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ドローン・オブ・ウォー ★★★★

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アメリカ軍の対テロ戦争で使用されている無人戦闘機ドローンの実態を、『ガタカ』などの監督アンドリュー・ニコルと主演イーサン・ホークのタッグで描く戦争ドラマ。ラスベガスの基地で無人機ドローンを遠隔操作し、クリック一つでターゲットを爆撃する男の姿を通し、現代の戦争の知られざる真相を映す。共演は、『スター・トレック』シリーズなどのブルース・グリーンウッドや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのゾーイ・クラヴィッツ。ゲームのように攻撃を実行する現代の戦争の異常性にがく然とする。
あらすじ:アメリカ空軍に所属するトミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク)は、ラスベガスの基地にあるコンテナにいながら、コンピューターで無人機ドローンを遠隔操作し、遠く離れた異国の地の爆撃を行っている。任務が終われば郊外の自宅に戻り、妻のモリー(ジャニュアリー・ジョーンズ)と子供たちと一緒に過ごすのがトミーの日常だった。

<感想>ここ十数年ですっかり様変わりをした現代の戦争を、紹介するだけではなく、当事者たちの肉体や精神、尊厳を確実に殺して行くというおぞましい普遍的な摂理をもガツンと伝える映画でもあります。
それは、なにかとメディアを騒がせているドローンだが、この映画で扱っているのは近ごろ話題のトイやホビー系ではなくて、プロフェッショナル・ドローンの最高峰なのだ。いわゆるアメリカ空軍の無人攻撃機の物語。
イラク戦争で初めて実戦投入され、2009年には、オバマ大統領が就任以降には、テロ掃討作戦の主力兵器として定着しているのだ。

その主人公にイーサン・ホークが演じているのだが、短髪のヘアーが似合っていて、元F-16のパイロットであり、もちろんイラク戦争にも実戦で行っており、今ではラスベガスの空軍基地(長方形の箱の中)でドローンを遠隔操作しているオペレーターなのだ。再び空を飛ぶ日を夢見ながら、モニターに映し出される地球の裏側の敵を狙い撃つ日々を送っている。

ボタン一つで誰かれかまわず抹殺するドローンは、これはどうみても、ゲームをしているようにしか見えない。無音のままで爆撃が繰り返される、この上なく静謐な戦争で、何よりも恐ろしいと感じるのは、日常生活をつぶさに観察し、一人一人の顔や表情まで映しだし、その人たちの頭上に爆弾を落とさなければならないという状況なのだ。

帰還兵の自殺が多いというが、戦争のPTSDとは、戦場で人間を殺傷したり、生命の危機を味わったために起こるものと理解していたが、この映画の主人公たちは、自国の絶対に安全な場所にいて、モニター画面を眺めながら、テレビゲームの端末操作さながらに、爆撃をおこなっているのだ。
しかし、実際に実戦で遠隔操作で、敵をミサイルで爆撃しているのだから。民間人を含む多くの犠牲者を鮮明な画像で目視する日々を送り続けている内に、身も心もボロボロになっていく。

今や戦場だけが戦争の現場ではない。だから、多くの実戦経験を持つイーガンにとっては、Gの危険も感じないバーチャル飛行による違和感は、ストレスが溜まり精神状態を圧迫する。
原題は「Good Kill」これは米兵が攻撃成功時に言う掛け声で、字幕では「一掃した」と言う意味で、イーガンが劇中で繰り返し口にするセリフでもある。
基本的にこの監督は、アイディアの面白さや今回の着眼点のよさについては、やはりできるだけ多くの人に共有して欲しいと思っているのだろう。
本作の主人公のラストでは、モニター越しにイデオロギー抜きで憎むべき相手、民間人なのだが理不尽に使用人の女に乱暴しているのを目撃して、ミサイルを攻撃するシーンでは、倒すか倒さないかハラハラを繰りだして、飽きさせない辺りはお見事というべきなのだろう。
2015年劇場鑑賞作品・・・202映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

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