劇作家・脚本家として絶大な人気を誇り、次々と話題作を世に送り出してきた三谷幸喜監督による奇想天外なSFコメディー。三谷映画として初めて宇宙空間を舞台に、木星のそばに浮かぶ人工居住区「うず潮」と地球を結ぶスペース幹線道路「ギャラクシー街道」の脇に立つ、こぢんまりとした飲食店に集まる異星人たちが織り成す物語を描く。主人公の宇宙人夫妻ノアとノエを、三谷監督作『ザ・マジックアワー』にも出演した香取慎吾と綾瀬はるかが演じる。
<感想>洗練された笑いをモットーにしてきた三谷作品だが、本作はかなりぶっ飛んだ下ネタギャグが満載のSFコメディになっていた。それにしても、今までの三谷作品と言えば、豪華キャストで喜劇的で面白くて、笑いの王様のような映画ばかりだった。
だからっていうわけではないが、期待して観てしまったのがいけなかった。とても腹を抱えて笑うところか、寒いギャグが満載でお世辞でも面白い映画だとはいえないのだ。オープニングは60年代に放映された米国アニメの「宇宙家族ジェットソン」を思わせるレトロ・フューチャーな世界観だ。
西暦2265年、ギャラクシー街道と呼ばれる寂びれた宇宙幹線沿いにあるハンバーガーショップが舞台。かつては賑わったスペース幹線道路も、開通から150年が経ち、街道沿いにあるサンドサンドバーガー・コスモ店は、懐かしいアメリカンダイナーを思わせる内装だが、街道の老朽化に伴い人影もまばらに。変な宇宙人しか現れない。
神経質な店長のノアは、香取慎吾と綾瀬はるかが演じる底抜けに明るいその妻ノエ、強力な電磁波を発するパートタイマーのハナ(大竹しのぶ)が勤めるお店に、地球人とは文化も生態もまるで異なる宇宙人たちが現れ、想像を絶するトラブルを巻き起こす。
西田敏行さん扮する御茶ノ水博士ふうの、宇宙の何でも相談員は、皆の悩み相談を引き受けていい感じでしたね。
中でも遠藤憲一扮するトカゲ顔の宇宙人、ノエから店のリフォームを相談され、恋心を抱くようになる。普通の主婦ならコロっとイってしまうような渋い声とハードボイルドのようなボンデージ・ルックでノエに迫るんです。断ってもダメで、仕方なく額をくっつけてのお別れの挨拶とばかり思っていたのに、彼は良性具有であり子供を産む能力があるというのだ。
そのおでこを付けた瞬間で、遠藤憲一扮するメンデスが妊娠をしてしまい、あっという間にお産ということに。店の中で大騒ぎをして、お産にはぬるっとした昆布が必要と、あのだし昆布が出てくるのに驚いた。それに、メンデスは卵を8つも産むんですから。その一つが、転がってパートのハナさんがダストシュートへと、店の外へ宇宙へと飛んでいく。
慌てたみんなは、店長のノアが、妻の子供でもあるし店の客の赤ん坊だからと、宇宙空間で漂っている卵を拾いにいくんですね。その卵が1週間で男の子8人に孵り、育つのがやけに早くて全員遠藤憲一さんの顔そっくりの子供が8人もですからね。笑って下さいっていってもね、ちょっと引いてしまう。
それに、店長の元カノのレイ、優香ちゃんとは、ノアが所属していた劇団の看板女優だったのがレイで、ノアとは相思相愛だったのに。お花畑のような頭の優香が、ハンバーグを食べる汚いがっつき方が嫌だといい、別れてしまう。
久しぶりに再会したレイは、ぶさ顔の異星人ババサヒブと結婚していた。その夫に梶原善が扮して、店で急に脱皮したり、挨拶が長い舌をベローンと出して舐めたりとちょっと異常な感じ。これも笑えないぞ。
その他にも、山本耕史扮するゼット、鼻はピノキオみたいで宇宙きってのナンパな男で、スペース客引きをしている。その客には、地球人の歯医者のムタ、石丸幹二演じる男に女を紹介するのだが。
やってきたのが中国訛りのスペース娼婦で、A,B,Cのコースがあるといい、ぼったくりで高いし、それにチキンナゲットを80箱土産に買ってとおねだりするし、やっとこさ話も付いてじゃぁというその時、指サックを付けて「地球人の病気怖いね」といい、ETみたいに人差し指をくっつけてのセックスとは、これいかに。男ってスケベだから、監督の好みなのか、脱皮だとか、良性具有の宇宙人が卵で出産とか、あまりにもクダラナすぎですから。
半漁人かと思ったら、カエル型宇宙人ズズに西川貴教が扮して、汚いし店が汚れるとブルーシートを椅子に敷かれて、ハンバーグを食べるシーンでは、食道が細く、飲み込む力が弱いズズは、劇中時間をかけてひたすらハンバーガーを食べている。それが、なぜか声量があり、歌がべらぼうにうまいというキャラ設定。クライマックスでは西川のダイナミックな歌もたっぷりと堪能できるのがミソ。
一番ましで良かったのが、小栗旬と阿南健治とのスペース警備隊員。普通は宇宙の平和を守るために忙しいが、どうやら小栗旬扮するハトヤ隊員は、実はキャプテン・ソックスだといい、トイレでその証拠の変身姿を見せる。そのひそひそ話がとりわけ可笑しいし、変身姿は見せないがドアの向こうが光り輝くのだ。
それに、警備隊を辞めたいといい、隊長に報告するも、小栗旬の恋人にも別れを言い出ししかねていて、彼女から先に別れようと言われてしまう。その理由が、隊長と結婚するからだと言うのだ。小栗旬隊員は、慌てふためく姿が可愛いったらない。
最後に、スペース国土交通省の役人、ハシモトに段田安則が扮して、ギャラクシー街道を閉鎖しようか現地視察にやってきたのだが、ハンバーグ店に入ると、青い小鳥やら青い子犬が彼の周りをまとわりつき、それに、白い道化師が赤い風船を持って目の前に現れて、どうやら自分が働き過ぎによる幻覚を見ているのかと思ってしまうのだ。
宇宙人の挨拶、優香の夫ババサビの長い舌をベローンと出すところに、真面目に答えようとする綾瀬はるかのリアクションもかわいいのだ。三谷監督の女性観をちょっぴり伺うことができる。豪華俳優を総動員させて、贅沢な使い方をしてこれだけって、もの凄くがっかりした感じです。やっぱり期待過ぎるのもダメかもね。
2015年劇場鑑賞作品・・・220映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
<感想>洗練された笑いをモットーにしてきた三谷作品だが、本作はかなりぶっ飛んだ下ネタギャグが満載のSFコメディになっていた。それにしても、今までの三谷作品と言えば、豪華キャストで喜劇的で面白くて、笑いの王様のような映画ばかりだった。
だからっていうわけではないが、期待して観てしまったのがいけなかった。とても腹を抱えて笑うところか、寒いギャグが満載でお世辞でも面白い映画だとはいえないのだ。オープニングは60年代に放映された米国アニメの「宇宙家族ジェットソン」を思わせるレトロ・フューチャーな世界観だ。
西暦2265年、ギャラクシー街道と呼ばれる寂びれた宇宙幹線沿いにあるハンバーガーショップが舞台。かつては賑わったスペース幹線道路も、開通から150年が経ち、街道沿いにあるサンドサンドバーガー・コスモ店は、懐かしいアメリカンダイナーを思わせる内装だが、街道の老朽化に伴い人影もまばらに。変な宇宙人しか現れない。
神経質な店長のノアは、香取慎吾と綾瀬はるかが演じる底抜けに明るいその妻ノエ、強力な電磁波を発するパートタイマーのハナ(大竹しのぶ)が勤めるお店に、地球人とは文化も生態もまるで異なる宇宙人たちが現れ、想像を絶するトラブルを巻き起こす。
西田敏行さん扮する御茶ノ水博士ふうの、宇宙の何でも相談員は、皆の悩み相談を引き受けていい感じでしたね。
中でも遠藤憲一扮するトカゲ顔の宇宙人、ノエから店のリフォームを相談され、恋心を抱くようになる。普通の主婦ならコロっとイってしまうような渋い声とハードボイルドのようなボンデージ・ルックでノエに迫るんです。断ってもダメで、仕方なく額をくっつけてのお別れの挨拶とばかり思っていたのに、彼は良性具有であり子供を産む能力があるというのだ。
そのおでこを付けた瞬間で、遠藤憲一扮するメンデスが妊娠をしてしまい、あっという間にお産ということに。店の中で大騒ぎをして、お産にはぬるっとした昆布が必要と、あのだし昆布が出てくるのに驚いた。それに、メンデスは卵を8つも産むんですから。その一つが、転がってパートのハナさんがダストシュートへと、店の外へ宇宙へと飛んでいく。
慌てたみんなは、店長のノアが、妻の子供でもあるし店の客の赤ん坊だからと、宇宙空間で漂っている卵を拾いにいくんですね。その卵が1週間で男の子8人に孵り、育つのがやけに早くて全員遠藤憲一さんの顔そっくりの子供が8人もですからね。笑って下さいっていってもね、ちょっと引いてしまう。
それに、店長の元カノのレイ、優香ちゃんとは、ノアが所属していた劇団の看板女優だったのがレイで、ノアとは相思相愛だったのに。お花畑のような頭の優香が、ハンバーグを食べる汚いがっつき方が嫌だといい、別れてしまう。
久しぶりに再会したレイは、ぶさ顔の異星人ババサヒブと結婚していた。その夫に梶原善が扮して、店で急に脱皮したり、挨拶が長い舌をベローンと出して舐めたりとちょっと異常な感じ。これも笑えないぞ。
その他にも、山本耕史扮するゼット、鼻はピノキオみたいで宇宙きってのナンパな男で、スペース客引きをしている。その客には、地球人の歯医者のムタ、石丸幹二演じる男に女を紹介するのだが。
やってきたのが中国訛りのスペース娼婦で、A,B,Cのコースがあるといい、ぼったくりで高いし、それにチキンナゲットを80箱土産に買ってとおねだりするし、やっとこさ話も付いてじゃぁというその時、指サックを付けて「地球人の病気怖いね」といい、ETみたいに人差し指をくっつけてのセックスとは、これいかに。男ってスケベだから、監督の好みなのか、脱皮だとか、良性具有の宇宙人が卵で出産とか、あまりにもクダラナすぎですから。
半漁人かと思ったら、カエル型宇宙人ズズに西川貴教が扮して、汚いし店が汚れるとブルーシートを椅子に敷かれて、ハンバーグを食べるシーンでは、食道が細く、飲み込む力が弱いズズは、劇中時間をかけてひたすらハンバーガーを食べている。それが、なぜか声量があり、歌がべらぼうにうまいというキャラ設定。クライマックスでは西川のダイナミックな歌もたっぷりと堪能できるのがミソ。
一番ましで良かったのが、小栗旬と阿南健治とのスペース警備隊員。普通は宇宙の平和を守るために忙しいが、どうやら小栗旬扮するハトヤ隊員は、実はキャプテン・ソックスだといい、トイレでその証拠の変身姿を見せる。そのひそひそ話がとりわけ可笑しいし、変身姿は見せないがドアの向こうが光り輝くのだ。
それに、警備隊を辞めたいといい、隊長に報告するも、小栗旬の恋人にも別れを言い出ししかねていて、彼女から先に別れようと言われてしまう。その理由が、隊長と結婚するからだと言うのだ。小栗旬隊員は、慌てふためく姿が可愛いったらない。
最後に、スペース国土交通省の役人、ハシモトに段田安則が扮して、ギャラクシー街道を閉鎖しようか現地視察にやってきたのだが、ハンバーグ店に入ると、青い小鳥やら青い子犬が彼の周りをまとわりつき、それに、白い道化師が赤い風船を持って目の前に現れて、どうやら自分が働き過ぎによる幻覚を見ているのかと思ってしまうのだ。
宇宙人の挨拶、優香の夫ババサビの長い舌をベローンと出すところに、真面目に答えようとする綾瀬はるかのリアクションもかわいいのだ。三谷監督の女性観をちょっぴり伺うことができる。豪華俳優を総動員させて、贅沢な使い方をしてこれだけって、もの凄くがっかりした感じです。やっぱり期待過ぎるのもダメかもね。
2015年劇場鑑賞作品・・・220映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング