ほのぼのとした絵柄ながらハッとさせられる言葉で女性に人気の作家・益田ミリの四コマ漫画『すーちゃん』シリーズ(幻冬舎・刊)が実写映画化。
介護や仕事、恋愛などそれぞれに事情を抱え、淡々と過ぎゆく日常にふと不安をよぎらせながら、それでも小さな幸せを見つける女性3人組を描く。
監督はドキュメンタリー「SOUL RED 松田優作」や徳島の女性たちが葉っぱをビジネスに昇華させた実話を基にした劇映画「人生、いろどり」の御法川修。「食堂かたつむり」の柴咲コウ、「源氏物語 千年の恋」の真木よう子、「キャタピラー」の寺島しのぶが自然体で親近感のわく3人組を演じる。他、「ヒミズ」の染谷将太、「かぞくのくに」の井浦新らが出演。
あらすじ;料理好きで十数年カフェで勤務し、最近では職場の中田マネージャー(井浦新)に関心を寄せているすーちゃん(柴咲コウ)。OA機器メーカーに勤め、実りのない恋愛をしているまいちゃん(真木よう子)。母と二人で祖母を介護している、WEBデザイナーのさわ子さん(寺島しのぶ)。3人はかつて一緒にアルバイトをしていた仲間で、それから十数年経ちそれぞれの道を歩みながらも、友情は続いている。自分の年齢のことや結婚のこと、お金のこと、これからのことなどを考えると、不安がよぎることもある。これまでに歩んできた道を振り返って、これでよかったのか悩むこともある。それでも3人は小さな幸せに目を向け、今を生きていく。 (作品資料より)
<感想>タイトル通り、仕事も家庭環境も性格も違う30代の独身女性3人の、日常生活と恋愛を、それぞれ等身大に描いている。不倫相手の電話に一喜一憂するまいちゃんと、母と二人で祖母の介護をするさわこさんは、リアルな設定で、彼女たちの悩みに共感したが、独立したエピソードの羅列に終始するので、なんだか物足りなさが残ります。素朴でほんわかした原作の4コマ漫画には、普通の女性の平凡ゆえの切実さが滲むが、華やかな旬の女優3人を起用したことで漫画とは少し違う作品に見えました。
主人公三者紹介を兼ねた三連あるあるネタを入り口に、クレーム対応時のお辞儀で、ストレッチするくらいの余裕をもった姿の描写に象徴される、社会生活にすでに慣れた三十代女子二人に、四十代女子一人の労働と恋愛と生活を傍からじっくりと覗き見している気がした。
特に柴咲コウ演じるすーちゃんの、微妙な悩みと半成長ぶりにはイライラさせられた。一方で、彼女の几帳面な性格なのだろう、メニューの黒板に書く毎日のさりげない言葉に、温かみと勇気をもらえる。ピクニックへ三人で行く時も、料理を作ってもってくるのはすーちゃん。それに3人で集まって取り留めのない女の話をする時も、料理を考え作るのはすーちゃん。画面に映し出された料理の数々は、今まで観た映画の中でもあまり美味しそうに見えなかった。
三十代の現実的な悩みが描かれているが、三人とも謙虚な常識人として描かれているため、男を横からかっさらっていく同僚のイヤミな女や、デートの時に、女の不妊にこだわる結婚相手の言葉にイラつくし、女の愚痴が並ぶ作品を観ているような気がした。
「やめた筈のもう一つの人生だったら」という迷いや悔根はよくわかるが、現在が妥協としか見えないのが悲しい。女性として一番の幸せである子供が授かること、母親になる幸せを疎かにしてはならないと思う。それでも、仲良く3人でおしゃべりできることは羨ましいですね。
昨今漫画の映画化が増えているようですが、全部がダメとはいいませんが、「毎日かあさん」は良かった。でも、昨年鑑賞した「GIRL/ガール」、この作品と似ているような気がした。現代女性の生き方、「自分の人生は自分で作っていくしかないのじゃないか」私にはこちらの方が好きですね。
2013年劇場鑑賞作品・・・45 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ
介護や仕事、恋愛などそれぞれに事情を抱え、淡々と過ぎゆく日常にふと不安をよぎらせながら、それでも小さな幸せを見つける女性3人組を描く。
監督はドキュメンタリー「SOUL RED 松田優作」や徳島の女性たちが葉っぱをビジネスに昇華させた実話を基にした劇映画「人生、いろどり」の御法川修。「食堂かたつむり」の柴咲コウ、「源氏物語 千年の恋」の真木よう子、「キャタピラー」の寺島しのぶが自然体で親近感のわく3人組を演じる。他、「ヒミズ」の染谷将太、「かぞくのくに」の井浦新らが出演。
あらすじ;料理好きで十数年カフェで勤務し、最近では職場の中田マネージャー(井浦新)に関心を寄せているすーちゃん(柴咲コウ)。OA機器メーカーに勤め、実りのない恋愛をしているまいちゃん(真木よう子)。母と二人で祖母を介護している、WEBデザイナーのさわ子さん(寺島しのぶ)。3人はかつて一緒にアルバイトをしていた仲間で、それから十数年経ちそれぞれの道を歩みながらも、友情は続いている。自分の年齢のことや結婚のこと、お金のこと、これからのことなどを考えると、不安がよぎることもある。これまでに歩んできた道を振り返って、これでよかったのか悩むこともある。それでも3人は小さな幸せに目を向け、今を生きていく。 (作品資料より)
<感想>タイトル通り、仕事も家庭環境も性格も違う30代の独身女性3人の、日常生活と恋愛を、それぞれ等身大に描いている。不倫相手の電話に一喜一憂するまいちゃんと、母と二人で祖母の介護をするさわこさんは、リアルな設定で、彼女たちの悩みに共感したが、独立したエピソードの羅列に終始するので、なんだか物足りなさが残ります。素朴でほんわかした原作の4コマ漫画には、普通の女性の平凡ゆえの切実さが滲むが、華やかな旬の女優3人を起用したことで漫画とは少し違う作品に見えました。
主人公三者紹介を兼ねた三連あるあるネタを入り口に、クレーム対応時のお辞儀で、ストレッチするくらいの余裕をもった姿の描写に象徴される、社会生活にすでに慣れた三十代女子二人に、四十代女子一人の労働と恋愛と生活を傍からじっくりと覗き見している気がした。
特に柴咲コウ演じるすーちゃんの、微妙な悩みと半成長ぶりにはイライラさせられた。一方で、彼女の几帳面な性格なのだろう、メニューの黒板に書く毎日のさりげない言葉に、温かみと勇気をもらえる。ピクニックへ三人で行く時も、料理を作ってもってくるのはすーちゃん。それに3人で集まって取り留めのない女の話をする時も、料理を考え作るのはすーちゃん。画面に映し出された料理の数々は、今まで観た映画の中でもあまり美味しそうに見えなかった。
三十代の現実的な悩みが描かれているが、三人とも謙虚な常識人として描かれているため、男を横からかっさらっていく同僚のイヤミな女や、デートの時に、女の不妊にこだわる結婚相手の言葉にイラつくし、女の愚痴が並ぶ作品を観ているような気がした。
「やめた筈のもう一つの人生だったら」という迷いや悔根はよくわかるが、現在が妥協としか見えないのが悲しい。女性として一番の幸せである子供が授かること、母親になる幸せを疎かにしてはならないと思う。それでも、仲良く3人でおしゃべりできることは羨ましいですね。
昨今漫画の映画化が増えているようですが、全部がダメとはいいませんが、「毎日かあさん」は良かった。でも、昨年鑑賞した「GIRL/ガール」、この作品と似ているような気がした。現代女性の生き方、「自分の人生は自分で作っていくしかないのじゃないか」私にはこちらの方が好きですね。
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