パージ：アナーキー ★★★．５

『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイが製作陣に名を連ねたサスペンスシリーズの第2弾。年に1度だけ殺人などの犯罪が有罪にならないパージと呼ばれる日に街をさまようことになった夫婦が、ある母娘や武装した謎の男と共に生還を目指す。前作に引き続き、監督は脚本家やプロデューサーとしても活躍するジェームズ・デモナコ。『バトルフロント』などのフランク・グリロらが出演。より激化する殺人合戦の行方に目がくぎ付け。
あらすじ：国民の怨嗟（えんさ）や憎悪を発散させ、それによって治安を維持しようと、アメリカ政府は1年に1晩だけ殺人などの全犯罪を認める日パージを制定する。その日を迎え、家路を急ぐものの車がパンクしたために街をさまよう夫婦。何者かに襲われ、拉致されそうになる母娘。武装した男に救われた彼らは、協力し合いながら無法地帯となった街からの脱出を試みる。次々と襲い掛かってくる殺人者たちを倒していくが……。

＜感想＞低予算ながらアメリカでは社会現象を巻き起こした「パージ」の続篇。こんな設定最初はあり得ないと感じていたが、話が進むにつれて凄く現実味を帯びてくるのだ。善悪の判断に関する難問が描かれていると思う。高級住宅街には富裕層が住んでおり、家の外の貧困層に何が起きているかなんてお構いなし、という設定は現実離れしているとは思えないのが近未来のアメリカ。だから、この作品に出てくる人種問題や社会的な階級の問題、経済問題は興味深いですね。

パージ開始の約２時間前。街が帰宅を急ぐ市民で騒然とする中、家の中で入念に銃の手入れをし、完全武装する男グリローがいた。あの「キャプテン・アメリカ／ウィンター・ソルジャー」のフランク・グリローが演じている。その男レオは、息子を事故で亡くし過去があり、このパージに便乗して事故の加害者に復讐しようと目論んでいた。車も装甲車に乗り重装備である。
それが、シングルマザーのエヴァと娘のカリが、防犯設備もないアパート部屋で夕食を取ろうとしている時に、アパートの住人で母親に好意を寄せている男が銃で襲い掛かってくるのだ。父親も何処かへ出かけて行き、二人は外へ逃げるが、謎の特殊部隊に拉致されそうになる。それに、帰宅途中の若夫婦が車の故障で市街に取り残され逃げ惑う。

レオがそんな４人を助けて一緒に行動することに。しかし、街は襲ってくる暴徒に、謎の黒服特殊部隊、それに街に仕掛けられたトラップ（ケーブルが仕掛けられていた）など、極限状態に置かれた５人は、力を合わせてこの壮絶な夜を乗り越えようとするのだが。
その中の女エヴァが、友達ターニャが車を貸してくれるというので、エヴァの元同僚の家を訪れるのだが、そこでもその友達がクセモノで、酒をのみ薬をやっているようで、妹のロレインが姉を撃ち殺す。国が認めたパージだものと家の中で撃ちあいを始める。そこで、若夫婦の夫が肩を撃ちぬかれる。それに、車なんてなかったのだ。最悪な状況の中、外へ出る５人。だが、黒服の集団に襲われ拉致されてしまう。

それが、彼らの行く手に待ち受けていたのは「パージ」の衝撃の秘密だったのです。富裕層の金持ちが、街で餌食となる人間を買い取り、自分の家の地下倉庫に人間狩りのような設備を作り、そこへ謎の黒服特殊部隊に捕まった５人が、
富裕層たちの娯楽のために人間狩の標的となるのだ。
やはりセレブの仮面を付けたその富裕層たちは、正に狂気と化した野獣だった、という構図なのでしょう。「パージ」を利用して、動物のように人間狩りを楽しむ、公の殺戮ができるという快感なのかもしれませんね。
だが、しかしである、「パージ法」では、クラス４以上の銃器を使うと告訴され殺されるらし
い。これもアメリカ的でいいですよね。この富裕層の人たちが使っている銃器は、高性能のショットガンやスコープ付のライフルで、狙った獲物は外さないという代物。だから、５人が連携プレイで逃げ延びているところへ、黒服の軍隊が押し寄せて来て、富裕層を捕まえるというラストにはホットしました。

ですが、復讐するためにこの夜を待ち望んでいたレオは、加害者の家へ行き、その男の寝込みを襲い拳銃の引き金を引こうとするも、良心の呵責なのか、もう許したのか、撃たないで外へ出て来ると、別の男がレオを撃ってしまう。
そして、「パージ」の終了のサイレンがなり、命の恩人なのと、レオを助けようと車で病院へ運ぶ母親と娘。若夫婦は、夫が射殺されて死んでしまう。
それでも、最後が「次のパージ法まで364日」って、子供たちが射撃の練習しているし、アメリカの銃器撲滅の法改正でもしないと、映画のような残酷な人間狩りが続くと思いますね。
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