の正体が明かされるところで、収めとけばよかったのに。原作は読んでませんが、原作に沿ってそのまま引きずられて、苦手な分野まで手を広げ過ぎたきらいがある。

ヒロインのジュリアン・ハフ、ジェニファー・アニストンにちょっと似ている美人さん。DV夫から逃げてきて、妻を癌で亡くして子供を二人育てている男との出会い。彼の娘が彼女に懐いて傍を離れない。でも、息子の方は未だに母親を忘れられないでいる。そして、お隣さんという謎の女性が現れてケイティを勇気ずける。一緒に海へ泳ぎに行くと、何やら家族になった気分になる。いや、そう見えるのだ。

そして、カーニバルの喧騒と差し迫る恐怖。ケイティの夫が執拗に見つけて、彼女に襲い掛かる。そこには、彼の娘も一緒にいて、ケイティを焼き払おうと油をまいたところに花火の火の粉がつき、家が火事になってしまう。
その火事に気が付いたアレックスは、急いで駆け付ける。2階にいる娘を助け、下を見ると、彼女が夫に殴られている。

あのお隣さんという女性は、実は亡くなった奥さんだったのですね。残した家族のことが心配で、あの世に旅たてないで浮遊していたようですね。でも、自分の代わりにママになる人を娘に託して、手紙まで書いていたなんて。
最後の幼い娘を巻き込んだ火事の場面は、ふたつの事件が並行して起きて、どちらを助けるかを迫られるサスペンスになるはずが、全然そうならないのが不満。でも、やっぱり最後は、ハッピーエンドになって欲しいから、これで良かったのですね。
2014年劇場鑑賞作品・・・14 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

エンダーのゲーム ★★★

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1985年に出版された、オースン・スコット・カードによるSF小説の名作を実写化。昆虫型生命体と人類の戦争を終息させる能力と宿命を背負った少年の成長と苦悩が描かれる。監督は、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』などのギャヴィン・フッド。『ヒューゴの不思議な発明』で注目を浴びたエイサ・バターフィールドが主人公のエンダーを好演、名優ハリソン・フォードやベン・キングズレーなどの実力派が脇を固める。宇宙船の艦隊が銀河を行く戦闘シーンなどのVFXビジュアルも必見。
あらすじ:強大な軍事力を持つ昆虫型生命体、フォーミックとの宇宙戦争を続けている人類。その第2次侵攻に備えるべく、世界中から優れた少年兵士たちが防衛軍ベースキャンプのバトルスクールへと集められ、宇宙で戦う技術と知識をたたき込まれていた。そんな中、戦いを終わらせる特殊な能力を秘めているとして少年エンダー(エイサ・バターフィールド)もベースキャンプに送られる。生命を持つ者同士が戦争で殺し合うことに強い疑問を抱きながらも戦士の才覚を発揮し、少年戦士の指揮官となるエンダーだった。

<感想>2070年を舞台に、宇宙空間での戦いに備え、少年少女たちが訓練を受ける物語なのだが、強さともろさ、攻撃力と冷静さを備えた少年エンダーが、リーダーとして成長していき、過酷な運命に立ち向かう少年のヒューマンドラマになっている。
一見ピュアな少年のようで、実は内面に凶暴性やカリスマ性も秘められている。そんなエンダーが、自分自身とも葛藤しながら、想像を絶する困難に打ち克っていく姿は、最近のアニメの主人公とシンクロしている。

戦いに駆り出される少年少女たち。傷つきやすい主人公の性格、まだ幼い彼が抱えるにはあまりにも大きな宿命など、「機動戦士ガンダム」や「新世紀エヴァンゲリオン」とリンクする点が多いと思います。
オースン・スコット・カードによるSF小説の名作を実写化。そう言われれば共通する部分は多いと思うが、そのあたりを強く意識することなく、重く苦いムードが全体に蔓延する本作では、同じディズニーの「スターシップ・トゥルーパーズ」(97)と比べものにならないほどの宇宙戦争ものである。
異性生命体とのバトルはよくあるパターンだが、本作では少年少女の戦闘員を育成するシステムや、彼らがゲームのように戦闘訓練を行う設定がユニーク。特殊なキーワードも独自の世界観を広げていく。

徹底した少子化政策によって第2子までしか出産を許されないなかで、第3子として生まれてきたエンダー。その出自からしてドロップアウトしている彼が、エリートたちにつまはじきされ虐められながらも、彼らには思いもつかない言動を繰り返すことで、頭角を現していく痛快な姿に「新世紀エヴァ〜」の主人公碇シンジを思い浮かべてしまった。
そして、彼と出会ったのを機に、排泄的で優生主義的な考えを改め、友情や絆といったものを学んでいくエリートたち。上官のハリソン・フォード、にベン・キングズレーのベテラン俳優陣に囲まれて、秘めた天才児エンダーの華麗なるステップアップを、嫌味なく受け入れることができた。

また、最大なる見せ場といっていいのが、広大な無重力訓練エリア「バトル・ルーム」で繰り広げられるゲームである。それは、総ガラス張りで、地球を望み、青白い光を鈍く発する星“スター”と呼ばれる障害物があちこちに浮遊するエリアの、幻想的な造形。
そこで様々な陣型を組みながらレーザーガンを撃ちまくっては、他の訓練生チームを倒していく。だが、このシーンは「ゼロ・グラビティ」での、無重力の宇宙空間を遊泳する映像を見た後では物足りなかった。
エンダーをリーダーとした“ドラゴンチーム”の激しくも流麗な戦いぶりに息を飲んでしまうほど。それがシミュレーション・バトルであって、ゲームが好きな人なら尚のこと、きっと夢中になるでしょう。だが、それが訓練のシミュレーションバトルではなく、本当の戦争になるとは考えてもいなかったことで、少年の心は悩み苦しむことに。

主人公のエンダーには、「ヒューゴの不思議な発明」のエイサ・バターフィールドが演じて、ちっとも背が伸びないんだね。でも体が締まって大人びたような、演技もしっかりしてましたね。
エンダーの姉ヴァレンタインの、アビゲイル・ブレスリンちゃん。ぽっちゃり目だが、少し大人になって美人になっていた。「ザ・コール 緊急通報指令室」では、車のトランクに監禁された役を懸命に演じてました。
それに、高いところから見ている年寄の上官たち。頭脳戦となると、少年少女たちの若い知能にはかなわない。だが、エンダーはいつも夢に出て来るフォーミックの女王に、自分の家族を思い浮かべて、自分が彼らの棲みかを攻略してしまったことに悔い、悲しみを浮かべ、彼らの新しい棲みかとなる星を探しに出かけるとは。
驚異のビジュアルと深い人間ドラマが合体した物語。地球の未来での人間の戦争も、子供たちが皆このような考え方があれば、地球での内戦がなくなるのではと、感慨深く思いました。
2014年劇場鑑賞作品・・・15  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

黒執事 ★★.5

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漫画、アニメなどで絶大な人気を誇る枢やな原作のコミックを、水嶋ヒロ主演で実写映画化。貴族の執事セバスチャンと女性であることを隠している幻蜂清玄を中心に、映画版オリジナルのストーリーが展開していく。幻蜂を剛力彩芽が演じ、そのほか優香、山本美月、栗原類、城田優らが共演。『NANA』『ランウェイ☆ビート』などの大谷健太郎がメガホンを取る。時代や設定などを変更し繰り広げられる独自の世界観に期待が高まる。
あらすじ:女性だということを秘密にしている幻蜂家当主の幻蜂清玄伯爵(剛力彩芽)と執事のセバスチャン(水嶋ヒロ)は、絶対的な主従関係にあった。一方、二人は世界統一を目標にする女王の諜報(ちょうほう)員「女王の番犬」という役割も担っていた。ある日、女王から連続殺人事件を解決せよという命が下る。また、並行して少女たちが街から消えるという出来事も起こる。セバスチャンは、二つの事件に結び付く手掛かりを発見するが……。

<感想>大富豪と全能の執事が追う連続ミイラ化事件。世界各国で翻訳もされている人気コミックを3年ぶりの復帰作となる水嶋ヒロが主演。悪魔の執事が使える伯爵家の総師が、剛力彩芽演じる男装の令嬢であることなど、原作とは設定を変えたオリジナル・ストーリーが展開する。
原作コミックについては何もしらないので、無国籍ふうな設定とバタ臭いキャラから、どんな話が繰り出されるのか、それなりに期待してしまった。が、キャラばかりが先行し、ミステリはおざなりな感じ。というか、設定や背景情報の仰々しさが、事件や謎までとって付けた感じにしてしまい、けったいな見世物でも観ている気分がした。
だから、全部スクリーンの中だけで進行して、何一つ感情の共有ができないのだ。だから、究極の“ドラッグ”うんぬんのネタも古臭く思った。

とにかく水嶋ヒロが、原作のイメージに近づけるため、体重を50キロ台にまで落としたそうで、確かにか細い感じだが悪魔なのでぴったりではと。それに、アクションはもちろん完璧なまでの執事の所作も習得し、悪魔で執事というキャラを実際に表している。でも、剛力彩芽の方は、コスプレ人形並みの演技で、「清須会議」でもそう感じたが、良い役なのに台詞を口にしているだけなのが、何とも辛い。

共同監督名義になってはいるが、実質的な現場監督は大谷健太郎のようなので、企画から参加していたという水嶋ヒロの思いが熱すぎて、からまわりしかねない勢いの演技に、アクションも過不足なく見せている点は安心して観れた。
ただし、原作から変更された近未来の世界観が中途半端で、この世界の奥行を感じさせるような設定と情景が欲しいと思った。

その他の俳優陣では、屋敷に昔から仕えている執事長の田中に志垣太郎、薬品会社の社長の九条に伊武雅刀、公安課の猫磨実篤には岸谷五郎、幻蜂家の当主の幻蜂清玄伯爵の叔母さんに優香、葬儀屋に栗原類など、豪華メンバーが脇を固めているが、今回で叔母さん役の優香がコントめいた芝居で死んでしまうとは。

それに、悪党の薬品会社の伊武雅刀も死んでしまうし、続編では公安課の猫磨実篤の岸谷五郎が、活躍の場を見せないとつまらないことになってしまう。
設定は冒頭で明らかにしているので、魂をもらう契約を済ませた主人のために、悪魔が執事として仕える。だから弱点だらけの人間と、不死身の存在によるこの主従コンビが最高なんだが、惜しいのはその良さが活かしていない点である。

国家間の情報戦と一族の確執の二本柱。そのどちらも中途半端な印象になったようだ。
つまり前者は設定とあまり関係ないのだ。終わり方からすると、続編があるようなので、スパイ戦略の件はそっちで本格的に描かれるようだから、それでも水嶋ヒロと剛力彩芽の魅力は、これでも十分に出ているので良しとしましょう。
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エスケイプ ★★

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エイドリアン・ブロディが製作総指揮・主演をつとめたソリッド・シチュエーション・スリラーの傑作!
あらすじ:目覚めると、大破した車の中。脚を挟まれて、身動きが取れない。強く頭を打ったのだろうか、記憶は全くない。ふと目をやると、助手席には拳銃。後部座席を振り返ると、見知らぬ男の死体。車のラジオからは、衝撃的な事件のニュースが流れてくる。自分はいったい何者で、いったい何をしたのか。真実と嘘、現実と虚構、罪と罠。なぜここに?何を信じればいい?極限状態の中、生き残るためには、すべての謎を解き明かさなければならないのだった...。
英題:WRECKED 製作年: 2010年 製作国: アメリカ  監督:カイル・マン
出演:エイドリアン・ブロディ カロリン・ダヴァーナス エイドリアン・ホルムス
<感想>劇場未公開作品。邦題のタイトルは「エイドリアン・ブロディ エスケイプ」となってました。本人が制作・総指揮を兼任しているので、かなり強気のオレ様映画です。彼は、2002年に「戦場のピアニスト」でアカデミー賞主演男優賞を受賞しております。

最近見たエイドリアンの映画では、ウディ・アレン監督の「ミッドナイト・イン・パリ」(12)で、サルバドール・ダリの役を演じてました。
さて本作品では、冒頭から全般に渡り、殆ど一人で出演しているので、見せ場というかクライマックスはどこなのか、最後がどんでん返しなのか、なんてこと考えながら見ていました。
事故った車の中で目覚めた男がエイドリアン。挟まった左足を折っているらしく、車から出るのに1日以上かかります。だから夜になって獣(トラ?)が出てきて後部座席の死人を銜えて行きます。自分も襲われるかと気が気ではありません。それに喰いもんと水ですよね。夜になって雨が降って来たので、車の壊れた部品で雨を受けて飲みます。余分に溜めて置くといったことはしません。
夢の中に女がチラチラと出てくるのですが、なにしろ記憶を失くしているので誰かわかりません。それがカーラジオで銀行強盗のニュースが流れてきて、後部座席で死んでいる男の免許証や、カードで強盗の一味の名前を知ることとなります。
次の日、やっと足を車の外へ出すことに成功するのですが、折れているので添え木をして、そこへワンコが来て誰かに飼われていたのか親しげにすり寄って来ます。
そこからが過酷なんですよ。夢か幻覚なのか、銀行強盗の夢を何度も見ます。車のトランクを開けるとカバンに大金が詰め込まれていて、やはり銀行強盗をしたことが分かります。もう自分がその仲間だと思い込み、ここから逃げなくてはと痛い足を引きずりながら川に来て渡ろうとするも、流れが速くて川の中へと流されて行き、やっと助かって辿り着いたところが、またあの車の場所とは。これは笑った(苦笑)
彼は上を見てたのに、何故上へと登っていかなかったのだろう。やはり頭が混乱して現金を見てしまい、自分も銀行強盗の仲間だと思い込んでしまったのでしょう。それから、いくらか記憶が戻ってきたのか、上へと登り始めるのですが、なにしろ片足を引きずっての急斜面の坂を登るのですから容易ではありません。
やっとこさ道路に出たのはいいが、人っこ一人通るわけじゃなく、そこに運転していたと思われる銀行強盗の死骸が転がっているわけですから。でも、そこへあの猛獣がまた襲ってきて、運よくその死骸を転がしてやり自分の身代りにしたわけです。そのころには、自分の記憶も戻り、たまたま通りがかったのが自分で、人質として強盗の車に乗せられ、山道の途中で自分がハンドルを回して転げ落ちたことを思い出します。ケータイも通じるようで、ラストは救助の車がやってきて助かりました。
こういう作品には最高のキャスティングのエイドリアン。虚ろな目で大怪我しているのに、孤独と絶望にひたすら耐える。それでも生き延びる主人公って設定がお似合いですよね。
どうってことない、淡々とした一人芝居でスリルとサスペンスで恐怖を煽り、安上がりな作品となっています。
2014年DVD鑑賞作品・・・3  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

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