人間を捕食する巨人と人類との壮絶な戦いを描いた諫山創の人気コミックを基に、『巨神兵東京に現わる 劇場版』などの樋口真嗣が実写映画化したアクション大作。100年以上前に出現した巨人が巨大な壁をぶち破り、再び侵攻してきたことから、巨人対人類のバトルが繰り広げられる。エレンを『真夜中の五分前』などの三浦春馬が演じるほか、長谷川博己、水原希子、石原さとみ、國村隼といったキャスト陣が集結。原作にはないキャラクターも登場するなど劇場版ならではの展開や、巨人のビジュアルやすさまじいバトルの描写も見どころ。
<感想>アニメ版は前編、後編と観賞しました。謎の巨人によって人間が食べられる恐怖を描いた諫山創原作による衝撃の人気コミックが、2部作の実写映画になって登場です。
主役のエレンに三浦春馬と、その幼馴染であるミカサに扮した水原希子を中心に、人類の未来を賭けて巨人に立ち向かう人々の姿を、特殊メイクした巨人役の俳優や、ミニチュアセットを使った特撮と、そのユニークで壮大なる世界観を表現したCG映像を組み合わせたハイブリッドVFXで描き出しているのが素晴らしい。
本物の人間が巨人を演じる生々しい恐怖と、巨人を倒すためにエレンたちが使う立体機動装置のリアルな飛翔感。もちろんワイヤーアクションなのだろうが、実写ならではのリアルな迫力と臨場感には感心しました。ですが、原作とは違ったオリジナルの物語には違和感がありました。
人食い巨人の脅威から身を守るために、人類が巨大な壁の中で暮らすようになって100年あまり。しかしある日のこと、外壁に近い街のモンゼンに、壁を破って突如巨人が現れるのだ。
2年後、兵士として訓練を受けたエレンは、人類に残された最後の爆薬を使いモンゼンの壁に空いた穴を修復するため、現地へと赴くチームの作業員に選ばれる。チームには発明好きのアルミンや、食いしん坊のサシャ、エレンの知人のソウダにピエール瀧が、そしてエレンを敵対視しているジャン、内地育ちなので巨人を怖がっている男、三浦貴大が演じている。
原作ではエレンとミカサはお互いに守り合ってきたのに、映画では巨人が来襲すると、離れ離れになってしまい、エレンは巨人殺しの戦士としてシキシマと寄り添うミカサと出会う。巨人の来襲の時に、ミカサを見捨てて自分だけ助かろうとしたエレン。ミカサは、巨人に襲われ喰われそうになり助けられたシキシマに対して恩を感じているミカサ。エレンに腹に噛み傷を見せつける。
エレンとミカサとの幼馴染の愛と、シキシマとミカサの間に漂う上司と部下を超えた男女の結びつき。この3人の関係がどう変化するのも見どころです。しかし、敵地にいて、愛し合っているとはいえ、夜にベッドインしているシーンはいかがなものか、他の若い男女の隊員もいることだし、エレンにも子持ちの女ヒアナが誘惑してくるではないか。
一つ目の見所は、巨人の生息地帯を抜けて目的地へと向かうエレンたち。その中で誰が生き残り、誰が巨人に食われるのかに注目ですから。喰われたからといって、死ぬとは限らないのがポイントですよ。
未来なのに発達した科学技術は、立体機動装置ぐらいしか登場しない。食料は農耕中心で、電気や内燃機関(ガス・石油)などは存在しない。移動手段は馬を使い、車も古い戦車を修理して使っている。
だからなのか、出現した巨人たちは、人間を手づかみで捕えて鋭い歯で食いつき、飲み込んでしまう。その恐怖とグロさは天下一品で、文明ごと大きく衰退してしまった人類は、滅亡寸前までに追い詰められてしまい、生き延びた人々は、高さ50メートルほどの長大な防壁の中で暮らしているのだ。
アニメ版では、そんなに巨人が人間を捕食するところはグロク感じませんでしたが、実写版での巨人に人間が食べられるシーン、恐怖というよりも知性の乏しい視線で言葉はなく、裂けた口で笑みを浮かべ意思疎通のとれない存在なのは一目瞭然である。
そして、一部は筋肉や靭帯を露出させた巨人もいて、人体解剖模型が歩き出しているかのように見えた。だが、品源の存在を感知する能力を備え、怪力で建物を破壊していく恐怖には恐れ入った。
さらには、巨人の手足を切断したり身体を損傷しても、数分で再生してしまう回復力の速さ。まさに無敵に近い存在である。唯一の弱点は、後頭部の下、人間の延髄に相当する部分で、ここに激しい損傷を受けると即死し、身体が気化して消滅してしまう。
巨人の反撃をかわすために、トリッキーな空中攻撃を可能とする「立体機動装置」。装置から噴射したアンカーを建物や高い樹木に打ち込み、ワイヤーで空中へジャンプして、短時間のガス噴射で推進し、滑空するのだ。
中でも変わり者の上官のハンジを演じた石原さとみさんが、目立っていてこれぞ人類の女戦士といえる。
だが、巨人の強大なる力の前で損傷率は高く、絶望的な戦いを強いられる人類。しかし、どんなに絶望的な状況であったとしても、人間は運命にあらがいながら戦い、自らの生を勝ち取るべく戦うのである。そんなメッセージが映画の中から強く放たれているのだ。
それに、巨人と人間の意外な関係性が、主人公エレンの示した強い“逆転”により明らかになっていく。エレンの目の前でアルミンが巨人に食べられる光景がまざまざと映し出され、その時、エレンが巨人の口によじ登りアルミンを助け出し、自分が犠牲となって喰われてしまう。だが、驚いたのはその後、巨人の胃袋の中へ入ったエレンが覚醒して、巨人が別の筋肉美の口裂け巨人となり、同じ仲間の巨人を倒して殺して行く様は圧巻であった。
現実の社会での人間も、自由を疎外する壁に囲まれた島国で平和に暮らしていると、かりそめの平和とは何なのか?・・・現代日本の置かれている状況と照らし合わせて見て、一度は考えてみるべき作品なのかもしれませんね。こういう驚きの脅威がいつ何時、訪れるのかもしれませんから。
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<感想>アニメ版は前編、後編と観賞しました。謎の巨人によって人間が食べられる恐怖を描いた諫山創原作による衝撃の人気コミックが、2部作の実写映画になって登場です。
主役のエレンに三浦春馬と、その幼馴染であるミカサに扮した水原希子を中心に、人類の未来を賭けて巨人に立ち向かう人々の姿を、特殊メイクした巨人役の俳優や、ミニチュアセットを使った特撮と、そのユニークで壮大なる世界観を表現したCG映像を組み合わせたハイブリッドVFXで描き出しているのが素晴らしい。
本物の人間が巨人を演じる生々しい恐怖と、巨人を倒すためにエレンたちが使う立体機動装置のリアルな飛翔感。もちろんワイヤーアクションなのだろうが、実写ならではのリアルな迫力と臨場感には感心しました。ですが、原作とは違ったオリジナルの物語には違和感がありました。
人食い巨人の脅威から身を守るために、人類が巨大な壁の中で暮らすようになって100年あまり。しかしある日のこと、外壁に近い街のモンゼンに、壁を破って突如巨人が現れるのだ。
2年後、兵士として訓練を受けたエレンは、人類に残された最後の爆薬を使いモンゼンの壁に空いた穴を修復するため、現地へと赴くチームの作業員に選ばれる。チームには発明好きのアルミンや、食いしん坊のサシャ、エレンの知人のソウダにピエール瀧が、そしてエレンを敵対視しているジャン、内地育ちなので巨人を怖がっている男、三浦貴大が演じている。
原作ではエレンとミカサはお互いに守り合ってきたのに、映画では巨人が来襲すると、離れ離れになってしまい、エレンは巨人殺しの戦士としてシキシマと寄り添うミカサと出会う。巨人の来襲の時に、ミカサを見捨てて自分だけ助かろうとしたエレン。ミカサは、巨人に襲われ喰われそうになり助けられたシキシマに対して恩を感じているミカサ。エレンに腹に噛み傷を見せつける。
エレンとミカサとの幼馴染の愛と、シキシマとミカサの間に漂う上司と部下を超えた男女の結びつき。この3人の関係がどう変化するのも見どころです。しかし、敵地にいて、愛し合っているとはいえ、夜にベッドインしているシーンはいかがなものか、他の若い男女の隊員もいることだし、エレンにも子持ちの女ヒアナが誘惑してくるではないか。
一つ目の見所は、巨人の生息地帯を抜けて目的地へと向かうエレンたち。その中で誰が生き残り、誰が巨人に食われるのかに注目ですから。喰われたからといって、死ぬとは限らないのがポイントですよ。
未来なのに発達した科学技術は、立体機動装置ぐらいしか登場しない。食料は農耕中心で、電気や内燃機関(ガス・石油)などは存在しない。移動手段は馬を使い、車も古い戦車を修理して使っている。
だからなのか、出現した巨人たちは、人間を手づかみで捕えて鋭い歯で食いつき、飲み込んでしまう。その恐怖とグロさは天下一品で、文明ごと大きく衰退してしまった人類は、滅亡寸前までに追い詰められてしまい、生き延びた人々は、高さ50メートルほどの長大な防壁の中で暮らしているのだ。
アニメ版では、そんなに巨人が人間を捕食するところはグロク感じませんでしたが、実写版での巨人に人間が食べられるシーン、恐怖というよりも知性の乏しい視線で言葉はなく、裂けた口で笑みを浮かべ意思疎通のとれない存在なのは一目瞭然である。
そして、一部は筋肉や靭帯を露出させた巨人もいて、人体解剖模型が歩き出しているかのように見えた。だが、品源の存在を感知する能力を備え、怪力で建物を破壊していく恐怖には恐れ入った。
さらには、巨人の手足を切断したり身体を損傷しても、数分で再生してしまう回復力の速さ。まさに無敵に近い存在である。唯一の弱点は、後頭部の下、人間の延髄に相当する部分で、ここに激しい損傷を受けると即死し、身体が気化して消滅してしまう。
巨人の反撃をかわすために、トリッキーな空中攻撃を可能とする「立体機動装置」。装置から噴射したアンカーを建物や高い樹木に打ち込み、ワイヤーで空中へジャンプして、短時間のガス噴射で推進し、滑空するのだ。
中でも変わり者の上官のハンジを演じた石原さとみさんが、目立っていてこれぞ人類の女戦士といえる。
だが、巨人の強大なる力の前で損傷率は高く、絶望的な戦いを強いられる人類。しかし、どんなに絶望的な状況であったとしても、人間は運命にあらがいながら戦い、自らの生を勝ち取るべく戦うのである。そんなメッセージが映画の中から強く放たれているのだ。
それに、巨人と人間の意外な関係性が、主人公エレンの示した強い“逆転”により明らかになっていく。エレンの目の前でアルミンが巨人に食べられる光景がまざまざと映し出され、その時、エレンが巨人の口によじ登りアルミンを助け出し、自分が犠牲となって喰われてしまう。だが、驚いたのはその後、巨人の胃袋の中へ入ったエレンが覚醒して、巨人が別の筋肉美の口裂け巨人となり、同じ仲間の巨人を倒して殺して行く様は圧巻であった。
現実の社会での人間も、自由を疎外する壁に囲まれた島国で平和に暮らしていると、かりそめの平和とは何なのか?・・・現代日本の置かれている状況と照らし合わせて見て、一度は考えてみるべき作品なのかもしれませんね。こういう驚きの脅威がいつ何時、訪れるのかもしれませんから。
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