過激なハッカー集団に加担した天才ハッカーが、いつしか危険な世界へとはまり込んでいくドイツ製サイバースリラー。全編に仕掛けられたトリックが話題を呼び、ドイツ・アカデミー賞6部門にノミネートされたほか世界各地の映画祭でも支持された。メガホンを取るのは、『23年の沈黙』などのバラン・ボー・オダー。主演は『コーヒーをめぐる冒険』などのトム・シリング、共演には『4分間のピアニスト』などのハンナー・ヘルツシュプルンクらが名を連ねる。
あらすじ:物語は、世界を驚かせた数々のハッキング事件を起こした天才ハッカー、ベンヤミンが警察へ出頭してきたところから始まる。彼は殺人事件に関与し、指名手配を受けていたが、どうもそれは濡れ衣であり、今は自分自身の命も狙われているというのだ。ベンヤミンはなぜ自分がこのような境遇に陥ったのか、虐められて冴えない毎日を送る学校での生活から自白を始めるのだが、さて、ベンヤミンの話は本当に真実なのだろうか、・・・。
ベンヤミンが語るには、片思いをしているマリのために大学に忍び込み、試験問題を盗もうとして逮捕される。罰として奉仕活動に参加させられるわけ。
参加した社会奉仕活動で出会った野心家のマックスに誘われて、彼の友人たちとともに、ハッカー集団「CLAY」を結成したというのだ。彼らは、天才的なハッキング能力を武器に、政治団体や企業、マスコミなど大胆にハッキングして世間の一部でカリスマ的人気を得る。
その目的が「注目を集めたい」ということから徐々に変わっていくことにも注目したい。ベンヤミンはCLAYが結成される前から、ネット社会で暗躍する謎のカリスマ・ハッカーの存在を知っており、ベンヤミン、「CLAY」の活動に大きくかかわりを持ってくるのだった。
ベンヤミンの自白を聞かされているのは、女性捜査官。観客は彼女と同じ立場で、「ベンヤミンの回想」という形でスクリーンに映し出される「CLAY」の活動を見守っていくことになる。だが、先にも述べたとおり、それがすべて本当のことだとは限らない。
ベンヤミンの身辺調査を始めるうちに、捜査官もまた彼の話すことの矛盾点に気が付いていくのだ。彼は一体何者であり、そして狙いは何なのか。そうした疑問を持ち始めると、これまで描かれてきたことすべてに対して疑念がわく。とにかく106分間、常に気を抜いてはならないのだ。
<感想>ドイツ本国で大ヒットを飛ばし、ハリウッドリメイクも決まったサスペンスムービー。主人公は非合法なハッカーだが、「ハッカー」という言葉からイメージしがちなPCのキーボードをひたすら叩くタイプではなく、ハッキングのためなら目標の施設への潜入や、相手を大胆にダマすことも辞さない男なので、その活動は非常にアクティブかつスリリングであります。
優秀なハッカーたちが、国際間の情報の盗み合いに活躍していると言う、世界の現実を背景としたこのドイツの映画。天才ハッカー青年が、ピエロ姿のネット犯罪集団に挑戦するという展開。自分も相手も一様に死神のように、頭巾を被っていて、まるで地下社会のユニフォームみたいである。
スーパーヒーローを気取りながら、実生活では冴えないハッカー青年と、彼を拾った若者たちが、インターネット犯罪で社会を挑発する。はみ出し者の青春群像に見える辺りは、邦画の「予告犯」を連想させる。
だが、負の世界の英雄であると誇っているしかない主人公を見て、何が面白いのかと思ってしまう。
何より、ネットのハッキングの世界を、電車のような空間デビジュアライズするというアイデアがとても新鮮です。ここまで視覚化して見せた映画はまれだと思う。覆面を被った匿名の正体不明の怪しげなハッカーたちが蠢いているという絵画にもインパクトがある。
ハッカー界の神“MRX”、主人公たちにとって当初は憧れの存在だったが、やがて衝突することになり、神のように何でもできる“MRX”を出し抜こうと画策する彼らの頭脳戦は、ドキドキハラハラで見応えがありますから。
劇中での「ハッキングは騙し」という台詞に象徴されるように、本作のハッカーたちの凄いところはコンピュータの技術というよりも、人を騙す技術にあるのだ。観客も騙されるので、どこで騙されたのか?・・・と気になるのだ。
結末もちゃんと観客を驚かせてくれる娯楽映画になっている。主人公が、ななんと、四重人格者とはこれいかに。そうは見えなかったのだが、これが本当に騙されたのだろう。ストーリーの二重三重のどんでん返しで観る者を最後まで惹きつけて離さない展開もお見事といいたい。
2015年劇場鑑賞作品・・・227映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:物語は、世界を驚かせた数々のハッキング事件を起こした天才ハッカー、ベンヤミンが警察へ出頭してきたところから始まる。彼は殺人事件に関与し、指名手配を受けていたが、どうもそれは濡れ衣であり、今は自分自身の命も狙われているというのだ。ベンヤミンはなぜ自分がこのような境遇に陥ったのか、虐められて冴えない毎日を送る学校での生活から自白を始めるのだが、さて、ベンヤミンの話は本当に真実なのだろうか、・・・。
ベンヤミンが語るには、片思いをしているマリのために大学に忍び込み、試験問題を盗もうとして逮捕される。罰として奉仕活動に参加させられるわけ。
参加した社会奉仕活動で出会った野心家のマックスに誘われて、彼の友人たちとともに、ハッカー集団「CLAY」を結成したというのだ。彼らは、天才的なハッキング能力を武器に、政治団体や企業、マスコミなど大胆にハッキングして世間の一部でカリスマ的人気を得る。
その目的が「注目を集めたい」ということから徐々に変わっていくことにも注目したい。ベンヤミンはCLAYが結成される前から、ネット社会で暗躍する謎のカリスマ・ハッカーの存在を知っており、ベンヤミン、「CLAY」の活動に大きくかかわりを持ってくるのだった。
ベンヤミンの自白を聞かされているのは、女性捜査官。観客は彼女と同じ立場で、「ベンヤミンの回想」という形でスクリーンに映し出される「CLAY」の活動を見守っていくことになる。だが、先にも述べたとおり、それがすべて本当のことだとは限らない。
ベンヤミンの身辺調査を始めるうちに、捜査官もまた彼の話すことの矛盾点に気が付いていくのだ。彼は一体何者であり、そして狙いは何なのか。そうした疑問を持ち始めると、これまで描かれてきたことすべてに対して疑念がわく。とにかく106分間、常に気を抜いてはならないのだ。
<感想>ドイツ本国で大ヒットを飛ばし、ハリウッドリメイクも決まったサスペンスムービー。主人公は非合法なハッカーだが、「ハッカー」という言葉からイメージしがちなPCのキーボードをひたすら叩くタイプではなく、ハッキングのためなら目標の施設への潜入や、相手を大胆にダマすことも辞さない男なので、その活動は非常にアクティブかつスリリングであります。
優秀なハッカーたちが、国際間の情報の盗み合いに活躍していると言う、世界の現実を背景としたこのドイツの映画。天才ハッカー青年が、ピエロ姿のネット犯罪集団に挑戦するという展開。自分も相手も一様に死神のように、頭巾を被っていて、まるで地下社会のユニフォームみたいである。
スーパーヒーローを気取りながら、実生活では冴えないハッカー青年と、彼を拾った若者たちが、インターネット犯罪で社会を挑発する。はみ出し者の青春群像に見える辺りは、邦画の「予告犯」を連想させる。
だが、負の世界の英雄であると誇っているしかない主人公を見て、何が面白いのかと思ってしまう。
何より、ネットのハッキングの世界を、電車のような空間デビジュアライズするというアイデアがとても新鮮です。ここまで視覚化して見せた映画はまれだと思う。覆面を被った匿名の正体不明の怪しげなハッカーたちが蠢いているという絵画にもインパクトがある。
ハッカー界の神“MRX”、主人公たちにとって当初は憧れの存在だったが、やがて衝突することになり、神のように何でもできる“MRX”を出し抜こうと画策する彼らの頭脳戦は、ドキドキハラハラで見応えがありますから。
劇中での「ハッキングは騙し」という台詞に象徴されるように、本作のハッカーたちの凄いところはコンピュータの技術というよりも、人を騙す技術にあるのだ。観客も騙されるので、どこで騙されたのか?・・・と気になるのだ。
結末もちゃんと観客を驚かせてくれる娯楽映画になっている。主人公が、ななんと、四重人格者とはこれいかに。そうは見えなかったのだが、これが本当に騙されたのだろう。ストーリーの二重三重のどんでん返しで観る者を最後まで惹きつけて離さない展開もお見事といいたい。
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