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合葬 ★★

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江戸風俗研究家でもあった漫画家・杉浦日向子の代表作である、第13回日本漫画家協会賞優秀賞受賞のコミックを実写化した時代劇。幕末を舞台に、幕府解体にあらがう彰義隊に加わった若者たちがたどる波乱の運命を追い掛けていく。監督は『カントリーガール』の小林達夫。キャストには『最後の命』などの柳楽優弥、『僕は友達が少ない』などの瀬戸康史、『麦子さんと』などの岡山天音らが顔をそろえる。彼らが織り成す濃密なストーリー展開に加え、重厚かつ哀切な語り口にも注目。
あらすじ:慶応4年、260年以上にわたって続いた徳川幕府が終えんを迎えた。江戸幕府第15代征夷大将軍・徳川慶喜に仕えていた秋津極(柳楽優弥)は、何の前触れもなく婚約を破談にしたことで婚約者の兄である福原悌二郎(岡山天音)から激しい怒りを買う。秋津に破談の真意を問いただそうとする福原は、ひょんなことから幼なじみの吉森柾之助(瀬戸康史)と再会する。秋津、福原、吉森が顔をそろえる中、吉森が養子先を追い出されて行くあてのない身だと知った秋津は、自分の所属する幕府解体反対組織・彰義隊への入隊を持ち掛ける。

<感想>杉浦日向子原作のコミックを映像化したものだそうで、鳥羽、伏見の戦いの後、将軍の警護と江戸市の治安維持のため有志によって結成された“彰義隊”の青年たちの群像劇。そして、幕末の彰義隊を舞台にした青春映画でもある。江戸から追放される第15代征夷大将軍・徳川慶喜の後姿を写しだし、殿さまを送り出す秋津極に扮する柳楽優弥は、その後も自分の生きざまを考えあぐねていた。そこへ、生き方も“彰義隊”への入隊の理由もさまざまな3人の青年が出会い、急激な時代の変化に翻弄されていく。

柳楽優弥の秋津極役に、瀬戸康史の吉森柾之助と岡山天音の福原悌二郎の見た目は、“彰義隊”の役まわりをほぼ再現している感じがあり、企画もハマっていいと思うのだが、なかなか演出が難しいであろう斬り合いや戦闘の場面は無いのかと思えば、工夫を凝らしてやっているのでそこは評価したいところ。

ですが、観ていて青春映画のように男たちの恋模様の絡んで、女郎屋へ足蹴に通い青春を謳歌する男たち。確かに、死に急ぐ若い命だからして、幕府崩壊に行き場を失って身を寄せ合う者、幕府がすでに解体した上は、“彰義隊”はすみやかに解散すべきだと考える者、その若者たちを指導するみたいな森という武士にオダギリジョーが扮しているが、どうってことはない、彼らを救うような教えを導き出すこともなく死んでしまう。薩長の官軍が江戸を支配して、まだ徳川幕府を再建すべきという思惑を異にする若者たちが、寺に居候をして江戸市中を見回り剣道の稽古をする毎日。

丁寧に作り込んだ画面で展開するのだが、なぜか今一つ弾まないのだ。カットからカットへの躍動感が観る者を引き込むことに欠けているのだ。
彰義隊の若者が戦いが近いことを理由に、一晩深川の女郎屋で遊んだ翌朝の帰り道では、微妙にウエスタン調の死の予感を際立たせる青春の叙情が印象深いシーンがある。

確かにこの時代では、女の結婚に対しては第二次大戦後の日本の女子のようで、まだまだ嫁ぎ先が見つからない未婚の女子が多かったのだろう。好きな相手と結ばれずに、年上の男に嫁ぐ女はまだよかったのかもしれない。

明治政府に称号が変わり、刀を差した武士、侍たちは無用な者で、武士としての意地とプライドを捨てて、別な仕事に就くという、男としての生きざまを問う物語にもなっています。
彰義隊として上野の戦争で散った若者の青春を綴った映画であることは間違いないが、主人公の極に扮した柳楽優弥が切腹をするシーンでは、変わらない目力と、つかみどころのない妙な色気が漂うのだ。
だから、この男の散り際があまりにもあっけなく感じ、もう少し切ない火花を散らし劇的に描いて見せ場を作っても良かったのではと思った。最後の死者を送る巡礼歌のような歌が耳に残り、彼らの死にぎわを野辺送りをしているような思いで聞いた。
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