歌の才能を認められパリの音楽学校のオーディションを勧められた少女と、聴覚障害のある家族との絆を描いた感動作。最愛の家族を支える役目と自らの夢の間で揺れ動くヒロインを、新人ルアンヌ・エメラが好演し、セザール賞最優秀新人女優賞に輝いた。『プレイヤー』などのエリック・ラルティゴ監督がメガホンを取り、『しあわせの雨傘』などのカリン・ヴィアール、『タンゴ・リブレ 君を想う』などのフランソワ・ダミアンらが共演。
あらすじ:フランスの片田舎の農家であるベリエ家は、高校生の長女ポーラ(ルアンヌ・エメラ)以外、全員が聴覚障害者。ある日音楽教師トマソン(エリック・エルモスニーノ)に歌の才能を認められ、パリの音楽学校で行われるオーディションを勧められたポーラは喜ぶものの、歌声を聴けない家族から反対される。家族のコミュニケーションに欠かせないポーラは、考えた揚げ句……。
<感想>冒頭のベリエ家の朝食のシーンでは、両親たちが耳が聞こえないこともあり、フライパンでスクランブルエッグを料理している母親が、けたたましい音を響かせているし、食器を置くにもテーブルに音を立てて置く。それに、誰か家に来たことを知らせるための、母親の床を足踏みする音とか、それはいつものことで、耳慣れている娘のポーラは文句を言わないのが偉い。健常者には、かなりの騒音であり、怒り狂っているような態度に見受けられるからだ。
酪農家だから、子牛の出産場面とか、搾乳にチーズ作りなど、それに、チーズの販売と金銭の電話や販売での売り子としての重要さといった、彼女無しではこのベリエ一家は成り立たないのだ。それだけに、たった一人だけの健常者である娘の負担が大きいことが分かる。
ですが、彼女が学校で、憧れの男子生徒ガブリエルがコーラスのクラスを受けると知り、自分も歌が大好きなので一緒に受けてしまう。人前で歌うのは初めてだったポーラだが、始めは、オドオドとして声も低く出すので、アルトを歌うように言われるも、トマソン先生に言われた通りの腹式呼吸法で発声すると、自分でも驚くほどの高音が出る。
先生に国営ラジオのマスタークラスの試験を受けるように進められる。合格すればパリの学校で名教師の指導が受けられるのだ。ポーラと憧れの彼とのデュエットを練習するために、自分の家で二人で歌の練習をする。
先生が言うには、愛の歌なので二人でダンスを踊りながら歌うようにと指示されて、ハニカミながらも抱き合って歌う二人。だが、ガブリエルは変声期の声変わりで高音が出ないようになる。だから、一緒に国営ラジオのマスタークラスの試験を受けるはずだったのだが、ポーラだけ受けることになる。
しかし、ポーラの家族は、彼女のそんな勝手な行動を許すはずもなく、彼女に一家の経済がかかっており、歌のレッスンのために家の手伝いをおろそかにする彼女を非難する。
それに、国営ラジオのマスタークラスの試験を受けて、パリの音楽学校へ行くことも絶対にダメだと反対されてしまう。娘の未来の幸せを諦めさせて、この家族は、全部家のことを彼女に背負わせており、観ていて耳の聞こえない聾唖者でも、筆談で相手に伝わるのにそれをしないで、すべて彼女におんぶしているのだ。
落ち込んでしまう娘のポーラを見て、母親は自分たちの犠牲になってこの家に閉じ込めておくのはしのびないと、夫と話し合って娘に試験を受けさせて、パリの音楽学校へ行かせることに賛成する。
そのマスタークラスの試験会場へ、父親のボロ車で早朝から家族揃って出発するのに、さすがに物分りが早いと感心。それに、会場での試験で歌う「青春の翼」を、身振り手振りの手話で「逃げるのではなく、飛び立つのだ」と、歌うポーラの歌声が会場に響き、後部座席にいる両親にもその歌の歌詞が伝わっていて、とても素晴らしかった。
主人公のポーラには、本作が映画デビューながらセザール賞とリュミエール賞をW受賞した新星ルアンヌ・エメラ他、母親にカリン・ヴィアールが、音楽教師にエリック・エルモスニーノが。
父親には、「タンゴ・リブレ 君を想う」のフランソワ・ダミアンが、村長選挙に立候補するといい、村の中にも障害者がたくさんいるようで、森に工場を建てようとする現村長と対抗しての、自然を守ろうとする父親の主張が優先されて次期村長に当選するとはね。
ラストのパリの学校へ行く娘を見送る両親と弟が、寂しそうに手を振るのだが、戻って来て両親に「ありがとう」のハグをするシーンに胸が熱くなりました。
2015年劇場鑑賞作品・・・228映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:フランスの片田舎の農家であるベリエ家は、高校生の長女ポーラ(ルアンヌ・エメラ)以外、全員が聴覚障害者。ある日音楽教師トマソン(エリック・エルモスニーノ)に歌の才能を認められ、パリの音楽学校で行われるオーディションを勧められたポーラは喜ぶものの、歌声を聴けない家族から反対される。家族のコミュニケーションに欠かせないポーラは、考えた揚げ句……。
<感想>冒頭のベリエ家の朝食のシーンでは、両親たちが耳が聞こえないこともあり、フライパンでスクランブルエッグを料理している母親が、けたたましい音を響かせているし、食器を置くにもテーブルに音を立てて置く。それに、誰か家に来たことを知らせるための、母親の床を足踏みする音とか、それはいつものことで、耳慣れている娘のポーラは文句を言わないのが偉い。健常者には、かなりの騒音であり、怒り狂っているような態度に見受けられるからだ。
酪農家だから、子牛の出産場面とか、搾乳にチーズ作りなど、それに、チーズの販売と金銭の電話や販売での売り子としての重要さといった、彼女無しではこのベリエ一家は成り立たないのだ。それだけに、たった一人だけの健常者である娘の負担が大きいことが分かる。
ですが、彼女が学校で、憧れの男子生徒ガブリエルがコーラスのクラスを受けると知り、自分も歌が大好きなので一緒に受けてしまう。人前で歌うのは初めてだったポーラだが、始めは、オドオドとして声も低く出すので、アルトを歌うように言われるも、トマソン先生に言われた通りの腹式呼吸法で発声すると、自分でも驚くほどの高音が出る。
先生に国営ラジオのマスタークラスの試験を受けるように進められる。合格すればパリの学校で名教師の指導が受けられるのだ。ポーラと憧れの彼とのデュエットを練習するために、自分の家で二人で歌の練習をする。
先生が言うには、愛の歌なので二人でダンスを踊りながら歌うようにと指示されて、ハニカミながらも抱き合って歌う二人。だが、ガブリエルは変声期の声変わりで高音が出ないようになる。だから、一緒に国営ラジオのマスタークラスの試験を受けるはずだったのだが、ポーラだけ受けることになる。
しかし、ポーラの家族は、彼女のそんな勝手な行動を許すはずもなく、彼女に一家の経済がかかっており、歌のレッスンのために家の手伝いをおろそかにする彼女を非難する。
それに、国営ラジオのマスタークラスの試験を受けて、パリの音楽学校へ行くことも絶対にダメだと反対されてしまう。娘の未来の幸せを諦めさせて、この家族は、全部家のことを彼女に背負わせており、観ていて耳の聞こえない聾唖者でも、筆談で相手に伝わるのにそれをしないで、すべて彼女におんぶしているのだ。
落ち込んでしまう娘のポーラを見て、母親は自分たちの犠牲になってこの家に閉じ込めておくのはしのびないと、夫と話し合って娘に試験を受けさせて、パリの音楽学校へ行かせることに賛成する。
そのマスタークラスの試験会場へ、父親のボロ車で早朝から家族揃って出発するのに、さすがに物分りが早いと感心。それに、会場での試験で歌う「青春の翼」を、身振り手振りの手話で「逃げるのではなく、飛び立つのだ」と、歌うポーラの歌声が会場に響き、後部座席にいる両親にもその歌の歌詞が伝わっていて、とても素晴らしかった。
主人公のポーラには、本作が映画デビューながらセザール賞とリュミエール賞をW受賞した新星ルアンヌ・エメラ他、母親にカリン・ヴィアールが、音楽教師にエリック・エルモスニーノが。
父親には、「タンゴ・リブレ 君を想う」のフランソワ・ダミアンが、村長選挙に立候補するといい、村の中にも障害者がたくさんいるようで、森に工場を建てようとする現村長と対抗しての、自然を守ろうとする父親の主張が優先されて次期村長に当選するとはね。
ラストのパリの学校へ行く娘を見送る両親と弟が、寂しそうに手を振るのだが、戻って来て両親に「ありがとう」のハグをするシーンに胸が熱くなりました。
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